ナチュラルサイコパス2人に囲われていたが、どうやら俺のメンヘラもいい勝負らしい。

仔犬

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結果から言えば、お菓子は完売した。


「凄いよ君たち!!過去最高売り上げ!しかもうちの店のケーキ予約まで来てるなんて今まで無かった!いやあいいバイトを雇ったよお!!」


俺の予想通り2週間あの2人はにこりともしなかった。その分俺だけが300%の愛想を振り撒き、知秋も来夏も黙々とレジか商品を包むだけだ。
たださすがと言うか商品名とか材料とか値段とか知識だけはすぐに吸収するので俺が分からないとすぐに助けてくれる。まあ聞かれたの2人でも俺が答えてますけどね?俺が手が空いてない時は流石に答えるけど真顔だしな2人とも。なのに顔がいいからってお客様の殆どが顔を赤らめて買っていくのだ。

しかも日に日に客が増えていくのはイケメンが駅前で売り子をしてると噂が回ったらしい。クラスメートも冷やかしでくるし大変だった。


それでも乗り越えた。店主は感激のあまり来年も是非やってほしいと頼み込んできてけど俺だけゼーハーものの疲れが来ていたので考えさせてくれと言ってしまったが。

だけど頑張ってくれたからってお給料も奮発してくれて、なんとお店で1番人気のホールケーキをプレゼントしてくれたのだ。

「今月これで生きてけるってくらい給料貰えたーーー!しゃあーー!!!」

「英羅、ケーキ倒れちゃう」


嬉しくてスキップしてたら来夏がそっとケーキを持ってくれた。

最終日の帰り道、肌寒い夜だけど気分は最高だ。振り返ると眠そうな知秋に俺が喜んでるのを見て喜んでいる来夏。

「2人ともまじで愛想笑いすらしないし、頬が筋肉痛なんですけど?」

「するわけねぇだろ、大体売れたんだからうだうだ言うな」

「奇跡だと思えよ!その顔に感謝しろ!」

「僕も英羅くらいじゃないと笑う時無かったよ」

「……来夏まで」


でもなんだかんだ言って学校の友達とバイトって中々なくて死ぬほど忙しかったけど楽しくもあった。でも2人は別にお給料なんか目当てじゃないだろうにちゃんと毎日来たしまったくもってよくわからない。

「大体なんで突然来たわけ?まあ、楽しかったけどさあ」

仲の悪い2人はこういう時だけ視線を合わせる。

「……まず、その格好」


今の格好はバイト着のままだ。店主が来年は違うものにするだろうからあげるよ、ハロウィンだし着て帰って遊べばいい。と緩いことを言うので俺のは私服のままでも着れそうだしとありがたく貰ってきたのだ。

「格好が?」

「他人の前でそれ着て、さらに俺の知らないところで俺以外の奴に笑いかけてんのが無理」

「……はあ?」

ぶっきらぼうに知秋が言う。
思えばこの時から今みたいな事言っていた気がする。でもこの時はマジでほんとに何にも気にしてなかった。二人って友達いないし、だから数少ない友達の俺に独占欲出ちゃうのかなくらいで。


「いいじゃんイベント事って感じでさ」

「お前はもう少し自分の価値を改めろよ」

「改めるも何も、自分がモテる事は知ってるけど」


高校の時はそう、たしかにモテていたのだ。結局付き合った人数は少なかったが、放課後の呼び出しは結構あったし。まあそれもこの2人には敵わないかもしれないが、俺たち全員系統がちょっと違うからうまーく采配ができていたような気がする。

俺の言葉に2人はなんとも言えない顔をした。ドラキュラと天使にそんな顔されても悪魔の俺には何も出来んが。


「よく分かんないけど、まあせっかくケーキ貰ったし俺の家で食わねー?父さん今日も遅いし1人で食うのも嫌だし」


「行く!」


そうやって誘えばすぐに機嫌をよくする2人。でも綺麗に互いの声が揃うと一瞬で睨み合うから面白い。これくらい感情豊かだって他の人間は知らないのだろう。俺だけが知っている2人はこんなにも面白くて楽しいのだ。

10月の終わりともなれば夜はすっかり寒い。まだ睨み合う2人の間に割込んで腕を掴む。

「間に居るとあったけー」

俺のせいで戦意喪失したのかようやく睨み合いが収まって、知秋が俺のほっぺたをさらりと撫でる。


「……冷たいし鼻赤いし、冷えたんじゃねぇの」

「赤い?悪魔が鼻赤くするとか笑えるわ」

「その服、似合ってるよ。可愛い」

「それ来夏が言う?」


それこそ可愛いの権化みたいな顔してる奴に言われても。大人になった来夏は美人としか言いようがないがそれでも俺からしたら癒しのわんこだ。



楽しかった思い出。
俺が大好きだった2人の思い出。




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