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息子は可愛いけど男の子
息子は可愛いけど男の子
息子は可愛い。私に似て。
そんなこと言ったら自意識過剰だって思われちゃうけど、私も学生の頃はそれなりに声をかけられる存在だったし、今も少なくはないのだから多少は許されるはず。
唯斗のまんまるの目も笑った顔も人見知りしない人懐っこさも母親の私からするとそれはもう可愛い。朝がちょっと弱くてたまにぽやぽやの顔で目をこすりながら起きてくるところも。
昔は女の子の服もバンバン着せてたんだけど、今も今でものによっては着れそう。
「ねぇ、唯斗の服って女の子の服も混じってる?」
「うん。入ってるよ。スキニーとかトップスも割とゆったりめなのとか最近多いし、女の子の方がやっぱバリエーションあるよねー」
なんの疑問もなく答えてくれるところはさすが私の息子。まだいけそうね、サイズ的にも可愛いうちに色んな服着させて写真撮らないと。
企んでいたら唯斗があれ、と呟いた。
「今日メイク変えたね。可愛い」
覗いてきた顔の形は私そっくりなのに、ふっと笑った表情があの人にそっくりで、遺伝というのは恐ろしい。
朝ごはんの支度をしていた私の横で使い終わった食器を洗っていく唯斗のさりげない優しさもあの人そっくりだ。
「本当にパパそっくりになってきてる……」
「え、本当?やったね!ついでに身長伸びてほしいけどー」
なぜかこの子は身長にこだわる。キッチンに2人で立つと同じくらいの身長になってきた。これからもっと伸びるのだろうか。
あの人の遺伝が強ければたしかに身長は伸びるはずだけど、まだまだ可愛い感じでいて欲しい、と言うか私の好み的には可愛いままで!
「どうしてー可愛いから今のままでいいじゃない。唯斗はあの人にならなくても良いのに」
「父さんに?うーん……」
首をかしげる息子。しまった深入りしてしまっただろうか、でも本当にそう思う。優しいこの子があの人になることは無いのだ。
「おれはおれだよ、母さん」
なんの嘘もなさそうな可愛い笑顔。良い顔する子に育ったなあと、しみじみ思っちゃう。育てたのは私なのかと思うと誇らしい。
そう、そう言えば氷怜くんと話したことをまだ唯斗に話していなかった。あんな有名な彼なのに唯斗のこと任せるにしてもお釣りがくるほど素晴らしすぎる好青年だった。
「氷怜くん良い子だよねぇ」
「いやーもう素晴らしいお人ですよ」
まさか彼氏が出来るとは思わなかったけど、正直息子が幸せなら何でもいい。こんな会話もさらっと出来てしまうところは私にそっくりだ。
唯斗が冷蔵庫開けて朝の野菜ジュースを飲み出した。
「泊まったからもう私はてっきり食べられてるんだと思ったからこの前氷怜くんとお茶した時に、うちの息子どうでした?って聞いての」
「ゲホッ」
「今の唯斗と同じような顔してコーヒー喉に詰まらせてたなぁ、氷怜くん。ふふ、彼本当にカッコいいけどそういうところはまだまだ可愛いよねぇ」
「な、何てこと聞いてるの先輩に!」
いつもは何でもおっぴろげなのに珍しくあわてた唯斗がさらに珍しいことに顔を赤くした。ママは驚き。
「やだやだ、なになに!可愛い~唯斗そんな可愛い顔できたんだ。いっつも女の子に澄ました笑顔してると思ってたら……あれ、そうよ、前の可愛い彼女は照れたりしなかったじゃない、なんで?」
なんなら、私がニヤニヤしながら彼女とはもう、うふふなことしちゃったー?って聞いたらさらっと、うん。
なんて教えてくれちゃう子だったのに。
「違うでしょ女の子とは訳が違うじゃん!男がリードする事に関しては自信あるけど、ダメなんだよ氷怜先輩にはもうなんかドキドキしっぱなしなの」
女の子の味方のこの息子が男の子と本気の恋をするとこうなるのね。私のイケメン好きが遺伝してしまったのか、いや照れていると言うことはむしろ逆なのかしら。
そう、あの人も同性に人気があったのだから。
「あの人も男の人に告白されてたのよねぇ」
「父さん?すごいねぇ」
「遺伝だねぇ」
「え、てかなに……それで先輩なんて?」
冬なのにあついあついなんてぱたぱた手で仰ぎながら、唯斗が聞いてきた。気になってる気になってる。やだ、可愛い、私の息子、乙女な顔するようになった。
親バカは自覚してる。
「なーいしょ」
「ええ!」
あの日、唯斗に手を出していいのにとふざけた私に、氷怜くんは結局最後は割り切って完璧な答えをくれた。
あいつが経験あるのは分かりますし、あなたの血筋をひいてるだけあってそれはもう魅力的です。
俺にもそれなりに経験があって、欲も男なのであります。ただ、俺だからこそなのか、まだだなと思うことが多いんです。
惚れられてるのが分かるから我慢できます。待てができる男なんで。
なんてはにかんで言われた言葉、勿体無くて私の口からは言えない。
「息子が幸せそうで何よりなのよ私は」
「教えてくれないのー?ねぇ~~たしかに悩みもないけどさ~」
いじける唯斗は本当に悩みはなさそう。趣味にバイトと忙しい息子は基本的になんでも器用にこなすし。
欠点と言えばいまいち危機感と言うか人間として普通ある人間に対しての防波堤が無いというか。
私も人見知りはしないけど男の人の好意にはちゃんと気づくタイプだったのに。あ、でもあの人も自分の事に鈍感オブ鈍感だった。綺麗な見た目で目立つのにそれも分かってなかったし。
唯斗も女の子に注意がむかっているせいか男の子には無防備なのかもしれない。そのガードの緩さが男の子にとっては新しい扉でも開かせてるのかと思うと、私の息子かなりの逸材。いえ、だから親バカは自覚してるの。
ある意味タチの悪いところだけ唯斗は受け継いでくれちゃっている。氷怜くんもそこに悩んでいるに違いない、ごめんね氷怜くんうちの息子が。
でも、ちょっとにぶちんであほなところも自慢なの。
可愛いくてかっこ良くて自慢の息子なの。
「それにしても唯斗のあほちんは誰に似たのかしら」
「えー椎名だよ」
「え?」
「え?」
これは、反抗期?
そんなこと言ったら自意識過剰だって思われちゃうけど、私も学生の頃はそれなりに声をかけられる存在だったし、今も少なくはないのだから多少は許されるはず。
唯斗のまんまるの目も笑った顔も人見知りしない人懐っこさも母親の私からするとそれはもう可愛い。朝がちょっと弱くてたまにぽやぽやの顔で目をこすりながら起きてくるところも。
昔は女の子の服もバンバン着せてたんだけど、今も今でものによっては着れそう。
「ねぇ、唯斗の服って女の子の服も混じってる?」
「うん。入ってるよ。スキニーとかトップスも割とゆったりめなのとか最近多いし、女の子の方がやっぱバリエーションあるよねー」
なんの疑問もなく答えてくれるところはさすが私の息子。まだいけそうね、サイズ的にも可愛いうちに色んな服着させて写真撮らないと。
企んでいたら唯斗があれ、と呟いた。
「今日メイク変えたね。可愛い」
覗いてきた顔の形は私そっくりなのに、ふっと笑った表情があの人にそっくりで、遺伝というのは恐ろしい。
朝ごはんの支度をしていた私の横で使い終わった食器を洗っていく唯斗のさりげない優しさもあの人そっくりだ。
「本当にパパそっくりになってきてる……」
「え、本当?やったね!ついでに身長伸びてほしいけどー」
なぜかこの子は身長にこだわる。キッチンに2人で立つと同じくらいの身長になってきた。これからもっと伸びるのだろうか。
あの人の遺伝が強ければたしかに身長は伸びるはずだけど、まだまだ可愛い感じでいて欲しい、と言うか私の好み的には可愛いままで!
「どうしてー可愛いから今のままでいいじゃない。唯斗はあの人にならなくても良いのに」
「父さんに?うーん……」
首をかしげる息子。しまった深入りしてしまっただろうか、でも本当にそう思う。優しいこの子があの人になることは無いのだ。
「おれはおれだよ、母さん」
なんの嘘もなさそうな可愛い笑顔。良い顔する子に育ったなあと、しみじみ思っちゃう。育てたのは私なのかと思うと誇らしい。
そう、そう言えば氷怜くんと話したことをまだ唯斗に話していなかった。あんな有名な彼なのに唯斗のこと任せるにしてもお釣りがくるほど素晴らしすぎる好青年だった。
「氷怜くん良い子だよねぇ」
「いやーもう素晴らしいお人ですよ」
まさか彼氏が出来るとは思わなかったけど、正直息子が幸せなら何でもいい。こんな会話もさらっと出来てしまうところは私にそっくりだ。
唯斗が冷蔵庫開けて朝の野菜ジュースを飲み出した。
「泊まったからもう私はてっきり食べられてるんだと思ったからこの前氷怜くんとお茶した時に、うちの息子どうでした?って聞いての」
「ゲホッ」
「今の唯斗と同じような顔してコーヒー喉に詰まらせてたなぁ、氷怜くん。ふふ、彼本当にカッコいいけどそういうところはまだまだ可愛いよねぇ」
「な、何てこと聞いてるの先輩に!」
いつもは何でもおっぴろげなのに珍しくあわてた唯斗がさらに珍しいことに顔を赤くした。ママは驚き。
「やだやだ、なになに!可愛い~唯斗そんな可愛い顔できたんだ。いっつも女の子に澄ました笑顔してると思ってたら……あれ、そうよ、前の可愛い彼女は照れたりしなかったじゃない、なんで?」
なんなら、私がニヤニヤしながら彼女とはもう、うふふなことしちゃったー?って聞いたらさらっと、うん。
なんて教えてくれちゃう子だったのに。
「違うでしょ女の子とは訳が違うじゃん!男がリードする事に関しては自信あるけど、ダメなんだよ氷怜先輩にはもうなんかドキドキしっぱなしなの」
女の子の味方のこの息子が男の子と本気の恋をするとこうなるのね。私のイケメン好きが遺伝してしまったのか、いや照れていると言うことはむしろ逆なのかしら。
そう、あの人も同性に人気があったのだから。
「あの人も男の人に告白されてたのよねぇ」
「父さん?すごいねぇ」
「遺伝だねぇ」
「え、てかなに……それで先輩なんて?」
冬なのにあついあついなんてぱたぱた手で仰ぎながら、唯斗が聞いてきた。気になってる気になってる。やだ、可愛い、私の息子、乙女な顔するようになった。
親バカは自覚してる。
「なーいしょ」
「ええ!」
あの日、唯斗に手を出していいのにとふざけた私に、氷怜くんは結局最後は割り切って完璧な答えをくれた。
あいつが経験あるのは分かりますし、あなたの血筋をひいてるだけあってそれはもう魅力的です。
俺にもそれなりに経験があって、欲も男なのであります。ただ、俺だからこそなのか、まだだなと思うことが多いんです。
惚れられてるのが分かるから我慢できます。待てができる男なんで。
なんてはにかんで言われた言葉、勿体無くて私の口からは言えない。
「息子が幸せそうで何よりなのよ私は」
「教えてくれないのー?ねぇ~~たしかに悩みもないけどさ~」
いじける唯斗は本当に悩みはなさそう。趣味にバイトと忙しい息子は基本的になんでも器用にこなすし。
欠点と言えばいまいち危機感と言うか人間として普通ある人間に対しての防波堤が無いというか。
私も人見知りはしないけど男の人の好意にはちゃんと気づくタイプだったのに。あ、でもあの人も自分の事に鈍感オブ鈍感だった。綺麗な見た目で目立つのにそれも分かってなかったし。
唯斗も女の子に注意がむかっているせいか男の子には無防備なのかもしれない。そのガードの緩さが男の子にとっては新しい扉でも開かせてるのかと思うと、私の息子かなりの逸材。いえ、だから親バカは自覚してるの。
ある意味タチの悪いところだけ唯斗は受け継いでくれちゃっている。氷怜くんもそこに悩んでいるに違いない、ごめんね氷怜くんうちの息子が。
でも、ちょっとにぶちんであほなところも自慢なの。
可愛いくてかっこ良くて自慢の息子なの。
「それにしても唯斗のあほちんは誰に似たのかしら」
「えー椎名だよ」
「え?」
「え?」
これは、反抗期?
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