sweet!!-short story-

仔犬

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夜の世界は

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聖夜の街は綺麗だが、汚い物も増える。





「no nameの本田式だな」

「だったら、何だよ」


外の見回りついでに裏の路地にある自販機でコーヒーを買った式に後ろから声がかかった。腰下ギリギリまでずり下げたパンツ姿の男がガラ悪く笑っている。


「教えるほど優しくねえよ!」


そう言いながら殴りかかってきた相手を一歩下がることで避けた式はぼんやり確かになと考える。わざわざ答える必要などないという言い分は正しい。


「まあそうだよな」

「おーい、随分と余裕だなぁ……それはこれでも変わらねえのか?」


くすくすと嫌味な笑い声が四方から聞こえてくる。やがて影から姿を現した男たち。
いつのまにか、と言いたくなるが式は影からこちらを見ているのには気づいていたし、それが数十人になることもわかっていた。

知ってたっつーの。

突っ込みたくなるがこんな相手にそこまで素直に話す気にはなれなかった。このキンと刺さるような夜の寒さの中で、無駄な時間なんて過ごしたくない。

「俺、合理主義なんだよ」

「は?」

「だから俺は早く戻りたい。つまりお前らに構う暇も無ければ価値もない。合理的に無駄だ」

「…………」


明らかに式の言葉によって雰囲気を変えた男達はニヤニヤ笑いを止めて眉間に力を入れた。式は頷く。そう、そうして力を入れてくれないとニヤニヤと締まりのないやつを倒したところで後味が悪いだけだ。

「かかってこいよ」

笑った式に1人ずつ、なんて馬鹿正直は者は居なかった。誰もがその手や足を狙い掴みにかかり、捉えた式を殴る役がついたが手足が止まることはなかった。力でも速さでも式に敵うものがいないのだ。時折捕まったと見せかけて返り討ちにしながらと大量の機を狙う。

あっという間に残りは一人。


愕然と立ち尽くす相手は仲間がやられたというのに自分の身が可愛いらしい、ガタガタと震えだし今にも逃げようとしている。


「なんだっけ……理由は言えないんだっけ。まあ、想像はつくよ。俺を倒して力を提示して仲間に入って内側から崩そうとかそんなだろ。もう少し頭使えよ。無理だろどう考えても力も頭も足りてねぇじゃん。いや、だから頭使えねえのか……」


あほらし。
同じあほでもこうも違うのだから。あほにも種類があるのだなと式はおもわず笑ってしまった。

倒れた人数をざっと数え、震える足で逃げようとする相手を膝の裏から押してやれば勢いよく倒れ込んだ。


「40ちょい……あんたらなら100いても俺でどうにかなるよ。もう、流石にわかるだろ。2度とこんな真似するもんじゃないな」

「わ、わかったわかったから許し……がっ!!」


無様な許しの乞い方に表情すら動かすのもやめた。ここまで脅かしたら大丈夫だろう。そう思ったのだが、思わぬ場所から一撃が加えられた。

「甘いですよ」


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