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しおりを挟む邪な親切心によりタオルで猿轡された岬は狭い二段ベッドの下でもどかしげに仰け反った。
下の服を全て蔑ろにされ、片足を折り曲げられて、甲斐甲斐しく口づけられた。
奥までじっとり濡れそぼつ蜜孔を初めて訪れた唇。
舌なめずりの音まで立てて吸われる。
貪るようにしゃぶりつかれる。
「ふーッ……ふーッ……ふーッ……ふーーーッ……!」
志摩は指二本でヴァギナの奥を緩やかに掻き回しつつクリトリスを満遍なく舐め尽くした。
「ッ、ッ、ッ、ッ、ッッ、ッ!」
次は唾液で潤う肉芽をゆっくり指腹でなぞりながら舌の付け根まで亀裂の中央に突き立てた。止め処ない愛液を上下の唇に浴びながら熱もつ奥をじっくり犯す。岬は限界まで喉を反り返らせた。噛まされたタオルによだれがどんどん染み込んでいく。
股間に深々と顔を埋めた志摩は狭い空間で哀れなくらい身悶える岬を上目遣いに見、淫らな口づけを移動させていった。
「ッ……!?」
「綺麗な色してる」
誰の温もりも知らない純潔のペニスに行き着いた唇が薄紅色の頂きに沿ってスライドされる。
「こんなに綺麗なら、いくらでも……」
志摩の唇の狭間に徐々に呑み込まれていった淫夢魔インサバスの純潔。
頭をバウンドさせる際どい口内抱擁と共にヴァギナを指姦され、腹側に潜む男の性感帯をコリコリと攻め嬲られて、岬の腰はビクリと跳ね上がった。
射精を伴うウェットオーガズム、淫唇奥でのオーガズム、オスとメスの性感帯で上り詰めた同時絶頂に全身が滾るに滾って……あわや失神しかけた。
「岬」
「ん、ぐぅ……っ……ぶはっ……ぁ……あう、ぅぅ……」
「このタオル洗わなきゃな」
猿轡を外された岬はダブル同時絶頂の余韻が後を引いて、しばしぼんやりし、ろくに言葉も発せられずにベッドに仰向けに寝そべって荒い呼吸を繰り返した。
……今、センセェに飲まれたのかよ、俺。
……すげぇよかったーー
ギシリ
涙に満ち満ちた吊り目がふと忙しない瞬きを。
重たげに濡れた睫毛のすぐ向こう側にいる志摩に視線を束縛された。
数秒間続いた沈黙の後、志摩は何も言わずにタオルを持ってユニットバスの方へ消えていった。教師の後ろ姿を虚ろに見送った岬は溜め込まれていた吐息を長々と吐き出した。
……志摩センセェにキスされんのかと思った……。
……志摩センセェとはまだ一度もキスしてねぇ……。
別にする必要もねぇけど。だってキスとか恋人同士がするもんだろ。俺とセンセェはそーいう関係じゃあねぇし。じゃあどーいう関係だって話だけどよ。
宿泊研修二日目、午前中はウォークラリーに費やし、晴れ渡った青空の下で昼のお弁当を食べた。付近一帯のクリーン活動や施設の清掃が終了すれば大型バスに乗り込み、解散の場となる学校を目指して出発。ほとんどの新入生は疲れ切って寝ており、イビキをかいている生徒までいた。
後部座席の窓際に座った岬は窓枠に頬杖を突いて前方を直視していた。隣で爆睡するクラスメートが肩にもたれてきて少々重たいものの、好きなようにさせてやった。志摩は最前列の座席に座っていた。首を伸ばせば後頭部が窺える。さらに苦心して伸ばせば、通路を挟んで横並びに座る隣クラスの担任教師と言葉を交わす横顔が時々確認できた。
「中村、それ、亀の真似?」
頻りに首を伸ばしていたら後ろのクラスメートにからかわれ、ジロリと睨んで、岬はシートに背中を落ち着かせた。
志摩が自分と同じ淫魔筋だと知って一週間と数日が経過した。特別扱いされている自覚はある。あんな慰め方、そうそう行えるものじゃあない。
でも、もしかしたら。
過去にも淫魔筋の生徒がいたかもしれない。
俺にするみたいに特別に慰めてやったりしたのかもしれない。
単調な揺れに身を任せて岬は目を閉じた。俺達は担任と生徒。それ以外の何物でもない。自分達の関係をそう位置づけると睡魔と手を繋いで思考を手放した。
そうして宿泊研修は幕を閉じた。
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