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しおりを挟む「な、なぁ、志摩っていつから阿久刀川と仲いいんだよ……?」
おかしなタイミングで質問してきた岬に志摩は眉根を寄せる。
「それ、今すぐに知りたいほど重要なことか?」
じっと見下ろされて岬は口をパクパクさせる。
セミダブルベッドの上、仰向けになった岬に添い寝するように寄り添った志摩。
その利き手はじっとり汗ばむ褐色太腿の狭間に潜り込んでいた。
さめざめと涙する蜜孔を傲慢に貫いた二本の指。
ざらつく膣壁を直になぞられたり、緩々と出し挿(い)れされたり、蜜壺内で彼の指が動く度に岬は成す術もなく昂ぶった。
「ん、ぁ、ぁ、っ、っ」
志摩は空いている方の片手を岬の片手に重ねていた。
余念のない指姦についつい岬が強く握れば同等の力で強く握り返してきた。
……こんなん、普通にむりだろ、ハズイにも程がある……。
あんまりにもされるがまま、すんなり服従してしまう自分が不甲斐なく、少しでも意識を逸らしたくて。
「ど、どっか遊びいったりしたのかよ、ウチとか行ったりしたのかよっ?」
岬は口を開かずにはいられなかったのだが。
「岬は阿久刀川のことが気になるんだ?」
さらに奥へとやってきた指先の嗜虐性にぶわりと涙した。
「お、奥、こんな奥まで来んなぁ、どすけべっっ」
「ああいうのがタイプとか」
「はっ……はぁ……? っ、っ……だから……っ……奥、来すぎだって、ば……」
「周りと同じ、極々一般的な審美眼持ちなんだな、お前も」
「ぁ、ぁ……ぅぅぅ……」
とうとう中指と薬指の根元まで呑み込まされて岬はきつく唇を噛んだ。
ミチミチと締まる膣奥が意地悪に突かれ始める。
押し出そうとする肉圧に逆らい、悶々と収縮するナカをねっとり掻き回された。
「ひっ、ぃっ、ぅっ……っ……っ……じゃ、ねぇ……っ」
「うん? 何か言った?」
涼しげな顔をしてエグイ指ピストンに興じている志摩の手に、岬は、全力で爪を立てた。
「タイプじゃねぇよッ、あんな自己中ヤローッ、一緒に飯食うだけで限界だ!!」
妙な勘違いをさせまいと必死になって回答すれば志摩は小さく笑った。
初体験には酷だった指遣いが緩やかな動きに切り替わる。
腹側をやんわり撫で、細やかな振動を送り込み、秘められていた性感帯を暴き立てていく。
「んんん……っ」
健やかに育った体を張り詰めさせ、岬はすぐそばにある志摩の双眸を薄目がちに一瞥した。
「ほんっと……しつけぇ……志摩って、いつもこうなのかよ……? 相手のこと、こんなしつこく構ってやるのかよ……?」
答えずに丁寧に指を動かし続ける彼に首を竦め、上下とも唾液塗れになった唇まで弱々しげに震わせ、本音をポロリ。
「ずりぃ……」
志摩の指姦がピタリと止まった。
「お前に選ばれた奴ら……うらやまし……」
そっぽを向いた岬の目尻からこめかみへ、とうとう氾濫して零れ落ちていった涙。
慌てた本人が拭うよりも先に志摩が唇で掬い取った。
互いの顔が今までにない至近距離に近づいて吊り目を見開かせた岬に淡々と言う。
「いちいち可愛い奴」
一瞬で逆上して言い返そうとしたヤンキー淫魔であったが。
志摩にそのままキスされて見事にかたまった。
唇の純潔を不意討ちで奪われて驚いている暇もなかった。
さも当然といった風に口内に滑り込んできた志摩の舌先。
溜め込まれていた微熱をそっと撹拌し、突然の訪問に動揺している岬の舌に擦り寄り、絡みついてきた。
「ん、ぶ」
唇の狭間でクチュ……と水音が立つ。
顔を斜めに傾けた志摩から食まれるようなキスをされた。
「んっ……ン……ぅ……っ」
おっかなびっくり岬も絡ませれば、さらにかぶりつかれて、舌の付け根辺りを舐め擽られた。
「っ……は……っ……っ……」
……やべぇ。
……口んなか、蕩(とろ)ける。
それに志摩の指が……俺のアソコでずっと微弱に動いてて……なんかすげぇゾクゾクする……。
岬は志摩相手の初キスに夢中になった。
指と指もしっかり絡ませて手を繋ぎ、宣言通り、自分の全てを彼に捧げたくなった……。
「っ、そこ、やばぃ……っ」
止め処ない愛液に溺れた淫唇を爪弾かれて思わず唇を離し、弱音を吐けば、志摩にまた「可愛い」と真顔で言われて。
もう逆上する余地もない岬は。
大好きなクラスメートに希う。
「……俺がお前の専属セフレになるから、もう、他のセフレと会うんじゃねぇよ……」
志摩は満遍なく潤んだ吊り目を覗き込んだ。
「岬がいつでも俺の相手してくれるの」
びしょ濡れの肉芽をそっと摘ままれ、軽い電流でも流されたみたいに上下に跳ねた岬の腰。
「ぅっ、ぅっ、ぅっ……する……っ」
「一度に何回も? 連続で相手してくれる?」
「っ……する……だ……だから……」
「だから? なに?」
クリトリスの表面を中指の腹で器用にコスコスとしごかれ、微痙攣が止まらない厚腰を空中で浮かせっぱなしにして、岬は。
「……志摩の髪、触らせろ……」
思い切って告げた。
告げられた志摩は思わず喉を波打たせた。
まるで極上の獲物を前にして空腹が頂点を迎えたケダモノみたいに。
「……あ」
握っていた岬の手を自分の頭へ導き、褐色の指を黒髪に潜らせた。
「いいよ、ほら、好きなだけ触って」
癖のないサラサラした手触り。
岬は改めて頬を紅潮させる。
「もっと触って、お前の好きにして」
そう言って、志摩は欲望を煽ってやまない唇にまた深々と口づけた。
「俺も。俺の何もかも、岬にあげる」
「セフレにはしないよ」
外で騒々しく奏でられる雨音と雷鳴。
厚手のカーテンを開け放した薄暗い部屋ではクーラーの冷気と二人の熱がせめぎ合っていた。
「……役不足ってことかよ……」
そんなことを強気に吐き捨てながらも岬の吊り目は釘づけになっていた。
腕捲りした長袖シャツをはだけさせ、他には何も身に着けていない志摩のソレに。
……無駄にでけぇ。
……無駄に勃ってる。
「そ、そんななってるくせ、役不足って、テメェは何様だ」
満遍なく火照る体に半袖シャツとくるぶし丈のアンクルソックスを引っ掛けた岬は、ベッドで上下に向かい合った志摩に文句をブン投げる。
「俺がインサバスで珍しい体してっから……一回お試しみたいなノリかよ……」
「岬って見かけによらずネガティブ思考だよな」
セフレ申請を却下され、内心、逃げ道に迷って途方に暮れていた岬は仏頂面と化した。
が、不意に腰を落としてきた志摩にギクリとした。
経験値豊かなインキュバス筋のペニス。
くっきりと段差のついたカリ首、力強く熟れ育った頂きに淫唇をヤラシクなぞられた。
「な、なんだよ、セフレでもねぇのにヤんのかよ……セフレ以下の奴隷にでもするつもりか、テメェは……」
……セフレ以下の奴隷、か。
……目も当てられねぇよな、そんなモン。
……でも、それでも、志摩に必要とされるのなら。
「インサバスじゃなくても、同じ淫魔筋じゃなくても、好きになるよ」
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