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決戦
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巳の下刻(午前十時)になり、突然仏教軍の陣から人の声が波のように湧き上がった。
最初は中央から起こった声がやがて全軍に広がった。風に乗って神軍連合に響く声。
オンベイシラマンダヤソワカ、オンベイシラマンダヤソワカ、オンベイシラマンダヤソワカ、オンベイシラマンダヤソワカ……
毘沙門天の真言だった。仏教軍の陣が全体で前に出てきた。
「いよいよ来たな……」
信濃国巫女、諏訪凛香が呟いた。
オンベイシラマンダヤソワカ、オンベイシラマンダヤソワカ、オンベイシラマンダヤソワカ、オンベイシラマンダヤソワカ……
無数の「毘」の文字が書かれた旗印とともに、真言もより大きくなってくる。
突然、法螺貝が響きわたり、仏教軍が一気に加速した。正面からぶつかって来るとみせていた仏教軍は、左翼に陣取る尾張神軍に攻めかかった。
真言が消え、怒号と刃が交わる音が交錯する。尾張神軍の先頭が押されている。敵は中央に構える飛騨弓兵を避けているのが明らかだった。
一度は勢いに押された尾張神軍だったが、持ちこたえて徐々に仏教軍を押し戻していく。仏教軍の三分の二が尾張神軍に襲い掛かっている状態だ。
中央の美濃神軍、右翼の三河神軍の前にも仏教軍が迫っているが、衝突に至ってはいない。
その時、美濃神軍の前面に展開していた飛騨弓兵が尾張神軍とぶつかっている仏教軍の側面にまわり、大量の矢を浴びせた。中央に突出する形になった飛騨弓兵たちに、仏教軍が襲い掛かる。飛騨弓兵は矢を放ちながら仏教軍の勢いを抑えようとするが、数に劣る弓兵は、徐々に押され、戻されてしまった。
美濃神軍と三河神軍には、動きが見えない。仏教軍の一万五千あまりの兵を、一万の尾張神軍が受け止めている形になっていた。
「美濃国巫女に、加勢したい、と伝えよ!」
凛香は美濃国巫女に伝令を差し向ける。
美濃神軍と三河神軍の前にいる仏教軍はそれぞれ三千に満たない。だが、両神軍は陣形を崩すのを恐れているのか、前に出ない。
「指示があるまで持ち場を動くな、と仰せにございます!」
美濃国巫女から伝令が帰ってきた。
「なんと! このままでは尾張神軍が崩されるぞ!」
善戦していた尾張神軍だが、徐々に押されて陣が下がり始めていた。
◆
「あの毘沙門天の旗、北辰院智栄のものか?」
尾張神軍の本陣で、尾張国巫女の真清田朋絵が叫んだ。
「いかにも!」
尾張国守、織田圭介が返答する。
「京の争奪戦で相まみえた智栄か! あの時の雪辱を今果たしてみせる!」
尾張神軍は、京都の郊外で北辰院智栄の軍とぶつかっていた。尾張神軍が押していたものの、側面から鉄砲隊の集中射撃を受けて崩されていたのだ。
「美濃神軍と三河神軍はまだ交戦しておりません! 智栄の横を突いてくれればいいものを……」
織田圭介が言う。
「是非もない! 我らのみで打ち破るぞ!」
朋絵が叫ぶ。しかし徐々に陣が押されているのは明らかだった。
突然、朋絵が立ち上がった。
「尾張国巫女?」
織田圭介が訝しむ。
「我も前にでるぞ!」
「なりません! 国巫女はここで、動かず構えていただかないと! 無暗に前に出るのは危なすぎます!」
兵たちを鼓舞するために前に出ようとする朋絵を織田圭介が窘める。
国巫女が神剣とともに軍勢に加わると、その軍は神軍となる。兵たちの士気は極限まで高まり実戦で力を発揮する。国巫女は神軍にとっての象徴であり、何としても守らなければならない存在だった。
京都攻防戦の際、尾張神軍は側面から銃撃を受けて崩された。本来なら全滅もあり得る損害を受けたのだが、兵たちは何としても国巫女を守ろうと死力を尽くして戦い、尾張国巫女を守り切った。朋絵はその時に犠牲になった兵たちのためにも、眼の前の宿敵、北辰院智栄を打ち破らなければならなかった。
「馬曳けっ!」
朋絵が叫ぶ。織田圭介は朋絵の気迫に呑まれて反論できない。朋絵が白馬に跨った。
「皆の者、前へ出るぞ! 命がけで尾張国巫女をお守りするのだ!」
織田圭介は尾張国巫女と共に陣を押し上げる覚悟を決めて、本陣の兵たちに指示を出した。
◆
「尾張国巫女が動きましてございます!」
信濃神軍の本陣で、信濃国守の牧野信義が叫んだ。尾張神軍の中央にある真清田神社の神紋の旗がゆっくりと前に出ていた。
「尾張国巫女、本気で勝ちに行っておるな!」
凛香の胸が熱くなる。一方で中央の美濃神軍と右翼の三河神軍は仏教軍と対峙しているだけで動きがない。
「今こそ押し出す時ではないか! 美濃国巫女はなにをしておる!」
美濃国守の斎藤文義なら、敵に仕掛ける好機だとわかるはずだ。当然、美濃国巫女に上申しているはずだ。それでも動かないということは、それが美濃国巫女の意思だということだ。
押され気味だった尾張神軍だったが、朋絵が前に出たことで兵の勢いがつき、徐々に仏教軍を押し返し始めた。
「信濃国守、陣を頼む!」
凛香は神馬に乗り、駆け出して行った。
「ああっ、信濃国巫女!」
凛香は美濃国巫女の本陣に向かって行った。
◆
「美濃国巫女、今こそ押し出す好機にございます!」
美濃国神軍の本陣に乗り込んだ凛香は、床几に座る静女の前で叫んだ。
「信濃国巫女、馬上から失礼であろう! なぜ陣を離れてここにおる!」
静女が一喝する。だが凛香は静女の瞳の色に怯えの色を読み取った。
「今、尾張国巫女が仏教軍の攻めをひとりで受けております! ここで押し出さなければ、仏教軍が勢いづいてしまうことは必至!」
「わかっておる! だが今は動くべき時ではない!」
静女は恐れているのだ。凛香の注進を無視して仏教軍の関ケ原への布陣を許してしまった。兵の数では神軍連合が有利とはいえ、真正面からぶつかると勝敗がどちらに転ぶかわからない。静女は神軍連合を率いる筆頭国巫女としての重責に耐えかねて決断を躊躇っている。
「美濃国守。この戦況をどう見る?」
凛香は美濃神軍の実質的な指揮官である斎藤文義に尋ねた。
「尾張神軍はよく耐えておりますが……美濃国巫女の判断を待ちたいと存知ます……」
戦場では一瞬一瞬の判断が勝敗を左右する。わずかな判断の遅れが重なり状況が神軍連合に不利に傾きつつあった。実戦経験豊富な美濃国守であるならば、美濃国巫女に状況に応じた動きを進言すべきだったが、まだ国守になって年月の浅いこの男には、四十五年国巫女をしている静女に物を申す勇気が足りないようであった。
「これより我が信濃神軍は、尾張神軍に加勢する!」
凛香は踵を返した。
「待たれよ、信濃国巫女! 勝手に動くことはならん!」
背後から静女の声が追ってきたが、凛香は振り払うように馬を走らせた。
◆
「尾張の小娘が出張ってきおったな」
仏教軍の総大将、北辰院智栄が本陣から戦況を見つめている。
「京都攻防戦の際は、あの小娘にしてやられた……」
智栄の軍は尾張神軍に押されて崩される直前だった。鉄砲隊が側面から尾張神軍を襲ったことで事無きを得たが、それがなければ智栄の命も危ない所だった。関ケ原で対峙した神軍連合の中に真清田神社の神紋を見つけた時、攻撃の指示を尾張神軍に向けたのは他ならぬ智栄だった。
「よし。このまま我も押し出して尾張の奴らを踏みつぶしてしまうのだ!」
智栄も本陣を押し出した。
◆
「智栄が前に出ております!」
敵味方の怒号と刃の当たる音が響いてくるところまで前進した朋絵に報せが届いた。
ひときわ大きな毘沙門天の旗が近づいてくる。
オンベイシラマンダヤソワカ、オンベイシラマンダヤソワカ、オンベイシラマンダヤソワカ……
不気味な真言が地を這って朋絵の耳に届く。正面からぶつかり合う尾張神軍と智栄の僧兵たちは死闘となってお互いの兵の屍が積み上がって行った。
真言に気を取られている隙に、左翼のさらに外側から騎馬僧兵の一群が尾張神軍の横から襲い掛かった。
均衡を保っていた戦況がここで崩れる。尾張兵が意表を突かれた側面攻撃で陣形が崩された。そこに正面から押してきた智栄の旗本が勢いづいて尾張の陣を破った。
「ええい! 支えるのだ! 支えろ!」
朋絵の叫びも虚しく、尾張の陣は崩されてしまった。
「尾張国巫女、このままでは御身が危のうございます! お引きください!」
織田圭介が叫んだ。
「我が兵を残して引くわけにはいかん! 智栄と刺し違えてやる!」
朋絵の眼には涙が浮かんでいる。京都攻防戦の時、多くの兵が朋絵を守るために命を落とした。彼らの死を無駄にはしないと決意して関ケ原に望んだ朋絵は撤退するわけにはいかなかったのだ。
突然仏教軍の矢の雨が朋絵の本陣に降り注いだ。
「危ない!」
側近の巫女兵たちが朋絵に覆いかぶさる。矢が巫女兵たちに刺さり、三人が絶命した。
「尾張国巫女、御免!」
織田圭介は朋絵を抱きかかえると、強引に馬の方へ引きずっていった。尾張国守としてはこれ以上尾張国巫女を危険にさらすわけにはいかない。
「はなせ、尾張国守!」
朋絵は織田圭介から逃れようと身を捩った。
その時、本陣の横を白馬に乗った巫女が走り去った。その後を騎馬巫女と騎馬兵たちが次々と続く。
「あれは……信濃国巫女?」
▼
朋絵が凛香の姿を見る少し前……
「神剣を持て!」
美濃国巫女の本陣から戻った凛香が叫ぶ。配下の巫女兵が恭しく神剣を凛香に渡した。
「美濃国巫女から下知が出たのでございますか?」
牧野信義が尋ねる。
「あれは、動かん! 我ら独自で尾張神軍に加勢いたす!」
牧野信義は身震いした。神軍の象徴としての国巫女が自ら神剣を持って突撃しようとしている。木曾川の渡しまで自ら先頭を切って参陣した凛香の行動力に一目置いていた信義だったが、戦場で先陣を切ろうという国巫女は前代未聞であった。
「いくぞ! 我に続け!」
神剣を鞘から抜いて、凛香は叫ぶと同時に駆けだした。
「お待ちください! 信濃国巫女!」
信義も慌てて騎乗して凛香を追う。騎馬巫女と騎馬兵がばらばらに凛香に続いて行った。
神剣を煌かせ走る凛香の神馬を追いながら、信義は胸が異様に昂るのを感じていた。
◆
突然現れた信濃神軍に側面を突かれた智栄の仏教軍は動揺する。尾張軍を圧倒して前のめりになっていたところを突かれ、陣形が崩れた。
先頭を走る神剣をかざした凛香の姿に圧され、仏教軍の動きが止まる。そこに凛香に従った騎馬巫女が次々と仏教兵を切り裂いていく。凛香は真っ直ぐに毘沙門天の旗を目指した。戦況を客観的に見れば、凛香の信濃神軍は智栄の陣に深く入り込み過ぎていた。仏教軍が冷静に判断できれば、信濃神軍を包囲することができるのだが、勢いに押されて仏教兵は逃げ惑う有様だった。
「何だ? あれはどこの巫女だ?」
突然現れて陣を崩してきた新手に戸惑う智栄。
「あれは、信濃国巫女、諏訪凛香にございます!」
「諏訪……凛香!」
智栄は夜襲で護国坊玄真を討ち取った国巫女のことを胸に刻んでいた。
「我らの鉄砲を奪った信濃国巫女か! 返り討ちにしてやるわ!」
◆
「信濃国巫女を、お守りいたせ!」
牧野信義は馬を走らせながら叫ぶ。依然として先頭を走る凛香に誰も追い付けない。勢いに気圧された仏教兵が道を開ける。そこに凛香を追った巫女兵が槍を振り、仏教兵を打ち倒していく。
信義も近づいてくる騎馬僧兵を槍で貫きながら、凛香を追う。本来なら信濃神軍全体の状態を把握して指揮しなければならない国守としての自分が、突撃の先頭付近を走っている。一万もの信濃兵が付いてきていることはわかっていた。だが、組織的な動きは全くなく、勢いだけの突撃だった。今までの戦では有り得なかった状態だが、信義はそれに異様に興奮している自分に気づいていた。
国巫女になったばかりで、実戦の経験もない十七歳の少女が戦場でこれだけの大胆な働きを見せていることに信義は驚く。恐らく凛香の天性のものだろう。仏教徒を日本から追い落とすために、神が遣わした巫女に違いない、と信義は僧兵たちと刃を交えながら思った。
凛香の進む先に、大量の矢が打ち込まれていることに信義は気づく。信濃神軍に呼応して、飛騨弓兵が前に出たのだ。毘沙門天の大旗が近づいてくる。敵の総大将、北辰院智栄がそこにいるのだ。凛香が目指すのは智栄の首だけなのは明らかだった。常識を破る速度での突撃に、仏教軍は崩れかけていた。
◆
「北辰院様! 危のうございます! ここは一旦お引きくだされ!」
智栄の軍師が叫ぶ。信濃神軍の勢いに前衛が崩され、諏訪神社の神紋の旗が近くに迫っていた。
「後一歩で尾張の小娘を崩せたものを! 信濃の巫女を止めるのだ!」
智栄が叫ぶ横を恐慌状態の兵が後ろへと逃げていく。本陣に構える旗本にも動揺が伝染していた。軍師の指示で智栄の本陣の前に槍衾が敷かれた。智栄の視界に白い神馬に乗った巫女の姿が映る。
「あれが、信濃の巫女か!」
神剣をかざし突き進む凛香を見て、槍兵たちに動揺が走る。一斉に突き出された槍先を避け、凛香の神馬が前脚を上げて嘶いた。その横を騎馬巫女がすり抜け、槍先を薙いで槍衾をくぐる。次々と襲い掛かる騎馬巫女と信濃騎馬兵があっという間に槍衾を崩した。
凛香が神剣を真上にかざしながら、智栄を視線で射貫いた。
「くっ……」
次々と崩されていく旗本を見て、智栄は歯嚙みする。そこに槍兵たちをすり抜けた一人の騎馬巫女が現れた。
「北辰院智栄殿とお見受けした! 我は信濃国戦巫女頭、新海未菜なり!」
智栄が槍を取る。
「北辰院様! 相手をしてはいけません!」
軍師が慌てて智栄の前に出る。側近の兵が集団で未菜の前に立ちはだかり槍で突きかけた。未菜は下がりながら槍を払う。
「北辰院、勝負いたせ!」
未菜は叫ぶが、次々と智栄の前に兵が集まり、近づくことができない。
「北辰院様、まずは引いて体勢を整えるのです! こんな気違い女どもを相手にしてはなりません!」
「申し上げます! 美濃、三河の軍が前に出てきております!」
背後から伝令が叫ぶ。智栄は勝負の流れが変わったことを悟った。
◆
「信濃国巫女が智栄の陣を崩しております!」
尾張国守の斎藤文義が叫んだ。独断で尾張神軍の支援に向かった凛香が勢いだけで敵陣深くに入り込んでいた。
「申し上げます!飛騨神軍、三河神軍、打ってでました!」
美濃国巫女の南宮静女は、歯ぎしりした。誰も彼もが静女の指示に従わない。もっとも何も具体的な指示を静女はしていなかったのだが。
「ここで打って出れば、お味方の勝利でございます! ご下知を!」
斎藤文義が叫ぶ。静女は唇を噛みながら腕をゆっくりと上げ、前に振り下ろした。
最初は中央から起こった声がやがて全軍に広がった。風に乗って神軍連合に響く声。
オンベイシラマンダヤソワカ、オンベイシラマンダヤソワカ、オンベイシラマンダヤソワカ、オンベイシラマンダヤソワカ……
毘沙門天の真言だった。仏教軍の陣が全体で前に出てきた。
「いよいよ来たな……」
信濃国巫女、諏訪凛香が呟いた。
オンベイシラマンダヤソワカ、オンベイシラマンダヤソワカ、オンベイシラマンダヤソワカ、オンベイシラマンダヤソワカ……
無数の「毘」の文字が書かれた旗印とともに、真言もより大きくなってくる。
突然、法螺貝が響きわたり、仏教軍が一気に加速した。正面からぶつかって来るとみせていた仏教軍は、左翼に陣取る尾張神軍に攻めかかった。
真言が消え、怒号と刃が交わる音が交錯する。尾張神軍の先頭が押されている。敵は中央に構える飛騨弓兵を避けているのが明らかだった。
一度は勢いに押された尾張神軍だったが、持ちこたえて徐々に仏教軍を押し戻していく。仏教軍の三分の二が尾張神軍に襲い掛かっている状態だ。
中央の美濃神軍、右翼の三河神軍の前にも仏教軍が迫っているが、衝突に至ってはいない。
その時、美濃神軍の前面に展開していた飛騨弓兵が尾張神軍とぶつかっている仏教軍の側面にまわり、大量の矢を浴びせた。中央に突出する形になった飛騨弓兵たちに、仏教軍が襲い掛かる。飛騨弓兵は矢を放ちながら仏教軍の勢いを抑えようとするが、数に劣る弓兵は、徐々に押され、戻されてしまった。
美濃神軍と三河神軍には、動きが見えない。仏教軍の一万五千あまりの兵を、一万の尾張神軍が受け止めている形になっていた。
「美濃国巫女に、加勢したい、と伝えよ!」
凛香は美濃国巫女に伝令を差し向ける。
美濃神軍と三河神軍の前にいる仏教軍はそれぞれ三千に満たない。だが、両神軍は陣形を崩すのを恐れているのか、前に出ない。
「指示があるまで持ち場を動くな、と仰せにございます!」
美濃国巫女から伝令が帰ってきた。
「なんと! このままでは尾張神軍が崩されるぞ!」
善戦していた尾張神軍だが、徐々に押されて陣が下がり始めていた。
◆
「あの毘沙門天の旗、北辰院智栄のものか?」
尾張神軍の本陣で、尾張国巫女の真清田朋絵が叫んだ。
「いかにも!」
尾張国守、織田圭介が返答する。
「京の争奪戦で相まみえた智栄か! あの時の雪辱を今果たしてみせる!」
尾張神軍は、京都の郊外で北辰院智栄の軍とぶつかっていた。尾張神軍が押していたものの、側面から鉄砲隊の集中射撃を受けて崩されていたのだ。
「美濃神軍と三河神軍はまだ交戦しておりません! 智栄の横を突いてくれればいいものを……」
織田圭介が言う。
「是非もない! 我らのみで打ち破るぞ!」
朋絵が叫ぶ。しかし徐々に陣が押されているのは明らかだった。
突然、朋絵が立ち上がった。
「尾張国巫女?」
織田圭介が訝しむ。
「我も前にでるぞ!」
「なりません! 国巫女はここで、動かず構えていただかないと! 無暗に前に出るのは危なすぎます!」
兵たちを鼓舞するために前に出ようとする朋絵を織田圭介が窘める。
国巫女が神剣とともに軍勢に加わると、その軍は神軍となる。兵たちの士気は極限まで高まり実戦で力を発揮する。国巫女は神軍にとっての象徴であり、何としても守らなければならない存在だった。
京都攻防戦の際、尾張神軍は側面から銃撃を受けて崩された。本来なら全滅もあり得る損害を受けたのだが、兵たちは何としても国巫女を守ろうと死力を尽くして戦い、尾張国巫女を守り切った。朋絵はその時に犠牲になった兵たちのためにも、眼の前の宿敵、北辰院智栄を打ち破らなければならなかった。
「馬曳けっ!」
朋絵が叫ぶ。織田圭介は朋絵の気迫に呑まれて反論できない。朋絵が白馬に跨った。
「皆の者、前へ出るぞ! 命がけで尾張国巫女をお守りするのだ!」
織田圭介は尾張国巫女と共に陣を押し上げる覚悟を決めて、本陣の兵たちに指示を出した。
◆
「尾張国巫女が動きましてございます!」
信濃神軍の本陣で、信濃国守の牧野信義が叫んだ。尾張神軍の中央にある真清田神社の神紋の旗がゆっくりと前に出ていた。
「尾張国巫女、本気で勝ちに行っておるな!」
凛香の胸が熱くなる。一方で中央の美濃神軍と右翼の三河神軍は仏教軍と対峙しているだけで動きがない。
「今こそ押し出す時ではないか! 美濃国巫女はなにをしておる!」
美濃国守の斎藤文義なら、敵に仕掛ける好機だとわかるはずだ。当然、美濃国巫女に上申しているはずだ。それでも動かないということは、それが美濃国巫女の意思だということだ。
押され気味だった尾張神軍だったが、朋絵が前に出たことで兵の勢いがつき、徐々に仏教軍を押し返し始めた。
「信濃国守、陣を頼む!」
凛香は神馬に乗り、駆け出して行った。
「ああっ、信濃国巫女!」
凛香は美濃国巫女の本陣に向かって行った。
◆
「美濃国巫女、今こそ押し出す好機にございます!」
美濃国神軍の本陣に乗り込んだ凛香は、床几に座る静女の前で叫んだ。
「信濃国巫女、馬上から失礼であろう! なぜ陣を離れてここにおる!」
静女が一喝する。だが凛香は静女の瞳の色に怯えの色を読み取った。
「今、尾張国巫女が仏教軍の攻めをひとりで受けております! ここで押し出さなければ、仏教軍が勢いづいてしまうことは必至!」
「わかっておる! だが今は動くべき時ではない!」
静女は恐れているのだ。凛香の注進を無視して仏教軍の関ケ原への布陣を許してしまった。兵の数では神軍連合が有利とはいえ、真正面からぶつかると勝敗がどちらに転ぶかわからない。静女は神軍連合を率いる筆頭国巫女としての重責に耐えかねて決断を躊躇っている。
「美濃国守。この戦況をどう見る?」
凛香は美濃神軍の実質的な指揮官である斎藤文義に尋ねた。
「尾張神軍はよく耐えておりますが……美濃国巫女の判断を待ちたいと存知ます……」
戦場では一瞬一瞬の判断が勝敗を左右する。わずかな判断の遅れが重なり状況が神軍連合に不利に傾きつつあった。実戦経験豊富な美濃国守であるならば、美濃国巫女に状況に応じた動きを進言すべきだったが、まだ国守になって年月の浅いこの男には、四十五年国巫女をしている静女に物を申す勇気が足りないようであった。
「これより我が信濃神軍は、尾張神軍に加勢する!」
凛香は踵を返した。
「待たれよ、信濃国巫女! 勝手に動くことはならん!」
背後から静女の声が追ってきたが、凛香は振り払うように馬を走らせた。
◆
「尾張の小娘が出張ってきおったな」
仏教軍の総大将、北辰院智栄が本陣から戦況を見つめている。
「京都攻防戦の際は、あの小娘にしてやられた……」
智栄の軍は尾張神軍に押されて崩される直前だった。鉄砲隊が側面から尾張神軍を襲ったことで事無きを得たが、それがなければ智栄の命も危ない所だった。関ケ原で対峙した神軍連合の中に真清田神社の神紋を見つけた時、攻撃の指示を尾張神軍に向けたのは他ならぬ智栄だった。
「よし。このまま我も押し出して尾張の奴らを踏みつぶしてしまうのだ!」
智栄も本陣を押し出した。
◆
「智栄が前に出ております!」
敵味方の怒号と刃の当たる音が響いてくるところまで前進した朋絵に報せが届いた。
ひときわ大きな毘沙門天の旗が近づいてくる。
オンベイシラマンダヤソワカ、オンベイシラマンダヤソワカ、オンベイシラマンダヤソワカ……
不気味な真言が地を這って朋絵の耳に届く。正面からぶつかり合う尾張神軍と智栄の僧兵たちは死闘となってお互いの兵の屍が積み上がって行った。
真言に気を取られている隙に、左翼のさらに外側から騎馬僧兵の一群が尾張神軍の横から襲い掛かった。
均衡を保っていた戦況がここで崩れる。尾張兵が意表を突かれた側面攻撃で陣形が崩された。そこに正面から押してきた智栄の旗本が勢いづいて尾張の陣を破った。
「ええい! 支えるのだ! 支えろ!」
朋絵の叫びも虚しく、尾張の陣は崩されてしまった。
「尾張国巫女、このままでは御身が危のうございます! お引きください!」
織田圭介が叫んだ。
「我が兵を残して引くわけにはいかん! 智栄と刺し違えてやる!」
朋絵の眼には涙が浮かんでいる。京都攻防戦の時、多くの兵が朋絵を守るために命を落とした。彼らの死を無駄にはしないと決意して関ケ原に望んだ朋絵は撤退するわけにはいかなかったのだ。
突然仏教軍の矢の雨が朋絵の本陣に降り注いだ。
「危ない!」
側近の巫女兵たちが朋絵に覆いかぶさる。矢が巫女兵たちに刺さり、三人が絶命した。
「尾張国巫女、御免!」
織田圭介は朋絵を抱きかかえると、強引に馬の方へ引きずっていった。尾張国守としてはこれ以上尾張国巫女を危険にさらすわけにはいかない。
「はなせ、尾張国守!」
朋絵は織田圭介から逃れようと身を捩った。
その時、本陣の横を白馬に乗った巫女が走り去った。その後を騎馬巫女と騎馬兵たちが次々と続く。
「あれは……信濃国巫女?」
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朋絵が凛香の姿を見る少し前……
「神剣を持て!」
美濃国巫女の本陣から戻った凛香が叫ぶ。配下の巫女兵が恭しく神剣を凛香に渡した。
「美濃国巫女から下知が出たのでございますか?」
牧野信義が尋ねる。
「あれは、動かん! 我ら独自で尾張神軍に加勢いたす!」
牧野信義は身震いした。神軍の象徴としての国巫女が自ら神剣を持って突撃しようとしている。木曾川の渡しまで自ら先頭を切って参陣した凛香の行動力に一目置いていた信義だったが、戦場で先陣を切ろうという国巫女は前代未聞であった。
「いくぞ! 我に続け!」
神剣を鞘から抜いて、凛香は叫ぶと同時に駆けだした。
「お待ちください! 信濃国巫女!」
信義も慌てて騎乗して凛香を追う。騎馬巫女と騎馬兵がばらばらに凛香に続いて行った。
神剣を煌かせ走る凛香の神馬を追いながら、信義は胸が異様に昂るのを感じていた。
◆
突然現れた信濃神軍に側面を突かれた智栄の仏教軍は動揺する。尾張軍を圧倒して前のめりになっていたところを突かれ、陣形が崩れた。
先頭を走る神剣をかざした凛香の姿に圧され、仏教軍の動きが止まる。そこに凛香に従った騎馬巫女が次々と仏教兵を切り裂いていく。凛香は真っ直ぐに毘沙門天の旗を目指した。戦況を客観的に見れば、凛香の信濃神軍は智栄の陣に深く入り込み過ぎていた。仏教軍が冷静に判断できれば、信濃神軍を包囲することができるのだが、勢いに押されて仏教兵は逃げ惑う有様だった。
「何だ? あれはどこの巫女だ?」
突然現れて陣を崩してきた新手に戸惑う智栄。
「あれは、信濃国巫女、諏訪凛香にございます!」
「諏訪……凛香!」
智栄は夜襲で護国坊玄真を討ち取った国巫女のことを胸に刻んでいた。
「我らの鉄砲を奪った信濃国巫女か! 返り討ちにしてやるわ!」
◆
「信濃国巫女を、お守りいたせ!」
牧野信義は馬を走らせながら叫ぶ。依然として先頭を走る凛香に誰も追い付けない。勢いに気圧された仏教兵が道を開ける。そこに凛香を追った巫女兵が槍を振り、仏教兵を打ち倒していく。
信義も近づいてくる騎馬僧兵を槍で貫きながら、凛香を追う。本来なら信濃神軍全体の状態を把握して指揮しなければならない国守としての自分が、突撃の先頭付近を走っている。一万もの信濃兵が付いてきていることはわかっていた。だが、組織的な動きは全くなく、勢いだけの突撃だった。今までの戦では有り得なかった状態だが、信義はそれに異様に興奮している自分に気づいていた。
国巫女になったばかりで、実戦の経験もない十七歳の少女が戦場でこれだけの大胆な働きを見せていることに信義は驚く。恐らく凛香の天性のものだろう。仏教徒を日本から追い落とすために、神が遣わした巫女に違いない、と信義は僧兵たちと刃を交えながら思った。
凛香の進む先に、大量の矢が打ち込まれていることに信義は気づく。信濃神軍に呼応して、飛騨弓兵が前に出たのだ。毘沙門天の大旗が近づいてくる。敵の総大将、北辰院智栄がそこにいるのだ。凛香が目指すのは智栄の首だけなのは明らかだった。常識を破る速度での突撃に、仏教軍は崩れかけていた。
◆
「北辰院様! 危のうございます! ここは一旦お引きくだされ!」
智栄の軍師が叫ぶ。信濃神軍の勢いに前衛が崩され、諏訪神社の神紋の旗が近くに迫っていた。
「後一歩で尾張の小娘を崩せたものを! 信濃の巫女を止めるのだ!」
智栄が叫ぶ横を恐慌状態の兵が後ろへと逃げていく。本陣に構える旗本にも動揺が伝染していた。軍師の指示で智栄の本陣の前に槍衾が敷かれた。智栄の視界に白い神馬に乗った巫女の姿が映る。
「あれが、信濃の巫女か!」
神剣をかざし突き進む凛香を見て、槍兵たちに動揺が走る。一斉に突き出された槍先を避け、凛香の神馬が前脚を上げて嘶いた。その横を騎馬巫女がすり抜け、槍先を薙いで槍衾をくぐる。次々と襲い掛かる騎馬巫女と信濃騎馬兵があっという間に槍衾を崩した。
凛香が神剣を真上にかざしながら、智栄を視線で射貫いた。
「くっ……」
次々と崩されていく旗本を見て、智栄は歯嚙みする。そこに槍兵たちをすり抜けた一人の騎馬巫女が現れた。
「北辰院智栄殿とお見受けした! 我は信濃国戦巫女頭、新海未菜なり!」
智栄が槍を取る。
「北辰院様! 相手をしてはいけません!」
軍師が慌てて智栄の前に出る。側近の兵が集団で未菜の前に立ちはだかり槍で突きかけた。未菜は下がりながら槍を払う。
「北辰院、勝負いたせ!」
未菜は叫ぶが、次々と智栄の前に兵が集まり、近づくことができない。
「北辰院様、まずは引いて体勢を整えるのです! こんな気違い女どもを相手にしてはなりません!」
「申し上げます! 美濃、三河の軍が前に出てきております!」
背後から伝令が叫ぶ。智栄は勝負の流れが変わったことを悟った。
◆
「信濃国巫女が智栄の陣を崩しております!」
尾張国守の斎藤文義が叫んだ。独断で尾張神軍の支援に向かった凛香が勢いだけで敵陣深くに入り込んでいた。
「申し上げます!飛騨神軍、三河神軍、打ってでました!」
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斎藤文義が叫ぶ。静女は唇を噛みながら腕をゆっくりと上げ、前に振り下ろした。
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