5 / 12
5
しおりを挟む
地下牢はひんやりとした感覚はあるのに、何処か夢のようにぼんやりとしていた。
薄暗く窓のない空間で、ミオは投げ込まれたまま転がっていた。
いつの間にか双子や騎士達に暴行を受けたのか、身体が全く動かない。
(なぜ、何かの間違いだ)
マミヤ姫の手前、平民と親しくしていると思われたくなかったのだろうか。
このまま会う事は叶わないのか。
コツ、コツと響く靴音にミオは身体を持ち上げた。ずるずると痛む身体を動かして這って動く。
「エドワルド様?!」
現れたのはエドワルドとアーヴェントだった。エドワルドは恐ろしい程の無表情だ。
アーヴェントの視線はどこか不安げに揺れている。
「ミオ…国王陛下からミオに処刑令が出ました」
「処刑?!そんなの嘘だ!!どういう事です!エドワルド様!」
鉄格子を思わず叩きつけてミオは叫ぶ。
「貴方は王家の事を良く知っています。追放する訳にもいかないのです」
アーヴェントの悲痛な顔に嘘ではないんだと悟る。
「そんな」
結婚しようとも、そばで仕えられると思っていた。
「処刑するなら、なぜ、拾ったのですか?!あの日名前すら無かった僕に、名前まで与えてっ」
ミオは狂ったように、泣きじゃくる。不気味だと言われた金の瞳は煌めき、いつの間にか牢にいるアーヴェントを見つめる。
「名前?なるほど…」
その言葉に反応したのはアーヴェントだけだった。先程からエドワルドは何も言わずにいた。
アーヴェントは檻に入り泣き崩れるミオの背を撫でる。
「可哀想なミオ、私なら貴方を逃す事が出来ます。誰も貴方を悲しませる事の無い世界へ」
「本当…?」
ミオはアーヴェントを見つめる。彼はまるで慈悲深い天使のようだった。
「はい、そこには貴方を本当に愛してくれる家族がいます」
「かぞく」
そんな世界があるのだろうか、生みの親は名前も付けずに赤子を置き去りにした。
ミオと名前をつけてくれたエドワルドは邪魔な自分を処刑しようとしている。
「一緒に行きますか?」
いつしか地下牢にはアーヴェントと自分だけになっていた。
ミオはこくりと頷く。
「同意ですね?」
アーヴェントはミオを優しく抱きしめる。
「はぁぁ、長かった。かわいいミオ!貴方に新しい名前を授けます」
何の事だろう? アーヴェントを見上げるとそこにはぞっとする程美しい真紅の瞳があった。
「な、名前いらないっ、ぼくは…!」
ミオはアーヴェントの腕の中で暴れる。
「お前の名はロート」
真紅の瞳で命じるように告げられたミオは、絶対的な力を前に身体の震えを止められない。
「がっ、あぁああああ!やっぱりお前は悪魔だったんだな?! たすけてっ、エドワルドさまっ、ぼく」
焼け付く様な頭痛がミオを襲う。エドワルドはもうどこにもいない。
「エドワルドさまぁああ!」
ミオの叫びはアーヴェントの口づけで塞がれた。
どれくらい長く口づけていたであろうか、ミオの腕がパタリと抵抗をやめた。
「落ち着きましたか?ロート」
アーヴェントは微笑む。それは人間に好まれるように計算していた貼り付けた笑みではなく、自然に溢れた慈しみのこもった笑みだ。
ロートと呼ばれた少年は虚ろな瞳で頷く。
「あぁ、やっと…! たくさん練習した甲斐がありましたね、良く頑張りました!」
アーヴェントはミオの頭を優しく撫でる。
「もっともっと気持ち良くなって、たくさん赤ちゃんを産みましょうね」
アーヴェントは天井の方を見上げて、ニコリと微笑む。
「では行きましょうか」
2人は闇に溶け込む様に静かに消えた。
薄暗く窓のない空間で、ミオは投げ込まれたまま転がっていた。
いつの間にか双子や騎士達に暴行を受けたのか、身体が全く動かない。
(なぜ、何かの間違いだ)
マミヤ姫の手前、平民と親しくしていると思われたくなかったのだろうか。
このまま会う事は叶わないのか。
コツ、コツと響く靴音にミオは身体を持ち上げた。ずるずると痛む身体を動かして這って動く。
「エドワルド様?!」
現れたのはエドワルドとアーヴェントだった。エドワルドは恐ろしい程の無表情だ。
アーヴェントの視線はどこか不安げに揺れている。
「ミオ…国王陛下からミオに処刑令が出ました」
「処刑?!そんなの嘘だ!!どういう事です!エドワルド様!」
鉄格子を思わず叩きつけてミオは叫ぶ。
「貴方は王家の事を良く知っています。追放する訳にもいかないのです」
アーヴェントの悲痛な顔に嘘ではないんだと悟る。
「そんな」
結婚しようとも、そばで仕えられると思っていた。
「処刑するなら、なぜ、拾ったのですか?!あの日名前すら無かった僕に、名前まで与えてっ」
ミオは狂ったように、泣きじゃくる。不気味だと言われた金の瞳は煌めき、いつの間にか牢にいるアーヴェントを見つめる。
「名前?なるほど…」
その言葉に反応したのはアーヴェントだけだった。先程からエドワルドは何も言わずにいた。
アーヴェントは檻に入り泣き崩れるミオの背を撫でる。
「可哀想なミオ、私なら貴方を逃す事が出来ます。誰も貴方を悲しませる事の無い世界へ」
「本当…?」
ミオはアーヴェントを見つめる。彼はまるで慈悲深い天使のようだった。
「はい、そこには貴方を本当に愛してくれる家族がいます」
「かぞく」
そんな世界があるのだろうか、生みの親は名前も付けずに赤子を置き去りにした。
ミオと名前をつけてくれたエドワルドは邪魔な自分を処刑しようとしている。
「一緒に行きますか?」
いつしか地下牢にはアーヴェントと自分だけになっていた。
ミオはこくりと頷く。
「同意ですね?」
アーヴェントはミオを優しく抱きしめる。
「はぁぁ、長かった。かわいいミオ!貴方に新しい名前を授けます」
何の事だろう? アーヴェントを見上げるとそこにはぞっとする程美しい真紅の瞳があった。
「な、名前いらないっ、ぼくは…!」
ミオはアーヴェントの腕の中で暴れる。
「お前の名はロート」
真紅の瞳で命じるように告げられたミオは、絶対的な力を前に身体の震えを止められない。
「がっ、あぁああああ!やっぱりお前は悪魔だったんだな?! たすけてっ、エドワルドさまっ、ぼく」
焼け付く様な頭痛がミオを襲う。エドワルドはもうどこにもいない。
「エドワルドさまぁああ!」
ミオの叫びはアーヴェントの口づけで塞がれた。
どれくらい長く口づけていたであろうか、ミオの腕がパタリと抵抗をやめた。
「落ち着きましたか?ロート」
アーヴェントは微笑む。それは人間に好まれるように計算していた貼り付けた笑みではなく、自然に溢れた慈しみのこもった笑みだ。
ロートと呼ばれた少年は虚ろな瞳で頷く。
「あぁ、やっと…! たくさん練習した甲斐がありましたね、良く頑張りました!」
アーヴェントはミオの頭を優しく撫でる。
「もっともっと気持ち良くなって、たくさん赤ちゃんを産みましょうね」
アーヴェントは天井の方を見上げて、ニコリと微笑む。
「では行きましょうか」
2人は闇に溶け込む様に静かに消えた。
36
あなたにおすすめの小説
遊び人殿下に嫌われている僕は、幼馴染が羨ましい。
月湖
BL
「心配だから一緒に行く!」
幼馴染の侯爵子息アディニーが遊び人と噂のある大公殿下の家に呼ばれたと知った僕はそう言ったのだが、悪い噂のある一方でとても優秀で方々に伝手を持つ彼の方の下に侍れれば将来は安泰だとも言われている大公の屋敷に初めて行くのに、招待されていない者を連れて行くのは心象が悪いとド正論で断られてしまう。
「あのね、デュオニーソスは連れて行けないの」
何度目かの呼び出しの時、アディニーは僕にそう言った。
「殿下は、今はデュオニーソスに会いたくないって」
そんな・・・昔はあんなに優しかったのに・・・。
僕、殿下に嫌われちゃったの?
実は粘着系殿下×健気系貴族子息のファンタジーBLです。
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。
これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。
無自覚両片想いの勇者×親友。
読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。
嫁さんのいる俺はハイスペ男とヤレるジムに通うけど恋愛対象は女です
ルシーアンナ
BL
会員制ハッテンバ スポーツジムでハイスペ攻め漁りする既婚受けの話。
DD×リーマン
リーマン×リーマン
Pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=23805865
ムーンライトノベルズ https://novel18.syosetu.com/n1822jz/
fujossy https://fujossy.jp/books/30691
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
神父様に捧げるセレナーデ
石月煤子
BL
「ところで、そろそろ厳重に閉じられたその足を開いてくれるか」
「足を開くのですか?」
「股開かないと始められないだろうが」
「そ、そうですね、その通りです」
「魔物狩りの報酬はお前自身、そうだろう?」
「…………」
■俺様最強旅人×健気美人♂神父■
兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?
神官、触手育成の神託を受ける
彩月野生
BL
神官ルネリクスはある時、神託を受け、密かに触手と交わり快楽を貪るようになるが、傭兵上がりの屈強な将軍アロルフに見つかり、弱味を握られてしまい、彼と肉体関係を持つようになり、苦悩と悦楽の日々を過ごすようになる。
(誤字脱字報告不要)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる