6 / 7
6話
しおりを挟む
「ごめん……」
「何で謝るの?」
謝る侑斗に近付き、顔を見つめる。
「俺は嬉しかったよ?」
「えっ?」
「だって、俺も好きだったから……」
ニコッと微笑む朝陽。
「あさ……ひ……」
言葉が詰まりそうになる。
「花火しよ?」
周りが少し暗くなり始め、朝陽は水をはったバケツを置く。
「キスされた後、よそよそしくなるんだもん……寂しかったよ」
朝陽はしゃがむとロウソクに火をつけると、蝋を垂らす。
垂らした場所にロウソクを立て、手持ち花火の穂先をちぎり、火をつける。
勢い良く炎が噴き出す。
「ごめん」
「だから、何で謝んの?」
朝陽は顔を見上げて侑斗を見つめる。
「ほら、花火しよ?終わっちゃうよ?」
朝陽に促され、侑斗も花火に火をつける。
「侑斗は今、好きな人居るんでしょ?」
「えっ……?」
驚いたように朝陽を見る侑斗。
「知ってるよ?侑斗の事ならなんでも……あ、でも、ストーカーじゃないからな!」
そう言ってふふっと笑う。
あの頃と変わらない笑顔で。
「ごめん……」
侑斗はまた謝る。
「侑斗はいつも、空見上げてたでしょ?何考えてた?」
「……朝陽の事」
「そう……ありがとう」
「逃げてごめん」
「うん」
「好きって……いえなくてごめん……言ったら朝陽から嫌われるかな?ってあの時言えなかった」
「酷いよねえ……それくらいで侑斗を嫌いになると思ってんの?」
「ごめん」
「また、謝る……侑斗って泣き虫だよね」
朝陽の手が伸びて侑斗の前髪を上げる。
「でも、その泣き顔好きだよ……可愛くて」
ふふっと笑う朝陽。
遠かった爆竹の音が近くに聞こえて来た。
「……精霊流し、来て欲しかったな」
そう言った朝陽は少し寂しそうで。
「朝陽……」
「大きな船だったんだよ?父さんとじいちゃんが頑張って作ってくれた……侑斗のおじいちゃんも手伝いに来てくれたよ」
「あさ……ひ……」
侑斗は今にも泣き出しそうな顔をしていて、きっと……我慢しているのだと朝陽にも分かっている。
「でも、メールだけはずっとくれてた……母さんがいつも泣いてた……返事はどう返して良いか分からなかったみたいだけど、携帯解約出来ないって……メール打ってる侑斗の事を考えたら出来ないって」
朝陽の手は前髪から頭へと移動して「泣き虫」と笑った。
我慢していた侑斗は大粒の涙を零していた。
「好きだよ侑斗……いつも、ポラリス見上げてくれてありがとう、本当、ポラリスになれたらいいのに……そしたら侑斗にずっと見ていて貰える」
朝陽の手が頭から離れる。それを阻止するかのよに侑斗の手が朝陽の手を掴む。
「いくな!!!」
力を振り絞って出た言葉。
「ありがとう」
ニコッと笑う朝陽はそのまま侑斗に口付けを交わす。
「もう……時間切れ……あまり、さ迷うとさ心配しちゃうじゃん?父さんや母さんが」
「いくなよお……」
「ありがとう侑斗……来てくれて」
「……5年もごめん……」
震える声で謝った。
「いいよ、まだ5年……侑斗はこらから先、何十年も生きて行くんだよ?その貴重な5年をありがとう……」
「朝陽……」
掴んでいたと思っていた朝陽の手はいつの間にか消えていて少し離れた場所に朝陽は居た。
「会いに来てくれてありがとう……ちゃんと生きろよ?幸せにならないと怒るからな?」
「だめ……」
侑斗は首を振る。
「どう生きたか……ずっと後でで良いから教えろよ?そしたら、また、一緒に花火しよ?」
「やだ……」
行くなと首を振る侑斗。
「ポラリス……いつも、侑斗の上にあるから!!忘れんな!!」
でも朝陽は、そう言ってニコッと微笑むと手を振り、目の前で消えてしまった。
「何で謝るの?」
謝る侑斗に近付き、顔を見つめる。
「俺は嬉しかったよ?」
「えっ?」
「だって、俺も好きだったから……」
ニコッと微笑む朝陽。
「あさ……ひ……」
言葉が詰まりそうになる。
「花火しよ?」
周りが少し暗くなり始め、朝陽は水をはったバケツを置く。
「キスされた後、よそよそしくなるんだもん……寂しかったよ」
朝陽はしゃがむとロウソクに火をつけると、蝋を垂らす。
垂らした場所にロウソクを立て、手持ち花火の穂先をちぎり、火をつける。
勢い良く炎が噴き出す。
「ごめん」
「だから、何で謝んの?」
朝陽は顔を見上げて侑斗を見つめる。
「ほら、花火しよ?終わっちゃうよ?」
朝陽に促され、侑斗も花火に火をつける。
「侑斗は今、好きな人居るんでしょ?」
「えっ……?」
驚いたように朝陽を見る侑斗。
「知ってるよ?侑斗の事ならなんでも……あ、でも、ストーカーじゃないからな!」
そう言ってふふっと笑う。
あの頃と変わらない笑顔で。
「ごめん……」
侑斗はまた謝る。
「侑斗はいつも、空見上げてたでしょ?何考えてた?」
「……朝陽の事」
「そう……ありがとう」
「逃げてごめん」
「うん」
「好きって……いえなくてごめん……言ったら朝陽から嫌われるかな?ってあの時言えなかった」
「酷いよねえ……それくらいで侑斗を嫌いになると思ってんの?」
「ごめん」
「また、謝る……侑斗って泣き虫だよね」
朝陽の手が伸びて侑斗の前髪を上げる。
「でも、その泣き顔好きだよ……可愛くて」
ふふっと笑う朝陽。
遠かった爆竹の音が近くに聞こえて来た。
「……精霊流し、来て欲しかったな」
そう言った朝陽は少し寂しそうで。
「朝陽……」
「大きな船だったんだよ?父さんとじいちゃんが頑張って作ってくれた……侑斗のおじいちゃんも手伝いに来てくれたよ」
「あさ……ひ……」
侑斗は今にも泣き出しそうな顔をしていて、きっと……我慢しているのだと朝陽にも分かっている。
「でも、メールだけはずっとくれてた……母さんがいつも泣いてた……返事はどう返して良いか分からなかったみたいだけど、携帯解約出来ないって……メール打ってる侑斗の事を考えたら出来ないって」
朝陽の手は前髪から頭へと移動して「泣き虫」と笑った。
我慢していた侑斗は大粒の涙を零していた。
「好きだよ侑斗……いつも、ポラリス見上げてくれてありがとう、本当、ポラリスになれたらいいのに……そしたら侑斗にずっと見ていて貰える」
朝陽の手が頭から離れる。それを阻止するかのよに侑斗の手が朝陽の手を掴む。
「いくな!!!」
力を振り絞って出た言葉。
「ありがとう」
ニコッと笑う朝陽はそのまま侑斗に口付けを交わす。
「もう……時間切れ……あまり、さ迷うとさ心配しちゃうじゃん?父さんや母さんが」
「いくなよお……」
「ありがとう侑斗……来てくれて」
「……5年もごめん……」
震える声で謝った。
「いいよ、まだ5年……侑斗はこらから先、何十年も生きて行くんだよ?その貴重な5年をありがとう……」
「朝陽……」
掴んでいたと思っていた朝陽の手はいつの間にか消えていて少し離れた場所に朝陽は居た。
「会いに来てくれてありがとう……ちゃんと生きろよ?幸せにならないと怒るからな?」
「だめ……」
侑斗は首を振る。
「どう生きたか……ずっと後でで良いから教えろよ?そしたら、また、一緒に花火しよ?」
「やだ……」
行くなと首を振る侑斗。
「ポラリス……いつも、侑斗の上にあるから!!忘れんな!!」
でも朝陽は、そう言ってニコッと微笑むと手を振り、目の前で消えてしまった。
0
あなたにおすすめの小説
happy dead end
瑞原唯子
BL
「それでも俺に一生を捧げる覚悟はあるか?」
シルヴィオは幼いころに第一王子の遊び相手として抜擢され、初めて会ったときから彼の美しさに心を奪われた。そして彼もシルヴィオだけに心を開いていた。しかし中等部に上がると、彼はとある女子生徒に興味を示すようになり——。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
目線の先には。僕の好きな人は誰を見ている?
綾波絢斗
BL
東雲桜花大学附属第一高等学園の三年生の高瀬陸(たかせりく)と一ノ瀬湊(いちのせみなと)は幼稚舎の頃からの幼馴染。
湊は陸にひそかに想いを寄せているけれど、陸はいつも違う人を見ている。
そして、陸は相手が自分に好意を寄せると途端に興味を失う。
その性格を知っている僕は自分の想いを秘めたまま陸の傍にいようとするが、陸が恋している姿を見ていることに耐えられなく陸から離れる決意をした。
幼馴染みに告白したら、次の日オレ当て馬になってたんですけど!?
曲がる定規
BL
登場人物
慎太郎 (シンタロウ)
ユキ
始 (ハジメ)
あらすじ
慎太郎とユキ、始の三人は幼馴染で、隣同士に住んでいる。
ある日、慎太郎がユキの部屋でゲームをしていると、ユキがポツリと悩みを口にした。『友達の好きと恋愛の好きって、何が違うの?』と。
密かにユキに想いを寄せていた慎太郎。ここは関係を一歩進められるチャンスだと思い、ユキに想いを告げる。
唇を近づけた慎太郎。そこに偶然やって来た始に、慎太郎は思いっきり殴られてしまう。慎太郎は何がなんだかわからないと混乱する。しかし、ユキと始に帰るよう言われ渋々帰宅した。
訳のわからないまま翌日になると、ユキと始は付き合い始めたと言われてしまう。
「この作品は『KADOKAWA×pixiv ノベル大賞2024』の「BL部門」お題イラストから着想し、創作したものです。
そちらに加筆、修正を加えています。
https://www.pixiv.net/novel/contest/kadokawapixivnovel24」
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
六年目の恋、もう一度手をつなぐ
高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。
順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。
「もう、おればっかりが好きなんやろか?」
馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。
そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。
嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き……
「そっちがその気なら、もういい!」
堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……?
倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡
陰キャ幼馴染がミスターコン代表に選ばれたので、俺が世界一イケメンにしてやります
あと
BL
「俺が!お前を生まれ変わらせる!」
自己肯定感低めの陰キャ一途攻め×世話焼きなお人好し平凡受け
いじられキャラで陰キャな攻めが数合わせでノミネートされ、2ヶ月後の大学の学園祭のミスターコンの学部代表になる。誰もが優勝するわけないと思う中、攻めの幼馴染である受けは周囲を見返すために、攻めを大幅にイメチェンさせることを決意する。そして、隠れイケメンな攻めはどんどん垢抜けていき……?
攻め:逸見悠里
受け:佐々木歩
⚠️途中でファッションの話になりますが、作者は服に詳しくないので、ダサいじゃん!とか思ってもスルーでお願いします。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる

