【R18】秘密。

かのん

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告白。③

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「これ…手術の跡?」



目の前には自分と同じ手術の跡がある胸が見えてきた。



「そう…琴音もあるよね。」



胸の傷がコンプレックスだった。



だけどこの人になら



一緒の傷があるこの人になら



私のこの傷の苦しみもわかってくれる気がする…



「あ…」



和也が琴音が抑えている腕を払いのけて上の服を脱がせた。




脱がしてもまた胸元を隠す琴音の手を握って自分の胸の傷の上に手を置いてみる。



同じ傷だけど



男と女じゃ傷の意味が違うだろう



患者さんでも女性は傷を気にする人が多い



琴音もその一人――



だけど琴音には悪いけど



俺は同じ傷があって



少しは琴音に近づけた気がして嬉しい――



ねぇ、あなたも手術を受けたの?



私たちにはお互い知らないことだらけ…



この傷跡は閉じているけど



私はあなたの心の中を覗いてみたい――



「…ッ」



指先で傷跡をなぞっていると、和也も琴音と同じく指先で傷跡をなぞってくる。



指の動きを止めると和也も動きを止める。



言葉はなくても



この傷も、今お互いに思っている気持ちも一緒ってことだよね?











目の前にいるあなたが好き――










目と目が合ってベッドに倒れていく瞬間



確かに一緒に堕ちていくのを感じた



だけどそれは天国でも地獄でもなくて



快楽の楽園――




「…ッ」



傷跡からどんどん下へ和也は舌を移動させる。



「あッ…そんなとこヤダ…拓也せッ――ンッ――」



今は拓也の名前なんか聞きたくもない



でも今は口を塞ぐことはできないから琴音の口に自分の指をいれて、名前を言わないようにさせるしかない――



ぷっくりと膨らんだところに舌を這わせると琴音の歯が俺の指を噛んでくる



「イッ――」



痛いけど琴音が気持ちがいいのが伝わってくるし



俺から拓也への罪悪感が薄らぐ気がした



「ンッ――」



口の中でも下でもあなたの指や舌でかき回されておかしくなりそう――



「ふぁッ――」



誰にもこの体を見られたくなかったのに



私よりもじっくりと全身をあなたに見られている――



あの満月の日に会ったときの冷たくもどこか愛しい目で…



それだけで胸が締め付けられるのあなたは知ってる?



「ンンンッ――あッ――」



外科医として大事な指を噛まないように気をつけているのに



理性が飛んで何度か噛んでしまった



口の中がうっすらと血の味がしてくる――



指が痛いはずなのにあなたは動きをやめてくれないんだね



「琴音…」



口の中からうっすらと血がにじむ指をやっと抜いてくれた。



「はぁ…はぁッ…」



やっと呼吸ができる、そう思ったのに――



「アッ――」



指が抜けられたと思ったら、今度は引き裂かれそうな痛みで呼吸が荒くなる。



「はぁッ…あッ…」



「琴音…」



愛おしそうに私の名前を目を見つめながら呼ばれると



痛いはずなのに



気持ちがいい――







快楽の楽園へ堕ちていく――









“サァァァ…”



いつの間にか外は雨が降っていて、心地よい子守唄になっていた。



「ん…」



琴音の寝息で自分が寝ていたことに気づいた。



「…ごめんな。」



そっと琴音の髪の毛にキスをしてベッドから体を起こし、窓の真っ暗な中に降り注ぐ雨をみながら昔のことを思い出していた。



俺が心の底から『先生』と呼べる人――














『今日見たことは秘密だよ。』














『琴音のことよろしくね…和也君。』














俺はあなたの大事な娘を大事にできますか?桜先生――







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