10年前に戻れたら…

かのん

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ハナさん

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「ハナさん?」



「そう、ハナさんは…」




“がチャッ…”





恭平が部屋にはいってきた。



「奈々、ありがとう。あっちゃん、せっかくきてくれたんだけど、院長会議が入っちゃって…」




「あ、大丈夫です。じゃあ帰ります。」



「奈々さん、ありがとうございました。」





「あっちゃん、ちょっと待って。今日のお礼したいし。」




「いいです、別に。それに、恋人の役は奈々さんのほうが適役です。」




「いや、奈々は幼なじみだし、病院内で話が回ると奈々にも迷惑かけるし。」





「ていうか…そもそも結婚したくないなら、ハッキリとお父様にも婚約者の方にも誠意を持っていうべきです!失礼だと思います!」




敦子は言いたいことを言って部屋を出て行った。




敦子はキョロキョロ周りを見渡しながらエレベーターへ向かった。




一階のボタンを押したら恭平がエレベーターに向かってくるのが見えた。




敦子が閉めるボタンを押そうとした時





「すみません。」




入院服を着た女性がエレベーターに入ってきたため、開けるボタンを押した。




その間に恭平も追いつき、エレベーターの中に入ってくる。




「…」




「…」




二人きりではないので無言のままエレベーターで一階へおりる。





一階について、敦子は開くボタンを押し、患者さんを先に行かせた。




女性の患者さんが軽く会釈してエレベーターを出て、敦子もすぐ出た。



「…」




敦子は家に帰ろうと病院を出る。




恭平が後ろから歩いてくる気配は感じていたが、何も話しかけてこない。






病院を出ても話しかけずについてくる。




敦子は仕事は大丈夫なのかなと恭平の心配するようになった。





「あの…」



敦子が振り向くと恭平も立ち止まった。




白衣は脱いで脇に抱えていた。




「どうしてついてくるの?」





「家まで心配だから送ろうかなって…」




「仕事…大丈夫なの?」




「今昼休みだから。病院の携帯も持ってるし。心配してくれてるの?」



恭平の微笑みをみたら、言いたいことも言えなくなった。




敦子はまた恭平に背を向ける。




「あっちゃんの言う通りだと思った。」





「え?」




敦子は再度振り向き、恭平の顔を見る。





「俺は誤魔化すことばかり考えて、自分の気持ちを正直にいうことを諦めていた。納得してもらうまで伝えてみるよ、自分の気持ち。」



「うん…そうだよ!伝える相手は生きているんだから…」




「…うん。そうだね。」





相手に自分の想いをぶつける。




簡単で難しくて




憎んでいる父親に言いたいことはたくさんあった。




恭平にも自分の気持ちを伝えたい。
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