10年前に戻れたら…

かのん

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大切な人

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「ごめん!待たせちゃった?」




恭平が敦子に駆け寄って行く。




「ううん。今来たとこだよ。」




肌寒い季節だというのに、額が少し汗ばんでいる恭平をみたら、待っていたなんて言えなかった。





「恭ちゃん、あのさ…」




「ん?」




「気を悪くしないでほしいんだけど…」



「さくら病院、経営苦しいの?」




「え…」





ザァ…





冷たい風が頬に当たって、恭平に会えた嬉しさで紅潮した頬は冷たくなった。





「そうだよ…病院が潰れるとか俺には関係ないと思ってた。むしろ医者をやめるいい機会かもって。でも、患者さんのことを考えたら病院も医者も辞めれなくて。」





恭平は敦子の隣に座った。





「だからお見合いの話もいいかなって。あの人を忘れるのにちょうどいいかもって。」



「でもやっぱり忘れることはできない…」




そういった恭平の横顔は男だけどキレイという言葉が似合った。




「恭ちゃんは探したことないの?ハナさんを…」




「一度だけ、公園に来てくれたことがあるんだ。」




「え!?何年前?」




「2年前に、ハナさん来てくれたんだ。」





「どんな話したの?」




「何も話してないんだ。」





「え?」





「それに直接見たわけじゃないんだ。」



「ベンチからハナさんを見かけただけで、声をかけようと追いかけたら男の子と歩いてて…」




「友達かもしれないよ?」




「傘差していたし、それに制服着ていた少年だったから声かけれなかったよ。」






「え?少年?」






















「ハナさん結婚してるんだ。」










「結婚指輪していたし、子供がいるって聞いていたから。」




「そうなんだ…ハナさんの子供だったら悪いと思って声かけなかったんだ。」




「…うん、そうだね。彼女はその時俺に気づいてくれたけど、結局は家庭を選んだ。もし、来年も待ってたら来てくれるかもってそれでも期待してたよ。でもそこで家庭を選ぶのがハナさんだと思う。」





「確かに…不倫だもんね。」





「なんか、ごめん。」



恭平はバツが悪そうな表情をする。





敦子の父親が不倫していたことを敦子が毛嫌いをしていたので気を遣ったのだろう。





確かに不倫は父親のことで聞くのも嫌だった。





だけどなぜか恭平とハナさんの不倫は嫌にならなかった。






どこかピュアな恋話を聞いているようだった。





おそらく身体の関係がなかったのだろう。



ハナさんの名字は?この辺に住んでいるんじゃないの?」




「名前しか知らなくて…」




「どうやって出会ったの?」





「花屋でバイトしてた時にーーー」




恭平は十年前の話をしだした。

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