最後の恋人。

かのん

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他の男のところ行くなよ②

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「…なッ……」



「もう俺以外の男の人のところに行っちゃダメですよ?」



「別に付き合っているわけじゃないんだから…自分で決めるし。」



「美咲さんは…彼女になってくれても隙がいっぱいあるから心配です。」



「…だから恋人とかいらないって。」



「いいですよ、別に。美咲さんから彼女になりたいって言ってもらいますから。」



「はいはい…ほら、メイク早く落とさいと。そのままデートに行くからね。」



「は~い。じゃあちゃんと待っててくださいね。」



「…」



何!?あの強気な発言!?



この間は俺の初めてをもらってくださいってかなり下手に出てきていたのに…恋愛初心者というより上級者みたいな…



「美咲さん…」



「ん…」



「美咲さん着きましたよ。ここで降りないと。」



「え!?」



しまった電車の揺れが気持ちよくて寝ちゃってた。



ここがどこかもわからず降りてみると夜中だというのに人が多くて田舎育ちの私からすれば酔いそう・・・



「ここからすぐなんで。」



葵を見失わないように着いていくと葵が立ち止まったところはホテル



「こっちです。」



葵のあとをついていって案内されたのは最上階の一つ下の部屋



「どうぞ。」



「うわ…」



目の前にはキラキラと輝く電灯の数に驚いた



だって田舎ではこんなの見られない…



「美咲さん、案内したいのはこっちの部屋です。」



「あ、うん…」



部屋ってことは…やっぱり結局葵君もヤルことしか頭にないってことよね



だってホテルの部屋っていえばベッドしかないもん




「ここ…」



ベッドがある部屋を想像していたけどそんなものは一つもなくて



目の前にはゆらゆらと気持ちよさそうに泳ぐ魚たちがたくさんいた



「どうしたの…これ?」



「知り合いにもらったんです…それから子供産んだりとかして増えちゃって。」



「すごい…綺麗だしたくさんいるから水族館みたい。懐かしい…」



「よかった喜んでもらえて。」



「本当は水族館好きなんだけど…この年で一人で行くのは恥ずかしくて。」



「じゃあ今度行きましょう♪水族館。」



「え…うん。」



ってなんか上手いこと流されているような?



「えっと…てかこの部屋何?ホテルなのにどうして水槽があるの?」



「ここ俺の部屋なんです。」



「…えぇぇ!?」



だってここ最高級のホテルなのに部屋なの!?



「ここのオーナーの子供なんで。って言っても息子になったのは半年ぐらい前ですけど。」



「どういう…こと?」



聞いていいの?いや聞く流れ?



「母親に虐待されて施設育ちなんです。施設の前に捨てられたんですよ。」



水槽を背に話す葵は、ライトで顔も体も闇にのまれそうにどんどん黒くなっていく。



さっきまで明るい場所で話をしていた葵とは対照的で、さっきまで怖いなんて思ったことはなかったのに葵が怖い。別人みたい。



「俺父親似で…母親は俺の顔が憎かったみたいです。自分も美しく生まれたかったって。こんな顔…あげれるものならあげたかった。」



長くて多いシュッと伸びた睫、クリッと大きな瞳に、横顔が生える鼻、人懐っこさが感じられる唇――



私からすれば羨ましいけど、でも葵君からすれば本気でいらないんだ



お母さんに似ていれば二人は幸せだったのかな?



「父親は俺が生まれたこと知らなくて…で半年前引き取ってもらったんです。でも妾の子だから本宅には住めないんで。」



「せっかくお父さん迎えに来てくれたのに…」



そっか…ここの部屋広くて綺麗だけどどこか寂しさを感じるのはそのせいかのか――



「…同情してくれました?」



「え?」



「こういう風に話したら同情して好きになってくれるかなって…」



「なりません!」



付き合ってほしくてそんな話したの!?



ありえん、ありえん、ありえん…



「クスクス…」



本当はちょっと可哀想に思ったけど…そしてどう話をすればいいのか迷っていたんだけど、葵君が笑って返してくれてちょっと安心。



…でも今日の接客からして今わざとそういう風に言った?



いや、まさかね。



「美咲さん、どうぞ。」



この水槽がある部屋の真ん中には二人がけのソファとテーブルが置いてあって、グラスとシャンパンも用意されていた。



「あ、ありがとう。」



お酒のまして酔わせるつもりなのかな…?



飲んだほうが勢いでヤレるしね…ってちょっと待って!



のこのこついて来ちゃって今更だけど葵君の部屋にまであがってお酒って危なくない?



実は変態でとっても危ない人かも…



「美咲さん飲まないんですか?」



「えっと…うん。やめておこうかな…ハハッ」



「クスッ…美咲さん。」



「え!?は、はい…?」
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