最後の恋人。

かのん

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ミサキからの手紙④

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もし、ミサキが母親と出会わなければ
もし、ミサキが睡眠薬を手にしなければ
もし、もし……俺とミサキが兄弟じゃなければ……


いや……わからないけど
きっとどこかで俺たちが兄弟であることに気付いただろう。


綺麗に包装された紙を開くと中から
カットはさみが出てきた。
高いはずなのに……もしかしてこのハサミを買うためにバイトをしていたのだろうか。


「葵…これ!!」


龍に渡されたのは小さな封筒で表に
『美咲さんへ』と書かれていた。




「美咲さんって…美咲さん……?」


ミサキには悪いと思いつつ中の手紙を開けてみて
龍にも聞こえるように声に出して読んでみた。


「美咲さんへ

私と同じ名前なのに、正反対の私たち。
美咲さんは名前のとおりすごく綺麗だけど心まで綺麗で…
優しくしてくれてありがとうござました。


美咲さんは、裕也さんのことを一途に思っていて
その姿に自分を重ねていましたが
私はもうできなくなりました。


美咲さんの気持ちを知っているのに
裕也さんを利用してごめんなさい。
裕也さんのことを好きな女性から
美咲さんの携帯から電話がきました。
だから美咲さんも私がしたことを知っているかと思うと
怖くて会えません。


だから手紙でごめんなさい。
美咲さんともっと早く友達になりたかった。




美咲さんと葵君なら
私、心から祝福できるかもしれない。



美咲さん、葵君に出会えることがあったら
どうか、葵君をお願いします。



ミサキより





俺とミサキと龍の3人で写っている写真も同封されていた。
ミサキがまさか美咲さんにこんな風に手紙を書いていたなんて……。
美咲さんへの手紙は俺あての手紙と違って
封が切られていて…誰かが開けている跡があった。



「たぶんだけど…美咲さんはこの手紙を見たんじゃないか。土が不自然に盛ってあって俺気づいたんだ。」



あの日、この丘に美咲さんを連れてくるべきじゃなかった。
美咲さんは1人でこの手紙を見て
俺がどうして美咲さんに近づいた理由に
きっと気づいただろう。
理由を知ってからも俺のことをどんな風に思いながら
会ってくれていたのだろう。



「俺、ミサキにも美咲さんにも何もしてあげれなかった…。2人とも結局傷つけてしまって……。」


「だけど……この手紙は自殺する前に書いているから、自殺する直前の電話はやっぱり美咲さんがかけたかもしれないじゃないか!美咲さんがまったく悪くないってわけじゃ…!」





「違う…!美咲さんは、自分を傷つけることはしても人を傷つけることはしない!」



「葵……でも、人を殺したって美咲さん自分で言っていたって…それはどうなるんだよ!」



「それは、どういう意味か分からないけど…でも、美咲さん本人の口からききたい。俺が知らないミサキのことも、美咲さんのことも、2人の思い出も、色々知りたいし、聞きたい。」


「でも、どこにいるんだよ……失踪してからだいぶ経つじゃねぇかよ。」


「……いつも逃げてきた俺だから、今度は俺が追いかけるよ、美咲さんを。」




そうだ、俺はいつも逃げてきた。


虐待された母親にまたあって拒否されるのが怖くて
ずっと一緒にいたミサキに拒否されるのが怖くて
好きになっていく美咲さんにも事実を伝えたら拒否されるのが怖くて……


これじゃダメなんだ。
聞きたいことや言いたいことは生きている時に伝えないとダメなんだ。
ミサキや美咲さんに、シンプルだけど中々できないこと教えてもらった気がする。


俺は、会いに行くよ。
美咲さんに堂々と会ってもらえるために俺はもう逃げない。
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