最後の恋人。

かのん

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ミサキと葵君

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私がこの施設に来たのは2歳の時。



2歳ってあまり記憶に残らないて思われているかもしれないけど



強い印象のものは残っている。



母親にブスって言われ続けられたこと



そしてこの施設に引き取られた日のこと・・・



「今日から一緒にここで暮らすことになったミサキちゃんよ。」



「あそぼ!」



一番に声をかけてきたのは龍だった。



だけど母親以外と接してこなかった私はもうみんなが怖くて・・・



黙り込んでしまった。



「ミサキちゃん、ここにいる子達はあなたの兄弟だからね。龍、葵、あなた達の妹よ。可愛がってね。」



「うん!遊ぼう!積み木する?」



積極的に龍は話しかけてくれたけど………先生から離れられなくて。



歓迎会ということで風船がたくさん飾られていた。



だけど急に風船が割れて………その音にビックリして泣いてしまったんだ。



その泣き顔を見て



「可愛い………」



ずっと親に言ってもらいたかった言葉を言ってくれたのは葵だった。



「大丈夫だよ。」



そっと抱きしめてくれて、葵のーーううん、人の温もりを初めて感じた日



「先生、俺ミサキのお兄ちゃんになる!」



「お兄ちゃんって呼んでいいからね。」



「葵、ズルい!ミサキ、俺のこともお兄ちゃんって呼んで!」



「にいに?」



「にいにって言った!」



「今のは葵のことじゃなくて俺のことだよ!」



こんな風に自分のことを温かく迎え入れてくれた2人が大好きで



本当の兄弟みたいで………



『にいに』から『お兄ちゃん』になって…でも少しずつ『葵君』に呼び方が変わった。















………好きになってしまったから。











ーー10歳の時



「ミサキ?何しているの?」



「お魚のお世話…」



「パンあげているの?これ朝のパンじゃん。食べなかったの?」



「だって…餌がないんだもん。」



その頃施設の経営がよくなくて………ペットとして飼っていた餌は買えないと言われていた。




それぐらい経営が苦しくて…



「わかった。じゃあ明日は俺がパンを残すから、明日はミサキちゃんと食べろよ。」



「いいよ…それじゃあ葵兄ちゃんお腹空くよ。」



「大丈夫!魚だっお腹空くもんな…」



私が勝手にやっていたことなのに



葵はいつも1人で背負うとする私の負担を自分にもかぶせる



少しの異変でも気づいてくれる


恋を知らない私はこの関係が居心地良かった。



兄弟ごっこでよかったんだ………



「ミサキ、暑くない?」



「………あ…」



猛暑でエアコンとか扇風機とかないのに私は長袖を着ている。



「昨日は半袖着ていたよね?どうしたの?」



「昨日、男の子達に…」



「虐めてきたのか!?」



「これ……」



「それは…?」



腕をまくって葵に長袖の原因を見せた。



半袖で隠れるか隠れないかの位置に黒の痣がある。



「多分生まれた時からあって…」



半袖から昨日チラリと見えてしまって、そこから男の子達にからかわれた。



「俺もある…」



「え?」



「ほら、これ!」



葵のは左手で肘の付近にある。



確かに同じ黒の痣。。。



「俺はこの星型気に入っているんだ。形も一緒じゃん!」



「葵お兄ちゃんにあるの気づかなかった。」



「意外と気にならないもんなんだって。あ、だけど女の子じゃ気になるよね。」



同級生の男の子は嫌い。



ブス、臭い、汚い、とかそんな言葉しか言わなくて



女の子どころか人として扱ってくれない。



女の子として扱ってくれる葵を好きになるのは当たり前だった。



「お!今の身長差だと一緒の位置だ!」



腕をくっつけると痣がピッタリと同じ場所にあって



パズルのピースみたいに綺麗に重なってる



「何で…嬉しそうに笑うの?」



「え?だってミサキとお揃いだと思ったら嬉しくて!」



二歳年上だった葵がこの時可愛いって思った。



可愛くて…可愛くて、愛おしい。



ずっとこの痣のようにくっついていられたら…よかった。



だけど葵の身長が伸びればもう同じ位置にはならない。



この痣のように葵はどんどん私を置いていくんだ――



でもそのほうがいい、私の気持ちなんて気づかずに置いて行ってほしい。

















私のことなんて忘れて――



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