最後の恋人。

かのん

文字の大きさ
27 / 61

蘇る過去。。。③

しおりを挟む
「葵!何やってるんだよ!もう裕也の姿ないよ……」



「ごめん……」



「今日がチャンスだったんだぜ?」



「でもまた会えるかもしれないし…」



「それはないよ。」



「智樹さん……」



後ろから聞いたことがある声が聞こえると思ったら、智樹かよ……



そうか、あの女と2人で来てたってわけかーー



「裕也は海外に行くんだ。それにもう帰ってこないよ、特にこの地元には……」



「それは俺たちから兄を守るための嘘ですか?」



「兄弟だけど…美咲のことに関しては俺は許さない。永遠に裕也を恨むよ…」



「だけど女も地元の人間がって聞きましたけど?」



「帰りたくてもきっともう帰ってこない。失恋したから……」



「失恋……?」



「おいおい、失恋って奥さんいるのに恋してたってわけ?」



龍は呆れた口調で言いながら裕也のことが理解できていないようだ



「裕也には……ずっと本命がいたってこと?」



「その本命は、美咲さんの側にいる人……なんでしょ?」



「は?意味がわかんないんだけど?」



龍は智樹と葵の会話についていけずに目が泳いでいる。



「あんたはずっと隠してたんだろ、美咲さんに……傷つけないように。」



「……言えるわけないよ。」



「でも美咲さんはきっと気づいたと思うーー」



「え…?」



「ただいま。」



「お帰りなさい。智樹君とデートだったんでしょ?早くない?」



「お母さん…」



「ん~?」



「お父さん亡くなってから……今まで女で一つで育てて大変じゃなかった?」



「何よ急に……」



「私邪魔だったよね?」



「え……?」



「どうして急にそんなこと言うの…?」



母親は料理をしていた手を止めて、美咲がいる玄関へ足早にやってくる。



「お父さんが亡くなって……お母さん働いてばかりだったじゃん。お父さんのお店の借金返すために前は昼も働いていたじゃん。」



「それは、食べていくためよ。美咲が邪魔だなんて思ったことなんてないよ?むしろ美咲がいたから、頑張れたのよ?」



「じゃあ恋は……?」



「え?」



「恋をしようと思ったことはないの…?」













「今日、裕也に会った……」











母親の顔がみるみると青ざめていくのがわかる。



口は強張って、眉は眉間がより、目には涙が溜まってきていたーー



「何か……言っていたの?」



「私…裕也が失踪した日から地元に帰ってきたなんて知らなかった……しかも家にも来ていたなんてッ……失踪したなんて思っていたのは私だけーー」



「美咲……」



「私は会いたかった……どうして教えてくれなかったの?」



「それは……」



母親は下をうつむき美咲の顔が見れなくなる……




「美咲に酷いことをしたから…」



長い沈黙のあとに出てきた言葉は弱々しくて、いつもお店では大きな声で指示してくる母親の声ではなかった。



「お母さんいいよ………」



「違うの美咲、本当に美咲のことが心配で…それが1番の理由よ!」



「裕也は本当はお母さんが好きだったんでしょ?」



「それは………裕也が言ったの?」



「裕也は何も言わない……でもやっとわかった。裕也が来ていたのに一言も言わなかったわけを…お母さんのこと心配していたから。」



「私に遠慮しちゃった?」



「美咲、それは違う……お母さんはお父さんのことが忘れられなくて…でも美咲と裕也の間にあったことを聞いたら…美咲に悪いことしたって思って………」



「そっか…私はお母さんの代わりだったんだね。だからセフレにしたかったんだ。」



「美咲 … …美咲!?」



お母さんの顔が見れなくて



どんな態度をとればいいのかわからなくて



家を飛び出ることしか思いつかなくて………



お母さんの声だけはきこえていたけど



きっと、泣いてた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

冷徹社長は幼馴染の私にだけ甘い

森本イチカ
恋愛
妹じゃなくて、女として見て欲しい。 14歳年下の凛子は幼馴染の優にずっと片想いしていた。 やっと社会人になり、社長である優と少しでも近づけたと思っていた矢先、優がお見合いをしている事を知る凛子。 女としてみて欲しくて迫るが拒まれてーー ★短編ですが長編に変更可能です。

隣人はクールな同期でした。

氷萌
恋愛
それなりに有名な出版会社に入社して早6年。 30歳を前にして 未婚で恋人もいないけれど。 マンションの隣に住む同期の男と 酒を酌み交わす日々。 心許すアイツとは ”同期以上、恋人未満―――” 1度は愛した元カレと再会し心を搔き乱され 恋敵の幼馴染には刃を向けられる。 広報部所属 ●七星 セツナ●-Setuna Nanase-(29歳) 編集部所属 副編集長 ●煌月 ジン●-Jin Kouduki-(29歳) 本当に好きな人は…誰? 己の気持ちに向き合う最後の恋。 “ただの恋愛物語”ってだけじゃない 命と、人との 向き合うという事。 現実に、なさそうな だけどちょっとあり得るかもしれない 複雑に絡み合う人間模様を描いた 等身大のラブストーリー。

時間を止めて ~忘れられない元カレは完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な人でした 【完結】

remo
恋愛
どんなに好きになっても、彼は絶対に私を愛さない。 佐倉ここ。 玩具メーカーで働く24歳のOL。 鬼上司・高野雅(がく)に叱責されながら仕事に奔走する中、忘れられない元カレ・常盤千晃(ちあき)に再会。 完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な彼には、悲しい秘密があった。 【完結】ありがとうございました‼

幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜

葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在 一緒にいるのに 言えない言葉 すれ違い、通り過ぎる二人の想いは いつか重なるのだろうか… 心に秘めた想いを いつか伝えてもいいのだろうか… 遠回りする幼馴染二人の恋の行方は? 幼い頃からいつも一緒にいた 幼馴染の朱里と瑛。 瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、 朱里を遠ざけようとする。 そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて… ・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・ 栗田 朱里(21歳)… 大学生 桐生 瑛(21歳)… 大学生 桐生ホールディングス 御曹司

身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~

椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」 私を脅して、別れを決断させた彼の両親。 彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。 私とは住む世界が違った…… 別れを命じられ、私の恋が終わった。 叶わない身分差の恋だったはずが―― ※R-15くらいなので※マークはありません。 ※視点切り替えあり。 ※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。

友達婚~5年もあいつに片想い~

日下奈緒
恋愛
求人サイトの作成の仕事をしている梨衣は 同僚の大樹に5年も片想いしている 5年前にした 「お互い30歳になっても独身だったら結婚するか」 梨衣は今30歳 その約束を大樹は覚えているのか

ホウセンカ

えむら若奈
恋愛
☆面倒な女×クセ強男の不器用で真っ直ぐな純愛ラブストーリー! 誰もが振り返る美しい容姿を持つ姫野 愛茉(ひめの えま)は、常に“本当の自分”を隠して生きていた。 そして“理想の自分”を“本当の自分”にするため地元を離れた大学に進学し、初めて参加した合コンで浅尾 桔平(あさお きっぺい)と出会う。 目つきが鋭くぶっきらぼうではあるものの、不思議な魅力を持つ桔平に惹かれていく愛茉。桔平も愛茉を気に入り2人は急接近するが、愛茉は常に「嫌われるのでは」と不安を抱えていた。 「明確な理由がないと、不安?」 桔平の言葉のひとつひとつに揺さぶられる愛茉が、不安を払拭するために取った行動とは―― ※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。 ※イラストは自作です。転載禁止。

処理中です...