【R18】どうか、私を愛してください。

かのん

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電話越しで・・・

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美緒が最近紗英に重なってくる。



明るかった紗英がどんどん暗くなって寝室からでなくなったのと同じように
美緒もあの日以来寝室から出てこなくなった。
悪いのは全部自分とこの家なのに
何もできない、そしてまた同じことを繰り返しそうになっている自分に腹が立ってイライラする。



最初は寝室に入って話しかけたりもしていた。
だけど返答がない美緒に対して少しづつイライラしてきてしまって
気づいたら寝室に入らずに『行ってきます。』と一言いうだけ――



俺のこういうところがきっとダメなんだろう。
誠二ならどうするのだろうか…?




美緒に何て声をかけるんだろうか。



「美緒…もう今日で一週間だ。今日は少しでいいから食べよう。永一も君のことを心配しているんだ。」



子供のことを引き合いにだすのは卑怯かもしれない。
だけど少しは食べてくれる気になってくれるかもしれないと思ったら永一の名を口にしていた。



美緒は布団から顔を出しては来てくれたが
やせ細って頬はこけて肌もガサガサになっている。
目も……生気がない。



お手伝いさんに作ってもらったお粥を口に近づけて
少し開いた口に流し込んでみたが口からあふれ出てきて食べてくれなかった。



このときわかったんだ。
もう俺たちは本当にダメだってことを――



例え誠二がこの世からいなくなっても
美緒が生き続ける限り誠二のことを心から愛すだろうって――




「誠二、お願いがあるんだ。」



「兄さん…どうしたの?」



「美緒を……助けてやってほしい。助けられるのはお前だけだ。」



「……何言ってんの?兄さんは夫なんだから兄さんが支えなきゃ。俺に頼ってたらダメだよ。」



「美緒が紗英みたいに見えるといってもか?」



「え?」



「どんどん痩せて笑顔もなくなって……俺には心を閉ざしてしまっている。」



「それでも……俺はもうそばにいられないんだから、兄さんがっ――」



「このまま電話越しでいい。俺だってもう二度と紗英の時のような過ちはおかしたくない。だけど、このままじゃ美緒が――きっとお前の声を聞けば安心するから。」




「兄さん悔しくないの……?」



「悔しいよ。何でずっとそばにいた俺じゃないんだって。だけど美緒の命のほうが大事だから――」



命の重みを知っている俺たちにとっては
確かに人のプライドなんてものは小さなもので余計なものだ。



「わかった。電話越しなら――」



「恩に着る。」



「でも今回で本当に最後にしたい。でないと俺と美緒はきっとズルズルいってしまう。」



「お前は本当に円花さんと結婚したら美緒がお前のことを諦めると思っているのか?」



「……思ってるよ。」



「即答しないのは自信がないってことだよな?」



「……俺は紗英を失って悲しくて死にたくなったよ。ボロボロな人生だったよ。」
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