クロスな関係。

かのん

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もう、優しくしないで…。

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「未亜…?」



「お姉ちゃん……」



「大丈夫?気分どう?」



「大丈夫…」



「汗かいてきているね。着替えここに置いておくね。」



「うん、ありがとう…」



「今日、お父さんたち仕事にいったけど、お姉ちゃん泊まるから安心して眠ってね。」



「うん……」



いつも優しいお姉ちゃん。
小さいころからずっと優しい大好きなお姉ちゃん…。



「あの、せ……先生は?」



「礼人?帰ったわよ、さっき。」



「そっか……」



「未亜?」



「ごめんなさい。まだ気分悪くて……」



「そっか、じゃあお休み。何かあったら声かけてね。」



「お姉ちゃん……」



「ん?」



「結婚……おめでとう。」



「ふふ…ありがとう、未亜。お休み。」



言えた…ちゃんと言えた。
だけどお姉ちゃんの顔は見れなかった。
布団に隠れて涙を流しながらしかまだ言えない。



「結婚しよう。」



礼人さんがお姉ちゃんにプロポーズしているのを
さっき下で聞いてしまった。
お姉ちゃんの左手の薬指には指輪がキラリと光っていた。
可愛くて……綺麗で、眩しい、指輪。



「うっ……ふっ……うぅぅっ…」



お姉ちゃんに聞こえないように声を殺して泣いた。
声を殺して泣くって意外と難しくて
我慢しようとすればするほど声が出てしまう。



礼人さん、私のこの思いはどこへ向かえばいい?



「もう、お昼過ぎか……」



家には誰もいない。
もう小さい頃からそうだ。
お父さんたちは研究で忙しい日々で
お姉ちゃんも部活とかで忙しくて……家でひとりでいるのは慣れている。



だけど、病気のときは別。
本当は目を覚ましたとき、誰かがいてくれたら――
何度もそう思ってはその感情を心にしまう。



下に降りるとお粥があるとお姉ちゃんから伝言があった。
お姉ちゃんだって忙しいはずなのにお粥を作ってくれるだけでも嬉しい。



“カサッ――”



誰もいないから音が何もない家で
玄関のほうから音が聞こえた。
何か気になったけど今玄関に行ってもし変な人だったら怖い。



携帯を手に握り締めて一時してから玄関のほうへ向かった。



恐る恐る玄関のドアを開けるとビニール袋がドアにかけられている。
中には私が高校時代の時よく食べていたメロンパンが入っていた。
他にもゼリーやスポーツドリンクも……



「礼人さん…?」



私にはわかる。これはきっと礼人さんだ。
急いで外に出てみると、礼人さんの後姿が見えた。



「れ……」



大きな声で呼びたかったけど、誰に見られているかわからない。
そう思ったら名前で呼べなかった……。



「せ、先生……!」



大きな声で呼ぶと立ち止まってゆっくりと振り返ってくれた、愛しき人。
だけど、私の姉の夫になる人――。
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