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もう、優しくしないで…。②
しおりを挟む「これ……先生ですよね?どうして…」
「……」
「このメロンパン……」
このメロンパンはどこでも売っているものじゃない。
学校の購買でしか買えないメロンパンだから。
学校からわざわざうちに来てくれたの…?
「どうして……もう、優しくしないで。」
「え?」
「だって、これ……っ」
中途半端に優しくされたら期待してしまう。
だけど……ッ……期待してはダメ。
「……美月が差し入れしてくれって言ったから。」
「……そう…だよね。お姉ちゃんの婚約者だもんね。私はもう平気なので…ありがとうございました。」
この感情は何だろう。
悔しい、悲しい、嫉妬。
今私が流している涙はきっと汚い涙だ。
どす黒くて、醜い感情で流している涙。
礼人さんは一体どうしちゃったの……?
学校で触れ合っていた時は幸せだったのに――。
「うっ……うぅぅっ…」
頭がついていかない……。
私が好きだった礼人さんは一体どこへ行ってしまったの?
「あっ……え?嘘…」
ビニール袋が破けて、ビニール袋に入っていたパンなどが道路に落ちてしまった。
「ビニール袋が破けるってどれだけ……」
たくさん、あれもこれもって買ってくれた気持ちは嬉しい。
中に入っていた飲み物も私がよく飲んでいたものだ。
礼人さんは、高校での私を見ていてくれたってことなの?
遠まわしの優しさや愛が余計に辛い。
「大丈夫?」
「え…?」
目の前のコンビニから一人の男性が拾うのを手伝ってくれた。
ふわりと男性から微かに香る金木犀の香り――。
「ありがとうございます…あの、もしかして、アキラさん……?」
「うん…やっぱり気づいちゃった?」
「香りが一緒だったので……」
フードを被っているけど、昨日と違って髪の毛を黒で瞳の色も真っ黒で別人のようにも見える。
「アキラさん…違っていたらあれなんですけど……高校一緒でしたよね?」
「うん…思い出してくれた?メガネかけたりして目立たないようにしていたけど。」
アキラさんは……同じ学年だけど2つ上で同じクラスでもなかったから
あまり話すことはなかった。
だけど、何度か清掃委員で一緒に掃除をしたことがある。
「アキラさんって本名だったんですね。」
「うん、晃っていう漢字なんだけど、バイトの時はカタカナで…名前気に入っているからさ。」
「昨日はありがとうございました。」
「ううん…でも…今日もどうしたの?また先生に泣かされた?」
そっと涙のあとに触れて優しく微笑んでいる晃さんは
名前のとおり太陽に照らされて眩しい。
「あっ……ううん、これは汚い涙で。」
「汚い…?」
「嫉妬とか悔しさとか……」
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