25 / 44
人魚王子、恥ずかしくなる。※
しおりを挟む「何を……」
オルクは絶句した。オレは早くも後悔しつつあった。でも、もう後戻りは出来ないと思い、挑むようにオルクを見上げた。
「オルクにして欲しいんだ。元々それがオレの願いだから。願いが叶ったら、海に帰る。約束するよ」
オルクは暫くその場で固まっていた。痺れを切らして声を掛けようとしたところで、ぐいっと痛いくらいに手首を掴まれる。
「オ、オルク?」
「本当にいいんだな」
怖い顔でそう言われ、一瞬怯えた顔をしてしまったようだ。オルクは、すまん、と短く謝ってそっとオレの両手を掴んだ。
「無理はしてないか?」
「む、無理じゃないっ! だってそうして欲しいんだ」
「──では、おいで」
寝台に誘われ、そっと抱かれて横にされた。オルクが覆い被さるようにしてオレの顔を覗き込んでくる。オルクはまだどこか悩んだような顔をしていた。
「本当に本当にいいんだな」
オルクが何度めか分からない確認をしてきた。いい加減オレも面倒になって叫んだ。
「いいってば! っていうか、して欲しい。オルクのペニスをお尻に入れたいんだ」
はっきりと返事をすると、オルクは怒ったようにオレの腰を抱き寄せ、手で口を塞いだ。
「分かった。分かったから、ちょっともう黙っていろ。これじゃあ、俺がもたん」
なにかまた間違えたかな。心配になっていると、オルクの瞳がふっと和らいだ。
「そんな顔をするな。優しくしたいんだ。お前が望むなら、俺に異論はない。だが、気持ちいいだけではすまないかもしれないぞ? 痛いこともあるかもしれん」
口を塞いでいた手が、オレの頭を優しく撫でた。
「痛いの? でも、オルクに痛くされるなら別にいいよ」
オルクがまた困った顔で俺の口を塞ぐ。心なしか顔が赤くなっている。
「だから……もういい。うんと気持ちよくしてやるから、覚悟しろ」
そう言うと顎を掴まれ、オルクの顔がびっくりするくらい近づいてきた。
何かと思ったら口同士がくっついた。
「な、なに⁉」
「なんだ、知らないのか。口付けだ」
「な、なにそれ?」
「いきなり、お前の尻に俺のペニスは入らん。まずはお前を気持ちよくトロトロにしてから俺のものをいれるんだ」
確かに、そう言われてみると魔法使いの家でみた本でも、父上が「溶けちゃうッ」と本の中で言ってたいた気がする。
「口付けをすると、気持ちよくて、トロトロになるの?」
「……努力する」
オルクがまた困った顔をしたのでオレはもう今度こそ黙る事に決めた。チュッチュッと温かな唇が触れ合うのは、確かに気持ちいいかもしれない。
「口付けの時は、目を閉じるんだ」
オルクにそう囁かれ、言われるがまま瞼を閉じる。
優しく下唇を噛まれ、そのうちオルクの舌がそろりと中に入ってきた。はじめはびっくりしたけど、内側を確かめるように、歯茎や歯の裏を、ゆっくりと舌でなぞられると腰骨がゾクリと不思議な感覚に包まれる。
目を閉じることで、オルクの舌の動きに集中してしまい、感覚が酷く鋭敏になってしまう。まるで、自分の中を内側から擦られるているようだ。
(口付けって、凄い……)
息を弾ませながら、離れていく濡れた唇を呆然と眺めた。少し満足そうな顔をしたオルクが、俺の唇から溢れた唾液を拭う。
「口付けは気に入ったか?」
「うん……気持ちいい……」
「お前の素直さは、こういう時非常に好ましいな」
そう言うと、オルクはもう一度顔を近づけてきた。オレが口付けに夢中になっている間に、衣服が一枚、また一枚と剥ぎ取られていく。
「……この服は美しいが、とても危険だな」
胸元部分のレースを引っ張りながら、オルクは不満そうに呟いた。
「お前の乳首が、簡単に見えそうになってしまう」
「でも、オレの乳首は病気じゃないんでしょう」
「そうだ。美しく、可愛らしい乳首だ。でも、ここを見てもいいのは……俺だけだ」
低い囁きが、胸をくすぐる。昨日の"キモチイイ"感覚が簡単に蘇り、下半身がむずむずしてきた。
「オ、オルクぅ」
「どうした?」
「な、なんか。そこ、昨日みたいに、して欲しい、かも……」
「……そことは?」
「ち、乳首」
「ここか」
乳首を指でちょんと弾かれる。それだけで「ひんっ!」と変な声が出てしまった。
「う、うん。そ、そこ」
「乳首を、どうして欲しいんだ」
優しくちょんちょんと触れられて、気持ちいいんだけど。そうじゃない。昨日みたいに、もっと──。
「な、舐めたり、つねったりして欲しい……」
「ちゃんと、俺の目を見て、お願いしてみろ」
オルクが顔を近づけて、低く囁いた。なんで、そんな意地悪なこと言うんだろう。でもオルクにそう言われると、背筋にゾクゾクしたものが走り、なんとも言えない気持ちになる。
なんだろう。なんだろうこれ!?
顔も身体もカーッと勝手に熱くなっていくのが、止められない。
「オ、オルクに、オレの乳首、つねったり、舐めたりして欲しい……っ」
我ながら情けない声を振り絞って言った。
「よく、出来たな。流石、俺のかわいい犬だ」
艶っぽく笑ったオルクに見つめられ、何故か瞳が潤んでしまう。
やっと乳首をキュッとつねってもらっただけで、昨日覚えたての『イッちゃう』感覚がすぐそこまで近づいてきた。
「あ、あんっ!」
「更に感度が良くなってるな。主人に似て、いい乳首だ」
そう言ってオレの乳首に舌を伸ばそうとするオルクを、慌てて静止した。
「ちょっ、ちょっと待って!」
「……なんだ?」
ハァハァと乱れる呼吸を整えながら乳首を両手で隠すと、若干不満そうなオルクが顔を上げる。
「あ、あの。なんか、昨日と違ってまだ明るいところで、そうやって、オレのち、乳首を見たり、いじられるの、わーって叫びながら部屋中ごろごろしたくなるっ、かも。触って欲しいんだけど、なんか、なんかっ。なんだこれっ⁉︎」
顔を真っ赤にしてギャーギャー騒ぐオレをオルクは一瞬呆けたように見ていたが、そのうち、くっくっと喉の奥で笑っている声が聞こえてきた。
「笑い事じゃないんだよっ。 なんか、胸がざわざわして……。やっぱり病気かも!」
涙声で訴えると、オルクは「すまんすまん」と肩を震わせる。絶対笑うのを我慢してるんだ。
「シレーヌ。それはな、恐らく恥ずかしい、という感情だと思うぞ」
若干笑いを含んだ声で、オルクがおかしそうに言った。
「ハズカシイ……それって、いい事? 悪い事?」
分からなくて聞くと、オルクは悪戯そうに笑う。馬鹿にされるんだ。そう思ったが、すぐ目の前まで近付いてきた瞳は、予想外に艶めいていた。
「勿論、いい事だ。恥ずかしい方が、うんと気持ちよくなれる」
そう言ってもう一度深い口づけをしてきたオルクに、その言葉が嘘じゃないことを嫌というほど教えこまれたのだった。
10
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
僕の、しあわせ辺境暮らし
* ゆるゆ
BL
雪のなか僕を、ひろってくれたのは、やさしい男の子でした。
ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります!
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される
Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。
中1の雨の日熱を出した。
義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。
それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。
晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。
連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。
目覚めたら豪華な部屋!?
異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。
⚠️最初から義父に犯されます。
嫌な方はお戻りくださいませ。
久しぶりに書きました。
続きはぼちぼち書いていきます。
不定期更新で、すみません。
愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる
彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。
国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。
王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。
(誤字脱字報告は不要)
うちの鬼上司が僕だけに甘い理由(わけ)
藤吉めぐみ
BL
匠が勤める建築デザイン事務所には、洗練された見た目と完璧な仕事で社員誰もが憧れる一流デザイナーの克彦がいる。しかしとにかく仕事に厳しい姿に、陰で『鬼上司』と呼ばれていた。
そんな克彦が家に帰ると甘く変わることを知っているのは、同棲している恋人の匠だけだった。
けれどこの関係の始まりはお互いに惹かれ合って始めたものではない。
始めは甘やかされることが嬉しかったが、次第に自分の気持ちも克彦の気持ちも分からなくなり、この関係に不安を感じるようになる匠だが――
経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!
中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。
無表情・無駄のない所作・隙のない資料――
完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。
けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。
イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。
毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、
凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。
「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」
戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。
けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、
どこか“計算”を感じ始めていて……?
狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ
業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!
抑制剤の効かない薬師オメガは森に隠れる。最強騎士団長に見つかり、聖なるフェロモンで理性を溶かされ、国を捨てた逃避行の果てに番となる
水凪しおん
BL
「この香りを嗅いだ瞬間、俺の本能は二つに引き裂かれた」
人里離れた森で暮らす薬師のエリアルは、抑制剤が効かない特異体質のオメガ。彼から放たれるフェロモンは万病を癒やす聖なる力を持つが、同時に理性を失わせる劇薬でもあった。
ある日、流行り病の特効薬を求めて森を訪れた最強の騎士団長・ジークフリートに見つかってしまう。エリアルの香りに強烈に反応しながらも、鋼の理性で耐え抜くジークフリート。
「俺が、貴方の剣となり盾となる」
国を救うための道具として狙われるエリアルを守るため、最強の騎士は地位も名誉も投げ捨て、国を敵に回す逃避行へと旅立つ。
シリアスから始まり、最後は辺境での幸せなスローライフへ。一途な騎士と健気な薬師の、運命のBLファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる