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61. 足早に歩くんです

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 合図と共に一斉に輪が裏山目掛けて突進とも言えるべき速度で駆けっていきます。

「焦らず先頭の跡をしっかりと行くでいいかな?」

 とレイドリークス様が言ったので、私達は第一陣が行ったくらいから陣形を組みつつ鬱蒼と生い茂る雑草の直中へと、向かって行くことにしました。
 見ると前方左側の人気が比較的少ない様子です。
 彼も気付いたらしく、後方の私とコッツオ様に振り向き様、

「向かって左側が手薄のようだ。そこから探そうと思う。他に案があれば言ってほしい」

 と、聞いてきました。
 私に否はありませんのでそう答えます。

「そ、そそそれで、いい、です」

 コッツオ様も異論はないようで了承なさいました。
 前衛お二人はレイドリークス様と視線でやり取りしていたらしく、否もなくお二人で何だかキャッキャとおしゃべりをしているようです。
 え、そんなに余裕なんですか?!?!
 これまでそんな光景を見たことがなかったので、思わずびっくりしてそっちを凝視してしまいました。
 ってレイドリークス様まで会話に参加してらっしゃいますか?!?!

 しかも恐ろしいことに、周りへの警戒も一切解いていらっしゃいません。

「……す、すすすごすぎ……」

 足早に歩きながら、コッツオ様が思わずといった感じで呟きました。
 私も、同感です。
 レベルの高さに思わず唸っています。
 私も、実力を出し切るわけにはいきませんが、無様な真似はできません。
 改めてそう思い、気合を入れ直しました。

 そうこうしているうちに、私達は演習場の最初のエリアである雑草生い茂る場所を抜け、いよいよ木々の鬱蒼と生い茂るエリアへと差し掛かったちょうどその時。

 奥の方で「きゃー!!」という悲鳴が上がりました。
 それと同時に、先生への救援信号である赤い魔法光がどんよりとした空に輝きます。
 暫くすると今度は青色の魔法光、先生が救援に訪れた合図です。

 一グループ脱落したのを知り、改めてこの大規模演習一筋縄ではいかない、と感じました。
 私達はなおも周りを警戒しつつ、探索しながら歩を進めていきます。

「諸先輩方! ここぬかるみどころか少し沈むかもしれません、迂回を提案します!」

 突然、トーモリエ様が声を上げました。
 足元を見ると、確かに、少し沈んでいるような感じがします。
 周りを見渡すとそれぞれの足も少し取られているようでした。
 慌ててきた道――とはいえ獣道ですらないと追ってきた場所、という意味ですが――へと戻ります。

「あ、わわっ」

 と、コッツオ様が思いっきり足を取られてしまったようで、見るとくるぶし近くまで埋まってしまっていました。
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