踏み台令嬢はへこたれない

三屋城衣智子

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一章

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 それから数日して、演習当日がやってきた。
 今日わたくしたちの学年の授業は、夕方から夜にかけて行われるデビュタント演習のみになっている。
 午前から午後にかけて、各々支度に時間がかかるからだ。

 普段は門限などあって夜の華やかな街を全く知らない生徒達は、今日だけは特別に夜の外出ができると、昨日の時点で皆うきうきしていた。

 わたくしも、実はそんな生徒達のうちの一人である。
 なんといっても贈られたドレスが、凄かった。

 実はクリスが選んでくれたーーという上から下へ、水色から段々深い青になっているこのドレスは、パフ・スリーブの袖に、鎖骨と肩甲骨辺りが開いてはいるけれど背にはシフォン生地が充ててあって華美ではなく。
 スカート部分は薄布が幾重にもなって広がっており、後ろの腰からは共布のシフォン生地でドレープがたっぷりとしていた。
 裾には銀糸で刺繍がしてあり、その合間には、ガラスビーズも縫い付けてあってきらきらと光を反射している。

「ため息が出そうなほど、綺麗なドレスだわ。クリスは趣味が良いのね」

 ドレスに着られてしまわないかしら。

 気持ちが少し負けかけていると、アンナが今日使う宝飾品を持って来てくれた。

「お嬢様、本日はこの首飾りと耳飾り、髪飾りはこちらでございます」
「ありがとうアンナ。ではこれに合わせて髪をアップにしてくれるかしら」
「承知いたしました」

 いつもは真っ直ぐな髪をそのまま下ろしただけだが、せっかくのドレスなので合わせて少しでも華やかにしたいのが、乙女心である。
 後ろ髪は編み込んで結い上げ、耳横の髪は少しだけ出して巻かれていった。

 支度が終わると、ちょうどケンウィットが迎えに来たと知らせが来た。
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