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第九十二話 あなたにそこまで思ってもらえる資格はあるのでしょうか?
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(ラウル様が断る道を選べないのなら、私も覚悟を決めるしかない…)
皇女様もさまざまに考えた結果、帝位につくことを決めたのだろうけど、それを得るためにはたくさんのハードルを越える必要がある。
ラウル様が皇軍をまとめれば、皇女様が帝位に就いた後の政治の混乱はある程度避けられる。
だからきっと、帝国のためを思えば、それが一番の選択だったのだろう。
原作の「聖皇女リリア」では、リリア皇女が帝位に就いたところで物語は終わっている。
その後の物語は詳しく描かれてはいないから、どうなったのかは想像するしかないのだけれど…。
(先代皇帝が亡くなってからの皇軍や貴族の腐敗は同じだったはずだから…順調に国をまとめあげられることができたのかどうかは疑問が残る…)
読者としては、リリア皇女が先導してあらゆる困難を乗り越えていく展開を希望するけど。
でも、必ずしもそうでなかった可能性はあるだろう。
皇位継承争いから外された残りの3つの公爵家が結託すれば、政局は簡単にひっくり返せる可能性もある。
それなら…これは帝国が衰退の道をたどらないために必要な犠牲?
でも、ラウル様だけが犠牲になるのも、何か違う気がする。
(どうすれば…)
考えても考えても、結論は出せそうになかった。
そもそもこれは、私の問題ではなく、ラウル様の問題で…。
出した結果によって、一番影響を受けるのもラウル様自身だから…。
(それなら私は…)
「このことは、ラウル様の今後の生き方に関わる問題です。私はラウル様が決められたことに従います」
「そうではなくて…あなたがどうしたいかを聞きたいのです」
ラウル様が私の意見を尊重してくれようとするのは、私が受ける影響の大きさを考えてのことだろう。
でも、私がどの選択肢を選んでも、実際に受ける影響の大きさはそれほど変わらない。
それなら、私が言えることは、それほど多くは無かった。
「私自身はどの道を選んでも、傷つくし後悔もするだろうし、大変だろうと思います。だからどうせなら、ラウル様が選んだ道を、一緒に行きたいです。どんな選択をされても、ずっと側にいます」
「しかし…」
「愛する人が選んだ道で一緒に苦労するなら、それが私にとって一番後悔しない道だと思います」
ラウル様はしばらく沈黙した。
「私は…あなたにそこまで思ってもらえる資格はあるのでしょうか?」
この人には、分かりやすいほどはっきり言わないといけない…とこれまでの経験で学んだ。
そうしないと、簡単に自分を粗末にして相手が負担を負わない道を選んでしまう。
「資格とかそんなことじゃないです。私はラウル様のことが大好きです。愛しています。だから、一緒に生きる道を選びたい。ただそれだけです」
ラウル様の手がためらいがちに伸びてきて、私の体を引き寄せた。
「ありがとうございます……」
「ラウル様は…どうしたいですか?」
「皇女は、皇帝になりたいわけではないと言いました。ただ、女帝が認められないことによって起こる悲劇は終わりにしたいと」
「皇女様らしい考え方だと思います」
原作小説を読んでいたからというのもあるけれど。
皇女様の性格や言葉の端々から、私も感じていた。
皇女様はこの国を守るためにそれしかないと感じたから、困難を覚悟で帝位につくことを選んだのだろう。
「二度と同じような悲劇を起こしたくないという気持ちは同じです。もうこれ以上、皇位継承のために人が死ぬのは馬鹿馬鹿しいと思います。ただ…そこにあたなを巻き込んでしまうことが辛いです…」
「さっきも言いましたが、私は…ラウル様が選んだ道を、一緒に進んでいきたいです。だから、巻き込むなんて考えはやめてください。私が望んでいることなのですから」
「あなたには、本当に大変な思いをさせてしまうと思います」
「望むところです」
怖くないといえば、嘘になる。
でも、私にとって一番大切なのは、ラウル様を守り、支えていくことだ。
(本当に…心からこの人を好きになってしまったから)
「私にできることは限られていますが、どんなことがあっても、ずっと側にいます。だから安心して、ご自身が決めたことをなさってください。きっと、ラウル様が側で支えてくれれば、皇女様も心強いと思いますし」
「私も皇女も流れる血に逆らえないという点で似ています。話をしてみて、それを感じました」
流れる血…。
私には想像も付かないけれど。
国を支えてきた血筋というものは、DNAを通して常に何かを訴えかけているのかもしれないと思った。
(ラウル様は…先代皇帝の孫でもあるし…)
「実はもう1つ、お話しなければならないことがあります」
「どうぞ。話してください」
「私の目が見えなくなったのは魔女の呪いではありません。魔女と契約した代償です」
「え……」
ラウル様の目が見えないのは魔女の呪いではなく、魔女と契約した代償…?
私は少し混乱した。
(そういえば、皇女様の手紙に書いてあった。魔法は、契約と代償だと…)
ラウル様は目を代償として差し出した代わりに、何を得たのか…そう考えて、私はすぐに気がついた。
「だから、カイルの命が助かったのですね…」
「そうです…」
そう答えてから、少し沈黙があった。
「私自身が魔女に代償として差し出したので、この先も目が見えるようになることはありません。その方法もありません」
「そう…ですか…」
ラウル様の話を聞き、私は少し悲しい気持ちになった。
何となく…呪いを解く方法があって、いつかラウル様の目が見えるようになるんじゃないかと思っていた。
だけど、ラウル様はカイルの命を助ける代償として魔女に目を差し出した。
だからこの先も、見えることはない。
それはとても残酷な現実だった。
「皇女から、あなたが魔女の呪いについて調べてくれていると聞きました。そういう事情なので、もう調べてもらわなくても大丈夫です」
「確かに呪いの件は、調べてもラウル様の目が見えることに繋がらないかもしれません。ただ、5年前の事件の犯人を見つけることには繋がります。だからもう少し私に魔女のことを調べさせてください」
「分かりました。ただ、危険だと思ったらすぐに手を引いてください」
「はい、もちろんです。心配はかけないようにします」
ラウル様は私を抱きしめる腕に力を込めた。
「あなたが私の妻になってくれて…本当に良かったと思っています」
「ラウル様…」
「たぶん…あなたがいなければ、私はただ血筋という鎖に繋がれただけの囚人になっていたと思います」
その言葉に、胸が締め付けられるような気持ちになる。
彼の孤独と、背負ってきたものの重さが痛いほど伝わってきたから…。
「私もラウル様の妻になれて良かったです…ずっとなかった居場所を、ラウル様が作ってくれました」
私はシャーレットという人生でも、前世でも、自分の居場所がなかった。
だけど、ラウル様が私の居場所を作ってくれた。
ここにいてもいいんだと思える安心感…。
どちらからともなく求め合って唇が重なった。
はしたないとか恥ずかしいとか、そういう気持ちはすぐに遠くに行ってしまった。
ただ夢中になって、ラウル様を求めた。
皇女様もさまざまに考えた結果、帝位につくことを決めたのだろうけど、それを得るためにはたくさんのハードルを越える必要がある。
ラウル様が皇軍をまとめれば、皇女様が帝位に就いた後の政治の混乱はある程度避けられる。
だからきっと、帝国のためを思えば、それが一番の選択だったのだろう。
原作の「聖皇女リリア」では、リリア皇女が帝位に就いたところで物語は終わっている。
その後の物語は詳しく描かれてはいないから、どうなったのかは想像するしかないのだけれど…。
(先代皇帝が亡くなってからの皇軍や貴族の腐敗は同じだったはずだから…順調に国をまとめあげられることができたのかどうかは疑問が残る…)
読者としては、リリア皇女が先導してあらゆる困難を乗り越えていく展開を希望するけど。
でも、必ずしもそうでなかった可能性はあるだろう。
皇位継承争いから外された残りの3つの公爵家が結託すれば、政局は簡単にひっくり返せる可能性もある。
それなら…これは帝国が衰退の道をたどらないために必要な犠牲?
でも、ラウル様だけが犠牲になるのも、何か違う気がする。
(どうすれば…)
考えても考えても、結論は出せそうになかった。
そもそもこれは、私の問題ではなく、ラウル様の問題で…。
出した結果によって、一番影響を受けるのもラウル様自身だから…。
(それなら私は…)
「このことは、ラウル様の今後の生き方に関わる問題です。私はラウル様が決められたことに従います」
「そうではなくて…あなたがどうしたいかを聞きたいのです」
ラウル様が私の意見を尊重してくれようとするのは、私が受ける影響の大きさを考えてのことだろう。
でも、私がどの選択肢を選んでも、実際に受ける影響の大きさはそれほど変わらない。
それなら、私が言えることは、それほど多くは無かった。
「私自身はどの道を選んでも、傷つくし後悔もするだろうし、大変だろうと思います。だからどうせなら、ラウル様が選んだ道を、一緒に行きたいです。どんな選択をされても、ずっと側にいます」
「しかし…」
「愛する人が選んだ道で一緒に苦労するなら、それが私にとって一番後悔しない道だと思います」
ラウル様はしばらく沈黙した。
「私は…あなたにそこまで思ってもらえる資格はあるのでしょうか?」
この人には、分かりやすいほどはっきり言わないといけない…とこれまでの経験で学んだ。
そうしないと、簡単に自分を粗末にして相手が負担を負わない道を選んでしまう。
「資格とかそんなことじゃないです。私はラウル様のことが大好きです。愛しています。だから、一緒に生きる道を選びたい。ただそれだけです」
ラウル様の手がためらいがちに伸びてきて、私の体を引き寄せた。
「ありがとうございます……」
「ラウル様は…どうしたいですか?」
「皇女は、皇帝になりたいわけではないと言いました。ただ、女帝が認められないことによって起こる悲劇は終わりにしたいと」
「皇女様らしい考え方だと思います」
原作小説を読んでいたからというのもあるけれど。
皇女様の性格や言葉の端々から、私も感じていた。
皇女様はこの国を守るためにそれしかないと感じたから、困難を覚悟で帝位につくことを選んだのだろう。
「二度と同じような悲劇を起こしたくないという気持ちは同じです。もうこれ以上、皇位継承のために人が死ぬのは馬鹿馬鹿しいと思います。ただ…そこにあたなを巻き込んでしまうことが辛いです…」
「さっきも言いましたが、私は…ラウル様が選んだ道を、一緒に進んでいきたいです。だから、巻き込むなんて考えはやめてください。私が望んでいることなのですから」
「あなたには、本当に大変な思いをさせてしまうと思います」
「望むところです」
怖くないといえば、嘘になる。
でも、私にとって一番大切なのは、ラウル様を守り、支えていくことだ。
(本当に…心からこの人を好きになってしまったから)
「私にできることは限られていますが、どんなことがあっても、ずっと側にいます。だから安心して、ご自身が決めたことをなさってください。きっと、ラウル様が側で支えてくれれば、皇女様も心強いと思いますし」
「私も皇女も流れる血に逆らえないという点で似ています。話をしてみて、それを感じました」
流れる血…。
私には想像も付かないけれど。
国を支えてきた血筋というものは、DNAを通して常に何かを訴えかけているのかもしれないと思った。
(ラウル様は…先代皇帝の孫でもあるし…)
「実はもう1つ、お話しなければならないことがあります」
「どうぞ。話してください」
「私の目が見えなくなったのは魔女の呪いではありません。魔女と契約した代償です」
「え……」
ラウル様の目が見えないのは魔女の呪いではなく、魔女と契約した代償…?
私は少し混乱した。
(そういえば、皇女様の手紙に書いてあった。魔法は、契約と代償だと…)
ラウル様は目を代償として差し出した代わりに、何を得たのか…そう考えて、私はすぐに気がついた。
「だから、カイルの命が助かったのですね…」
「そうです…」
そう答えてから、少し沈黙があった。
「私自身が魔女に代償として差し出したので、この先も目が見えるようになることはありません。その方法もありません」
「そう…ですか…」
ラウル様の話を聞き、私は少し悲しい気持ちになった。
何となく…呪いを解く方法があって、いつかラウル様の目が見えるようになるんじゃないかと思っていた。
だけど、ラウル様はカイルの命を助ける代償として魔女に目を差し出した。
だからこの先も、見えることはない。
それはとても残酷な現実だった。
「皇女から、あなたが魔女の呪いについて調べてくれていると聞きました。そういう事情なので、もう調べてもらわなくても大丈夫です」
「確かに呪いの件は、調べてもラウル様の目が見えることに繋がらないかもしれません。ただ、5年前の事件の犯人を見つけることには繋がります。だからもう少し私に魔女のことを調べさせてください」
「分かりました。ただ、危険だと思ったらすぐに手を引いてください」
「はい、もちろんです。心配はかけないようにします」
ラウル様は私を抱きしめる腕に力を込めた。
「あなたが私の妻になってくれて…本当に良かったと思っています」
「ラウル様…」
「たぶん…あなたがいなければ、私はただ血筋という鎖に繋がれただけの囚人になっていたと思います」
その言葉に、胸が締め付けられるような気持ちになる。
彼の孤独と、背負ってきたものの重さが痛いほど伝わってきたから…。
「私もラウル様の妻になれて良かったです…ずっとなかった居場所を、ラウル様が作ってくれました」
私はシャーレットという人生でも、前世でも、自分の居場所がなかった。
だけど、ラウル様が私の居場所を作ってくれた。
ここにいてもいいんだと思える安心感…。
どちらからともなく求め合って唇が重なった。
はしたないとか恥ずかしいとか、そういう気持ちはすぐに遠くに行ってしまった。
ただ夢中になって、ラウル様を求めた。
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