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小咄
身代わり濃姫(小咄)~信長様に聞いてみよう・参~
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夜になり、美夜が寝室に行くと、今日は珍しく信長が先に来ていた。
何か書物を読んでいるようだったので、美夜は邪魔をしないようにそっと近づいていく。
(そういえば兄様も読書が好きだったのよね……私が好きになる人って読書好きの人が多いのかな……読書好きの人って、何となく知的な感じがするけど……)
そんなことを考えながら信長の読んでいるものをのぞき込んで、美夜はのけぞりそうになった。
「な、な、な、何を読んでおられるのですか!?」
「ん? これは笑い絵だ」
「わ、わ、笑い絵というか、これはエロ本……」
美夜が思わずそう言うと、信長は首をかしげる。
「えろほんとは何だ? そなたのいた世界では笑い絵のことをそう呼ぶのか?」
「そ、そうですが……って、そんなことはどうでも良いです! とにかく不潔です、信長様!」
美夜が顔を真っ赤にして怒るので、信長はますます不思議そうな顔をする。
「笑い絵を見るのが、なぜ不潔なのだ? だいたいこれは戦に持って行くと生き残ることができると言われて縁起の良いものなのだぞ」
「し、知りません! というか……な、なんで今それを読んでいるんですか? せめて隠れて読むとか、布団の下に隠すとか、引き出しの奥に隠すとかしないんですか!?」
「なぜそんなことをしなければならぬのだ?」
「な、なぜと言われても……」
信長の反応があまりにも堂々としたものだったので、美夜は自分が間違っているのだろうかという気持ちになってきた。
これも時代が違うことによる考え方の違いだろうか……美夜はそう思い込もうとしたのだが。
「こういう勉強も大切だろう。何しろ俺は女子はそなたしか知らぬ。そなたをより喜ばせる方法を知るためには、こうした笑い絵で学ぶ必要もあると思うたのだが」
「そ、それはどうも……ありがとうございます……」
どうやら信長は、美夜のために笑い絵を読んでくれているようだと分かり、それはそれで、何となく悪い気持ちではなかった。たとえエロ本を読んでいたのだとしても。
(そ、そうよね……きっと、私の住んでた世界でも、男の子たちはエロ本を読んでそういうことを勉強して大人の階段をのぼっていくのよね……だったら私も……信長様のために少しは勉強したほうが良いのかしら……)
最初は不潔だと言ってしまったことを美夜は反省し、そんなことを考え始めた。
「は……っ……!?」
なぜだか信長が慌てて笑い絵を隠そうとしたので、美夜は首をかしげた。
先ほどまでは堂々と読んでいたのに、いったい何があったのか。
笑い絵は絵巻状になっている。
先ほどまでの絵は問題なかったが、信長にとって問題のある絵が出てきたということなのだろうか。
「どうして隠すのですか、信長様?」
「い、いや、何でもない……」
信長の態度は何でもないというよりは、大いにいろいろありそうに見え、美夜は何を隠したのか知りたいと思った。
「私も信長様と一緒に勉強しようと思います。だからそれを見せてください」
「いや……これはそなたが見なくても良いものだ」
信長の目が泳いでいるのを見て、美夜はますます怪しく感じた。
「私が見てはまずいものだと?」
「そ、そうだな……ある意味まずいというか……まあ、次にまた別のものを持ってきてやるからそれで……」
信長はそう言うが、美夜は信長が後ろ手に隠す笑い絵が気になって仕方がなかった。
(よし、こうなったら……)
「信長様、あそこに鳥が!」
美夜が突然声をあげて部屋の隅を指したので、信長は驚いたように背後を振り返った。
「ど、どこに鳥がいるのだ?」
今だ、と美夜は思い、信長の手から笑い絵を取り上げる。
「あっ、な、何をする……!」
「隙ありですよ、信長様」
美夜は笑って、笑い絵を見てみたのだが……。
「こ、これは……っ……」
そこにはこれまで美夜の想像したことのない行為が描かれてあった。
(お、男の人のあれを……女の人が咥えて舐めてる……!?)
「か、返せ!!」
信長は美夜から笑い絵をひったくると、くるくる巻いて筒のようなものにしまいこんでしまった。
「い、今のは忘れろ!」
「どうしてですか?」
「覚えておく必要のないことだからだ」
信長にしては、あまり理論的ともいえないことを言い、その上に顔が見たこともないぐらいに赤くなっている……。
(もしかして信長様……あの絵みたいなことをして欲しいって思っているのかな……)
信長のいつもとまるで違う態度を見て、美夜はふとそんなことを考えた。
(だって……たぶんああしたら気持ちいいはずよね……うん……)
美夜は男でないから男がどのように気持ち良いのかは分からないが、でも、少し想像力をめぐらせれば、ああすれば気持ちよいだろうということは理解できる。
(信長様に聞いてみようかな……さっきの絵みたいなこと、して欲しいのかどうか……聞いてみないと、信長様の本心は分からないものね……)
「信長様……もしかしてさっきの絵みたいなこと、して欲しいとか思っていたりします?」
美夜が率直に聞いてみると、信長は明らかに慌てた。
「べ、べ、別に……そ、そのようなことは思っておらぬから、もうあれのことは忘れよ」
「……して欲しいんですね?」
「だから……もう忘れよと言うておるのに」
信長は困り果てたように言って、まるですべてそれでごまかそうとするかのように、美夜の唇を強引に塞いでくる。
(もう、素直じゃないんだから……)
いつもよりも熱い信長の唇を受け止めながら、美夜は思った。
(今日はさすがにあれだけど……今度チャンスがあったらしてあげてもいいかな……)
信長に身体を押し倒されながら、美夜はそんなことを考えるのだった。
何か書物を読んでいるようだったので、美夜は邪魔をしないようにそっと近づいていく。
(そういえば兄様も読書が好きだったのよね……私が好きになる人って読書好きの人が多いのかな……読書好きの人って、何となく知的な感じがするけど……)
そんなことを考えながら信長の読んでいるものをのぞき込んで、美夜はのけぞりそうになった。
「な、な、な、何を読んでおられるのですか!?」
「ん? これは笑い絵だ」
「わ、わ、笑い絵というか、これはエロ本……」
美夜が思わずそう言うと、信長は首をかしげる。
「えろほんとは何だ? そなたのいた世界では笑い絵のことをそう呼ぶのか?」
「そ、そうですが……って、そんなことはどうでも良いです! とにかく不潔です、信長様!」
美夜が顔を真っ赤にして怒るので、信長はますます不思議そうな顔をする。
「笑い絵を見るのが、なぜ不潔なのだ? だいたいこれは戦に持って行くと生き残ることができると言われて縁起の良いものなのだぞ」
「し、知りません! というか……な、なんで今それを読んでいるんですか? せめて隠れて読むとか、布団の下に隠すとか、引き出しの奥に隠すとかしないんですか!?」
「なぜそんなことをしなければならぬのだ?」
「な、なぜと言われても……」
信長の反応があまりにも堂々としたものだったので、美夜は自分が間違っているのだろうかという気持ちになってきた。
これも時代が違うことによる考え方の違いだろうか……美夜はそう思い込もうとしたのだが。
「こういう勉強も大切だろう。何しろ俺は女子はそなたしか知らぬ。そなたをより喜ばせる方法を知るためには、こうした笑い絵で学ぶ必要もあると思うたのだが」
「そ、それはどうも……ありがとうございます……」
どうやら信長は、美夜のために笑い絵を読んでくれているようだと分かり、それはそれで、何となく悪い気持ちではなかった。たとえエロ本を読んでいたのだとしても。
(そ、そうよね……きっと、私の住んでた世界でも、男の子たちはエロ本を読んでそういうことを勉強して大人の階段をのぼっていくのよね……だったら私も……信長様のために少しは勉強したほうが良いのかしら……)
最初は不潔だと言ってしまったことを美夜は反省し、そんなことを考え始めた。
「は……っ……!?」
なぜだか信長が慌てて笑い絵を隠そうとしたので、美夜は首をかしげた。
先ほどまでは堂々と読んでいたのに、いったい何があったのか。
笑い絵は絵巻状になっている。
先ほどまでの絵は問題なかったが、信長にとって問題のある絵が出てきたということなのだろうか。
「どうして隠すのですか、信長様?」
「い、いや、何でもない……」
信長の態度は何でもないというよりは、大いにいろいろありそうに見え、美夜は何を隠したのか知りたいと思った。
「私も信長様と一緒に勉強しようと思います。だからそれを見せてください」
「いや……これはそなたが見なくても良いものだ」
信長の目が泳いでいるのを見て、美夜はますます怪しく感じた。
「私が見てはまずいものだと?」
「そ、そうだな……ある意味まずいというか……まあ、次にまた別のものを持ってきてやるからそれで……」
信長はそう言うが、美夜は信長が後ろ手に隠す笑い絵が気になって仕方がなかった。
(よし、こうなったら……)
「信長様、あそこに鳥が!」
美夜が突然声をあげて部屋の隅を指したので、信長は驚いたように背後を振り返った。
「ど、どこに鳥がいるのだ?」
今だ、と美夜は思い、信長の手から笑い絵を取り上げる。
「あっ、な、何をする……!」
「隙ありですよ、信長様」
美夜は笑って、笑い絵を見てみたのだが……。
「こ、これは……っ……」
そこにはこれまで美夜の想像したことのない行為が描かれてあった。
(お、男の人のあれを……女の人が咥えて舐めてる……!?)
「か、返せ!!」
信長は美夜から笑い絵をひったくると、くるくる巻いて筒のようなものにしまいこんでしまった。
「い、今のは忘れろ!」
「どうしてですか?」
「覚えておく必要のないことだからだ」
信長にしては、あまり理論的ともいえないことを言い、その上に顔が見たこともないぐらいに赤くなっている……。
(もしかして信長様……あの絵みたいなことをして欲しいって思っているのかな……)
信長のいつもとまるで違う態度を見て、美夜はふとそんなことを考えた。
(だって……たぶんああしたら気持ちいいはずよね……うん……)
美夜は男でないから男がどのように気持ち良いのかは分からないが、でも、少し想像力をめぐらせれば、ああすれば気持ちよいだろうということは理解できる。
(信長様に聞いてみようかな……さっきの絵みたいなこと、して欲しいのかどうか……聞いてみないと、信長様の本心は分からないものね……)
「信長様……もしかしてさっきの絵みたいなこと、して欲しいとか思っていたりします?」
美夜が率直に聞いてみると、信長は明らかに慌てた。
「べ、べ、別に……そ、そのようなことは思っておらぬから、もうあれのことは忘れよ」
「……して欲しいんですね?」
「だから……もう忘れよと言うておるのに」
信長は困り果てたように言って、まるですべてそれでごまかそうとするかのように、美夜の唇を強引に塞いでくる。
(もう、素直じゃないんだから……)
いつもよりも熱い信長の唇を受け止めながら、美夜は思った。
(今日はさすがにあれだけど……今度チャンスがあったらしてあげてもいいかな……)
信長に身体を押し倒されながら、美夜はそんなことを考えるのだった。
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