身代わり濃姫~若き織田信長と高校生ヒロインが、結婚してから恋に落ちる物語~

梵天丸

文字の大きさ
101 / 109
小咄

身代わり濃姫(小咄)~信長様に聞いてみよう・参~

しおりを挟む
 夜になり、美夜みやが寝室に行くと、今日は珍しく信長が先に来ていた。
 何か書物を読んでいるようだったので、美夜は邪魔をしないようにそっと近づいていく。
(そういえば兄様も読書が好きだったのよね……私が好きになる人って読書好きの人が多いのかな……読書好きの人って、何となく知的な感じがするけど……)
 そんなことを考えながら信長の読んでいるものをのぞき込んで、美夜はのけぞりそうになった。
「な、な、な、何を読んでおられるのですか!?」
「ん? これは笑い絵だ」
「わ、わ、笑い絵というか、これはエロ本……」
 美夜が思わずそう言うと、信長は首をかしげる。
「えろほんとは何だ? そなたのいた世界では笑い絵のことをそう呼ぶのか?」
「そ、そうですが……って、そんなことはどうでも良いです! とにかく不潔です、信長様!」
 美夜が顔を真っ赤にして怒るので、信長はますます不思議そうな顔をする。
「笑い絵を見るのが、なぜ不潔なのだ? だいたいこれは戦に持って行くと生き残ることができると言われて縁起の良いものなのだぞ」
「し、知りません! というか……な、なんで今それを読んでいるんですか? せめて隠れて読むとか、布団の下に隠すとか、引き出しの奥に隠すとかしないんですか!?」
「なぜそんなことをしなければならぬのだ?」
「な、なぜと言われても……」
 信長の反応があまりにも堂々としたものだったので、美夜は自分が間違っているのだろうかという気持ちになってきた。
 これも時代が違うことによる考え方の違いだろうか……美夜はそう思い込もうとしたのだが。
「こういう勉強も大切だろう。何しろ俺は女子おなごはそなたしか知らぬ。そなたをより喜ばせる方法を知るためには、こうした笑い絵で学ぶ必要もあると思うたのだが」
「そ、それはどうも……ありがとうございます……」
 どうやら信長は、美夜のために笑い絵を読んでくれているようだと分かり、それはそれで、何となく悪い気持ちではなかった。たとえエロ本を読んでいたのだとしても。
(そ、そうよね……きっと、私の住んでた世界でも、男の子たちはエロ本を読んでそういうことを勉強して大人の階段をのぼっていくのよね……だったら私も……信長様のために少しは勉強したほうが良いのかしら……)
 最初は不潔だと言ってしまったことを美夜は反省し、そんなことを考え始めた。
「は……っ……!?」
 なぜだか信長が慌てて笑い絵を隠そうとしたので、美夜は首をかしげた。
 先ほどまでは堂々と読んでいたのに、いったい何があったのか。
 笑い絵は絵巻状になっている。
 先ほどまでの絵は問題なかったが、信長にとって問題のある絵が出てきたということなのだろうか。
「どうして隠すのですか、信長様?」
「い、いや、何でもない……」
 信長の態度は何でもないというよりは、大いにいろいろありそうに見え、美夜は何を隠したのか知りたいと思った。
「私も信長様と一緒に勉強しようと思います。だからそれを見せてください」
「いや……これはそなたが見なくても良いものだ」
 信長の目が泳いでいるのを見て、美夜はますます怪しく感じた。
「私が見てはまずいものだと?」
「そ、そうだな……ある意味まずいというか……まあ、次にまた別のものを持ってきてやるからそれで……」
 信長はそう言うが、美夜は信長が後ろ手に隠す笑い絵が気になって仕方がなかった。
(よし、こうなったら……)
「信長様、あそこに鳥が!」
 美夜が突然声をあげて部屋の隅を指したので、信長は驚いたように背後を振り返った。
「ど、どこに鳥がいるのだ?」
 今だ、と美夜は思い、信長の手から笑い絵を取り上げる。
「あっ、な、何をする……!」
「隙ありですよ、信長様」
 美夜は笑って、笑い絵を見てみたのだが……。
「こ、これは……っ……」
 そこにはこれまで美夜の想像したことのない行為が描かれてあった。
(お、男の人のあれを……女の人がくわえて舐めてる……!?)
「か、返せ!!」
 信長は美夜から笑い絵をひったくると、くるくる巻いて筒のようなものにしまいこんでしまった。
「い、今のは忘れろ!」
「どうしてですか?」
「覚えておく必要のないことだからだ」
 信長にしては、あまり理論的ともいえないことを言い、その上に顔が見たこともないぐらいに赤くなっている……。
(もしかして信長様……あの絵みたいなことをして欲しいって思っているのかな……)
 信長のいつもとまるで違う態度を見て、美夜はふとそんなことを考えた。
(だって……たぶんああしたら気持ちいいはずよね……うん……)
 美夜は男でないから男がどのように気持ち良いのかは分からないが、でも、少し想像力をめぐらせれば、ああすれば気持ちよいだろうということは理解できる。
(信長様に聞いてみようかな……さっきの絵みたいなこと、して欲しいのかどうか……聞いてみないと、信長様の本心は分からないものね……)
「信長様……もしかしてさっきの絵みたいなこと、して欲しいとか思っていたりします?」
 美夜が率直に聞いてみると、信長は明らかに慌てた。
「べ、べ、別に……そ、そのようなことは思っておらぬから、もうあれのことは忘れよ」
「……して欲しいんですね?」
「だから……もう忘れよと言うておるのに」
 信長は困り果てたように言って、まるですべてそれでごまかそうとするかのように、美夜の唇を強引に塞いでくる。
(もう、素直じゃないんだから……)
 いつもよりも熱い信長の唇を受け止めながら、美夜は思った。
(今日はさすがにあれだけど……今度チャンスがあったらしてあげてもいいかな……)
 信長に身体を押し倒されながら、美夜はそんなことを考えるのだった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

元彼にハメ婚させられちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
元彼にハメ婚させられちゃいました

処理中です...