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第一章
身代わり濃姫(11)
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光秀が那古野城へやって来てからおよそ十日。
信長のいる那古野城と道三のいる鷺山城を双方の使者が慌ただしく何度か行き交った。
そして、織田家、斉藤家の同盟をさらに強いものとするため、双方の家臣を数名ずつ交換するという協定が結ばれた。
帰蝶の嫁入りは織田側の強い要望によるものだったが、今回の協定は双方から持ち上がり、結ばれたものだった。
織田側からは当主の信秀の家臣から数名が美濃へ行き、斉藤側からは家臣ではなかったが今回のために急遽家臣という体裁を整えた光秀とほか数名が尾張へやって来ることになった。
光秀を求めたのは信長だったが、光秀のほうもまた、道三に尾張へ行きたいということをあらかじめ伝えていたのだ。双方の利害が一致したので、今回の協定に難色を示す者はほとんどなかった。
美濃からやって来た斉藤家の他の家臣たちは皆、当主である信秀のほうへ行ったが、光秀だけは信長の配下に収まることになった。
信長は帰蝶に続き、欲しいものを手に入れたことになる。
光秀が那古野城へやって来てからというもの、信長の機嫌はすごぶる良かった。
信長には父がつけてくれた家臣が幾人もいるが、すべてまったく信用していないのだという。おそらく、光秀が初めて信長にとって信用に値する家臣となったようだった。
「光秀は良い。ああいう男を俺は探しておったのだ」
そんなことを言いながら、美夜より少し遅れて信長が寝室に入ってきた。
「それは良かったですね」
「うむ。良かった」
「光秀殿なら、信長様も安心して信頼できますか?」
「そうだな。信頼したい。そなたはどう思う? いとことして、光秀は信頼に値する男か?」
「……ええ、もちろんです」
美夜としてはそう答えるしかなかった。
まさかここで、美夜の本心を伝えるわけにはいかない。
美夜の心境は複雑だった。
(あの人はいずれ信長を殺す人……裏切る人……でも、そんなことはとても言えないし……)
しかし、それまでは忠実な家臣として織田家の発展に尽くしたという側面もあったはずだ。
だから信長にとって、今はこれで良いのかもしれないが……。
「そなたもいとこが近くにおって心強いであろう?」
「そうですね。でも、私には各務野というもっとも心強い味方がいつも傍にいますから」
それは美夜の偽りのない本心だった。
光秀の存在は兄との間をつなぐ者として心強いが、どんな時にも美夜の頼りになる存在は、今は各務野以上の者はいないといえる。
同じ女性なので、さまざまなことを話しやすいということもあるし、何より各務野はこの世界に美夜が呼び出されてから、もっとも長く一緒にいる存在なのだ。
それに、いざという時に美夜が殺されれば、各務野も共に殺される。ある意味で運命共同体のような部分もあった。
「そうだな。各務野は良い侍女だ。いつもそなたのことを思うておる」
「はい。本当にありがたい存在です」
「俺も各務野がそなたのそばにいると思うと、安心できる」
すでに那古野城に入った光秀とは、幾度か言葉を交わしたが、大切な要件はすべて各務野を通してもらっている。
美夜は信長の正室である以上、余計な疑いをかけられないため、というのが各務野の意見だし、美夜もその意見に賛成だった。
信長は織田家の中のほとんどの者が、自分に敵対する可能性があると判断している。ならば、美夜に関してあることないこと噂を立て、信長に進言して惑わせる者が出てきても、まったくおかしくはない。
それに、何より美夜自身が光秀を完全に信用することができないという問題もあった。
兄が信頼を寄せているので信頼したいところではあるが、今はまだ心を許せるところまではいかない。
美夜の知る史実では、信長の家臣でありながら、信長を裏切る人物だということも影響しているのかもしれないが。
光秀を素直に信用できない自分の気持ちがいったい何によるものなのか、美夜はまだ分析できていなかった。
(明智光秀……あの人の目的はいったい何なのだろう……)
光秀を通して、兄の今の状況なども美夜は知ることができている。雪春がいつか美夜を救い出す日のために剣や乗馬の稽古を始めたことなども、光秀がいなければ、こんなにも早く、そして正確に知ることはできなかっただろう。
そのことに感謝する一方で、光秀を完全に信用できない自分……。それどころか、彼に対して猜疑心のようなものを抱いているような自覚さえある。
「帰蝶……」
背後から信長に抱きしめられ、美夜ははっとする。
一度美夜が過労で倒れて以降、信長に求められる回数はかなり減った。
それに、疲れて体調が良くないときなどはやんわりと断るが、その時も信長は嫌な顔をしたり、強引に事を進めようなどとはしたりしない。きちんと受け入れてくれるのだ。
だからこそ、今夜のように体調も悪くもなく、連続して求められたわけでもない時には、断ることはしにくい状況だった。
(本当はもっと光秀のこと……兄様のことをゆっくり考えたいけれど……)
美夜がゆっくりと自分のことを考えられるのは、夜の時間だけなのだ。しかし、今夜は無理そうだった。
信長の抱きしめる腕の力が強くなってくるのを感じながら、美夜は諦めて目を閉じる。
信長の唇がすぐに重なってくる。
「ん、ぅ……ん、ふ……ぁ……っ……」
こうして接吻をするのも五日ぶりだ。
このところは互いに忙しく、信長が気を遣ってくれていたこともあるのだろうが、夜は一緒に布団に入って眠るだけという日々が続いていた。
だからだろうか……今日の信長の身体はいつも以上に熱く感じる。
荒々しく身体をまさぐられているうちに、美夜の身体も火がともったように熱くなり始める。
信長はどうやら今が成長期のようで、初めて会ったときよりも背丈も少し伸び、腕や足も逞しくなってきているように感じる。
少年から男へと変化する信長の成長をもっとも実感するのは、こうして抱かれているときだった。
覆い隠すものもなく晒されたその身体は、日ごとにたくましさを増している気がする。
そして、美夜自身も、自分がもう少女ではなく、女であることを自覚する。
「ん、ぁ……んっ、信長……さ……ぁっ、んんっ……」
信長に触れられるたび、舌で肌をくすぐられるたび、身体がしびれ、熱くなっていく感覚。
自分の身体にこのような感覚があるなどとは、美夜は信長を通して初めて知った。
好きだから嫌いだからではなく、これが夫婦として成すべきことだからする……美夜はそう自分に言い聞かせているが、それでも身体は信長を受け入れることを決して嫌がっていない。
むしろ、待ち望んでいるのではないかと思うこともあるほどだった。
「あ、ぁ……ん、く……ぁ、はぁ……っ……んんっ……」
こんな声が自分の口から出るなんて……と、どこか冷静な頭で美夜は思うことがある。
鼻にかかったような……何だかとてもエロティックな声……こんなのはアダルトビデオに出ているような人が出す声だと思っていたけれど。
でも、気がつけば美夜はそんなエロティックな声を出して喘いでしまっているのだ。
「ん、ふ……んんっ、ぁ、は……ぁ、んっ、ぁっ……」
信長が足の間に手を伸ばし、あの場所に触れてくる。
ぴくんと美夜の身体が少し硬直してしまう。
けれども、嫌だとか怖いとかだからではない。
そこを触られると、自分の身体が熱く蕩けそうになってしまうことをよく分かっているからだ。
信長の指の動きに合わせるかのように、濡れた音が響いているのが美夜にも聞こえる。
「んっ、ぁっ、ぁんっ……ん、く……ぁっ、んっ……」
そこを触れられると、とたんに身体の力が抜けてしまい、情けないほどに声が出てしまう。
けれども、信長のあれで身体に貫かれたときのほうが、もっとすごいことも美夜はもう知っている。
だから、敏感なところを弄られながらも、早く信長のものを入れて欲しいと焦れた気持ちになってしまうのだ。
「あ、ぁ……ん、んぅっ、ふ……ぁっ、は、ぁっ……」
身体が自然と動きそうになり、それを止めようとして信長の身体にしがみつく。
信長は美夜の唇に接吻し、すっかり熱くなった美夜の身体をさらに熱くさせるために、手や足で肌に触れてくる。
「んぅっ、は……ぁっ、んっ、くぅ……んっふぅ……」
互いに手も足も絡ませあうと、信長の身体の熱がよりいっそう伝わってくる。
(今日はいつも以上に熱い……)
やはり五日ぶりともなると、身体も興奮してしまうのかもしれない。信長の熱に当てられたからでもないだろうが、美夜の身体もいつも以上に熱くなっていた。
「ん、ふ……ぁっ、ん、く……ふ……ぁ……ん……」
そろそろ準備も整ったと判断したのか、信長は接吻を解き、自らのものをさらけ出して美夜の熱く濡れた入り口へとあてがう。
そして、もう我慢の限界だ、とでもいうように、一気にそれで美夜の身体をずぶりと貫いてきたのだ。
「ああぁっ! あっ、あ、はぁっ、ぁぁっ!!」
美夜の唇から、思わず悲鳴のような声が漏れてしまう。
待ち焦がれていたものがようやく与えられ、満たされていく感覚……。
信長が動き出すと、さらにその感覚は鮮明となり、美夜の呼吸を速め、唇からは艶めいた声が漏れてしまう。
「あ、ふ……ぁっ、んっ、あ、ぁっ、あぁぁっ……」
信長の呼吸も速く、荒い息づかいが美夜の耳元をくすぐる。
信長も興奮しているのだと思うと、美夜の身体はさらに熱を増していく。
「あ、んっ、ぁっ、信長……様……っ……あ、んっ……」
「帰蝶……っ……」
信長のものが、深く強く美夜の身体を貫き続ける。
身体の中に他人が入っているという感覚に最初は慣れることができなかったが、今はそれが快楽を伴うことであることを学んでいる。
だから、身体がむしろそれを望んでいるように美夜は感じてしまうことがあった。
「ん、ぁんっ、あ、ぁっ、は……ぁっ、あぁ……っ……」
信長が出入りするたび、美夜の唇からは声が漏れてしまう。
それを止めようとしても、気がつけばまた声を出して喘いでしまっているのだ。
「あ、んっ、んんっ……ぁ、は……あ、ぁ……んんっ……」
信長の動きが激しさを増して行くにつれ、美夜の思考はおぼつかなくなってくる。
身体の全神経が、与えられる快楽に反応して、他の感覚は遠ざかっていくようだった。
「あ、ぁっ、あぁっ……はぁ、んっ、ふ……ぁぁっ!」
「う、く……帰蝶……っ……」
信長自身も、限界が近づいてきているようだった。
その動きはさらに激しさを増し、苦しげな息づかいとともに、ある一点を目指して駆け上がり続ける。
「あぁっ、んっ、ぁ、あっ、ぁぁっ、はぁっ……!」
美夜もその時が近づいてきているのを感じていた。
信長の汗が美夜の身体に滴り落ちる。
美夜の身体もうっすらと汗をかいていた。
今日は本当に身体が燃えるように熱い……。
「あ、んっ、んっふ……ぁっ、はぁっ、信長様……っ……」
「帰蝶……っく……そろそろだ……っ……」
信長が限界を伝え、美夜の身体の最奥を続けざまに突き上げる。
信長の呻くような声が聞こえたその瞬間……美夜もまた声をあげていた。
「あぁぁっ! あっ、ぁっ、あぁぁ!」
二人はほぼ同時に達し、やがてその身体を脱力させる。
信長は激しく乱れた呼吸を整えるのももどかしげに、美夜の唇に接吻してくる。
美夜もそれを受け止め、しばらく行為の余韻に浸っていた。
「ん、ふ……ぁ、んっ、く……んっふ……ぅ……」
信長は美夜の唇を、まるで名残を惜しむように吸った。
やがて接吻を解いた信長は、美夜の手を握りしめたまま仰向けになった。
「そなたをいつまでも抱いていたいと思うてしまうが……俺とそなたとでは体力が違うからな……」
「そう……ですね……信長様は体力がありすぎます……」
どうやら信長は、美夜の身体が持つなら、まだ何度でもしたいと考えているようだった。
しかし、美夜としては今夜の役目は果たしたという思いもあったし、昼間の仕事の疲れもあって、そろそろ眠気の限界だった。
「すみません……眠くて……」
美夜が正直に告げると、信長の笑う気配がする。
「気にせずとも良い。眠いのなら眠れば良い」
「はい……」
信長が身体を横向け、腕を伸ばして美夜の身体を包み込むようにする。
「もう何もせぬ。安心して寝ろ」
信長の言葉の最後は、ほとんど聞き取れなかった。
信長の身体の温もりに誘われるようにして、美夜は深い眠りに落ちていった。
信長のいる那古野城と道三のいる鷺山城を双方の使者が慌ただしく何度か行き交った。
そして、織田家、斉藤家の同盟をさらに強いものとするため、双方の家臣を数名ずつ交換するという協定が結ばれた。
帰蝶の嫁入りは織田側の強い要望によるものだったが、今回の協定は双方から持ち上がり、結ばれたものだった。
織田側からは当主の信秀の家臣から数名が美濃へ行き、斉藤側からは家臣ではなかったが今回のために急遽家臣という体裁を整えた光秀とほか数名が尾張へやって来ることになった。
光秀を求めたのは信長だったが、光秀のほうもまた、道三に尾張へ行きたいということをあらかじめ伝えていたのだ。双方の利害が一致したので、今回の協定に難色を示す者はほとんどなかった。
美濃からやって来た斉藤家の他の家臣たちは皆、当主である信秀のほうへ行ったが、光秀だけは信長の配下に収まることになった。
信長は帰蝶に続き、欲しいものを手に入れたことになる。
光秀が那古野城へやって来てからというもの、信長の機嫌はすごぶる良かった。
信長には父がつけてくれた家臣が幾人もいるが、すべてまったく信用していないのだという。おそらく、光秀が初めて信長にとって信用に値する家臣となったようだった。
「光秀は良い。ああいう男を俺は探しておったのだ」
そんなことを言いながら、美夜より少し遅れて信長が寝室に入ってきた。
「それは良かったですね」
「うむ。良かった」
「光秀殿なら、信長様も安心して信頼できますか?」
「そうだな。信頼したい。そなたはどう思う? いとことして、光秀は信頼に値する男か?」
「……ええ、もちろんです」
美夜としてはそう答えるしかなかった。
まさかここで、美夜の本心を伝えるわけにはいかない。
美夜の心境は複雑だった。
(あの人はいずれ信長を殺す人……裏切る人……でも、そんなことはとても言えないし……)
しかし、それまでは忠実な家臣として織田家の発展に尽くしたという側面もあったはずだ。
だから信長にとって、今はこれで良いのかもしれないが……。
「そなたもいとこが近くにおって心強いであろう?」
「そうですね。でも、私には各務野というもっとも心強い味方がいつも傍にいますから」
それは美夜の偽りのない本心だった。
光秀の存在は兄との間をつなぐ者として心強いが、どんな時にも美夜の頼りになる存在は、今は各務野以上の者はいないといえる。
同じ女性なので、さまざまなことを話しやすいということもあるし、何より各務野はこの世界に美夜が呼び出されてから、もっとも長く一緒にいる存在なのだ。
それに、いざという時に美夜が殺されれば、各務野も共に殺される。ある意味で運命共同体のような部分もあった。
「そうだな。各務野は良い侍女だ。いつもそなたのことを思うておる」
「はい。本当にありがたい存在です」
「俺も各務野がそなたのそばにいると思うと、安心できる」
すでに那古野城に入った光秀とは、幾度か言葉を交わしたが、大切な要件はすべて各務野を通してもらっている。
美夜は信長の正室である以上、余計な疑いをかけられないため、というのが各務野の意見だし、美夜もその意見に賛成だった。
信長は織田家の中のほとんどの者が、自分に敵対する可能性があると判断している。ならば、美夜に関してあることないこと噂を立て、信長に進言して惑わせる者が出てきても、まったくおかしくはない。
それに、何より美夜自身が光秀を完全に信用することができないという問題もあった。
兄が信頼を寄せているので信頼したいところではあるが、今はまだ心を許せるところまではいかない。
美夜の知る史実では、信長の家臣でありながら、信長を裏切る人物だということも影響しているのかもしれないが。
光秀を素直に信用できない自分の気持ちがいったい何によるものなのか、美夜はまだ分析できていなかった。
(明智光秀……あの人の目的はいったい何なのだろう……)
光秀を通して、兄の今の状況なども美夜は知ることができている。雪春がいつか美夜を救い出す日のために剣や乗馬の稽古を始めたことなども、光秀がいなければ、こんなにも早く、そして正確に知ることはできなかっただろう。
そのことに感謝する一方で、光秀を完全に信用できない自分……。それどころか、彼に対して猜疑心のようなものを抱いているような自覚さえある。
「帰蝶……」
背後から信長に抱きしめられ、美夜ははっとする。
一度美夜が過労で倒れて以降、信長に求められる回数はかなり減った。
それに、疲れて体調が良くないときなどはやんわりと断るが、その時も信長は嫌な顔をしたり、強引に事を進めようなどとはしたりしない。きちんと受け入れてくれるのだ。
だからこそ、今夜のように体調も悪くもなく、連続して求められたわけでもない時には、断ることはしにくい状況だった。
(本当はもっと光秀のこと……兄様のことをゆっくり考えたいけれど……)
美夜がゆっくりと自分のことを考えられるのは、夜の時間だけなのだ。しかし、今夜は無理そうだった。
信長の抱きしめる腕の力が強くなってくるのを感じながら、美夜は諦めて目を閉じる。
信長の唇がすぐに重なってくる。
「ん、ぅ……ん、ふ……ぁ……っ……」
こうして接吻をするのも五日ぶりだ。
このところは互いに忙しく、信長が気を遣ってくれていたこともあるのだろうが、夜は一緒に布団に入って眠るだけという日々が続いていた。
だからだろうか……今日の信長の身体はいつも以上に熱く感じる。
荒々しく身体をまさぐられているうちに、美夜の身体も火がともったように熱くなり始める。
信長はどうやら今が成長期のようで、初めて会ったときよりも背丈も少し伸び、腕や足も逞しくなってきているように感じる。
少年から男へと変化する信長の成長をもっとも実感するのは、こうして抱かれているときだった。
覆い隠すものもなく晒されたその身体は、日ごとにたくましさを増している気がする。
そして、美夜自身も、自分がもう少女ではなく、女であることを自覚する。
「ん、ぁ……んっ、信長……さ……ぁっ、んんっ……」
信長に触れられるたび、舌で肌をくすぐられるたび、身体がしびれ、熱くなっていく感覚。
自分の身体にこのような感覚があるなどとは、美夜は信長を通して初めて知った。
好きだから嫌いだからではなく、これが夫婦として成すべきことだからする……美夜はそう自分に言い聞かせているが、それでも身体は信長を受け入れることを決して嫌がっていない。
むしろ、待ち望んでいるのではないかと思うこともあるほどだった。
「あ、ぁ……ん、く……ぁ、はぁ……っ……んんっ……」
こんな声が自分の口から出るなんて……と、どこか冷静な頭で美夜は思うことがある。
鼻にかかったような……何だかとてもエロティックな声……こんなのはアダルトビデオに出ているような人が出す声だと思っていたけれど。
でも、気がつけば美夜はそんなエロティックな声を出して喘いでしまっているのだ。
「ん、ふ……んんっ、ぁ、は……ぁ、んっ、ぁっ……」
信長が足の間に手を伸ばし、あの場所に触れてくる。
ぴくんと美夜の身体が少し硬直してしまう。
けれども、嫌だとか怖いとかだからではない。
そこを触られると、自分の身体が熱く蕩けそうになってしまうことをよく分かっているからだ。
信長の指の動きに合わせるかのように、濡れた音が響いているのが美夜にも聞こえる。
「んっ、ぁっ、ぁんっ……ん、く……ぁっ、んっ……」
そこを触れられると、とたんに身体の力が抜けてしまい、情けないほどに声が出てしまう。
けれども、信長のあれで身体に貫かれたときのほうが、もっとすごいことも美夜はもう知っている。
だから、敏感なところを弄られながらも、早く信長のものを入れて欲しいと焦れた気持ちになってしまうのだ。
「あ、ぁ……ん、んぅっ、ふ……ぁっ、は、ぁっ……」
身体が自然と動きそうになり、それを止めようとして信長の身体にしがみつく。
信長は美夜の唇に接吻し、すっかり熱くなった美夜の身体をさらに熱くさせるために、手や足で肌に触れてくる。
「んぅっ、は……ぁっ、んっ、くぅ……んっふぅ……」
互いに手も足も絡ませあうと、信長の身体の熱がよりいっそう伝わってくる。
(今日はいつも以上に熱い……)
やはり五日ぶりともなると、身体も興奮してしまうのかもしれない。信長の熱に当てられたからでもないだろうが、美夜の身体もいつも以上に熱くなっていた。
「ん、ふ……ぁっ、ん、く……ふ……ぁ……ん……」
そろそろ準備も整ったと判断したのか、信長は接吻を解き、自らのものをさらけ出して美夜の熱く濡れた入り口へとあてがう。
そして、もう我慢の限界だ、とでもいうように、一気にそれで美夜の身体をずぶりと貫いてきたのだ。
「ああぁっ! あっ、あ、はぁっ、ぁぁっ!!」
美夜の唇から、思わず悲鳴のような声が漏れてしまう。
待ち焦がれていたものがようやく与えられ、満たされていく感覚……。
信長が動き出すと、さらにその感覚は鮮明となり、美夜の呼吸を速め、唇からは艶めいた声が漏れてしまう。
「あ、ふ……ぁっ、んっ、あ、ぁっ、あぁぁっ……」
信長の呼吸も速く、荒い息づかいが美夜の耳元をくすぐる。
信長も興奮しているのだと思うと、美夜の身体はさらに熱を増していく。
「あ、んっ、ぁっ、信長……様……っ……あ、んっ……」
「帰蝶……っ……」
信長のものが、深く強く美夜の身体を貫き続ける。
身体の中に他人が入っているという感覚に最初は慣れることができなかったが、今はそれが快楽を伴うことであることを学んでいる。
だから、身体がむしろそれを望んでいるように美夜は感じてしまうことがあった。
「ん、ぁんっ、あ、ぁっ、は……ぁっ、あぁ……っ……」
信長が出入りするたび、美夜の唇からは声が漏れてしまう。
それを止めようとしても、気がつけばまた声を出して喘いでしまっているのだ。
「あ、んっ、んんっ……ぁ、は……あ、ぁ……んんっ……」
信長の動きが激しさを増して行くにつれ、美夜の思考はおぼつかなくなってくる。
身体の全神経が、与えられる快楽に反応して、他の感覚は遠ざかっていくようだった。
「あ、ぁっ、あぁっ……はぁ、んっ、ふ……ぁぁっ!」
「う、く……帰蝶……っ……」
信長自身も、限界が近づいてきているようだった。
その動きはさらに激しさを増し、苦しげな息づかいとともに、ある一点を目指して駆け上がり続ける。
「あぁっ、んっ、ぁ、あっ、ぁぁっ、はぁっ……!」
美夜もその時が近づいてきているのを感じていた。
信長の汗が美夜の身体に滴り落ちる。
美夜の身体もうっすらと汗をかいていた。
今日は本当に身体が燃えるように熱い……。
「あ、んっ、んっふ……ぁっ、はぁっ、信長様……っ……」
「帰蝶……っく……そろそろだ……っ……」
信長が限界を伝え、美夜の身体の最奥を続けざまに突き上げる。
信長の呻くような声が聞こえたその瞬間……美夜もまた声をあげていた。
「あぁぁっ! あっ、ぁっ、あぁぁ!」
二人はほぼ同時に達し、やがてその身体を脱力させる。
信長は激しく乱れた呼吸を整えるのももどかしげに、美夜の唇に接吻してくる。
美夜もそれを受け止め、しばらく行為の余韻に浸っていた。
「ん、ふ……ぁ、んっ、く……んっふ……ぅ……」
信長は美夜の唇を、まるで名残を惜しむように吸った。
やがて接吻を解いた信長は、美夜の手を握りしめたまま仰向けになった。
「そなたをいつまでも抱いていたいと思うてしまうが……俺とそなたとでは体力が違うからな……」
「そう……ですね……信長様は体力がありすぎます……」
どうやら信長は、美夜の身体が持つなら、まだ何度でもしたいと考えているようだった。
しかし、美夜としては今夜の役目は果たしたという思いもあったし、昼間の仕事の疲れもあって、そろそろ眠気の限界だった。
「すみません……眠くて……」
美夜が正直に告げると、信長の笑う気配がする。
「気にせずとも良い。眠いのなら眠れば良い」
「はい……」
信長が身体を横向け、腕を伸ばして美夜の身体を包み込むようにする。
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