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第4章
葛藤の中で
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翌日、僕たちは作戦決行に向けて最後の準備を整えた。兵士たちは疲れを見せながらも、気持ちを引き締めて戦闘態勢に入った。作戦当日、ローラン侯爵と共に、ベルタン軍は出撃の時を迎えた。
「全軍、進軍開始!」僕の号令と共に、部隊が前進を開始した。敵陣地への進攻は迅速で、補給線を断たれた敵の守りは相対的に弱くなっていた。僕たちは定められた時間に敵陣に到達し、作戦に取り掛かった。
騎士軍と騎馬部隊を先頭に、一気に敵陣へと突入した。補給線が断たれた影響で、敵の防御は思った以上に脆弱で、戦闘は比較的順調に進んだ。ベルタン軍の精鋭たちは、確実に敵の陣地を攻略していった。僕もまた、最前線で指揮を取り奮闘していた。
「前進、前進!敵の抵抗を押し切れ!」僕は叫びながら部隊を導いた。兵士たちは僕の指示に従い、どんどん敵陣の奥に進入していった。敵軍は混乱し、撤退を余儀なくされる場面も多かった。
すると、目の前に馬に跨った、灰色の甲冑に身を包んだ男が現れた。
「その方がそちらの大将か?」男は僕に声をかけてきた。
「大将はローラン侯爵だ。私は副将のシャルル・ベルタン。お主は?」僕は聞き返した。
「我こそは大ザラリア王国軍、大陸西方方面軍司令官の一人、マエル・ルブランだ!」
僕は驚いたが、すぐに心を落ち着けた。「ルブラン司令官、戦局がここまで進行している中で、一騎討ちを挑む理由は?」
「戦局は複雑を極める。だが、今ここで決着をつけることで、互いの力を確かめ合うのもまた一つの戦術だ。」ルブランは剣を引き抜きながら、決意を込めた眼差しを僕に向けた。
僕は深呼吸し、剣を抜いた。「了解した。私とて貴族、正々堂々応じよう。」
周囲の兵士たちが僕たちの対決に注目し、静まり返った。大将や副将同士一騎討ちをする時は、周囲は手を出さないのが礼儀だ。
「行くぞ、シャルル・ベルタン!」ルブランが声を上げ、迅速に剣を振り下ろした。彼の攻撃は力強く、素早い。僕はその攻撃を慎重に受け止めるとともに、反撃のチャンスを伺った。
「来い!」僕は応じながらも、体勢を崩さずにルブランの攻撃を防いだ。彼の剣は正確であり、まさに熟練の技が発揮されていたが、僕も負けじと全力で対応した。
「なかなかの腕前だな。」ルブランが息を整えながら言った。「だが、これで終わりだと思うなよ。」
「同じく。」僕も息を整え、彼に応じた。「最後まで全力を尽くすつもりだ。」
ルブランの攻撃が再開した。彼の一撃一撃が鋭く、正確であり、その動きには戦場での豊富な経験が感じられた。しかし、繰り返しの激しい攻撃により、彼にも疲れが見え始めた。彼の強固な一撃を受け止めると、僕は反撃に出た。
「これで終わりだ!」僕は叫びながら、最後の力を込めて一撃を放った。
ルブランの甲冑がわずかに揺れた瞬間、僕の剣がその隙間を突き、彼の防御を破った。
彼の甲冑が裂け、僕の剣が直撃した。
「ぐあああああああああああ」
ルブランは馬から落ち、地面に甲冑の音が響いた。
ルブランが地面に倒れた状態で苦しんでいる中、 僕は戦場の静けさを感じながら、 彼の元へと歩み寄っ
た。 彼の表情には屈辱と痛みが交錯していたが、その眼差しには依然として貴族の誇りが宿っていた。
「ルブラン司令官、 これ以上の戦いは無意味だ。 降伏するつもりはないのか?」 僕は問いかけたが、彼の返答は血に染まった口からの微かな声だった。
「降伏するつもりはない。 ここで決着をつけろ。」 ルブランは力を振り絞り、 僕を睨みつけた。
僕は深呼吸し、彼の命を終わらせる覚悟を決めた。 ルブランの戦場での激しい戦いぶりを思い返しながらも、僕は冷静に剣を構えた。
「ならば、これが最後の一撃だ。」 僕の言葉と共に、剣を一閃した。 ルブランの甲冑が砕け、 僕の剣が彼の体を貫通した。 彼の体が激しく震え、傷口から血が噴き出した。
「ぐあああああああああああ」 ルブランの悲鳴が戦場に響き渡り、そのまま彼の命が尽きた。
僕は息を整え、剣を収めながら周囲の兵士たちを見渡した。敵軍の士気は大きく削がれ、多くの兵士たちが降伏を考え始めている様子だった。
「全軍、前進!」僕は叫びながら、兵士たちに最後の押し込みを命じた。ベルタン軍の兵士たちはその声に応じ、一層の力を込めて戦線を押し広げていった。
敵の指揮官が失われたことで、敵軍は混乱状態に陥った。
戦闘は次第に収束に向かい、敵の兵士たちが次々とが投降を始める光景が広がっていた。
「ベルタン侯爵、お疲れさまでした。」ローラン侯爵が駆け寄り、僕に声をかけた。「今日の戦いは見事でした。」
「ありがとうございます、ローラン侯爵。しかしまだ油断はなりません。ここにいる敵兵たちを掃討してしまいましょう。」
僕は周囲を見渡した。戦場はまだ完全に静まっておらず、散発的な抵抗が続いていた。
僕たちは態勢を整え、最後の掃討にかかった。
「降伏した捕虜に対しては、慎重に扱うように。」僕はベルタン軍の将兵たちに指示を出した。
そうして最終的に全ての者が殺されるか捕えられ、戦場は静まり返った。
その夜、僕たちは宿営地へ戻り、合戦の勝利を祝う宴を開いていた。
宴の火が明るく燃え、兵士たちの笑い声が響き渡る。しかし僕の心には、ルブランとの一騎討ちの記憶が何度も甦っていた。彼の最期の瞬間を思い出す度、胸が締め付けられるような感情が湧き上がってきた。
「シャルル、どうした?」ローラン侯爵が珍しくタメ口で話しかけた。
「いやさ、思ったんだよ…」僕も応じる。
「ルブランにも僕と同じ様に家族がいる。彼に罪は無い。そして生きたかったはずだ。それでも僕は、自分を、家族を、国を守るために彼を殺すしか無かった。戦争にはこういう矛盾があるんだよ」
ローラン侯爵は深くうなずきながら、理解を示した。「戦争では、時に非情な選択を迫られることがある。君の決断は、必要なものだった。」
「彼の最期の瞬間、その表情は忘れられないよ。あの貴族の誇りと痛みが入り混じった目だ。」僕は振り返った。
その瞬間、僕はアルベールの顔を思い出した。彼の無邪気な笑顔。
彼を守るために僕は戦った。アルベールにはこんな経験はさせたくない。憎しみが憎しみを呼ぶ戦争の経験は、僕の代で最後にしたい。
「ローラン侯爵、アルベールの顔が思い出されたんだ。彼の無邪気な笑顔を忘れられないよ。戦争の中でのこの経験を、彼にはさせたくない。」
ローラン侯爵は静かに頷いた。「君の心情、よく分かるよ。戦争は辛い選択を迫るものだ。」
ローラン侯爵は深く考え込んでから言った。「君の言葉、心に響くよ。戦争は次の世代には繰り返させたくないというのは、尊い思いだ。」
その言葉に僕は少し安堵した。戦場での厳しい現実と、平和を願う気持ちが交錯する中で、ローラン侯爵の理解は心強かった。
宴は深夜まで続いた。ゆらゆらとする宴の火を前に、兵士たちが次第に眠りに落ち、宴も静まりかえる中、僕は戦場での出来事を静かに反芻した。戦いの中で失われた命と、守るべき命との間で揺れ動く気持ちを抱えながら。
「アルベール、君の笑顔を守るために。そして、この国の未来のために。」僕は心に決めた。
続く
「全軍、進軍開始!」僕の号令と共に、部隊が前進を開始した。敵陣地への進攻は迅速で、補給線を断たれた敵の守りは相対的に弱くなっていた。僕たちは定められた時間に敵陣に到達し、作戦に取り掛かった。
騎士軍と騎馬部隊を先頭に、一気に敵陣へと突入した。補給線が断たれた影響で、敵の防御は思った以上に脆弱で、戦闘は比較的順調に進んだ。ベルタン軍の精鋭たちは、確実に敵の陣地を攻略していった。僕もまた、最前線で指揮を取り奮闘していた。
「前進、前進!敵の抵抗を押し切れ!」僕は叫びながら部隊を導いた。兵士たちは僕の指示に従い、どんどん敵陣の奥に進入していった。敵軍は混乱し、撤退を余儀なくされる場面も多かった。
すると、目の前に馬に跨った、灰色の甲冑に身を包んだ男が現れた。
「その方がそちらの大将か?」男は僕に声をかけてきた。
「大将はローラン侯爵だ。私は副将のシャルル・ベルタン。お主は?」僕は聞き返した。
「我こそは大ザラリア王国軍、大陸西方方面軍司令官の一人、マエル・ルブランだ!」
僕は驚いたが、すぐに心を落ち着けた。「ルブラン司令官、戦局がここまで進行している中で、一騎討ちを挑む理由は?」
「戦局は複雑を極める。だが、今ここで決着をつけることで、互いの力を確かめ合うのもまた一つの戦術だ。」ルブランは剣を引き抜きながら、決意を込めた眼差しを僕に向けた。
僕は深呼吸し、剣を抜いた。「了解した。私とて貴族、正々堂々応じよう。」
周囲の兵士たちが僕たちの対決に注目し、静まり返った。大将や副将同士一騎討ちをする時は、周囲は手を出さないのが礼儀だ。
「行くぞ、シャルル・ベルタン!」ルブランが声を上げ、迅速に剣を振り下ろした。彼の攻撃は力強く、素早い。僕はその攻撃を慎重に受け止めるとともに、反撃のチャンスを伺った。
「来い!」僕は応じながらも、体勢を崩さずにルブランの攻撃を防いだ。彼の剣は正確であり、まさに熟練の技が発揮されていたが、僕も負けじと全力で対応した。
「なかなかの腕前だな。」ルブランが息を整えながら言った。「だが、これで終わりだと思うなよ。」
「同じく。」僕も息を整え、彼に応じた。「最後まで全力を尽くすつもりだ。」
ルブランの攻撃が再開した。彼の一撃一撃が鋭く、正確であり、その動きには戦場での豊富な経験が感じられた。しかし、繰り返しの激しい攻撃により、彼にも疲れが見え始めた。彼の強固な一撃を受け止めると、僕は反撃に出た。
「これで終わりだ!」僕は叫びながら、最後の力を込めて一撃を放った。
ルブランの甲冑がわずかに揺れた瞬間、僕の剣がその隙間を突き、彼の防御を破った。
彼の甲冑が裂け、僕の剣が直撃した。
「ぐあああああああああああ」
ルブランは馬から落ち、地面に甲冑の音が響いた。
ルブランが地面に倒れた状態で苦しんでいる中、 僕は戦場の静けさを感じながら、 彼の元へと歩み寄っ
た。 彼の表情には屈辱と痛みが交錯していたが、その眼差しには依然として貴族の誇りが宿っていた。
「ルブラン司令官、 これ以上の戦いは無意味だ。 降伏するつもりはないのか?」 僕は問いかけたが、彼の返答は血に染まった口からの微かな声だった。
「降伏するつもりはない。 ここで決着をつけろ。」 ルブランは力を振り絞り、 僕を睨みつけた。
僕は深呼吸し、彼の命を終わらせる覚悟を決めた。 ルブランの戦場での激しい戦いぶりを思い返しながらも、僕は冷静に剣を構えた。
「ならば、これが最後の一撃だ。」 僕の言葉と共に、剣を一閃した。 ルブランの甲冑が砕け、 僕の剣が彼の体を貫通した。 彼の体が激しく震え、傷口から血が噴き出した。
「ぐあああああああああああ」 ルブランの悲鳴が戦場に響き渡り、そのまま彼の命が尽きた。
僕は息を整え、剣を収めながら周囲の兵士たちを見渡した。敵軍の士気は大きく削がれ、多くの兵士たちが降伏を考え始めている様子だった。
「全軍、前進!」僕は叫びながら、兵士たちに最後の押し込みを命じた。ベルタン軍の兵士たちはその声に応じ、一層の力を込めて戦線を押し広げていった。
敵の指揮官が失われたことで、敵軍は混乱状態に陥った。
戦闘は次第に収束に向かい、敵の兵士たちが次々とが投降を始める光景が広がっていた。
「ベルタン侯爵、お疲れさまでした。」ローラン侯爵が駆け寄り、僕に声をかけた。「今日の戦いは見事でした。」
「ありがとうございます、ローラン侯爵。しかしまだ油断はなりません。ここにいる敵兵たちを掃討してしまいましょう。」
僕は周囲を見渡した。戦場はまだ完全に静まっておらず、散発的な抵抗が続いていた。
僕たちは態勢を整え、最後の掃討にかかった。
「降伏した捕虜に対しては、慎重に扱うように。」僕はベルタン軍の将兵たちに指示を出した。
そうして最終的に全ての者が殺されるか捕えられ、戦場は静まり返った。
その夜、僕たちは宿営地へ戻り、合戦の勝利を祝う宴を開いていた。
宴の火が明るく燃え、兵士たちの笑い声が響き渡る。しかし僕の心には、ルブランとの一騎討ちの記憶が何度も甦っていた。彼の最期の瞬間を思い出す度、胸が締め付けられるような感情が湧き上がってきた。
「シャルル、どうした?」ローラン侯爵が珍しくタメ口で話しかけた。
「いやさ、思ったんだよ…」僕も応じる。
「ルブランにも僕と同じ様に家族がいる。彼に罪は無い。そして生きたかったはずだ。それでも僕は、自分を、家族を、国を守るために彼を殺すしか無かった。戦争にはこういう矛盾があるんだよ」
ローラン侯爵は深くうなずきながら、理解を示した。「戦争では、時に非情な選択を迫られることがある。君の決断は、必要なものだった。」
「彼の最期の瞬間、その表情は忘れられないよ。あの貴族の誇りと痛みが入り混じった目だ。」僕は振り返った。
その瞬間、僕はアルベールの顔を思い出した。彼の無邪気な笑顔。
彼を守るために僕は戦った。アルベールにはこんな経験はさせたくない。憎しみが憎しみを呼ぶ戦争の経験は、僕の代で最後にしたい。
「ローラン侯爵、アルベールの顔が思い出されたんだ。彼の無邪気な笑顔を忘れられないよ。戦争の中でのこの経験を、彼にはさせたくない。」
ローラン侯爵は静かに頷いた。「君の心情、よく分かるよ。戦争は辛い選択を迫るものだ。」
ローラン侯爵は深く考え込んでから言った。「君の言葉、心に響くよ。戦争は次の世代には繰り返させたくないというのは、尊い思いだ。」
その言葉に僕は少し安堵した。戦場での厳しい現実と、平和を願う気持ちが交錯する中で、ローラン侯爵の理解は心強かった。
宴は深夜まで続いた。ゆらゆらとする宴の火を前に、兵士たちが次第に眠りに落ち、宴も静まりかえる中、僕は戦場での出来事を静かに反芻した。戦いの中で失われた命と、守るべき命との間で揺れ動く気持ちを抱えながら。
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続く
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