カメムシ

たっくんちゃん

文字の大きさ
1 / 1

カメムシ

しおりを挟む
カーテンのたわみとたわみの間にカメムシがいた。一匹である。
 どうしようかとしばらく考えを巡らせた。これがクモの類であれば、気づかないふりをしていただろう。もしくは、ハエの類であれば、すかさずティッシュ箱を持ってきて、窓ごとハエを打ちつけるだろう。
 問題は、ここにいる虫が、カメムシであるということだ。カメムシは羽根のある昆虫であり、ティッシュで包み窓から逃がそうとすれば、こちらの方に飛んでくるかもしれない。それは絶対に嫌だった。
 ましてや、ハエのように叩きつけることもできない。部屋中に異臭を漂わせることになってしまうからだ。深夜の2時に、窓ごとカーテンを叩くという行為も、さすがに躊躇われるので、この方法は無しだ。
 考えたあげく、インターネットの力に頼ることにした。
 検索窓に「カメムシ 撃退」と打ち込み、一番上に表示されたタイトルを確認し、飲みかけの水が入ったペットボトルを持ってくる。
 ペットボトルの蓋を外す。
 カーテンの生地にペットボトルの口を沿わせ、カメムシに近づけ、ペットボトルの中に落とそうという算段だ。
そんなにうまくいくのか? という疑念が頭をよぎる。そんな都合よく落ちてくれるのだろうか? ペットボトルが当たった刺激で、カメムシを興奮させやしないだろうか?
うまくいかない理由を探せばきりがなく、かといって他に有益な解決方法も無かったので、ペットボトルでの捕獲を断行することにした。
インターネットの記事の指示に従い、2割ほどの水が入ったペットボトルの口をカメムシに近づけたら、意外にすんなり落ちてくれた。すかさずキャップを締める。捕獲は完了した。
カメムシは水の上にそのまま落下した。急激な環境の変化に動じながらも、その状況を柔軟に受け止めているようだった。
カメムシは器用に手足を動かし、泳いでいる。刹那、ちょっとした罪悪感を覚えたが、すぐにどうでもよくなった。日常生活上、経験することのない臭いを嗅ぐことの方が、はるかに耐えがたい。
それから単純に、まじまじと、カメムシを見つめている行為そのものに気持ち悪さを感じてきた。
そのままペットボトルごとゴミ箱に捨てればいいものを、なぜか捨てられず、いったん台所に置くことにした。
カメムシは、そのか細い手足で、つるりとしたプラスチックの壁をよじ登っていた。

2日目
夕食を済ませ、何食分かの皿をまとめて洗う。スポンジに手を伸ばそうとしたとき、ペットボトルの存在に気づいた。
その中には気持ち悪いカメムシがいた。
いつも通りに皿を洗った。

5日目
スーパーで買ってきたジャガイモの汚れを落とそうと、蛇口のレバーを押す。ペットボトルが目に入った。カメムシはまだ生きていた。動いている様子はなかったが、しきりに触覚を動かしている。

9日目
お湯を沸かそうと、電気ケトルを台所まで持っていく。ケトルに半分くらいの水を入れ、冷蔵庫の上に戻した。

1?日目
喉が渇いて、たまたま台所にあったペットボトルの存在に気づき、飲もうとしてびっくりした。
まだ蓋も開けてないし、ペットボトルに触れてすらいない。

1?日目
一通り皿洗いを終えた後、カメムシは、ペットボトルのかなり上の方にいた。片手でゆっくりとペットボトルを持ち、もう片方の手で慎重にキャップを緩める。
すると、カメムシが速度を上げて口の方まで登ってきた。水が傾くのも気にせず、キャップを思い切り締め、上下左右に激しく振った。

2?日目?
暑かったので台所の小窓を開けた。水面の近くには、カメムシがいた。

3?日目?
皿洗いをする前に、水面で仰向けになっているカメムシを見つけた。
とりあえず、スポンジに洗剤を付けた。

??日目?
ペットボトルはまだ、台所にある。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

危険な残業

詩織
恋愛
いつも残業の多い奈津美。そこにある人が現れいつもの残業でなくなる

一途な恋

凛子
恋愛
貴方だけ見つめてる……

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

処理中です...