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日本防衛編
予言の一族
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「嘘だ。そんな…隊長が何で!」
玲衣を介抱している最中、空から何かが落ちてきた。見慣れた巨体。それは癒瘡木隊長であった。
本隊は全滅…?嘘だ。そんな事あるはずがない。最高戦力の隊長がいるのに…
現実は無情にも俺の目の前に横たわっていた。俺たちはノアの力を侮りすぎてたんだ。これではノアを止めるのは誰も出来ないのではないか。
「落ち着け蓮。まだ策はある。」
そうしたら絶望の淵の俺の目の前に思いもよらない人物が立っていたんだ。
───
「大分消耗してしまった。」
ノアは確かに東京へと侵攻している。雨水を巨大な川の流れのようにし、その上を進むことでもう一刻もしないうちに到着するだろう。
ノアの中には怒りがあった。最も愛した弟を奪われた怒りだ。
天竹紫苑を確実に倒す。ヤツを呼び出す為にニンゲンを大量に殺そう。怨みは単純であり、単純であるほど変えようのない確かな行動になる。
「…何者だ。」
国道297号の馬立の辺りで無視できない存在を感じ、ノアは警戒を示した。
「会えて良かった。私は青方五色、青海稲樹だ。青色の務めを果たしに来た。」
「…五色家。記憶にある。アグニは赤にやられたんだ。」
五色家は運命の一族である。それは将来起きる人類の悲劇を抑える為に定められた武家なのだ。
「私の武器が盾な訳が今、何となく分かったよ。」
小さな頃からそれしか扱う事が許されなかった。故に得る、この対面の理由。
「そうか。じゃあ退けよ!」
高圧の水流。常人なら掠めるだけで肉が解ける威力だ。
──カァン!
しかし盾がある。幼少からの経験が高速の初撃を弾く。
「その威力借りるぞ!」
盾が吸収した高圧の力。回転を用いて逃さず、ノアへぶつける。
ノアに武術の経験はない。こんな動き見た事がない。だから刺さる。
はずだった。
「何ぃ?!」
稲樹の盾先はノアに直撃することはなかった。すり抜けたのだ。稲樹の感覚としては空を、いや水を切る様なモノ。
「35点。赤点だ。さっきの男もだが君らにはボクにかすり傷一つもつけられないよ。」
眼前に現れた水球を、神がかりな反応速度で稲樹は受け止めた。
「まさか!そんなの生物の範疇を超えている!」
「言っていなかったかい?ボクは神だよ。なんだってできる。肉体を液体にすることだってね。」
稲樹は察した。それが本当なら癒瘡木は最も相性が悪い。元がニンゲンだからと言う慢心、肉体が無くなるはずがないと思っていた。
「バアルと同じか…」
雨音に消されるような小さな呟き。だが、ノアは聞き逃さない。
「クソボケが!!!!バアルを語るな!お前らが!」
「(やはり、バアルのことならキレやすいな。)」
分析を試みる稲樹だが、それは間に合わなかったみたいだ。
「マジかよ…」
盾でギリギリ防げた水球が目の前に何十もある。怒りのままにぶつける気みたいだ。
しかしここまでの攻撃にはリスクが付き物だ。ノアは現在の集中力をその水球に寄せている。
「行け!東雲ェ!」
「呼ぶな!それじゃ奇襲の意味ないだろ!」
ノアの死角から女が出てきた。第一小隊の副隊長、東雲巻である。彼女の能力それは、
「タッチ!」
ノアの体表に触れる。それと同時にノアは自分の身体が重たくなったことに気づいた。
水球は真っ先に巻を狙う。しかしそれでは盾が防げない。
「くらえぇ!!」
盾先がノアの顔面を捉えた。
「(身体が変化できない?!)」
それは巻の能力によるものだった。近しいモノは糸瓜である。ノアの身体が水分なら、それを吸うことはダメージにならずとも大きな隙が生まれる。
これは少しだけでも癒瘡木とノアの戦いを見れた東雲が思い付いた策であった。
初撃を除き、癒瘡木の攻撃は当たらなかった。単純物理攻撃の脳筋にはノアは攻略不可能なのだ。
「(やった!これなら勝てるッ!!)」
「距離を取れ東雲!!」
反応できたのは稲樹だけだった。水球は、確かな感触を感じていた巻を狙い続けていた。すんでの所でパリィするも2段、3段と続く攻撃には稲樹も激しく後方へ飛ばされる。
「ヒッ!」
巻は目の前の恐ろしい存在に初めて死を感じた。
目の前で立つ少女。それは紛れもなく神なのだ。そして、砕けたノアの顔面から赤い眼光だけが露出していた。
「それがお前の正体だノア。仮面を剥げば只のケモノ。神とかいう高尚な存在ではない。」
稲樹はそれでも啖呵を切ってみせた。
「ふーん。そういう感じかー」
徐に天を見上げるノア、すると瞬きする次の時には顔は元通りになっていた。
「今の策はかなり芸術点が高かった。加点してやろう。ボクにもこんな弱点があったんだなぁ…うん。プラス5点だ。」
良かったね。ギリギリ赤点回避だよ。と嫌味っぽく告げる。
「そりゃどうも。ならこのまま見逃してくれるかい?」
「チャンスがあって仕留めきれない力、マイナス5点。それに加えてボクに対しての不遜な物言い大幅減点マイナス30。君は生かしちゃいけないね。」
全身の毛が逆立つ威圧感。遂に稲樹もその恐怖を感じた。
「東雲逃げろ。退路は俺が護る。」
「駄目です!貴方は五色家の当主なのに。」
「こんな大層な舞台に1人で来るような人間が大事か?」
「…」
「敬われてないことくらい知っている。俺は実力で上がってきた人間じゃないからな。」
一般兵と五色家では対立感情があった。昔から『予言の一族』と持て囃され、碌な戦闘経験は積ませてもらえなかった。
一般の者達は命を賭けて戦場に赴いている。それを歯痒く思いながら、修練に励んできた生涯だった。
『五色家は羨ましいよな。金だけ貪って、汚れ仕事は俺たちに任せればいいからな。』
そんな言葉を聞いたことがある。
「(俺だって一緒に戦いたいさ!)」
現実は非情だ。それでも俺は今日まで前線に来れなかった。
「東雲!お前と肩を並べられて嬉しかったぞ!」
「そんな…」
巻は自分を恥じていた。自分も五色家にいい思いを抱いていなかったからだ。その時が来れば逃げる人間だと思っていた。
だがどうだ。この男は勇敢にも自分を救おうとしている。恐ろしき神を前に退かず、立ちはだかっている。
「一撃…もう一撃。」
「東雲?」
「もう一撃決めるんです。逃げる択なんてありませんよ。」
自然と身体に力が沸いた。これを昔の人は勇気と名付けたのだろう。
「…ハハっ終わったら酒でも飲みに行こうか!」
「奢りで頼みますよ。稲樹さん!」
「ああ、頼んだぞ!!」
稲樹は盾を構える。突進の姿勢だ。その背後には巻がピッタリと付く。一撃で決める。脳内には先ほどのノアの発言が繰り返されていた。『チャンスがあっても仕留めきれない力。』これが意味するのはもう少し力を込めれば命に至るということだ。
もう一撃、さっきより高威力の攻撃をぶつける。それしか勝利はない。
「お前達…ボクを舐めてるのかなァ?!」
水球が展開される。見る限り20はある。
「来ます!」
「応ッ!」
既に覚悟を決めた稲樹にはその小粒は効かない。迫ってくる球を正確に弾いて行くのだ。10メートル、5メートル…盾を前面に稲樹は距離を詰める。
ノアは警戒すべきは盾の男ではないと知っている。背後の女だ、アイツに触れられると形態変化が出来なくなる。そう思い、様々な角度の水球を放つが全て盾に弾かれる。
勝敗は残り数秒のうちに決まる。
先に行動を変えたのはノアだった。まどろっこしいやり方ではなく。もっと単純に、あの盾を貫通させてしまえば終わりなのだ。そして動きを止め、後衛を潰す。
まず、水球の粒を大きくした。稲樹はそれを威力を上げただけだと思う。だがその意味は違う、巨大な水球の裏に鋭い雨矢を用意していたのだ。
─ヒュンッ!
液体に似合わぬ風切り音が戦場に響く。
それは轟音と共に盾の半分を粉砕した。
「なにィ?!」
稲樹の人生を体現したような盾だ。砕けるなんて一度も考えたことも無かった。
「だがッ!止まるかよォ!!」
稲樹は踏み込みを深くする。雨に濡れた地面がグチャッと鳴り、大きく歪む。本日最高の突進となった。
それでもノアは冷静であった。女がいなければ男の攻撃は効かない。なれば後衛の女を狙うしかない。盾は消えた、当てれば勝利。
水球をカーブさせ男の背後を狙う
しかしその球は空を切った。
「馬鹿な」
雨の状況はノアの世界だ。本来、人間1人たりとも見逃すはずがない。雨が当たらない動物なんていないのだ。
「2度目だ!ノアッ!!」
「(…脱力感。吸われたのか!)」
「終わりだノア!!」
巻の成功と共に最後の力でノアを襲う。突進の威力が残っている。半分の盾でも当たれば致命傷になるはずだ。
盾先がノアに当たる直前。小さくノアはつぶやいた。
『隕水』
─ドォン!!!!
癒瘡木硬樹にぶつけた最大威力。不測の事態にノアは用意をしていたのだ。
「君達は柔らかいね。これを食らってもあの男は耐えていたよ?」
返事はない。それもそうだ。ノアが立つ半径1メートルの円、それを除き周囲はクレーターになっていた。東雲巻も青海稲樹も原型を留めていなかった。
「時間使いすぎたな。急がないと。」
選択の神、ノア。水を操り災害を起こす力の持ち主。その力の前に、予言の一族は勝てなかった。
──とっくにその街には人がいた証である電気は通っていなかった。誰もいない寂しい街。そのに最大勢力の大雲を引き連れ神が降臨する。
「ハハッデカい建物が増えてきたね!」
夜明け前、0346。ノアは首都東京に直撃した。
玲衣を介抱している最中、空から何かが落ちてきた。見慣れた巨体。それは癒瘡木隊長であった。
本隊は全滅…?嘘だ。そんな事あるはずがない。最高戦力の隊長がいるのに…
現実は無情にも俺の目の前に横たわっていた。俺たちはノアの力を侮りすぎてたんだ。これではノアを止めるのは誰も出来ないのではないか。
「落ち着け蓮。まだ策はある。」
そうしたら絶望の淵の俺の目の前に思いもよらない人物が立っていたんだ。
───
「大分消耗してしまった。」
ノアは確かに東京へと侵攻している。雨水を巨大な川の流れのようにし、その上を進むことでもう一刻もしないうちに到着するだろう。
ノアの中には怒りがあった。最も愛した弟を奪われた怒りだ。
天竹紫苑を確実に倒す。ヤツを呼び出す為にニンゲンを大量に殺そう。怨みは単純であり、単純であるほど変えようのない確かな行動になる。
「…何者だ。」
国道297号の馬立の辺りで無視できない存在を感じ、ノアは警戒を示した。
「会えて良かった。私は青方五色、青海稲樹だ。青色の務めを果たしに来た。」
「…五色家。記憶にある。アグニは赤にやられたんだ。」
五色家は運命の一族である。それは将来起きる人類の悲劇を抑える為に定められた武家なのだ。
「私の武器が盾な訳が今、何となく分かったよ。」
小さな頃からそれしか扱う事が許されなかった。故に得る、この対面の理由。
「そうか。じゃあ退けよ!」
高圧の水流。常人なら掠めるだけで肉が解ける威力だ。
──カァン!
しかし盾がある。幼少からの経験が高速の初撃を弾く。
「その威力借りるぞ!」
盾が吸収した高圧の力。回転を用いて逃さず、ノアへぶつける。
ノアに武術の経験はない。こんな動き見た事がない。だから刺さる。
はずだった。
「何ぃ?!」
稲樹の盾先はノアに直撃することはなかった。すり抜けたのだ。稲樹の感覚としては空を、いや水を切る様なモノ。
「35点。赤点だ。さっきの男もだが君らにはボクにかすり傷一つもつけられないよ。」
眼前に現れた水球を、神がかりな反応速度で稲樹は受け止めた。
「まさか!そんなの生物の範疇を超えている!」
「言っていなかったかい?ボクは神だよ。なんだってできる。肉体を液体にすることだってね。」
稲樹は察した。それが本当なら癒瘡木は最も相性が悪い。元がニンゲンだからと言う慢心、肉体が無くなるはずがないと思っていた。
「バアルと同じか…」
雨音に消されるような小さな呟き。だが、ノアは聞き逃さない。
「クソボケが!!!!バアルを語るな!お前らが!」
「(やはり、バアルのことならキレやすいな。)」
分析を試みる稲樹だが、それは間に合わなかったみたいだ。
「マジかよ…」
盾でギリギリ防げた水球が目の前に何十もある。怒りのままにぶつける気みたいだ。
しかしここまでの攻撃にはリスクが付き物だ。ノアは現在の集中力をその水球に寄せている。
「行け!東雲ェ!」
「呼ぶな!それじゃ奇襲の意味ないだろ!」
ノアの死角から女が出てきた。第一小隊の副隊長、東雲巻である。彼女の能力それは、
「タッチ!」
ノアの体表に触れる。それと同時にノアは自分の身体が重たくなったことに気づいた。
水球は真っ先に巻を狙う。しかしそれでは盾が防げない。
「くらえぇ!!」
盾先がノアの顔面を捉えた。
「(身体が変化できない?!)」
それは巻の能力によるものだった。近しいモノは糸瓜である。ノアの身体が水分なら、それを吸うことはダメージにならずとも大きな隙が生まれる。
これは少しだけでも癒瘡木とノアの戦いを見れた東雲が思い付いた策であった。
初撃を除き、癒瘡木の攻撃は当たらなかった。単純物理攻撃の脳筋にはノアは攻略不可能なのだ。
「(やった!これなら勝てるッ!!)」
「距離を取れ東雲!!」
反応できたのは稲樹だけだった。水球は、確かな感触を感じていた巻を狙い続けていた。すんでの所でパリィするも2段、3段と続く攻撃には稲樹も激しく後方へ飛ばされる。
「ヒッ!」
巻は目の前の恐ろしい存在に初めて死を感じた。
目の前で立つ少女。それは紛れもなく神なのだ。そして、砕けたノアの顔面から赤い眼光だけが露出していた。
「それがお前の正体だノア。仮面を剥げば只のケモノ。神とかいう高尚な存在ではない。」
稲樹はそれでも啖呵を切ってみせた。
「ふーん。そういう感じかー」
徐に天を見上げるノア、すると瞬きする次の時には顔は元通りになっていた。
「今の策はかなり芸術点が高かった。加点してやろう。ボクにもこんな弱点があったんだなぁ…うん。プラス5点だ。」
良かったね。ギリギリ赤点回避だよ。と嫌味っぽく告げる。
「そりゃどうも。ならこのまま見逃してくれるかい?」
「チャンスがあって仕留めきれない力、マイナス5点。それに加えてボクに対しての不遜な物言い大幅減点マイナス30。君は生かしちゃいけないね。」
全身の毛が逆立つ威圧感。遂に稲樹もその恐怖を感じた。
「東雲逃げろ。退路は俺が護る。」
「駄目です!貴方は五色家の当主なのに。」
「こんな大層な舞台に1人で来るような人間が大事か?」
「…」
「敬われてないことくらい知っている。俺は実力で上がってきた人間じゃないからな。」
一般兵と五色家では対立感情があった。昔から『予言の一族』と持て囃され、碌な戦闘経験は積ませてもらえなかった。
一般の者達は命を賭けて戦場に赴いている。それを歯痒く思いながら、修練に励んできた生涯だった。
『五色家は羨ましいよな。金だけ貪って、汚れ仕事は俺たちに任せればいいからな。』
そんな言葉を聞いたことがある。
「(俺だって一緒に戦いたいさ!)」
現実は非情だ。それでも俺は今日まで前線に来れなかった。
「東雲!お前と肩を並べられて嬉しかったぞ!」
「そんな…」
巻は自分を恥じていた。自分も五色家にいい思いを抱いていなかったからだ。その時が来れば逃げる人間だと思っていた。
だがどうだ。この男は勇敢にも自分を救おうとしている。恐ろしき神を前に退かず、立ちはだかっている。
「一撃…もう一撃。」
「東雲?」
「もう一撃決めるんです。逃げる択なんてありませんよ。」
自然と身体に力が沸いた。これを昔の人は勇気と名付けたのだろう。
「…ハハっ終わったら酒でも飲みに行こうか!」
「奢りで頼みますよ。稲樹さん!」
「ああ、頼んだぞ!!」
稲樹は盾を構える。突進の姿勢だ。その背後には巻がピッタリと付く。一撃で決める。脳内には先ほどのノアの発言が繰り返されていた。『チャンスがあっても仕留めきれない力。』これが意味するのはもう少し力を込めれば命に至るということだ。
もう一撃、さっきより高威力の攻撃をぶつける。それしか勝利はない。
「お前達…ボクを舐めてるのかなァ?!」
水球が展開される。見る限り20はある。
「来ます!」
「応ッ!」
既に覚悟を決めた稲樹にはその小粒は効かない。迫ってくる球を正確に弾いて行くのだ。10メートル、5メートル…盾を前面に稲樹は距離を詰める。
ノアは警戒すべきは盾の男ではないと知っている。背後の女だ、アイツに触れられると形態変化が出来なくなる。そう思い、様々な角度の水球を放つが全て盾に弾かれる。
勝敗は残り数秒のうちに決まる。
先に行動を変えたのはノアだった。まどろっこしいやり方ではなく。もっと単純に、あの盾を貫通させてしまえば終わりなのだ。そして動きを止め、後衛を潰す。
まず、水球の粒を大きくした。稲樹はそれを威力を上げただけだと思う。だがその意味は違う、巨大な水球の裏に鋭い雨矢を用意していたのだ。
─ヒュンッ!
液体に似合わぬ風切り音が戦場に響く。
それは轟音と共に盾の半分を粉砕した。
「なにィ?!」
稲樹の人生を体現したような盾だ。砕けるなんて一度も考えたことも無かった。
「だがッ!止まるかよォ!!」
稲樹は踏み込みを深くする。雨に濡れた地面がグチャッと鳴り、大きく歪む。本日最高の突進となった。
それでもノアは冷静であった。女がいなければ男の攻撃は効かない。なれば後衛の女を狙うしかない。盾は消えた、当てれば勝利。
水球をカーブさせ男の背後を狙う
しかしその球は空を切った。
「馬鹿な」
雨の状況はノアの世界だ。本来、人間1人たりとも見逃すはずがない。雨が当たらない動物なんていないのだ。
「2度目だ!ノアッ!!」
「(…脱力感。吸われたのか!)」
「終わりだノア!!」
巻の成功と共に最後の力でノアを襲う。突進の威力が残っている。半分の盾でも当たれば致命傷になるはずだ。
盾先がノアに当たる直前。小さくノアはつぶやいた。
『隕水』
─ドォン!!!!
癒瘡木硬樹にぶつけた最大威力。不測の事態にノアは用意をしていたのだ。
「君達は柔らかいね。これを食らってもあの男は耐えていたよ?」
返事はない。それもそうだ。ノアが立つ半径1メートルの円、それを除き周囲はクレーターになっていた。東雲巻も青海稲樹も原型を留めていなかった。
「時間使いすぎたな。急がないと。」
選択の神、ノア。水を操り災害を起こす力の持ち主。その力の前に、予言の一族は勝てなかった。
──とっくにその街には人がいた証である電気は通っていなかった。誰もいない寂しい街。そのに最大勢力の大雲を引き連れ神が降臨する。
「ハハッデカい建物が増えてきたね!」
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