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3 十三領の獣害
3-4. 十三領の獣害
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夕食は屋敷に滞在している者全てがテーブルに着き、その後、ヒャッカとカデン、それにカルミアとジャカランダは、カデンとイセトゥアンが乗ってきた飛行竜で出かけて行った。
兄弟五人とヨルは、夕食をデザートまでしっかり食べ終えてから、大人達が慌てて出て行くのを見届けて、東の森の調査へと赴いた。
春とはいえ、夜はかなり冷える。
針葉樹の間に広がる夜空は明るい。
肺いっぱい森の空気を吸って、少しの緊張とそれ以上のワクワクで、足取りが跳ねがちなソゴゥ。冒険に飢えているのである。
ソゴゥは横を歩くヨルを見て、いつもと違う様子を不審に思い尋ねる。
「どうした? 人型が保てないのか?」
珍しく黒い翼と角と尻尾を出している。人の大きさを辛うじて保っているが、それもかなり気力を要しているようだ。
「ああ、何故か擬態が上手くいかない」とヨルも首を傾げている。
「改めてその姿を見ると、確かにヨルは悪魔なんだとわかるな」
イセトゥアンが感心する。
先頭の二トゥリーが、周囲を見回し足を止める。
「ここら辺じゃ、鹿が近づかんようになたんは」
「この奥に何かおるような気がするのう」
「伝説の三觭獣かもしれんのう」
「まさか、あれは他国の山に棲息報告が上がっていた。唯一の個体だという話だ」
イセトゥアンの言葉に、ヨドゥバシーが安心したように息を吐く。
ソゴゥは特技の瞬間移動の時に使用する視点の切り替えで、周囲の危険な場所を探る。
エルフの森は間伐などが適度に行われ、整備されているため、枯れ木や倒壊した木は取り除かれ、丁度よい隙間が開いている。
それがあまりに綺麗にそろっているため、無限に続く木の陰影が、独特な森林の雰囲気を醸し出している。
「のう、ミッツ、さっきあそこに人がおらんかった?」
「はあ?」
「あの木の陰じゃ、こっちを恨めし気に見ておる髪の長い女子がおった気がするんじゃが」
「ああ、それはイセ兄さんのストーカーじゃ、よくあることよ。気にしなさんな」
「おいおいおいおい、いないからな、そんなの!」
「ミッツ、ちょと幽体離脱して見てきてくれん?」
「いやじゃ、怖い、刺されたらどうするんじゃ」
「霊体は刺されても、害はないじゃろ」
「心が死ぬる」
「なら仕方ないのう」
「いやいやいやいや、いないから! って言うかなんで俺のストーカー凶器持っている前提で話しているんだよ、マジやめて!」
「ちょっと、イセ兄うるさいよ、場所の特定が出来ないから静かにして」
「霊のか?」
「違う、鹿が逃げた原因の何かだよ。お前ら目的見失いすぎか? 遠足気分か?」
「おう、一番年下に怒られた」
「仕方ない、ソゴゥじゃからな」
「ソゴゥの邪魔をしたらいけん」
ソゴゥはヨルを振り返り「お前も、さっきから翼をバサバサ言わせすぎだ、どうした、羽が痒いのか? ダニがいるのか?」
「すまない、何か羽が広がって落ち着かんのだ」
「ところでソゴゥ、お前は兄の使い方はそれで合っているのか?」
ソゴゥの尻の下にはヨドゥバシーがいる。
正確には、性懲りもなく狼に変身したヨドゥバシーがソゴゥを乗せて歩いている。
ソゴゥの尻の下には、畳んだヨドゥバシーの服がクッション代わりに敷かれている。
「ヨドが、さっきより大きな狼に変身できるって言うから、見せてもらったら、乗るのにちょうどよさそうな大きさになったからさ。ヨドも嬉しそうだし」
ソゴゥがヨドゥバシーの頭を撫でると、尻尾を振りながら「ヴォフ」と返事する。
「まあ、ヨドがいいなら、いいけど」
ヨドゥバシーに乗ったソゴゥが案内するように、先頭を歩く。
ソゴゥが示す方向へ歩き続けていると、山道の傾斜が強くなったところで、切り立つ崖に洞窟を見つけた。
「この奥に何かいる」
ソゴゥが皆に告げる。
洞窟の入口付近に六人が集まり、イセトゥアンが皆に向かって言う。
「入る前に、兄弟の能力を確認しておきたい」
イセトゥアンが腰に手を当て、弟たちを見回す。
「まず俺は、高度な変身能力な、お前らのカスな狼とはクオリティーが違う」
「やるか?」
「おう、やろうや」
「落ち着け、悪かった、言い過ぎた。次に、ニトゥリーはミトゥコッシーとかなりの距離を離れていても、意思を伝えあえる能力と、相手に任意の映像を見せる能力。主に、警察機関に勤めるニトゥリーが、凶悪犯やテロリストの拷問に使用」
「おい、人聞きの悪い事をいいなや、国家のために役立てているくらい言ったらどうや」
「国家のために、罪人を壊しまくっている」
「壊さんわ! 人を人でなしのようにいいなや! 寸前で止めとるわ!」
「おっかな」
「で、次にミトゥコッシーはニトゥリーとかなりの距離を離れていても、意思を伝えあえる能力と、俯瞰の能力。言わば幽体離脱だな」
「そや、って俺もなんか弄らんかい!」
「普通過ぎて弄るところがない」
「おい!」
「ん-、海軍に勤めるミトゥコッシーが、軍艦で唯一の娯楽、それは女子のシャワーを堂々覗けること、利用用途はそんなとこだろ?」
「お前といっしょにするなや! 見や、ヨドとソゴゥが軽蔑しきった目でこっちを見よる! どうしてくれるんじゃ!」
ヨドゥバシーがソゴゥを乗せたまま、三人の兄と距離を取る。
「あー、今のは冗談な。次に、ヨドゥバシーは特殊能力未開化、ソゴゥは瞬間移動と、立体映像ってところか」
「ヨドへの気遣いで、ソゴゥの尋常じゃなさをサラッと流したのう」
「ようやく気遣いというものを、学ばれたようじゃ」
「それでソゴゥ、このまま闇雲に突っ込んで行くのも芸がない、作戦を練ろう」
「作戦も何も、先ずはミッツが幽体離脱で中の様子をニッチに伝えて、状況が分かり次第乗り込むんでいいんじゃないの?」
「よし、じゃあそれで」
兄弟五人とヨルは、夕食をデザートまでしっかり食べ終えてから、大人達が慌てて出て行くのを見届けて、東の森の調査へと赴いた。
春とはいえ、夜はかなり冷える。
針葉樹の間に広がる夜空は明るい。
肺いっぱい森の空気を吸って、少しの緊張とそれ以上のワクワクで、足取りが跳ねがちなソゴゥ。冒険に飢えているのである。
ソゴゥは横を歩くヨルを見て、いつもと違う様子を不審に思い尋ねる。
「どうした? 人型が保てないのか?」
珍しく黒い翼と角と尻尾を出している。人の大きさを辛うじて保っているが、それもかなり気力を要しているようだ。
「ああ、何故か擬態が上手くいかない」とヨルも首を傾げている。
「改めてその姿を見ると、確かにヨルは悪魔なんだとわかるな」
イセトゥアンが感心する。
先頭の二トゥリーが、周囲を見回し足を止める。
「ここら辺じゃ、鹿が近づかんようになたんは」
「この奥に何かおるような気がするのう」
「伝説の三觭獣かもしれんのう」
「まさか、あれは他国の山に棲息報告が上がっていた。唯一の個体だという話だ」
イセトゥアンの言葉に、ヨドゥバシーが安心したように息を吐く。
ソゴゥは特技の瞬間移動の時に使用する視点の切り替えで、周囲の危険な場所を探る。
エルフの森は間伐などが適度に行われ、整備されているため、枯れ木や倒壊した木は取り除かれ、丁度よい隙間が開いている。
それがあまりに綺麗にそろっているため、無限に続く木の陰影が、独特な森林の雰囲気を醸し出している。
「のう、ミッツ、さっきあそこに人がおらんかった?」
「はあ?」
「あの木の陰じゃ、こっちを恨めし気に見ておる髪の長い女子がおった気がするんじゃが」
「ああ、それはイセ兄さんのストーカーじゃ、よくあることよ。気にしなさんな」
「おいおいおいおい、いないからな、そんなの!」
「ミッツ、ちょと幽体離脱して見てきてくれん?」
「いやじゃ、怖い、刺されたらどうするんじゃ」
「霊体は刺されても、害はないじゃろ」
「心が死ぬる」
「なら仕方ないのう」
「いやいやいやいや、いないから! って言うかなんで俺のストーカー凶器持っている前提で話しているんだよ、マジやめて!」
「ちょっと、イセ兄うるさいよ、場所の特定が出来ないから静かにして」
「霊のか?」
「違う、鹿が逃げた原因の何かだよ。お前ら目的見失いすぎか? 遠足気分か?」
「おう、一番年下に怒られた」
「仕方ない、ソゴゥじゃからな」
「ソゴゥの邪魔をしたらいけん」
ソゴゥはヨルを振り返り「お前も、さっきから翼をバサバサ言わせすぎだ、どうした、羽が痒いのか? ダニがいるのか?」
「すまない、何か羽が広がって落ち着かんのだ」
「ところでソゴゥ、お前は兄の使い方はそれで合っているのか?」
ソゴゥの尻の下にはヨドゥバシーがいる。
正確には、性懲りもなく狼に変身したヨドゥバシーがソゴゥを乗せて歩いている。
ソゴゥの尻の下には、畳んだヨドゥバシーの服がクッション代わりに敷かれている。
「ヨドが、さっきより大きな狼に変身できるって言うから、見せてもらったら、乗るのにちょうどよさそうな大きさになったからさ。ヨドも嬉しそうだし」
ソゴゥがヨドゥバシーの頭を撫でると、尻尾を振りながら「ヴォフ」と返事する。
「まあ、ヨドがいいなら、いいけど」
ヨドゥバシーに乗ったソゴゥが案内するように、先頭を歩く。
ソゴゥが示す方向へ歩き続けていると、山道の傾斜が強くなったところで、切り立つ崖に洞窟を見つけた。
「この奥に何かいる」
ソゴゥが皆に告げる。
洞窟の入口付近に六人が集まり、イセトゥアンが皆に向かって言う。
「入る前に、兄弟の能力を確認しておきたい」
イセトゥアンが腰に手を当て、弟たちを見回す。
「まず俺は、高度な変身能力な、お前らのカスな狼とはクオリティーが違う」
「やるか?」
「おう、やろうや」
「落ち着け、悪かった、言い過ぎた。次に、ニトゥリーはミトゥコッシーとかなりの距離を離れていても、意思を伝えあえる能力と、相手に任意の映像を見せる能力。主に、警察機関に勤めるニトゥリーが、凶悪犯やテロリストの拷問に使用」
「おい、人聞きの悪い事をいいなや、国家のために役立てているくらい言ったらどうや」
「国家のために、罪人を壊しまくっている」
「壊さんわ! 人を人でなしのようにいいなや! 寸前で止めとるわ!」
「おっかな」
「で、次にミトゥコッシーはニトゥリーとかなりの距離を離れていても、意思を伝えあえる能力と、俯瞰の能力。言わば幽体離脱だな」
「そや、って俺もなんか弄らんかい!」
「普通過ぎて弄るところがない」
「おい!」
「ん-、海軍に勤めるミトゥコッシーが、軍艦で唯一の娯楽、それは女子のシャワーを堂々覗けること、利用用途はそんなとこだろ?」
「お前といっしょにするなや! 見や、ヨドとソゴゥが軽蔑しきった目でこっちを見よる! どうしてくれるんじゃ!」
ヨドゥバシーがソゴゥを乗せたまま、三人の兄と距離を取る。
「あー、今のは冗談な。次に、ヨドゥバシーは特殊能力未開化、ソゴゥは瞬間移動と、立体映像ってところか」
「ヨドへの気遣いで、ソゴゥの尋常じゃなさをサラッと流したのう」
「ようやく気遣いというものを、学ばれたようじゃ」
「それでソゴゥ、このまま闇雲に突っ込んで行くのも芸がない、作戦を練ろう」
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「よし、じゃあそれで」
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