異世界転生者の図書館暮らし1 モフモフと悪魔を添えて

パナマ

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2 エルフの国と生贄の山

2- 3.エルフの国と生贄の山

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歯ぎしりも、寝言もない一人部屋の静かな一夜が明け、朝食をとりに食堂へ向かう。

片側一列に二十人は座れる長テーブルに、何故か俺をハサんで、同い年トリオのビオラ、俺、ローズで固まって座る。
こういう時は、大概タイガイビオラとローズが喧嘩している時だ。
向かいの席で、ヨドゥバシーがニヤニヤしている。後で、ロケットキック顔面二連打必至。

「ソゴゥ君、タイが解けているよ」とローズが世話を焼きだす。
断っておくが、一ミリも解けていない。
結び直され、改悪されたタイに青筋を浮かべながらも黙ってミルクを飲む俺。
「寝ぐせついてるよ、私、コームもってるから直してあげるね」と反対側からビオラが俺の頭部にコームを刺す。
断っておくが、ただの一本も遊ばせていない。
ちょっと血が出たんじゃないかというくらい、勢いよく押し付けられたコームを持つビオラの手をそっと掴み、俺は口元に持ってきて、その手の甲に口付ける。

「食事中は、食事に集中したまえ」
俺のセリフに被ってビオラの悲鳴が上がる。
「ちょっと、ビオラちゃんに何てことするのよ!」
「え~ん、ローズちゃ~ん」
「可哀そう、直ぐに手を洗いに行こう!」
「それは大丈夫だけど」
「え、それは大丈夫なの?」
とにかく、仲直りしたようで、俺はローズに押しやられ強制的にビオラ、ローズ、俺の席順にされた。
イラっとしそうな予感に先んじて、斜め前のヨドゥバシーのスネに、靴をかなり強めに当てて、戻した。魔法で。
「いってえ!」と悶絶モンゼツするヨドゥバシー。

「それで、お前たちは、何かあったのか?」
前世分のアドバンテージのある俺は、十歳の子供に気遣うことぐらいはできる。
ローズとビオラは、明日の同盟国の来賓ライヒンパレードを見に行く服で意見が合わず困っていたらしい。

ローズもビオラも、ブロンドの髪に、ローズは透明度の高いピンク色の瞳、ビオラはスミレ色の瞳で、お互い、その色の服をおソロいで着たがったようだ。
それぞれの瞳の色の服を着て、リボンだけお互いのを交換して着けたら、ニコイチに見えるだろうと提案する。
「全裸魔人にしては、いいアイデアね」
「採用!」
全然嬉しくない。
「全裸魔人ってなんだよ」
「女子棟の談話室で、上の子たちが言ってたよ。男子棟には黒髪の全裸魔人が出るって」
「それ、俺とは限らないだろ。ヨドゥバシー十一歳とかじゃねえの?」
「ヨドゥバシー十一歳なら黒髪じゃなくて、ドブネズミ色(め言葉)って言うと思う」
「ヨドゥバシー十一歳は黒ではないよね、しいけど。くすんだ灰色かな?」
「めっちゃ十歳トリオがイジってくる。十一歳が俺だけだからって、ひどくない?」
「俺は十一歳だから、お前らより一歳年上だから、って思ってそうなのが鼻につく」
「マジ、それ」と女子二人が追撃する。
項垂れるヨドゥバシー。その肩を叩く、十二歳、ダンデ君、重量級。ほぼ黄色の金髪で、常に骨付き肉を片手に持っていそうなイメージ。
確かにこの園には、黒髪の子供は俺だけで、先生の中に一人、茶色の髪の女性がいるだけだ。
この先生の授業中に質問しようとして「母さん!」って、声を掛けてしまったのは、致し方ないはず。
その後、先生にギュって抱きしめられて、居たたまれない気持ちになったのは、割と最近の出来事だ。

ビオラやローズが浮かれている明日のイベントは、実は俺も、ものすごい楽しみにしている。

「明日は俺が黒い服着るから、ソゴゥは鉄色の服を着ろよ、ニコイチな!」
朝食後、教科書を取りに部屋に戻るなり、ヨドゥバシーがノックをせずに入って来て言った。

「困るんだよ、君。ちゃんとノックをしたまえ」
「廊下を全裸で歩くやつに、プライバシーを問われてもなー」
「明日の服はさておき、俺は明日、もしかしたら母さんに会えるんじゃないかって思っているんだ」
「え、どういう事?」
「俺たちの母さんは、貧乏貴族の父さんと駆け落ちして子供が出来たけど、引き戻された王族のお姫様なんだと思う」
絶句するヨドゥバシーに構わず続ける。
「しかも子供が出来る度だから、四回は城に引き戻されているね、母さん」
「え、ソゴゥ、え?」
「だから、明日のパレードの王族席に母さんいると思う」
「マジか・・・・・・ソゴゥ」
俺は本気。という目でヨドゥバシーを見たら、ギュってされた。
下にスッとしゃがんで、足払いからの下段突きをお見舞いしといた。

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