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6 旧サジタリアス城の戦い
6-9. 旧サジタリアス城の戦い
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夜が明け、ストークスとセージは、馬車に子供たちとドナー男爵家の使用人を乗せて、旧サジタリアス城から少しでも遠くへとイヲンの街へ向かっていた。
先程の閃光の後、後方からは爆音が絶えず響き、時折暴風が馬車を揺らして、戦闘の激しさを伝えてきた。
一際大きな音がした後、大地が揺れて目の前の道に亀裂が入った。
その大地の裂け目に、馬ごと馬車が落下し掛かったところで、地面に岩の足場が出現して、反対側へと無事に着地することが出来た。
傾いた馬車は引き戻され、ストークスとセージが後方を見るとそこには、犯罪未然対策課班長のニトゥリーと、魔法安全対策課班長のイフェイオンがいた。
「班長!」
「おう、お前らか、一体この先で何が起きとる?」
ニトゥリーは馬車の中で眠る子供たちを確認し、だいたいの事を察しながらも、二人の部下に尋ねた。
ニトゥリー班の二人は、世界樹伐りの斧が使用された状況を説明した。
「では、ここら一体の地形を変えるほどの、この世界大戦みたいな衝撃は、第一司書殿とガルダ王が戦っている影響なのですね」
「うそやろ・・・・・・お前たちは、直ぐに子供らを連れて街へ避難せい、何か分かったら状況を伝える、それまで、この場所へ近付かんように」
「了解です!」
ニトゥリーとイフェイオンは、先に飛んで行ったルキを追って、再び飛行魔法で移動した。
ルキは樹精獣達と共に、旧サジタリアス城で戦う赤い翼のガルダ王と、黒い光を生やした白髪のエルフを見た。
序列三位の邪神である己が立ち竦むような戦いが、目の前で繰り広げられていた。
彼らが接触するたびに気流が起こり大気が変動し、地面は魔力で震え続けている。
高エネルギー同士の接触に、空間が捻じれて、時折時空の穴までもが出現している。
このまま、この戦いを放置していると、時空が歪んで惑星の次元の恒常性が消失してしまう。
ルキの元に飛翔して来たニトゥリーとイフェイオンもまた、目の前の光景に呆然と立ち竦む。
ガルダ王の炎の剣が、ソゴゥを貫いた時、ニトゥリーは叫びながら、一瞬気を失っていた。
目の前に、見たこともない建物や景色、病院へ駆け付けるあの時の記憶が、嘘だと繰り返していた絶望がフラッシュバックした。
「素剛!!」
ソゴゥの胸は、服すらも焼けていない。
手加減をしている分、ガルダ王の方が傷を負っているようだった。
ルキは、白髪のエルフの状態が、自分の宝物庫にあった世界樹伐りの斧によるものだと気づき、樹精獣達が自分をここへ連れてきた理由を理解した。
「一分、ルキに一分だけ時間をくれれば、あのウイルスを無効にできるノシ!」
「どういうことでしょう?」
「あの、ニトリンの弟の動きを一分止めて欲しいノス!」
「俺がやるわ」
ニトゥリーが、全魔力を注いで全身が発光するほどの身体強化を掛ける。
樹精獣達の肉球連打が、ニトゥリーの足を襲う。
「なんや?」
しゃがみ込むと、一頭の樹精獣が赤い魔導書をニトゥリーに手渡し、もう一頭が、小さなガラス瓶を渡してくる。
「その魔導書に、その瓶の中身の血を掛けろと言っているニョロ」
ルキが樹精獣の言葉を通訳する。
ニトゥリーは魔導書を開くと、自然と止まったページに、言われた通りに瓶の中身を垂らした。ページに血が広がると、目の前に真っ赤な魔法円が出現し、黒く禍々しい炎を纏った見覚えのある悪魔が顕現した。
「ヨル!」
「ソゴゥを助けるため、世界樹の巫覡の任を解く」
「待つノシ! ルキなら、世界樹伐りの斧を除去できるニョス、イグドラシルに巫覡がいなくなったら、あの女の思う壺ノフス! 悪魔は、ニトリンの弟を一分動きを止めるのデフ!」
「出来るのか?」
「ルキは序列第三の邪神、神器の破壊方法を知るモノなのでゴス」
語尾で台無しだ。
ニトゥリーとイフェイオンは緊張を顔に貼りつけつつも、内心思っていた。
ガルダは、時空の穴を利用して緻密に計算した攻撃を繰り出してくるソゴゥに、力のままねじ伏せることのできない苛立と、それと同じくらいの困難な戦闘に対する興奮を高めていた。
振り下ろした剣が受け止められ、放つ魔術が弾かれる。そんな経験は、願っても得られないと思っていた。だが、この世界樹伐りの斧に取り付かれたエルフの個体は、およそ生物とは思えない魔力量を誇り、邪神の武器による能力なのか、それともイグドラシルの回路が利用された結果なのか、恐ろしく精度の高い攻撃を仕掛けてくる。
無駄撃ちがなく、研ぎ澄まされた、全てが一撃必殺の攻撃だ。
それを受け、躱す度に、命を落とさずに済んだことに対しての高揚が、今、この瞬間まだ生きて、そして戦いが続いているという興奮が積み重なっていく。
この俺が、生きていることに安堵するときが来るなど、俺自身でも予想できなかったことだ。
ガルダは、この地を焦土にかえない限り、この戦いに勝ちはないと分かっていた。
だが、エルフの小僧どもの期待を裏切るのも癪に障る。
一時間、それまでは我慢して、この命のやり取りを続けてやろう。
先程の閃光の後、後方からは爆音が絶えず響き、時折暴風が馬車を揺らして、戦闘の激しさを伝えてきた。
一際大きな音がした後、大地が揺れて目の前の道に亀裂が入った。
その大地の裂け目に、馬ごと馬車が落下し掛かったところで、地面に岩の足場が出現して、反対側へと無事に着地することが出来た。
傾いた馬車は引き戻され、ストークスとセージが後方を見るとそこには、犯罪未然対策課班長のニトゥリーと、魔法安全対策課班長のイフェイオンがいた。
「班長!」
「おう、お前らか、一体この先で何が起きとる?」
ニトゥリーは馬車の中で眠る子供たちを確認し、だいたいの事を察しながらも、二人の部下に尋ねた。
ニトゥリー班の二人は、世界樹伐りの斧が使用された状況を説明した。
「では、ここら一体の地形を変えるほどの、この世界大戦みたいな衝撃は、第一司書殿とガルダ王が戦っている影響なのですね」
「うそやろ・・・・・・お前たちは、直ぐに子供らを連れて街へ避難せい、何か分かったら状況を伝える、それまで、この場所へ近付かんように」
「了解です!」
ニトゥリーとイフェイオンは、先に飛んで行ったルキを追って、再び飛行魔法で移動した。
ルキは樹精獣達と共に、旧サジタリアス城で戦う赤い翼のガルダ王と、黒い光を生やした白髪のエルフを見た。
序列三位の邪神である己が立ち竦むような戦いが、目の前で繰り広げられていた。
彼らが接触するたびに気流が起こり大気が変動し、地面は魔力で震え続けている。
高エネルギー同士の接触に、空間が捻じれて、時折時空の穴までもが出現している。
このまま、この戦いを放置していると、時空が歪んで惑星の次元の恒常性が消失してしまう。
ルキの元に飛翔して来たニトゥリーとイフェイオンもまた、目の前の光景に呆然と立ち竦む。
ガルダ王の炎の剣が、ソゴゥを貫いた時、ニトゥリーは叫びながら、一瞬気を失っていた。
目の前に、見たこともない建物や景色、病院へ駆け付けるあの時の記憶が、嘘だと繰り返していた絶望がフラッシュバックした。
「素剛!!」
ソゴゥの胸は、服すらも焼けていない。
手加減をしている分、ガルダ王の方が傷を負っているようだった。
ルキは、白髪のエルフの状態が、自分の宝物庫にあった世界樹伐りの斧によるものだと気づき、樹精獣達が自分をここへ連れてきた理由を理解した。
「一分、ルキに一分だけ時間をくれれば、あのウイルスを無効にできるノシ!」
「どういうことでしょう?」
「あの、ニトリンの弟の動きを一分止めて欲しいノス!」
「俺がやるわ」
ニトゥリーが、全魔力を注いで全身が発光するほどの身体強化を掛ける。
樹精獣達の肉球連打が、ニトゥリーの足を襲う。
「なんや?」
しゃがみ込むと、一頭の樹精獣が赤い魔導書をニトゥリーに手渡し、もう一頭が、小さなガラス瓶を渡してくる。
「その魔導書に、その瓶の中身の血を掛けろと言っているニョロ」
ルキが樹精獣の言葉を通訳する。
ニトゥリーは魔導書を開くと、自然と止まったページに、言われた通りに瓶の中身を垂らした。ページに血が広がると、目の前に真っ赤な魔法円が出現し、黒く禍々しい炎を纏った見覚えのある悪魔が顕現した。
「ヨル!」
「ソゴゥを助けるため、世界樹の巫覡の任を解く」
「待つノシ! ルキなら、世界樹伐りの斧を除去できるニョス、イグドラシルに巫覡がいなくなったら、あの女の思う壺ノフス! 悪魔は、ニトリンの弟を一分動きを止めるのデフ!」
「出来るのか?」
「ルキは序列第三の邪神、神器の破壊方法を知るモノなのでゴス」
語尾で台無しだ。
ニトゥリーとイフェイオンは緊張を顔に貼りつけつつも、内心思っていた。
ガルダは、時空の穴を利用して緻密に計算した攻撃を繰り出してくるソゴゥに、力のままねじ伏せることのできない苛立と、それと同じくらいの困難な戦闘に対する興奮を高めていた。
振り下ろした剣が受け止められ、放つ魔術が弾かれる。そんな経験は、願っても得られないと思っていた。だが、この世界樹伐りの斧に取り付かれたエルフの個体は、およそ生物とは思えない魔力量を誇り、邪神の武器による能力なのか、それともイグドラシルの回路が利用された結果なのか、恐ろしく精度の高い攻撃を仕掛けてくる。
無駄撃ちがなく、研ぎ澄まされた、全てが一撃必殺の攻撃だ。
それを受け、躱す度に、命を落とさずに済んだことに対しての高揚が、今、この瞬間まだ生きて、そして戦いが続いているという興奮が積み重なっていく。
この俺が、生きていることに安堵するときが来るなど、俺自身でも予想できなかったことだ。
ガルダは、この地を焦土にかえない限り、この戦いに勝ちはないと分かっていた。
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