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これが王宮いじめですか!?
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「ロイド。俺は本当にリリーから嫌われているのかもしれない……」
計り知れない心のダメージを受けて、ルイスはソファに深く腰掛け俯き加減にロイドに呟いた。
まさか俺が口に含んだ指をああも目も前で水洗いされるとは……。
しかもリリーは本気で唾液消毒後には水洗いしないといけないと思い込んでいたぞ。侯爵は何をリリーに教えて……、いや、田舎で怪我をしたらならその手当ては正しいのかもしれないが……。だからと……。
火傷の唾液消毒であんなに舐める必要などあるはずがないのに、リリーはルイスがいった『唾液消毒』を信じて、父親に言われるとおりに水洗いしていた。その後もしっかり濡れた手をハンカチでふき取って。
これまでルイスが培ってきた女性の扱い方が、リリーには全く通じないのだと分かった瞬間だった。
普通に考えたら、眼中にない男に触られた手を洗う淑女令嬢のソレだ。
「僭越ながら、男女の間に心のすれ違いは常かと存じます」
ロイドの模範回答が軽く聞こえてしまう自分の度量の無さを痛感してしまう。
かといってリリーに嫌われていようとも婚約破棄する気はまったくない。
お茶がかかってしまった手を井戸水で冷やしていたときのリリーを思い出すたびに、また腕の中に閉じ込め、様付けではなくルイスと呼び捨てにして自分の胸に縋らせたくてたまらなくなる。指を舐めとる間、自分の腕の中で顔を真っ赤にして、小さく震えて、サファイアの瞳に涙を滲ませながら必死に耐えていたリリー。
なんてリリーは可愛らしいのだろう。やさしくしてあげたいと思うのに、つい意地悪をして泣かせたくなる。本当はずっとリリーの白く細い指を舐めていたかった。指だけでなくあの小さな耳も、首も、そして薔薇のように赤い唇も貪りたかった。あの鈴を転がしたような可憐な声をもっと聞いていたかった。
いつかリリーからも求められたい。きっとおそるおそると震える指で壊れ物に触れるかのように俺に触れてくるはずだ。リリーが望むなら自分の身体を好きにしてもいい。リリーの玩具になるのも愉しそうだ。
そのリリーにわざとお茶をこぼした罪は決して許されない。お茶を置いていると分かっている最中に動くなんてぶつかってくれと言っているようなものだ。動いた者にお茶がかかるのは知ったことではないが、熱いお茶が零れたカップを落として割ってしまわないようにリリーは必死に我慢していた
リリーが火傷をするくらいなら、カップの1つ2つ割れた方がマシだというのに、どれだけ熱かったことだろう。
(本当ならリリーの手をとりすぐにでも水場に連れて行きたかった。リリーが男装し俺付きの見習い騎士と偽ってなければ……。ノエラ公爵に見られてさえいなければ……。やはりリリーは俺のプライベートな場だけにしか出さない方がいいな。女というものはこういうところはどんなに隠しても勘付くものだ。いくら男装をしていてもリリーの可愛らしさは隠しようがない。俺だけがリリーの淹れるお茶を飲めれば十分だ)
「あと、ノエラ公爵とマーガレット嬢だが、今後一切取り次ぐな」
ちょっと公爵という地位を立てて社交パーティーに出席したら、図に乗ってまた次のパーティーにも是非出席してほしいと言ってきたが、出る気など全くない。香水臭いマーガレットをパートナーになど論外だ。
「……かしこまりました」
ロイドが頷くと、ちょうど部屋にリリーが帰って来た。しかしその手には顔が埋もれてしまいそうになるほどの花を抱えている。
とたんに部屋に花の芳醇な香りが広がった。
計り知れない心のダメージを受けて、ルイスはソファに深く腰掛け俯き加減にロイドに呟いた。
まさか俺が口に含んだ指をああも目も前で水洗いされるとは……。
しかもリリーは本気で唾液消毒後には水洗いしないといけないと思い込んでいたぞ。侯爵は何をリリーに教えて……、いや、田舎で怪我をしたらならその手当ては正しいのかもしれないが……。だからと……。
火傷の唾液消毒であんなに舐める必要などあるはずがないのに、リリーはルイスがいった『唾液消毒』を信じて、父親に言われるとおりに水洗いしていた。その後もしっかり濡れた手をハンカチでふき取って。
これまでルイスが培ってきた女性の扱い方が、リリーには全く通じないのだと分かった瞬間だった。
普通に考えたら、眼中にない男に触られた手を洗う淑女令嬢のソレだ。
「僭越ながら、男女の間に心のすれ違いは常かと存じます」
ロイドの模範回答が軽く聞こえてしまう自分の度量の無さを痛感してしまう。
かといってリリーに嫌われていようとも婚約破棄する気はまったくない。
お茶がかかってしまった手を井戸水で冷やしていたときのリリーを思い出すたびに、また腕の中に閉じ込め、様付けではなくルイスと呼び捨てにして自分の胸に縋らせたくてたまらなくなる。指を舐めとる間、自分の腕の中で顔を真っ赤にして、小さく震えて、サファイアの瞳に涙を滲ませながら必死に耐えていたリリー。
なんてリリーは可愛らしいのだろう。やさしくしてあげたいと思うのに、つい意地悪をして泣かせたくなる。本当はずっとリリーの白く細い指を舐めていたかった。指だけでなくあの小さな耳も、首も、そして薔薇のように赤い唇も貪りたかった。あの鈴を転がしたような可憐な声をもっと聞いていたかった。
いつかリリーからも求められたい。きっとおそるおそると震える指で壊れ物に触れるかのように俺に触れてくるはずだ。リリーが望むなら自分の身体を好きにしてもいい。リリーの玩具になるのも愉しそうだ。
そのリリーにわざとお茶をこぼした罪は決して許されない。お茶を置いていると分かっている最中に動くなんてぶつかってくれと言っているようなものだ。動いた者にお茶がかかるのは知ったことではないが、熱いお茶が零れたカップを落として割ってしまわないようにリリーは必死に我慢していた
リリーが火傷をするくらいなら、カップの1つ2つ割れた方がマシだというのに、どれだけ熱かったことだろう。
(本当ならリリーの手をとりすぐにでも水場に連れて行きたかった。リリーが男装し俺付きの見習い騎士と偽ってなければ……。ノエラ公爵に見られてさえいなければ……。やはりリリーは俺のプライベートな場だけにしか出さない方がいいな。女というものはこういうところはどんなに隠しても勘付くものだ。いくら男装をしていてもリリーの可愛らしさは隠しようがない。俺だけがリリーの淹れるお茶を飲めれば十分だ)
「あと、ノエラ公爵とマーガレット嬢だが、今後一切取り次ぐな」
ちょっと公爵という地位を立てて社交パーティーに出席したら、図に乗ってまた次のパーティーにも是非出席してほしいと言ってきたが、出る気など全くない。香水臭いマーガレットをパートナーになど論外だ。
「……かしこまりました」
ロイドが頷くと、ちょうど部屋にリリーが帰って来た。しかしその手には顔が埋もれてしまいそうになるほどの花を抱えている。
とたんに部屋に花の芳醇な香りが広がった。
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