昭和のおっさんタロウの異世界物語は東の国から

うしさん

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第3章 西の大陸

第01話 町へ向かうために。

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 見張り当番で一人になると、【那由多】に尋ねてみた。もちろん声に出さずに。

『【那由多】。ここが西の大陸だと言ったが、今までいた場所とは繋がっているのか?』
―――世界としては繋がっていますが、陸続きではありません。

『なぜ、そうという事が分かる』
―――この西の大陸のデータは元々ありました。先程までの場所のデータが無かっただけです。しかし、今なら分かります。

『分かるのだった教えてくれ。今更だが、参考までに聞いておこう』
―――【東の国】と呼ばれる国にいました。

『その【東の国】へは戻れないのか?』
―――戻れます。

『戻れるのか! じゃあ、またこの祠の中から転送されればいいのか?』
―――いいえ、この祠にある八芒陣の魔法陣は解析できませんでした。向こうからの一方通行の魔法陣のようです。非常に時間は掛かりますが、解析をしますか?

Yes/No

『もちろんYesだ、解析をしてくれ。手札は多いほうがいい』
―――了解しました。

『さっき帰れると言ったのもその事か?』
―――いいえ、東の国もこの世界の国です。陸続きではありませんが、海を渡れば行く事ができます。但し、東の国のデータは保存されていません。

 どこに何が保存されてるのか知らないが、【那由多】は東の国については知らないようだ。
 東の国というぐらいなんだから東にあるんだろう。海を渡るのか。どこに行けば港があるのだろうな。
『ここは西の大陸のどの辺りになるんだ?』
―――西端です。

 真逆じゃないか! なんでこんなとこに飛ばすんだ! もうちょっと転送場所を考えろよ!
 文句を言える相手もいないので、不満をグッと飲み込む。
『近くに町はあるのか?』
―――あります。地図を出しますか?

Yes/No

『もちろんYesだ』
 脳内にマップが現れた。
 真四角に近い形をした大陸だな。四国というよりオーストラリアに近いか。
 そして我々がいるのは西端だと。何キロぐらいあるんだろうか。国は何個あるんだろう。誰にも邪魔されずに歩いたとしても、一年では辿り着けそうも無いな。
 それならズームアップして近場の検索だ。

 自分達の現在位置をマーキングしてもらって、近くの町村にもマーキングをしてもらった。
 意外と近い所に一つ町があるな。これなら一日も掛からず辿り着けそうだ。
 但し、方向がな…この方向はさっき狩りをしていた方向だ。どの方向にも魔物はいるが、特に多く魔物がいる方向だぞ。

 マーキングしたマップに現在の魔物を赤点で出してもらった。
 多すぎるな。でも、よく見ると単独でいるものは少ないな。群れになってるものが多くて、その群れと群れの間には若干の隙間がある。縄張りの境界には近づかないようにしてるのかも。
 だったら少な目の魔物を今日のように討伐して、縄張りの隙間を縫って行けば意外と戦闘が少なくなって生存確率が上がるかもな。
 魔物の強さは赤点の大きさで分かるし、これなら何とかなるかもしれない。

 ここに居ると安全そうだが、いつまでもここに居るわけにも行かないしな。
 少しこの周辺で狩りをして、この大陸の魔物に慣れたら決行しようか。
 魔物狩りは私達の食料と直結するので、やらない選択は無い。それで町へ到着できる確立が上がるのなら一石二鳥だろう。
 因みに【東の国】の詳細については今もデータ不足だそうだ。

 この西の大陸の事が分かっただけでも助かったのだが、肝心の【東の国】のデータが少なすぎるな。
 【東の国】に戻れる事は分かったが、その方法が曖昧すぎる。自分達の力で探すしかないのか。
 今日で、超大型連休も終わったし、無断欠勤多日数という事でもう完全にクビだな。

 そうだ、態々【東の国】に戻る必要は無いんだ。この大陸からでも元の世界に戻れればいいんだから。
『私の元の世界に戻る方法は?』
―――データ検索――該当なし。

 無いのか。じゃあ、僅かな望みとして聞いてみよう。
『この祠の転送だが、場所だけの転送なのか? もしかして時間も変わってないか? 例えば少し過去に戻されたとか。
―――この祠の転送は位置だけの転送でした。時間や次元に関わった形跡はありません。

 そうか……場所だけか。世界もそのまま時間もそのままなんだな。
 残念なような良かったような……
 まずはこの大陸の町を目指して情報を集めないと何も分からないって事だな。
 
 【那由多】って自己紹介の時に演算処理って言ってたな。データ検索なんかもそれに当たるんだろうが、確立処理もできるのではないか?
 そう思い、さっきの町を目指す作戦の成功確立を出してもらった。

―――『タロウの作戦』この周辺の魔物に慣れてから向かう作戦。成功確立九九%
 縄張りの隙間を通る作戦。成功確立九九%

 おお! いいじゃないか。こういうのって一〇〇%を出さないだろうから最高の確立が出たぞ。私の作戦も満更では無かったようだな。
 明日からは策士タロウで行こうか。

 さて私もそろそろ寝ないとな。ココアと交代してもらおうか。
―――タロウに寝る必要はありません。もう少しこの世界について学んだ方がいいでしょう。

 寝る必要が無いってどういう事だ? しかも今は別に質問してないんだが。
『寝る必要が無いとはどういう意味だ。しかも質問はしてないぞ、なぜ分かった』
―――寝る必要が無いとはそのままの意味です。この世界でタロウは眠らなくとも活動できます。回答したのはココアに目を向けて立ち上がろうとしたので見張りの交代をするのだと予測できました。その確立一〇〇%。

 寝る必要が無いって、それで私は疲れないのか? 今まではこの世界でも眠っていたぞ。あれも別に眠る必要は無かったというのか。でも、私は寝る! 若い身体になっても関係ない。寝る事で精神的にも休まったりするものだ。しかも確立一〇〇%だと!? あるじゃないか一〇〇%!

 その夜は【那由多】に言われるがまま、この世界や魔物についてご教授頂いた。寝たかったが、確かに眠くない。ソラとココアを休ませる事ができたと思えば納得だな。
 ただ、私の説明が雑だった。聞いた事しか教えてくれないのだ。別に嘘は言ってないのだろうが、私の見落としもあるだろうから、そういう補足をしてくれる事が一切無かった。本当に聞いた事だけに答えてくれるといった感じだった。
 スキルだのステータスだの、もっと詳しく知りたかったのだが、どういった質問をしていいかが分からないので聞けないのだ。

 唯一分かった事は、魔法は覚えないと使えないという事だった。
 当たり前だ!
 覚える方法も、誰かから学ぶか魔法書で勉強するか独学で開発するかだった。
 ホント役に立たねぇと思ってしまった。

 私は【那由多】が魔法データを引き出して、どんどん私の魔法が凄くなって行くというチートな事を期待してたのだが、そう上手くはいかなかったようだ。残念。

 翌朝は、夕食の残りの豚汁とご飯で朝食を摂り、少し今後の事について三人で話し合った。

「では、ココアも長老(オオカミおじさん)との交信が出来なくなったんだな」
「はい、申し訳ありません。交信しようとすると、ノイズのようなものが邪魔をして上手く発動しないのです」
「それはこちらが悪いのか、向こうが悪いのか分かるか?」
「分かりません。でも、どちらも悪くなくて、途中に障害がある可能性もあります」
 確かにそうだな。携帯の圏外もそういうものだしな。どちらの端末も悪くないのに繋がらないって事はあるからな。基地局や中継アンテナから離れすぎたり、地下鉄や特別な地域で電波が通りにくい場所なら圏外になるからな。

 【那由多】が【東の国】のデータが少ないのも同じことなのかもしれないな。何かが邪魔してデータが取れないという事なのかもしれない。
 そこで、この話は終えるとして、今後の行動予定だ。

「近くに町があるようなのだが、途中に魔物が多く存在している。大して強い魔物は確認できないが、少しここで魔物に慣れて、十分脅威では無いと思えた時点で町に向かおうと思うのだがどうだろうか」
「そこまで慎重になさる必要は無いと思いますが、ご主人様がそうしたいのでしたら私達は従うだけです」
「よゆーだよー」

 確かに昨日の狩りでも危なげなく勝利したが、負けイコール死なのだから、もっと慎重に行かなければ。
 君達二人は軽く考えすぎだ。ここは私がちゃんと導いてやらないとな。

 それから一週間。我々は近場の魔物を狩りまくった。修行という名の虐殺だと思うのだが、相手は魔物、遠慮をしていればこちらが殺される。だから遠慮なく倒させてもらった。
 西の町で新調した虎刀牙素材の刀は非常に切れ味が良く強かった。
 エンカウントした魔物達がまるでそこにいないかのような感触でただ素振りをしているかのように振るだけで魔物が倒れて行くのだ。

「この新しいのいいねー」
「ご主人様、この薙刀は本当に素晴らしいです!」
 二人も大満足してくれたようだ。

 出て来た魔物の多くはファンタジー小説で馴染み深いものが多かった。

 ゴブリン オーク 大アリクイ ベアラット カンガルーダ ファーラット ダークホーン リカント ウェアウルフ オーガ アダマンタイマイ ガルーダ リザードマン キラービー サラマンダー ツインヘッド クロコダイロン 等々、【東の国】と違って漢字の魔物名はいなかった。しかもココアに聞くまでもなく【那由多】が初めから魔物名まで【鑑定】で表示してていた。こちらのデータがあるというのは嘘では無かったようだ。

 私達は、一度も苦戦をする事無く順調に狩りを続け、レベルも順調に上がって行った。


 名前: 佐藤 太郎
 年齢: 18
 種族: 人族
 加護: なし
 状態: 普通
 性別: 男
 レベル:51
 魔法: 火(2)・水・土・風・氷・雷・闇・光
 技能: 刀(4)・剣・槍・弓・料理(6)・採集(2)・解体(3)・回避(4)・遮断(2)・隠蔽(1)
 耐性: 熱・風・木・水・雷・毒・麻痺・腐食
 スキル: 【亜空間収納】【鑑定】【複製】【変身】【仲間】【極再生】【痛覚無効】
 ユニークスキル:【那由多】
 称号: 異世界の落ち人 命名師
 従者: ソラ・ココア



 名前: ソラ
 年齢: 250歳
 種族: 九尾族
 加護: タロウの加護
 状態: 普通
 性別: 女
 レベル:68
 魔法: 火(6)・水(2)・土(2)・風(4)・雷(5)・闇(5)
 技能: 牙(8)・刀(2)・薙刀(6)・槍(3)・採集(5)・調合(6)・探知(2)・回避(4)・遮断(3)・隠蔽(3)
 耐性: 熱・雷・毒・麻痺・腐食
 スキル: 【鑑定(中)】【変身】【再生】
 ユニークスキル:【天災】
 称号: 九尾族の姫



 名前: ココア
 年齢: 150歳
 種族: 白狼族
 加護: タロウの加護
 状態: 普通
 性別: 女
 レベル:45
 魔法: 水(7)・土(6)・風(7)
 技能: 牙(8)・短刀(2)・薙刀(6)・採集(6)・料理(2)・解体(2)・探知(3)・回避(4)・遮断(3)・隠蔽(2)
 耐性: 熱・雷・毒・麻痺。腐食
 スキル: 【変身】【再生】
 ユニークスキル:【山の神とのつながり】
 称号: なし


 レベルは順調に上がっている。ステータスが分からないので、どのぐらい強くなったか分かり辛いのだが、この周辺の魔物なら一〇〇体の群れが襲い掛かってきても負ける事は無いと思えるほどに自信はついた。
 称号も『異世界の落ち人』って変わってるのがよく分からないが、私の称号がよく変わるからか、ソラとココアの称号が『タロウの加護』に変わっていた。
 普通、称号が付くと補正が掛かるはずなんだが、『タロウの加護』で補正なんか付くものなんだろうか。
 一応、【鑑定】だけはしておいた。

 『タロウの加護』
 レベルアップ時ステータス補正二倍

 通常レベルアップの時に攻撃力が三上がったとしたら上昇補正で六上がるって事だろうけど、私にそんな加護を与える力など無いはずなのだが。

 あと、技能と魔法にカッコ付きの数字が付いていた。【那由多】に言わせると、熟練度だそうだ。
 熟練度の一番上の数字が料理というのも少し情けない話だが、料理は毎日ココアと作ってるからそれで上がったのだろう。
 一人暮らしで料理歴も長いからな。ソラと出会った時にカップうどんを食べてたのは偶々だ。そう、偶々。


 この西の大陸に飛ばされて来てから八日目の朝、私達は町に向けて出発した。
 計画を少し変更し、弱そうな魔物を狙うのではなく、【那由多】に町までの最短距離を検出してもらって、そのルートを元になるべく戦闘回数を減らしたルートを作成し、その順路で町に向かっている。

 そのルートでも九九%だったからだ。もしかして、初めからどこを通っても九九%だったのではないかという疑問が浮かんだが、もしそうだった場合、私の完璧だったはずの計画が脆く崩れ去るので、あえて聞かずにおいた。
 進行は順調で、早足で進めてるので、これなら夜には町に着けるのではないだろうかと予想している。
 但し、予想以上に魔物の数が多い。もし、これ以上増えるようなら野宿する事も覚悟しないといけない。
 まぁ、見張り番は私がやるのでいいとして、守りやすい場所が見つかればいいのだが。

 悪い予感というものはよく当たるもので、魔物が徐々に増えだした。
 私達三人の実力なら、まだまだ問題なさそうだが、進行速度がガタッと落ちた。このままでは今日中に町に着くのは無理だろう。
 夜遅くに知らない町に行くのは出来るだけ避けたいからだ。

 魔物達は後ろには逃げずに逃げる奴は両サイドへ逃げて行く。まるで後ろに壁でもあるように。
 ただ、逃げる魔物は少なく、ほとんどの魔物はこちらに敵意剥き出しで向かって来る。しかも奴らは同士討ちをしない。違う種族の魔物同士でも戦わないのだ。
 普段は縄張り争いや食物連鎖などもあって戦う事もあるのかもしれないが、私達がいるせいか全部の魔物がこちらに向かって来るのだ。
 それでもソラもココアも泣き言を言わずに戦っている。私が弱音を吐くわけにはいかない。

「ご主人様ー。もう飽きたー」
 言った。今心の中で褒めた所なのに泣き言を言っちゃったな。しかも疲れたや痛いではなく飽きたって……

「ご主人様、確かに多すぎませんか。わたしもココアさんもまだまだ行けますが、そろそろ一度休憩したいと思います」
 ココアまで。確かに多すぎるな。

『【那由多】どこかに休憩できそうな場所はあるか』
―――この先五〇〇メートルに魔物がいない地帯があります。

 確かに探索サーチで確認すると、魔物のいない空白地帯がある。
「ソラ、ココア。もう少し先に休めそうな場所がある。そこまでがんばれ。場所はこのまま真っ直ぐ前方だ」
「わかったー、がんばるー」
「分かりました。弱音を吐いて申し訳ございません」
 弱音とは思ってないぞ。もう、一人一〇〇体では利かないほど倒してるんだ。誰だって休みたいと思うさ。

 それから一時間で、ようやく空白地帯に到着した。ここに近づくにつれて更に魔物の濃度が増えたのだ。
 この場所は一体何なのだろうな。
 魔物の空白地帯に到着すると、念のため再度周辺を探索サーチした。

 確かに魔物はいない。ここは何なのだろう。この空白地帯に入る時に、祠のような膜は無かった。しかし、ここには魔物が寄り付かない。
 その寄り付かない何かがあるのだろうが、それが私達にも無害とは限らない。

『【那由多】ここに私達に害する毒などはあるか』
―――ありません。

『では、なぜここには魔物が寄り付かないんだ?』
―――その石碑から魔物が嫌がるものが出ているようです。解析不能。解析しますか?

Yes/No

『いや、解析したい所だが、先に転送の件を解析してくれ。その合間に出来るようなら解析をしてほしい』
 魔物が寄り付かない情報はほしいが、優先順位は転送の方が高いからな。
―――条件付きでYesと認識しました。

 では、ここは取りあえず安全な場所という事でいいんだな。だったらここで野宿するか。私が見張ってれば危険も無いだろう。

「ココア、ここで今日は寝る事にするから野営の準備をしよう」
「はい、わかりました。では、ソラさん。お願いします」
「わかったー」

 ココアに何かを頼まれたソラが、箸を手に持ち空に放り投げた。

「四点結ー」

 ソラが叫ぶと放り投げられた箸が四方に散り地面に突き刺さった。間隔としては一辺十メートルの正方形の四つの角に箸があるという感じか。
 流石ですねとココアが隣で言ってるが、何が流石なのか分からない。

「ソラ? 今のは何?」
「四点結だよー」
「だから、その四点結って何?」
「結界~?」

 なぜ私に聞く! 私が聞いてるんだ!
 頼んだココアは知ってたようで、ココアに説明してもらってようやく分かった。
 四点結とは結界の一種で、四つの角を式具で護る事により、その内側に魔物が入り込まないようにする結界だそうだ。ソラとの真面目な会話は疲れるな。

 もうここからなら私達の早足でも二時間もあれば街に着くだろう。ダッシュで走れば数十分かもしれないが。
 なので、ゆっくりと夕食の準備を始める。素材は売るほどあるのだから。但し、肉のみだが。
 一度、野菜の探索ができないかやってみないとな。

『【那由多】、キャベツや玉ねぎなどの野菜を探索サーチに出せないか?」
―――可能です。

 おっ、出来るんだな。
『だったらやってくれないか。この付近だけでいいから』
―――了解。

 脳内マップに黄緑色の点が現れた。これは分かりやすい。
 おっ、この空白地帯の中にもあるじゃないか。野菜の種類までは脳内マップでは分からないが、野菜なんだから取っておいて後で使ってもいい。どうせ収納すればいいんだから。

 ココアが火の準備をしてくれてる間に、ソラを連れて野菜を採りに行った。
 なぜこれを見落としていたのかと思うぐらいすぐに見つかった。魔物ばかりを警戒していたからだと思うが、こんなに普通に野菜があるとは。

 キャベツ、ジャガイモ、キュウリ、白菜、トマト、玉ねぎ、葱、ナス、大根、など。
 この世界産だから名前は違うかもしれないが、見た目が私の知ってる野菜のまんまだから問題ないだろう。
 【鑑定】してみると、名前もそのままで食用となっていたから大丈夫そうだ。
 これで、今夜の食事はもっと美味しくなるぞ。

 そして具沢山の山賊鍋を三人で楽しんでいて、ふと気がついた。

「おい、ソラ。お前尻尾はどうした。あと耳も見えないんだが」
 そうなのだ、ソラのケモミミとシッポが消えてるのだ。

 異世界物の定番で、獣人達が酷い扱いを受けたりするものがあるが、ソラが間違って酷い目に合わないだろうかと心配して、ふと見てみると無いのだ。ソラのケモミミとシッポが。
 ソラとココアは獣人ではなく魔物だ。私は彼女達は魔物ではなく妖怪の類いだと思っているが、どちらにしても獣人ではない。だから心配していたのだが(相手をね)、その問題となっている耳と尻尾が無いのはどういう事なのだろうか。

「今は五本になったよー」
「五本? 前は三本だったな」
「なんで知ってるのー」
「え? 見えてたからだが」
「見えてないよー。神主のおじいさんもそう言ってたしー」
 いえいえ、見えてましたから。

「本当ですね。見えなくなってますね」
「あっ、ご主人様だけ特別で見えるんだったー」
「わたしも見えてましたから」
「そんなのウソだよー」
「でも、今は見えてませんから、レベルが上がったのですね」

 レベルが上がる事で消せたりするものなのだろうか。
 そういえばスキルに隠蔽が増えてたな。それが原因じゃないか? どっちにしろ、ソラのシッポやケモミミが隠せるようになったのなら揉める原因が減ったという事でいいだろ。
 これ以上追求しないでやろう。

 就寝となって、また私が見張りに付く。
 ココアは「今日こそ私が」と言ってたが、私は寝なくても平気な事をここ何日かで分かったようで、渋々諦めて寝てくれた。

 この達の寝顔を見ると、自分の子供を思い出す。
 私にだって分かれた奥さんが連れて行ってしまったが、子供がいたのだよ。
 ちょうど、この達ぐらいの年齢になってるはずだ。別れてから一度も会ってないからどんな風に育ったのかも分からない。今会っても分からないかもしれないな。
 そんな事を考えながら夜は更けていった。
 謎の石碑も少し調べたが、私には普通の石碑にしか見えないし、考えるだけ無駄だろう。
 下手な考え休むに似たりってな。昔の人はいい言葉を沢山残してるな。

 朝食を食べ終わり、いよいよ今日は町に着く予定だ。
 周辺探索で調べてみると、来た方向は相変わらず魔物は多いが、今から進む方向には然程多くは無い。これならゆっくり進んでも予定通り到着できるだろう。

「じゃあ、出発するぞ」
「はーい」
「わかりました」

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