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第3章 西の大陸
第04話 狼狐
しおりを挟む冒険者ギルド。そこは三階建てに造られており、周りの建物よりは大きな建物だった。
昨日は、そこまで見る余裕もなかったので、改めて見て、その大きさに驚いていた。
日本の建物に比べると普通ではあるのだが、東の国ではこれ程大きな建物は見なかったからな。
入ると受け付けカウンターがすぐに目に入る。昨日はリルリさんという受付譲がいて担当してくれたんだが……今日も彼女はいるようだな。
だったら、今日も彼女にお願いしようか。
何人か並んでいたので、順番が来るのをしばし待つ。
ようやく私達の番となり、リルリさんに声を掛けた。
「昨日の精算の残りと、まだ残ってる魔物の買い取りの件で来ました」
「あ、昨日の件ですね。ではすぐに確認しますので少しお待ちください」
そう言って彼女は後ろで事務作業をしてた男性に話しかけた。話しかけられた男性は席を立ち、奥へと消えて行った。ギルマスのアラハンさんに連絡に行ってくれたのだろう。
「タロウさん。昨日、登録の時にひとつ忘れていた事がありまして、今その手続きをさせて頂いてもよろしいですか?」
昨日の登録で何か抜けていたらしい。待ってる時間もあるし、ちょうどいいと思い肯いて同意を示した。
「パーティ名登録を忘れていたのです。新規登録される方は個人で来られるか、グループで来られても自分達からパーティ名を言ってくださるので抜けてしまいました、申し訳ありませんでした。タロウさん達はパーティ登録をされるのですね?」
「ええ、まぁ」
「では、パーティ名はどんな名前になさいますか?」
パーティ名とはアレか。『永遠乙女』のようなやつか。
これは困った。そんな名前など何も思いつかない。もし、思いついたとしても使いたくないが……私にはハードルが高すぎる。
「すぐに決めないといけませんか?」
「いえ、いつでも結構ですが、早い者勝ちなので、なるべく早い方がいいですよ」
名前がダブると先に決めた者が優先なんだな。同じ名前があるとややこしいからそれは分かるが、パーティ名は必要なのだろうか。
「それは絶対に決めないといけないんですか?」
「そうですね、今まで決めなかったパーティはいませんので、絶対なのではないでしょうか」
ルールが明確にあるんじゃないのかもしれないが、もう慣例として絶対なのかもな。
ソラとココアを眺めながら、この二人に意見を求めても無駄なんだろうなと思い至った。
それならば、ソラが狐でココアが狼か。フォックスとウルフ、合わせてウルフフォックス…ウルフォックス。うん、これなら私も耐えられそうだ。
「ウルフォックスではどうでしょう」
「はい、その名前は登録されていませんから使えます。字はどう書きますか?」
おぅふ。それは当て字的な漢字のやつか。必要なのか?
「それは……」
「はい、皆さんそうされていますので、絶対ですね」
なんだ、その厨二集団のような決まりは。誰が始めたのだ。
「では狼と狐でどうでしょう」
こうですか? とリルリさんが書いてくれた。
『狼狐』
「はい……」
非常に恥かしい。こういうのは十代の若者だけでやってくれ。
パーティ名が決まった時にアラハンさんが奥から現れた。
「お待たせしました。それでは行きましょうか」
そう言われて、昨日同様にアラハンさんの後を付いて行った。
「『永遠乙女』さん達は早くに発たれましたよ。あの依頼は彼女達には少し早い気もするのですが、ルール上は問題ないので許可しましたが心配ですねぇ」
別に聞いてはいないがアラハンさんが世間話代わりに『永遠乙女』の情報を教えてくれた。
私は「そうですか」としか答えられない。何の依頼を受けたのか、どこに行ったのかも知らないのだから。
「まずは売りたい魔物を出してください。その後、また私の部屋に来てください。精算の他にも少しお話がありますので」
「はぁ……」
何の話だろうか。できれば辞退したいが…無理そうだな。
ニコやかに話すアラハンさんだが、絶対に来てくださいと目で訴えている。さすがマスターをするだけあって拒否させない眼力がある。ギルマスになってるのは伊達じゃないという事か。
昨日と同様に魔物を並べてると、ふと思い出した。
デュラハンも売りたいな。あれは他より高く売れそうな気がするし、もうついでに売ってしまった方がいいだろ。
そう思って鎧騎士の方を出した。馬の方は高級肉と出てたはずだから、後で調理して試食してみたい。
昨夜と今朝の料理があまりにも不味すぎたから余計にそう思ってしまう。
解体して料理か……日本で生活してた時には考えられない事だな。私も逞しくなったものだ。慣れとは恐ろしいな。
そして、昨日と同じく二段積み終えるとアラハンさんの下へ戻った。いつの間にか解体担当のゲンマさんも姿を見せていた。
「あ、あ、あの…タロウさん。あ、あの鎧の魔物は一体……」
「ギ、ギルマス…儂も初めて見るが、ありゃ…たしか…」
「あっ、あれはデュラハンという魔物ですね。中々苦戦を強いられました。馬の方は美味いらしいので出してませんが、あの鎧の方はいい素材になるんですよね?」
今も鑑定で確認したので間違った事は言ってない。
「……」
「……」
「あのー」
「……」
「……」
「あのー、どうかしましたか?」
二人して目を大きく見開きワナワナと小刻みに震えている。
声を掛けても答えてくれない。
「タ、タロウさん……あなた、どこでそれを?」
「森から出る時に邪魔をしてたのです。少し苦戦しましたが、どうやら本体は馬の方だったみたいで、馬を倒すと動かなくなりました」
「ギルマス…儂は変な汗が止まらねぇんだが」
「はぐっ!」
「どうしたギルマス! 気をしっかり持て!」
急に胸を押さえて苦しみだすアラハンさん。ゲンマさんが背中を擦ったりして介抱を始めた。
一体どうしたのだろうか。デュラハンには何かアレルギーに影響を与えるものでもあったのだろうか。だったらしまった方がいいか。
「あの、デュラハンを一度しまいましょうか?」
「はぁ、はぁ、はぁ、結構です、もう大丈夫ですからそのままにしておいてください。ゲンマさんもありがとうございます」
まだ息が荒く顔色も悪いが、大丈夫だと言うアラハンさん。
本当に大丈夫なのだろうか。私に回復魔法が使えればいのだか、私だけじゃなくソラもココアも使えないからなぁ。この町に医者はいるのだろうか。
「ゲンマさん、デュラハンはすぐに隠してください。タロウさん達は私の部屋に来てください」
「わかったぜ」
「はぁ、私はいいのですが、アラハンさんは少し休まれた方がいいのではないですか?」
「いいえ! そんな暇などありません! すぐに行きましょう」
急に声を荒げるアラハンさん。自分でも驚いたのかすぐに謝罪された。
「大きな声を出してしまって申し訳ありません。でも、急ぎますのですぐに行きましょう。私は大丈夫ですから」
確かに大声を出したからか、顔色は戻って来ているように見える。
大声でアレルギーを克服できるものなのだろうか。異世界だから、そんな不思議があるかもしれないな。
マスタールームに連れて来られると、全ての窓を閉じカーテンを閉められた。
念のため言っておくが、一応ガラスはあった。窓にもガラスは入っているが、透明なガラスではなかった。磨りガラスみたいな見た目ではあったが、磨りガラスでもないだろう。技術力が低いので透明度を出せないという風に見受けられた。
「まずはお座りください」
私達三人はアラハンさんに促されるまま着席した。
暗くなった部屋には照明が点灯した。電気では無さそうだな。だが、安定した光なので、電灯だと言われても私は信じてしまうな。
「魔導灯が珍しいですか? 宿にもあったとは思いますが、これは魔道具ですよ。この中に魔石を仕込んで……そんな事はどうでもいいんです。そんな事の為に呼んだわけではありませんので」
今のは乗りツッコミなのか? 私が不思議そうに照明を見ていたから説明してくれたと思うんだが、魔道具なのか。初めて聞く名前だな。
「では、確認させて頂きます。タロウさん、あなた達は西の森から来たとおっしゃいましたね?」
「はい」
「それで先程のデュラハンですが、森の出口で収納したという事で間違いありませんか?」
「はい」
「やはり間違いないようですね。あなたの先程出したデュラハンは、森の番人に間違いないですね」
森の番人……あっ、門で隊長さんが言ってた番人の事か。軍でも敵わない未確認の魔物だという話だったと思うが、そこまで強くは無かったと思うんだが。
「冒険者ギルドでも独自に調査を進めていまして、大きな騎士のような魔物という事までは判明していました。そこで候補として幾つかをあげられていましたが、その内のひとつがデュラハンだったのです。今回あなたの出したデュラハン、そして収納した場所。そして我々の調査結果。全てを合わせると辻褄が合います。森の番人の正体は、あなたが先程出したデュラハンで間違いないでしょう」
「はぁ……」
なぜそんなに力説されるのか分からない。
「そこで、ここからが大切な質問です。正直にお答えください。あのデュラハンを倒したのは誰なのですか? あなたがどんな人物を見たのか教えてください」
「えー……え?」
何の事だ? デュラハンを倒したのは誰か? 私じゃなかったのか? いやいや、確かに私が倒したが、別の人物が倒した事になってるのだろうか。
「昨日、出して頂いた魔物も再度確認しました。非常に見事な切り口で倒された魔物ばかりでした。昨日はそれをタロウさん達が倒したと申し上げてCランクスタートと説明しましたが、実はそうではないのです。収納スキルを持ったあなた方が変な輩に絡まれないための処置としてCランクにしたのです。あなた方三人にあれだけの技を持って、あれだけ大量の魔物を倒せるとは思っていません。それでも貴重な収納スキル持ちだったので優遇したのです。あなた達はまだお若い、背伸びをしたい時期なのでしょう。まして貴重な収納スキル持ちならばチヤホヤされたくもあるでしょう。しかし、ここは正直に話してほしい。デュラハンを倒した人を見ましたか? 買い取りに出した魔物は誰から貰ったのですか?」
この説明だと、私達が誰かから貰った魔物を売ったという風にとらわれてるようだな。私は正直に話しているのだが信用はしてもらえてなかったようだな。
「うちらが倒したんだよー」
おお! ソラ! 今の説明を理解できたんだな。という事は、私の話も理解できてるのではないのか? いつも話が噛み合わないから理解できてなかったと思ってたんだが違ったのか?
「私は正直にと言いましたよ。なぜそう言い張るのですか?」
「んー、あの鎧のはご主人様が倒したけど、うちもガンバったよー」
「ご主人様? ああ、タロウさんの事ですね。そうしてタロウさんを持ち上げても本人のためにもなりません。いい加減、正直に話してくれませんか?」
「言ってるのにー」
「あなた達にあれ程の魔物が倒せると誰が信じるのですか。ましてタロウさんにデュラハンを倒せるはずが無いじゃありませんか」
―――要警戒
ん? 今までデュラハンや虎刀牙の時にも出さなかった警戒を【那由多】が出した?
もしかして、この町に警戒レベルの魔物が入り込んでるのか?
探索を出してみると、すぐに大きな点が確認できた。しかも近い! 近いが……これって青点だろ? 青点って事は味方のはずだが……ココア!?
私の隣にいるココアの目が薄目になって表情が無くなっている。横で見ているだけでゾッとするほど怖い。しかもなにか膨大な力をココアから感じる。
これはアレだ、ダメなやつだ。爆発寸前ってやつだ。
今まで力説していたアラハンさんが黙り込み、異様なほど汗を掻いている。幾分マシになっていた顔色も見る見る悪くなって行き、身動きもできないようだ。
ココアの髪の毛がふわっと浮き上がってくる。目はアラハンさんをジッと見据えゆっくりと目が大きく開いてくる。
「ちょちょっとココア」
「ご主人様、この無礼者を叩き斬ってよろしいでしょうか」
ココアの手にはいつの間に出したのか薙刀が持たれていた。
「いや、ダメだから、叩き斬ってはダメだから」
「三人の中で一番弱いわたしを侮辱するならいざ知らず、ソラさんや最強であらせられるご主人様まで侮辱するとは、いい度胸をしておられる。覚悟はよろしいな」
声を荒げずに朗々と語るココア。それが一層恐怖を掻きたてる。
「ダメだ、ココア。一旦落ち着け。な、ココア」
「私は冷静でございます。冷静に判断してこの無礼者の罪を断罪致しましょう」
「ダメだって。断罪はしなくていい。ちょっと落ち着け。その薙刀も私に渡せ」
私の右側にいるココアの右手に持たれている薙刀を取ろうと手を伸ばした。
右手でココアの左肩を支えにして薙刀を取ろうとしたら、ココアが薙刀を少しずらしたので私の左手が空を切った。
素早く取ろうとしたのが仇となり、そのままの流れでココアに抱きつく格好になってしまった。
ボッ!
ココアの髪の毛が一気に逆立ち、真っ赤な顔をして固まった。
あれ? ココア?
今まで感じていた力が一気に萎んでいく。
その間にココアの薙刀を奪い取り収納して隠した。
ココアは未だに固まっている。
そうだ! アラハンさんは! と思って振り返ると、アラハンさんは息を荒げテーブルに両手を付いてた。
なんとか危機は去ったか。
しかし、ココアの今の力は何だったんだ。
―――アラハンはココアの【威圧】で大ダメージを受けました。
え? 威圧? ココアはそんなの持ってなかったが。
―――今、獲得しました。
マジか…それってよかったのか、悪かったのか。今後の事を考えるとよかったと思えるのだが。
私の疑問に即座に答えてくれる【那由多】だが、聞いてないのに答えてくれる時もある。とても頼りになるんだが、今のはあまり聞きたくなかった。
気を取り直してアラハンさんとココアの確認だな。
ココアはまだ顔を真っ赤にして固まっている。これは放置してても大丈夫だろう。
アラハンさんも大分落ち着いてきたようだ。
でも、【那由多】からはさっき大ダメージを受けたと報告を受けたが大丈夫なのだろうか。
「アラハンさん?」
「はぁ、はぁ、はぁ、はい、なんとか大丈夫です。このまま座っていれば落ち着いてくるでしょう」
なんとか大丈夫そうか。しかし、このまま話を続けてもいいものだろうか。
「では、本当にあなた達が…あの魔物やデュラハンを?」
「ええ、信じられないかもしれませんが、私達が倒しました。しかし、そんなに凄い事なのですか? 私達は誰も怪我さえしませんでしたが」
「はい、森の番人…正体が明らかにされていませんので、デュラハンがその最有力なのですが、色んな者が討伐に向かいました。しかし、誰も帰って来た者はいません。全員、森の番人にやられてしまったのです」
全滅か…どんな人達が討伐に向かったのだろう。
「何人ぐらいで討伐に向かったんですか?」
「もう何人もです。軍隊も出ています。森の番人は、森に入らないと出てきませんでした。ですので、森の外からは確認できなかったのです。しかし、少しでも森に入ると察知されるようで、森に入ったものは誰も帰って来ていません。だから、あなた達が西のから来たというだけで門で一時拘束されたでしょ?」
そんな情報まで入っているのか、ギルドマスターというぐらいだから、そういう情報は早いのかもしれないな。
「拘束というか、話を聞かれただけですが」
「それでも、軍の第三防衛所に連れて行かれたと『永遠乙女』さん達から伺っています。あそこは入門時に大罪が発覚した者ぐらいしか連行されないのです。身体は拘束されてなくとも身柄の拘束と言っても過言ではないでしょう」
っ! そんな大事にされてたのか。それにしては簡単な質問だけで終わったんだが。
「あそこには、門の詰所にある鑑定水晶よりも高性能な鑑定水晶が置いてますからね。それで無罪が確定すればそう追求される事もないでしょうからね」
あそこの隊長さんも優しい方ですから。とネタバレしてくれるアラハンさん。
やっぱり隊長さんはいい人だったんだな。確かに水晶玉には手を置いて確認されたな。
「半年前に起こった魔物の暴走の件もありますから、軍の兵士もピリピリしてたのでしょう」
「魔物の暴走ですか?」
「はい、軍の一個中隊が森の番人の討伐を失敗した後にそれは起こりました」
何人もの冒険者が森の番人の討伐に失敗した後、軍も森の番人の討伐に重い腰を上げた。
向かったのは一個中隊。約二〇〇名で構成された正規兵が討伐に向かい、全滅した。
魔物に関わらず、人間の死体も魔物を誘き寄せる。全滅した軍の死体に誘き寄せられた魔物達が暴走してこの町を襲った事件が半年前にあったそうだ。
その時にかなりの人が魔物にやられ、外壁も相当な派手に破壊されてしまった。
軍の兵士のみならず、冒険者も多数被害が出て、その時に収納持ちの冒険者も亡くなったそうだ。
今ではようやく外壁の修復も終わり、町も落ち着いて来た所に私達が現れたのだそうだ。
町を襲撃した魔物の中には、森の番人と思われる魔物の姿を確認できなかったので、森の番人は森から出られないと判断し、以後森に討伐に向かう者はいなくなった中、西からやって来たと言う私達がデュラハンを出したので、アラハンさんから尋問を受けていたという理解でいいようだ。
アラハンさんとしたら、こんな若い三人。しかも二人は可愛い女の子達が、森の番人候補のデュラハンを倒せるとは思えず、誰か他にいるのではないかと詰問されていた。
それをココアの【威圧】で中断されたので、今は真摯に私達に説明してくれている。
ココアの【威圧】か……それで信用が少しは得られたみたいなので、ある意味よかったのかもしれない。
今後は絶対に辞めて欲しいものだが……
そのココアは、ようやく落ち着きを取り戻し、私の隣で大人しく座っている。
逆の隣ではソラが出されたお菓子を無邪気に食べている。その姿を見ると、こんな話は彼女達には関係ない話なんだなぁと実感した。
それは私にも言える事で、私はただ倒した魔物を買い取って欲しかっただけなのだ。
人間社会で生きる上でお金の有り難味はこの五〇年で十分理解している。それはこの世界でも同じだろう。
今の私達なら人間社会に混ざらなくとも十分生きていくだけの力はあると思う。が、目的はそこじゃない。元の世界か東の国へ戻ることが目的なのだ。だから人間社会での情報収集は必須なのだ。その為にはお金も必要だ。
……堂々巡りだな。目的に向かって一つ一つやって行くしかない。その為に少しぐらいの寄り道も必要になってくるのだろうな。
まだ、回復中のアラハンさんに代わって、秘書のマリオンさんが用意していたお金を出してくれた。
詳細はいりますか? と尋ねられたので、いりませんと答えると、合計金額だけを教えてくれ精算金を受け取った。合計は大金貨一枚、金貨三四枚、銀貨四二枚、銅貨二〇枚だった。
今日出した分は、夕方にでも渡せると言われたが、デュラハンに関しては保留させてほしいとお願いされた。
先程までの話を聞く限り、当然の措置だろう。
もちろん了承して冒険者ギルドを後にした。
最後に、またこの部屋にお呼びする事になりますので。と言われたが、それも致し方ない事だな。
冒険者ギルドを出た後、まずは宿屋へ向かった。すぐ近くなので、一番目に寄っただけで、特に優先順位は決めていない。
今聞いた件もあるので、少し滞在が長くなるかもしれないと懸念した私は、連泊をお願いに来たのだ。
先払いで宿泊料金を三日分支払って、すぐ町に出た。
まずは料理を作るため、パンツに着替えた場所にやって来た。
ここは人目が少なく、広い空き地だったので、火を使ってもいいだろう。
そんな所で裸になって着替えたのかと言われそうだが、樹も沢山生えてるので隠れる所も多い。
樹からそこそこ離れれば料理で使う火を使っても危なくは無い。
そろそろ昼時だし、ソラとココアもお腹を空かせる頃だろう。
手持ちの鍋という鍋を使い、スープ系の料理を作った。こうして作った後に収納しておけば、後は収納から出すだけでいつでも食べられる。宿の部屋でも食べられるので、作り置きを沢山作った。
隣ではココアが串焼きを大量に焼いてくれている。塩焼きや味噌焼きを大量に作ってくれた。これも作り置きにして収納しておく。
ソラには料理をさせられないので、まだ収納に残っている魔物の解体作業をお願いした。
食事をその場で済ませ、今の私達に必要なものは無いか、町に出て散策した。
武器屋、防具屋、鍛冶屋、魔法屋、薬草屋、アクセサリー屋、本屋と色々見て回った。
武器屋では今持ってる虎刀牙の刀や薙刀以上に欲しいものは無かった。
防具屋では、私のものだけを購入。ソラとココアには必要ないと言われたからだ。変身で見せ掛けだけは変えられるし、あっても着ないと言われてしまったからだ。
鍛冶屋では武器・防具のオーダーメイドができるそうだが、ついさっき防具を購入した所だし、素材も虎刀牙以上のものは持ってない。
解体時に出る素材は全部捨てずに収納しているが、大した素材は残ってない。デュラハンの素材でもあればと思ったが、提出してしまってるし、金属の防具は重そうで好みではない。
鍛冶屋には鍋などもあったので、寸胴の大鍋と、大きな中華鍋のようなフライパンがあったので、五つずつ購入した。これで料理の幅も増えるかもしれない。作り置きは間違いなく増やす事ができるだろう。
魔法屋では、魔法に興味があったので魔法本を購入し、簡単な手解きもしてもらった。
詠唱というのが私には少々ハードルが高かったが、初級の四原則と呼ばれる火・水・風・土の魔法は理解できた。後は要練習だそうだ。
暗記力と適合性があれば簡単に使えそうだ。熟練度を上げれば発動の速さや威力や正確性を上げられるそうなので、少し頑張ってみようと思う。誰にも見られない所でだが。
ただ、この詠唱というやつだが、私には恥かしすぎて人前では使えそうに無い。ソラやココアに習った魔法と違い、詠唱をする事で発動する仕組みなのだ。だから詠唱をしないといけない。誰がいても詠唱をしないといけない。
『我に従う炎の子供達よ、我が手に集い焼き尽くせ!【ファイアボール】』
こんなのを言わないといけないのだ。私にはハードルが高すぎる。最後の【ファイアボール】だけでも嫌なのだ。もし、『無詠唱』や『詠唱破棄』などがあれば、その時になってから使おうと思う。それまでは人目の無い所で練習だけに留めておこう。その内慣れるかもしれないからな。慣れたくないが。
薬草屋ではソラが興味津々だった。食い入るように各薬草を見つめ、お店の人から効能を詳しく聞いていた。
タダで教えてもらうのも気が引けたので、各種薬草を購入する羽目になってしまった。
薬草の調合には道具も必要だったので、それも購入しておいた。私達には回復役がいないので、念のため私とココアの分も含めて三個購入しておいた。
アクセサリー屋では付加魔法されたアクセサリーが売ってあった。
説明を聞くと、毒耐性や身体強化の魔法を付加されたアクセサリーで、効果はあまり高くないが見に着けるだけで効果を期待できるので、冒険者には人気の商品だと説明された。
効果を高く出来ないのかと尋ねると、魔石次第だとの事。魔石について尋ねると、魔物が体内に持つ特殊な宝石のような魔力が内包されている石だそうだ。
それなら、と思い当たるものがあったので一つ収納から出してみると、それが魔石で合っていた。
解体時に毎回出てくるから邪魔だと思ってたが、念のために収納していたのだ。魔物の素材は全部取ってあるのだ。
今出したものはオークから取れたものだが、それでもランクEは十分あるようで、アクセサリーには一番多く使われてる大きさだと教えてもらった。因みに今出した魔石の大きさは完全な球体ではないが、大体直径一センチぐらいの大きさだ。
売って欲しいと言われたので幾つか出して売ってあげたが、一個につき銀貨十枚も貰えた時には驚いた。こんな小さいので約一万円? 私の収納の中にはいくらでも入っている。もっと大きなものも沢山入っている。その内お金に困る事があれば売って有効活用ができそうだ。
そう言えば他にもあったな。素材だ。
解体をすると部材毎に分けるのだが、肉、素材、魔石と分けて収納する。肉は食べるし、あっても後で食べればいい。魔石は今、活用方法を教えてもらった。あと残った素材は? これも冒険者ギルドで売れるんじゃないか?
売ってくれたお礼代わりにと、魔石についても少し教えてくれた。
魔石は武器に仕込んで魔法を付加する事もできるそうだ。この店ではやってなかったが、鍛冶屋ならやってると教えてくれた。武器に魔石を仕込んで付加魔法で炎を付加するとファイアソードを作れたりするそうだ。
他には杖に仕込んで属性魔法を強化したり、魔力が枯渇してきた時に魔力の補充として使う事もあるのだとか。
このアクセサリー屋には魔道具も置いてあり、そのエネルギーとしても魔石が使われていた。電池のような使い方もできるようだな。
魔石には色々と使い道が多いようだから、売らずに持ってた方がいいかもしれない。
本屋では歴史書のようなものもあったが、特に興味がないのでスルー。地図を探したが、見せてもらった地図はいい加減な地図だった。
凡その位置関係が分かる程度で、道などは書いてない。
私には周辺探索での地図があるので本当はいらないのだが、この世界ではどう描いてあるのか知りたかったので見たかったのだ。
町の名前や場所も知らなかったので参考になるかと思ったのだが、非常に期待はずれだった。
だが、町の詳細が書いてある本や魔物の出現区域を書いてある本があったので、それらは纏めて購入しておいた。
それだけ回るともう陽も暮れ始め、再び冒険者ギルドに行くにはいい時間になった。
冒険者ギルドに行くと、すぐにリルリさんが寄って来てマスタールームに通された。
いつも通り、とは言っても三度目か。来る度に連れて来られてるな。
受付の横通路から奥に行き、階段を上った三階に一部屋だけ作られているのがマスタールームだ。
中に入ると別の扉があるが、入り口はこの扉の一つだけだ。
「何度もご足労頂きありがとうございます」
アラハンさんから挨拶を受け、こちらも挨拶をして席に着いた。
毎回思うが、丁寧な対応をしてくれ人なのだなと感心してしまう。冒険者は荒っぽい人種だと異世界物の読み物では定番になっているが、そのトップだとこんなにも腰が低いものなのか。
まだ、テンプレなイベントで有名な、雑魚の冒険者に絡まれるというのは体験してないのだが、やはりおっさんすぎてテンプレも嫌がっているのだろうか。
その代わりにココアがギルドマスターを威圧という事件が起こってしまったのかもしれないな……テンプレでは無いな。
午前中の件もあり、ココアに警戒を示しつつもアラハンさんが話し始めた。
「まず、希望を聞かせて頂いて、それから今後の方針を決めたいのですが宜しいですか?」
今後の方針? 私達の方針は決まっているのだが、何の方針だろうか。
「はぁ、何の方針かは分かりませんが、質問に答えるのは吝かではありません」
「ありがとうございます。方針については質問をして行く上で分かってくると思います。では質問を始めさせて頂きます」
「はい」
アラハンさんが手元の紙を持ち、質問を始めた。予め質問要綱を纏めていたのだろう。
「まず、先だって出して頂いたデュラハンですが、あなた達が討伐したと大々的に告知してもいいですか?」
! なんだって? そんな恥かしい事は辞めて欲しい。
「すみませんが、遠慮させてください」
「では、小規模では?」
それも遠慮したい。
「どの程度の規模か知りませんが、できれば誰にも言わないでほしいですね」
「ほぅ、自分達の功績を公表したくないとおっしゃるのですね」
「ええ、そうなりますね」
「冒険者は普通、功績を前面に出し、いい依頼をもらう努力をするのですが、あなた達はそうではないと」
「ええ、詳しくは言えませんが、私達の目的には名を売る必要はありません。依頼は程々に熟して僅かばかりのお金があれば十分なのです。今回の件で、大金が頂けましたので、当分は目的の為に奔走しようと思っています」
私の答えを聞くと、アラハンさんは少し思案の後、ある提案をしてきた。
「わかりました。では、デュラハンの件は誰が討伐したかは公表せずに森の番人が倒された事だけ公表しましょう」
「お気遣いありがとうございます」
「いえいえ、続いてですが、あなた達に依頼を受けてほしい案件が幾つかあります」
「はぁ」
もう依頼はしないって言ったのに、なぜそういう話になるのだ?
「言いたい事は分かりますが、まずは聞いてください」
「はい……」
「あなた達が西の森から来たのは事実なのでしょう」
アラハンさんはココアに警戒しつつ話を続けた。【威圧】の件の後だ、警戒する気持ちも分かる。
「それで確認なのですが、森の中に石碑がありませんでしたか?」
「あー、ありましたね。不思議な文字が書かれていて、魔物が近寄って来れない空間ができていました」
文献通りですね。と肯き続けるアラハンさん。
「私はタロウさんの風貌から文献に出てくる【東の国】の関係者だと思っています。その黒髪に黒目、この大陸では勇者以外にはいないでしょう。タロウさんは勇者では無さそうですので、【東の国】の関係者だと睨んでいるのです」
色々と聞きたい事が出てきたが、まずは本当の事を言うべきか迷う所だな。
ポーカーフェイスは得意な方だが、あまり時間を空けると肯定と取られかねんな。
「私が【東の国】の関係者だと。容姿だけの判断ですよね?」
「いいえ、その腰に下げた武器、恐らく『カタナ』という武器ではありませんか? ココアさんも『ナギナタ』と思われる武器を持ってらっしゃったので、私はほぼ確信してるのですよ」
「お詳しいのですね……」
武器から判断されたか……迂闊だったな。
「私は武器には目が無いものですから」
アラハンさんは武器マニアだったのか……
「もし、私が【東の国】の関係者だったとして、捕まったりするのでしょうか」
「いえいえ、そんな事にはなりません。ただ、先程申し上げた依頼は【東の国】の情報と関係があるのですよ」
これはもう確定されているな。【東の国】の関係者はソラをココアであって、私はそこから来ただけなのだが、情報は欲しいな。
「わかりました。お話だけでも聞かせてください」
「はい、これは絶対タロウさんのお役に立つ話だと思うのです」
そう前置きをして依頼内容を説明してくれた。
依頼は三つ。
大まかな内容は、一つは北方のヴァルカン山に住まう火龍がいるのですが、その火龍が最近縄張りから出て被害が出ている。その沈静化。
次の依頼は、そのヴァルカン山から西に向かって連なるエミューナル山脈の西端の麓に広がるサントスの森にいるケルベロスが鉱山に被害を齎しているので、その沈静化。
最後の一つが、私達が来た西の森の魔物が今までに例の無い程活発化しているので、その原因調査。
以上の三つであるが、私達に関係するものは無いように思える。
「どこが【東の国】と関連があるのでしょうか」
「そうですね、それには【東の国】の事を先に説明しないといけませんね」
【東の国】は昔はこの大陸とも交易があり、この大陸の一番東にあるマーメライという国から貿易船も出ていた。それが突然、船で行き来ができなくなり、その後百年以上音信普通の状態であった。
当時、この大陸にいた【東の国】の人達も帰れなくなり、各地に散ってしまって、今ではどこにいるのかも掴めていない状態である。
しかし、刀や薙刀などの【東の国】特有の武器は、【東の国】の人達と交流のあった一部のドワーフが今でも受け継いでいるそうだ。
【東の国】の国と音信普通になってから、何度か船を出したが、その多くは海の藻屑となったのか、帰って来る事はなかった。
「これも文献に載っていた話ですが、そう大昔の話ではありませんので、正確な部分は多いと思いますが、実際音信不通になった原因が初めから明かされてませんので、分からない部分は多いと思います」
【東の国】へ貿易船が出ていたのはマーメライという国か。これは忘れてはならないな。
「そこで、西の森の石碑なのです」
急に勢いづいて話すアラハンさん。今、どこかにテンションが上がるとこあったか?
「一つ目の依頼の火龍。この火龍は人の言葉を理解していると言われています(未確認ですが)。その火龍であれば石碑の文字も読めるのではないかと思いませんか?」
無理やりこじつけてる感じにしか受け取れないのだが。
あと、小さな声で聞き取れなかったが、凄く大事な部分を濁された気がするんだが……
「二つ目のケルベロスも同様に人の言葉を理解していると言われています(これも未確認ですが)。地獄の番犬とも言われてるケルベロスなら、その知識も豊富でしょうし、石碑の文字どころか【東の国】の情報も持ってると思いませんか?」
絶対こじつけだな。また小さな声で何か言ったな。
「三つ目の西の森の魔物の活発化。これこそ石碑が関係あると思いませんか?」
三つの中では一番マシだが、これも関係無さそうに思えるが。
「報酬も、なんと! 一つの案件で金貨千枚! 一案件で大金貨十枚ですよ! 三案件で大金貨三〇枚。如何ですか? お受けになりますよね?」
凄く受けてほしそうだな。他に誰か受ける人はいないのか?
「他に受けた人はいないのですか?」
「何をおっしゃってるんですか、火龍にケルベロスに魔の森…いやいや西の森ですよ。そんな簡単に受けられる依頼ではありません」
今、魔の森と聞こえたが……
「では、火龍やケルベロスについての情報はありませんか?」
「そんなのあるわけないじゃないですか! 火龍ですよ、しかも古龍とも噂されてるヴァルカン山の主ですよ。あるわけないじゃありませんか。ケルベロスについても、サントスの森の長とも噂されてるのです。誰がそんなヤバイ魔物の情報を仕入れられるのです? 情報など一切ありません!」
無いと言い切っちゃったな。それを私にどうしてほしいんだ?
「西の森については?」
「魔の…西の森はあなたが一番よくご存知のはず。最近まで、もう何十年も森に入れなかったのです。情報など皆無です」
なんでそんなにダメな事を自信満々に言えるんだ? しかも、また魔の森って言いかけてるし……
これは断った方がいいな。
「せっかくのお話ですが…」
「まさか、森の番人を倒した達人が、この程度の依頼を断るなど考えられませんよねー、ココアさん?」
むっ? なぜココアなのだ?
「あなたのご主人様なら簡単に解決して石碑の秘密の糸口を見つけらますよねー、ココアさん?」
「もちろんです! ご主人様に不可能などありません!」
「では、この三件の依頼は、ココアさんのご主人様なら簡単に熟せると、そうおっしゃるのですね?」
「当たり前です! その程度の依頼など、散歩のついでに解決してしまいます」
「では、あなたのご主人様にお願いしてもいいですか?」
「当然です! 私が責任を持ってお連れいたします」
お、おい…ココア……受けちゃったよ…
「では、依頼の詳細はこの依頼書に書いてありますので、ココアさんに渡しておきますね」
「わかりました。しっかりと管理いたします」
あーあ。依頼書も受け取ってしまったか。
別に急ぐ事も無くなったからいいんだが、無用な寄り道なんだがな。
もう、元の世界の仕事も今更だし、後はなるべく危険を避けながら情報収集したかったのだが、今の所手掛かりも無いのでアラハンさんの作戦に乗っかってもいいか。
だが、火龍にケルベロスか……そんなの相手にどうすればいいのか、まるでアイデアが湧いて来ないな。
話も終わったのでと、午前中に出した魔物の精算金を頂いた。
ものはついでと確認のために聞いてみた。
「素材の買い取りはしてないのですか? いつもは解体しますので、素材ばかり余るのですが」
「もちろんやっています。いくらでも出してください。帰りにでもご案内しましょう。どうせ三つの依頼が終わるまでは、うちのギルドに何度も来られるのですから」
ちくしょう。なんかやり込められた感じが凄くして悔しいのだが……
それなら、こんな事は知らないだろうか。
「それと、小判については知りませんか? もう使わないかもしれませんので、換金できればと思っているのですが」
まったくの嘘なんだが、【東の国】についてある程度知ってるようだし、驚かせてやろうと思って言っただけだ。別に換金したいわけじゃないのだ。
「こ、こ、小判~!?」
凄く驚いてるな。仕返しは成功だな。
「こ、小判をお持ちなのですか!」
「え、ええ、まぁ」
「みみみ見せて頂いてもよろしいですか!」
「ええ、いいですが」
凄い食いつきだな。まさかここまでとは予想できなかった。
小判を一枚収納から出してアラハンさんに手渡す。
「ここここれが、で、伝説の……」
おいおい、伝説でも何でもなく、ただの通貨ですよ。交易が無くなって数百年だろ? 伝説になんかならないだろ。
「伝説?」
「はい、なんでも特別な使い方があるとか」
「どんな使い方ですか?」
「分かりません」
「え?」
「分からないのです。分からないのですが、凄い使い方があるとだけ文献には記されておりまして。過去には勇者の戦いにも使われたとか書かれているのですが、その使い方までは分からないのです」
そんな事を言われても、【東の国】では誰もそんな事を言ってないしそんな使い方もしていなかった。
眉唾もんだな、信憑性がない。だが、文献にまで残ってるのなら調べてみる価値はあるか。
仕返しに少し驚かせるつもりが、とんだ情報をもらってしまったな。
「それでは、倉庫に行きましょうか。ついでにランクの書き換えもしておきましょう」
「ランクの書き換え? ですか」
「ええ、もうタロウさん達はAランクにしておきましょう」
は? 軽く言われたがAランク? 説明書を見たが、私達にAランクはデメリットしか無かったはずだ。
「すいません、ランクは今のままで結構です」
「何をおっしゃってるのですか。Aランクは冒険者の花形ではないですか。皆さんAランクを目指しているのです、断る理由が分かりません」
「いや、Aランクになると町から離れにくいとあったと思うんですが」
「当たり前です、町にAランク冒険者が一人いるだけで、どれほど宣伝になるか分かってますか? 低ランクの冒険者は憧れ上のランクを目指す。依頼者は安心して依頼をしてくるので依頼数も増える。特別依頼や使命依頼も増え、追加金が貰える。いい事尽くめではないですか」
完全にぶっちゃけたな。宣伝など私には一切関係ないのだが。
「有事の際にはってあったと思いますが」
「そうですね。当然、強いからAランクになれるのですから、冒険者ギルドの代表として戦ってもらいます。いつ、何が起こるかわかりませんから根城にしている町からを長期不在にする事は許されません」
「では、やはり辞退させて頂きます」
「なにが不満なのです。辞退するのでしたら除名もありえますよ」
「では、除名処分で結構です」
「!!」
Aランクになるとこの町から離れられなくなるのでは目的が達成できない。マーメライという国にも行かないといけないのに、この町から離れられないのは困る。
身分証明ができるカードが無くなるのは困るが、他のギルドのカードでもいいと言ってたからな。
「はぁ、分かりました。では、Cランクのままにしておきましょう。タロウさん達が冒険者ギルドから脱退するのは我々の損失ですからね。今回持ち込んで頂いた魔物だけでも、かなりの利益を上げさせて頂きましたから、今回はタロウさんの希望を飲みましょう」
「我が侭を言って申し訳ありません」
「ホント変わってますね。冒険者は皆Aランクを目指しているのになりたくないとは。討伐も名を伏せるとか普通じゃ考えられませんね」
倉庫では、素材を優先的にすべて出し、空いたスペースにまだ持っている魔物を並べた。
魔物はまだ収納に入っているが、そろそろ無くなりそうだ。お金は十分に頂いたので、明日はまた町をぶらついて、明後日から行動を開始しよう。
名前: 佐藤 太郎
年齢: 18
種族: 人族
加護: なし
状態: 普通
性別: 男
レベル:56
魔法: 火(2)・水(1)・土(1)・風(1)・氷・雷・闇・光
技能: 刀(4)・剣・槍・弓・料理(7)・採集(2)・解体(3)・回避(4)・遮断(2)・隠蔽(1)
耐性: 熱・風・木・水・雷・毒・麻痺・腐食
スキル: 【亜空間収納】【鑑定】【複製】【変身】【仲間】【極再生】【痛覚無効】
ユニークスキル:【那由多】
称号: 異世界の落ち人 命名師
従者: ソラ・ココア
名前: ソラ
年齢: 250歳
種族: 九尾族
加護: タロウの加護
状態: 普通
性別: 女
レベル:70
魔法: 火(6)・水(2)・土(2)・風(4)・雷(5)・闇(5)
技能: 牙(8)・刀(2)・薙刀(6)・槍(3)・採集(5)・調合(6)・探知(2)・回避(4)・遮断(3)・隠蔽(3)・解体(2)
耐性: 熱・雷・毒・麻痺・腐食
スキル: 【鑑定(中)】【変身】【再生】
ユニークスキル:【天災】
称号: 九尾族の姫
名前: ココア
年齢: 150歳
種族: 白狼族
加護: タロウの加護
状態: 普通
性別: 女
レベル:50 魔法: 火(1)・水(7)・土(6)・風(7)
技能: 牙(8)・短刀(2)・薙刀(6)・採集(6)・料理(3)・解体(3)・探知(3)・回避(4)・遮断(3)・隠蔽(2)
耐性: 熱・雷・毒・麻痺。腐食
スキル: 【変身】【再生】【威圧】
ユニークスキル:【山の神とのつながり】
称号: なし
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