社畜だった、猫は異世界で何を夢見る?

黒瓜ぬこ助

文字の大きさ
3 / 3

第二話 その猫、妖精の村にて

しおりを挟む
悠人は 白い空間にゆったりと浮かんでいた。
何も無い真っ白い空間だ。
人っ子一人いない寂しい所だ。
何故こんな場所に? 
《は…… と…………です》
んっ?何だって?
何だかよく分からない声が響くが ノイズが入った様に聞こえない。
すると、
悠人の視界がというか 身体と空間が 揺れ出す。
うわっ!今度はなんだ!なんだ!

「おっ…… なさい!  起きなさいよ! ユウト! 起きてよ!」
キンキンと頭に響く声に悠人は現実へと引き戻され目が覚める。

悠人はゆっくりと 瞼を広げ 顔を前足で舐めながらくしくしして 起きて  「むにゃむにゃ後5分と 」言って 瞼を閉じた。

「あっ!こらユウト!また寝ないの!もー 人の いや妖精の気も知らないで このー!」
またキンキンと頭に響く声が耳の近くで響き寝返りをうつ。

[まぁまぁ!ルーナ姫よ 我が主はこれでいてなかなかと頑張ったんじゃから労ろうてやるのも女の甲斐性じゃて なぁ まぁ少々寝過ぎな気もするがのぅ……。]
老獪なる声が 頭に直接響く  また寝返りをうつ。

「もう!ダメよ! ユウト は絶対怠けてるだけだわ!この緩みきった顔を見てみなさいよゼフ! 私が叩き起こしてやるわ! 《嵐魔法Lv1》暴風へ……」
ルーナが怪しげに笑みを浮かべながら 魔法をぶっぱなそうとすると 悠人は飛び起きた。

「はい! はい 起きました 起きましたとも おはようございます!いやーいい朝だなー」
悠人ははね起きると屈伸したりして誤魔化しながら脂汗をかいて 必死にアピールする。

すると、
ルーナが静かに 悠人へと抱きついてくる。涙を目尻いっぱいに溜めながら。
「おっ、る、ルーナ?!きゅっ、急にどうしたの?!」
悠人は戸惑うように 手をわなわなさせる。

「……うるさい ユウトのばーかばーか ばか……  心配したんだからね……目が覚めたら 変な岩場にいてユウトはいないし 遠くから 凄い音が聞こえて 魔力も 戻らないから飛べなくって 走って ユウトのとこ行ったら ユウト 倒れてたし ゴブリンロードは居ないし …… せっかく出来た大事な友達のユウトが……ユウトが死んじゃったかと 思ったんだから……ばかばか 本当に……良がっだよぉー ゆヴとぉ……」
ルーナは大粒の涙を流しながら嗚咽をあげながら 悠人の胸で 泣き崩れた。 悠人はゆっくりと ルーナの背中を擦りながらぽんぽんと優しく撫で叩く。

[うむうむ!青春じゃなぁー!アオハルかよってやつじゃなぁー!ひゅーひゅーだよ!じゃなぁー。かっかっか。]
ゼフはくるくると目を回すと囃し立てるように笑う。

ルーナは少し泣き止むとふと我に返り ボンッと 頭から 湯気を出すと 顔を真っ赤にし正気を失った様に目を回すと
「違っ! ちがちが  ッ……もっう ばかばかばか  《嵐魔法Lv3》暴龍旋風陣!!(タイラント・ツイスト!!)」

「ちょ!る、ルーナ わっわわわ ちょっと ゼフ どうにかしてよ うわぁぁぁぁぁぁ!!」
ルーナの《嵐魔法》が恥ずかしさの余り 炸裂し悠人とゼフは空中へと巻き上げられようとして悠人はか細い草を掴んで耐える。
[ふむ、ちとからかい過ぎたかのぅ!かっかっか!]
ゼフは致し方ないと笑いながら楽しそうに目をくるくると回す。

「いやいやいや、ちょ!かっかっかじゃなくて! ってうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
か細い草がちぎれ 悠人はゼフとともに空中遊泳基 暴風に巻き込まれた。そして、近くで横たわっていたノートンも 風にさらわれて遥か彼方へと飛ばされる。

「ふ、ふん…… ユウトが悪いんだからねっ! 私は悪くないもん!ばかばーか!」
ルーナはそっぽを向きまだ赤く染まった頬を隠す様にする。

数分すると
暴風は止み 悠人は全身の毛をもふぁもふぁにしてお髭はくるんくるんな姿で ゼフの鞘の革帯が木に引っかかった状態でルーナに発見され 数時間ルーナはお腹を抱えて笑い転げるのをムスッとした顔で悠人は宙ぶらりんで降ろしてくれるまでいた。

[乙女の純情を蔑ろにしたせいじゃのぅ。かっかっか!]
ゼフは笑うとくるくると目を回す。

悠人はそんなゼフを徐ろに掴むと近くの巨木に投げつけると突き刺さり
「誰のせいだ! やっぱりここで捨ててくか……」
悠人は剣呑に目を光らせると恨ましそうに両手をワキワキさせる。まだもふぁもふぁです。

[じょ、冗談じゃて すまんかった……主よ 許してたもう 如何せん 話すのが久々なもんでな 楽しゅうて楽しゅうて  すまんかったのぅ。]
ゼフは 泣くように懇願し 謝る。


「……はぁ、まっまぁそれならしょうがないか…… でも実際問題 ゼフは 持ち主に返さないとだしなー うーん。」
根負けしたかの様に悠人は一つため息を吐くと ゼフの事に付いて 考えた。


[んっ? 主よ 問題ないぞ? 儂が選んだのが 主じゃから 儂の 主は おぬし 春矢悠人 で登録されておるからの。 前の主は儂の声も 能力の一割も引き出せんボンクラじゃったからのぅ 清々するわい!ふん!]
何を当然とばかりに ゼフはあっけらかんと 前の主のクレームも言いながら くるくると目を回す。

風魔剣ゼピュローフス
るろうする風神が創造りし細剣。
風に形は無く全ての形は風が創り出す。
スロットル
《暴食》
持ち主
春矢悠人


「……いや ゼフに選ばれたからといって 素直にはいそうですか ではあげますどうぞとは 普通ならないんじゃない?! 魔剣でしょ? 絶対家宝か何かでしょ?」
悠人は当たり前の事だろとばかりにゼフに問う。


「むぅ《人族》とはやはり難しいのぅ……というか面倒じゃな……でも 主よ 安心せよ ! 儂 前の主の 予備の予備の 剣じゃったから 多分思い入れも 宝剣とかではなく多分儀礼剣とかとでも間違われてたんじゃろうて儂の声が聞けんと魔力も通さんただのなまくらだからのぅ。 ほれ 儂 見た目は美しいじゃろ?」
ゼフは くるくると目を回すと ウィンクをする。


「気づかなかったが魔剣がサブウェポンとかどんなボンボンだったんだ あの隊長さん?  てかあの人どこいったんだ?」
キョロキョロと 悠人は見渡すが 隊長さんらしい影がなく帰ったのかと思いルーナへと 振り向き直す。

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

一方、その頃
偶然にも最悪にも ルーナの《嵐魔法》に巻き込まれた ノートンは 空中遊泳を気絶したまま 正確には巻き込まれた時に目を覚ましたがまた堕ちたのだが 空中を 飛びながら 何とか落下地点に ちょうどゴブリン襲撃の際に逃げられた ノートンの愛馬の上へと 着陸する事になった。 ルーナの持つ《招き猫の加護》が働いたのは言わずもがな  馬が賢く 国にひとりでに走り出したのも ついていた。

西の小さな王国
ルナメイヤ王国
小国ながら王は優しくまた才ある者は平民だろうが流民だろうが有能であれば目をかけ小間使いにするとゆう大胆にも豪胆な性格の王であった 大臣達はそんな王には頭を抱えるばかりであったがまたそれもご愛嬌民は皆そんな豪快な王を愛しまた国も 愛し 小国ながら 活気溢れる国であった。

そんな
ルナメイヤ王国の門前には毎朝欠かさず 金色の髪を肩下まで伸ばし赤いドロワーズドレスにを身につけフリルを揺らしながら小さな少女がまだおぼつかない足取りでバケットを両手で持ちトテトテと通いつめていた。

半ばウトウトしていた初老の門番はその可愛らしい足音で 目を覚ます。
「おぉ、リーヤちゃん おはよう!毎日毎朝せいが出るのう。」
門番は白く蓄えた顎鬚を弄るとほっほほと笑うと少女に話しかける。

少女はバケットを門の前に降ろすと元気いっぱいに頷き バケットを開け 門番にサンドイッチを差し出す。

「おぉ、毎日すまないね。でもいいのかい?これは隊長殿にお渡しする物じゃないのかい?」
門番は申し訳なさげに食べてしまって大丈夫なのかをリーヤに訊ねる。

リーヤはこくこくと頷くとバケットの中身を見せる バケットの中にはこれでもかっ とゆうくらいにサンドイッチが詰まっていた リーヤはそれを 自慢げに えっへんと いっぱい作ったから大丈夫だよ と腰に手を当て 鼻息を吐く。


「おおー、これは豪勢じゃて。では、御賞味に預かるとしようかのぅ。 ……んおっ! 味も一流じゃな! リーヤちゃんは可愛いし良いお嫁さんになれそうじゃな。」
門番は 夢中になるくらいにサンドイッチを 頬張り リーヤにありがとうと 頭を撫でてやった。


リーヤは照れる様なくすぐったい様な表情をつくると 門番の横の草むらに腰をかけ ぼーっと 外を眺め暫くすると すやすやと眠りに落ちていった。

初老の門番のはふと一考する。
(ふむ、騎士団が出てもう二週間になるか……そろそろ 王にお話ししなくてはならないかも知れんな まぁノートンが居れば 余程の事が無ければ大丈夫かとは思うがのぅ……全くあの馬鹿弟子は リーヤちゃんは今が人恋しい年頃と言うのに 今日も日長一日ここで こんな老獪と一緒にいるよりかは同い年の子供らと 遊んどったほうが 良いんだが……はよ帰ってこい ノートン。)

すると、
城壁の上から新米の声が響く。
「ハイシャル様! コチラに馬が一頭向かってまいります! あの馬はノートン様の 馬ではありませんかね?!」

リーヤはまだすやすやと静かな寝息をたてている。

門番基 ハイシャルは 身体スキル《遠視Lv.4》を発動し 目視する。
「ふッ!……確かに むッ! 門を閉めい!どうやら真似かねざる客もいるようだのぅ!」
門前はゆっくりとリーヤを抱えると 門前の厩舎へと リーヤを運ぶと 再び門前へと駆け 立ち すくりと腰を低く構える。

ノートンの馬は必死に 王国の城門に駆け込む 砂埃でその姿を 新米は捉える事はかなわなかったが ハイシャルは 《遠視》により 確認していた。

━━━━━━━━━━━━━━━━ 
種族:フォレストハウンド×3
Lv.10
HP.120
MP.40
攻撃力:95
防御力:75
素早さ:100
運:20
身体スキル
《追跡Lv.3》
《噛み付きLv.5》

種族:フォレストハウンドリーダー
Lv.25
HP.520
MP.160
攻撃力:430
防御力:220
素早さ:320
運:40
身体スキル
《追跡Lv.6》
《噛み付きLv.8》
《鋭爪Lv.4》
精神スキル
《恐怖耐性》
━━━━━━━━━━━━━━━━

「セド! 弓で 牽制しろ! 儂が詰んでゆく!」
ハイシャルは 城壁の上の新米に 喝を飛ばしながら爆ぜるように前に槍を構えて出る。

セドは 弓を番えて フォレストハウンドに 向い放ち ノートンの馬との間に 間を開け牽制する。

ノートンの馬は転がる様に 城壁に駆け込むと 城壁の門が閉じる。

フォレストハウンドは獲物を奪われたのを低く唸り 目の前の原因である ハイシャルを睨み唸りつける。

対峙するは
初老の一見ただの老人だが まるで死角がなく 低くく構え まるで蛇の様に地面を畝る様に駆けると突きを放つ。

狙い違わず
フォレストハウンド 一体の喉笛を穿ち 打ち倒す。

いきなり 何が起こったのか理解できないまま 二体目のフォレストハウンドの胸元に 二回刺突が入り絶命する。

三体目は隙をついたとばかりに 跳躍した所をくるりと返した石突により頭蓋を砕かれる。

最後の一匹フォレストハウンドリーダーはその異質なハイシャルの 動きに 戦慄し 逃げようと 切り返す 所を ハイシャルの 槍が 背後から口先に飛び出す 突きを放ち仕留める。

ハイシャルは槍を くるりと振るい血切りを行うと一息吐き 
「ふぅ、この様な動きもこの 老獪の身体に堪えるわい……引退しとって 良かったのぅ。まぁおんし達は少し運が足りなかっただけじゃな。かっかっか。」
城門がゆっくりと開き始める。


クラマ=オリマー=ハイシャル
種族:人族
Lv.86
HP.4200
MP.1200
攻撃力:7400
防御力:3200
素早さ:8400
運:340
身体スキル
《槍術Lv.10》
《聖槍術Lv.8》
《刺突術Lv.6》
《毒魔法Lv.7》
《影魔法Lv.6》
《風魔法Lv.5》
《舞踏Lv.5》
《蛇足Lv.5》
《遠視Lv.4》
精神スキル
《聖槍》
《蛇槍》
《蛇踏》
《剛力》
《風神の加護》
《毒蛇の加護》
称号スキル
《元・Sランク冒険者》
《元・騎士団長》
《英雄》
《蛇槍》
《槍帝》

ハイシャルが走りノートンに駆け寄ると ノートンの馬はぶるると唸ると 厩舎の方に歩き出して行った。

「ノートン! 目覚めよノートン!大丈夫か!?」
ハイシャルがノートンをよく見ると 鎧は無残にところどころ砕け 頭からは 血が流れて固まっていた跡がある しかし 息はちゃんとあるようだ。

ハイシャルはすぐ治癒術師を呼ぶように 新米セドに指示を出しノートンを 大声で呼びかける。

すると、
厩舎からリーヤがトテトテと駆けてくる  その身の服が汚れるのも構わず涙を溜めた瞳でノートンに抱きつく。

ふと、
うっすらとノートンは瞼を開けると リーヤを撫でると 小さく笑を浮かべハイシャルの方へと目を向け耳内をし眠りに落ちた。

「ッ!《魔物暴走》じゃと! しかし…… 猫、妖精 怖い とはなんじゃ? まぁよい 王に報告して 調査に向かわなければな。」
ハイシャルは顎鬚を一撫ですると ちょうど 治癒術師を引き連れてセドが来たのでこの場を任せ 泣き疲れて眠りに落ちてしまったリーヤを抱え 1度リーヤを家に置いてから王へと謁見する為に馬を走らせた。

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆


一方その頃 
悠人達は今後について考えていた。

「うーん、とりあえずは人の街に行くのが目的だけど ルーナも居るしな うーん。」
悠人は 顎に手を当て考え込む。

「ユウトとりあえず何だけどさ……わ、私の村に来ないかしら? その……ユウトが いいなら…… なんだけど。」
ルーナが もじもじと最後の方は聞き取れない程にか細くなったが 言う。


[ほぅ、森妖精の隠れ里かのぅ……面白そうじゃ 主よ ここはルーナ姫の 意見に従うて 行ってみるのもまた一興ではないか?]
ゼフが興味津々の様に 目をくるくる回す。何故かニヤニヤしてる様な雰囲気だが。

「うーん、そうだね。 ここでいくら考えてても時間の無駄だからねー じゃあ ルーナの 意見に賛成で お邪魔しようかな! いいかい?ルーナ?」


「い、いいわよ…… べべべ、別に特別な意味は無いんだからね? と、友達として招くだけなんだから 変に勘違いとかはしないでね?! 本当の 本当に 違うんだからねッ!」
ルーナはまくし立てる様に 悠人に言い聞かせる。

「ん? それはどうゆう意味なのかな? 」
悠人は なんのこっちゃ という 顔をして首を傾げるが また虎の尾を踏む訳にはいかないので黙ってついて行く事にした。ルーナの魔力の高まりも感じたからだが。

[ふむ、あの反応を見て気づかん所を見るに主も程々 鈍感とゆうやつじゃのぅ ルーナ姫も大変じゃて ふぅ。]
ゼフは 目をくるくると回し独り言ちる。

「ん?ゼフ 何か言った?」
悠人は訝しげに眉をひそめる。

[なんでもないぞ 主よ。それよか ほれ置いてかれとるぞい。全く鋭いのやら鈍いのやら。]
ゼフは 知らん顔をして 話題を逸らす。

「あっ、ルーナ待ってよ! 道知ってるのルーナだけなんだから!」
ゼフを肩に背負い直し悠人は かなり先行していた ルーナに 追いすがる。

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆

荘厳なる白に統一された白亜の様な城壁。
真紅の様な 赤いカーペット。
まるで漆で仕上げた様な立派な玉座。

玉座には 立派な白い顎鬚を蓄え金の王冠を被りちんまりとしていて ほのぼのとした容姿をしてはいるが眼光は剣呑と光 ハイシャルから報告を受けている この国ルナメイヤ王国の国王 ルナメイヤ=ゼルマ=フリオノール三世が 顎鬚を弄りながら低くく唸る。

「して、ノートン騎士団長はどうなのだ? 」
ゼルマは 渋い顔をしながらも ノートンの安否を気にする。

「はっ、ノートンいえ 騎士団長は今は 気を失っておりますが命に別状はなく 暫く安静にすれば目が覚めるとの事を 治癒術師から お伺いはしております。」
ハイシャルは跪きながら恭しく頭を下げなら告げる。

「よいよい。 お主と私の仲だ そのような堅苦しいのは 貴族会議の時のみで 良いわ して 先の ノートンの残した言葉と言ってはあれだが 気になるな  断片的ではあるが  ゴブリンロード、 猫、妖精、怖いとな ふむ…… まぁゴブリンロードは 分かる しかし……猫と妖精が怖いとは なんだ?全く分からんな……うーむ。 」

「そうですな、 然し ノートン以外の 騎士は恐らくですが 全滅したのもこれまた事実ですな……あの馬鹿弟子基 ノートンを あそこまで ボロボロにするとは持たした宝剣も持ってはおらず……王よ 私に一時的ではありますが 今一度軍を引き連れるご許可を下さいませんか? この老獪では骨を増やすだけかもしれませぬが どうか弟子の不始末を私に濯がせてはくれませぬか?」
ハイシャルは苦虫を噛み潰したように ゼルマへと深く 頭を垂れて懇願する。

「よせよせ。我が王国の最強の矛に頭を下げさせずとも最早我が王国には お主以外にはおらぬよ……のぅ『蛇槍』よ。」
ゼルマは心底 信じているような眼差しをしてハイシャルに静かに歩み寄り肩を叩く。

「はっはは 王よ それは 大分昔の話で 今はただのしがない門番でしかない老獪ですが ……王の為 民の為 私の持つもの全て 血の一滴から魂の一片まで全てこの国に生きるものに捧げましょう!」
ハイシャルは 眼光鋭く ドンッと 胸に手を当て 誓を立てる。

「うむうむ。その目 懐かしいのぅ…… ハイシャルよ 我がルナメイヤ王国を代表して 厳命する! 此度の災厄の正体を掴み 我が民兵に歯牙を剥いた獣に我がルナメイヤの威光を示せ!汝を今から一時的ではあるが 騎士団長次席の任を命じ 速やかに事に当たるのだ!」
ゼルマは 玉座に座ると 荘厳と ハイシャルに告げる。

ハイシャルはすくりと立ち上がると胸に拳を翳し
「はッ! この 老獪   主より賜った『蛇槍』の二つ名に恥じぬ様に 肉片の一片になろうとも必ずや件の獣の喉笛を噛みちぎってみせましょう!それでは 我が王よ 息災で!」
ハイシャルは恭しく頭を下げると踵を返すように 玉座の間の扉を出ていく。

「息災にか…… 儂はなんと無力な王なのだろうか 死地へと向かわせるしかできぬこの愚王をどうか憎んでくれて構わん 然し 無事で帰ってこいハイシャル 我が友よ。」
ゼルマの声は誰にも聞こえはしないまま玉座の間にこだました。


一方、その頃悠人達はとゆうと

「ルーナを賭けて決闘だ おい決闘しろ!」
青髪のつんつん頭の薄い赤色のトンボの様な透明な羽を羽ばたかせて怒りを顕に 悠人を睨む。

(どうしてこうなった?!)
悠人は構えながらも内心で頭を抱えた。

時間は少し遡る。
悠人達はルーナの案内(追いかけっこ?)に従いやっと 森妖精の隠れ里ルナリスタ族の集落まで着いたのだった。

「ハァハァ ……ちょ、ルーナ本気で飛ぶんだから 危うく見失う所だったじゃないか!」
悠人はペタンと疲れた様に地面に腰をかける。

「ふん、だらしないわよユウト!もう少しで私の家に着くんだからシャッキっとしてよね! ……そのお父さんとかお母様に挨拶しないとだし……ぼそぼそ。」
ルーナは恥ずかしがるように吃るように顔を伏せる。

「ふぅ……んっ?ルーナ何か言ったかい?」
悠人は一息つくと吃ってしまって良く聞こえず ルーナに問う。


「ななな、何でもないわ! さっ、そんな事より早く私の家に行きましょ!」
ルーナは誤魔化すように 片手を掲げながら先行する。

「わ、わわっと 待ってよルーナ。」
悠人は慌てて立ち上がると ルーナの後を駆ける。

門を潜ろうとするとトプンッとまるで水の膜を通ったかのような感覚が身体に伝わる。一種の結界の様なものなのかな?

「お、おぉ 正しくファンタジーだなぁ……。」
悠人は猫の目を細め 感動しながら周りを返り見る。

様々な木々に 色とりどりの光が舞い 色々な大きなキノコで出来た住居  妖精達が飛び交い  中央には巨大な樹木が聳えたち 葉が金色に光を放っている。

「うんうん……正しくファンタジー世界だな! 凄い綺麗だ!」
悠人は 感動に打ち震える様に 呟く。

「ほ、ほぇっ!?きき、綺麗だなんて ちょ、ちょちょ いいい いきなりそんな事言われてもこここ 困るわユウト!」
ルーナはブンブンと眼前で両手を振るう。顔から火を出さんばかりに赤くして。

[うむ、ルーナ姫や。主は聞いとらんぞ。]
ゼフは呆れ眼と言ったふうに目を細める。

よそ見をしながらキョロキョロしている悠人の頭をポカリッと ルーナは叩くと

「ふんッ!……もっ、もう!ユウトの馬鹿馬鹿ばーか 早く行くわよ!」
ルーナは光輪を残し羽ばたいていく。


「痛ッ! えっえっ? な、何 何? ルーナ何かあったの?」
悠人は 不思議そうな顔をしながらも ゆっくりと歩みを進めた。

ルーナは 知らない!と 頬を膨らます。
悠人はオロオロと後をついて行く。

[ふむ、やれやれじゃな……]
ゼフは目を伏せるように独り言ちる。

ルーナに引き連れられた 悠人は中央に聳え立つ 巨木へと 到着した。
何故か途中で 妖精達から奇異な目で見られたんだが ぼそぼそと 何かを言われて  姫様がやっと殿方を  とか 随分毛深い人族 だとか 姫様にも遂に春が来よった 今日は宴じゃ とか なんだ?

「ちょっとユウト?大丈夫 なんだかボッーとしてるみたいだけど? もうすぐ着くからね。」
ルーナは心配する様に顔をのぞき込む。

「だ、大丈夫大丈夫! そ、それよりルーナのお家って ひょっとしなくてもあの 大っきいやつ?」
悠人はちょっと気が引ける様に指を指しながら問う。

「うん、そうだよ! 私達ルナリスタ族の御神木クリュテュナス様そしてまぁ 私も一応こんなんだけど ルナリスタ族族長ルナリスタ=リタ=ソリアが一人娘ルナリスタ=リタ=ルーナ 次期族長だよ。」
ルーナは 自慢げにくるりと 回りながら えっへんと 後ろ手に身体を反らす。

「それ、本当だったんだ「ルーナ!! どこだルーナ!」
悠人が言い切ろうとする前に 凄まじい大声と共に ルーナの姿が掻き消える。

「ッ!! ちょ、 お父さん! いきなり何……「あぁ!!ルーナ 無事だったんだね!? 怪我はないね? うわぁぁあ良かった ルーナに何かあったら と思ったら もう この森を焼き払ってしまう所だったよ……良かったぁぁあ……」
ルーナの言葉を遮るように お父さん(?)ルーナとの年の差は余り感じない様な顔立ちなのだが ここまで来るのに老人は見なかったので恐らくだが 妖精族は成人しても姿は変わらないのだろうが泣き崩れる様にルーナに撓垂れ掛かる。ルーナはちょっと困り顔だった。てか このお父さん発想がかなり物騒なんだが。

ひとしきり泣きわめくと お父さん基  ソリアは 俺をキッと睨む。
やっぱり友達として 挨拶くらいした方がいいかな?
「こ、こんにちは。俺はユウトハル「君がルーナが連れてきた《添い人候補》くんかね?」
このお父さん人の話遮んのが好きだなー。《添い人》? なんだそれ?

ルーナは顔を真っ赤にして両手を振るう。
「ちちち、違う 違う お父さん違うから ユウトは私の「あぁ!分かっているよ!私のルーナよ!お前は騙されただけなんだろ?!この毛むくじゃらの人族に!」
ソリアは拳をググッと握る様に潰すと手を制しルーナは庇うように 手を広げる。


「「はっ?」」ルーナと俺は 固まる。なんのこっちゃとゆう 顔をする そして 毛むくじゃらの人族ってなんぞ?

「やっ、お父さん違「 分かってる分かっているよルーナ…… よし 決闘だ 我が娘 ルーナを貴様の様な下賎な輩においそれとやる訳にはいかない! 決闘だ! 決闘しろ!」
青髪のつんつん頭の怒髪天の お父さん基 ソリアは血走った目を 悠人に見据え まるで 仇を見つけたような殺気を放つ。

[ほぅ、なかなか面白ゴホンコホンッ……大変な事になったものよのぅ カッカッカ!]
ゼフは くるくると目を回すと楽しげに目を細める。

(今確実に面白いって言いかけたろ 後で覚えてろよゼフ! って何故? 何でこんなことになったんだ?)
悠人は 内心で頭を抱える。

[主よ?知りたいか?本当に?]
ゼフは神妙な面持ち(目しかない)で悠人に尋ねる。

(えっ?!ゼフ知ってたの? なんで教えてくれないのさ!)
悠人はゼフを抱えるようにして睨む。

[いや、いやな…… ルーナ姫の反応が余りに面し……いやいや 真剣だったものでな すまんな 主よ。]
ゼフは目を逸らした。
今また面白いって言おうとしなかったか?

(……ゼフ後でお仕置きだな。ってそんな事はどうでもいい。んで?どうゆう事だ?お父さんなんで激オコなんだ?)
ゼフを睨みながら揺らす。

[うぉお 仕置は勘弁じゃ! どうでも良くはないのじゃが…… 主はチェンジリングとゆうのは知っておるかの?]
ゼフは震えるようにして怯えるが少しづつ語り始めた。

(……チェンジリング 確か俺の世界の北欧の民話で妖精の悪戯で 人間の子供と妖精の子供を取り替えてしまうとゆうもの だったような。)
悠人は顎に手を当てると 思い出すように語る。

[まぁ大体は人族に伝わるものとあっておるのう……然し こちらの世界での《チェンジリング》とはの番を探す儀式何じゃよ。まぁ主に気に入った相手を自分の国や村 家に連れ帰るんじゃが まぁ 普通は相手の意思関係なくだがな……。]
ゼフが 淡々と語る。

「はっ?!番? 番って パートナーとか 伴侶とか その 番?」
悠人はびっくりしてしまったかのように声に出して叫んでしまう。 ルーナは 恥ずかしかったのか俯いてしまう。ソリアは  早く決闘しろ!という顔をしている。

悠人は慌てて口を塞ぐ
(えっ えぇー! そそそれはマジか?!)
悠人はただ驚くことしか出来ない。

[ま、マジ? とはまぁわからぬが 真実じゃ…… ルーナ姫はどんな心境で連れてきたかは定かでは無いが主に恩恵の念があるのは間違いないのぅ!ヒューヒューじゃなー!]ゼフがニヤけるように目を細める。何処でその異世界の知識をつけたんだ。

「ッ!!小僧! いつまで私 ルナリスタ=リタ=ソリアを謀るか!!その傲慢 万死に値する! さっさと 去ね! 嵐魔法Lv.2《牙狼旋風陣》!!」
遂に 何かグチグチと前口上を言っていた ソリアの堪忍袋の緒がブチ切れたらしく  魔法をぶっぱなして来た。

地を這う様に 風で形成された 狼の群れが 螺旋を描き その歯牙により悠人を引き裂かんと大口を開ける。

悠人はゼフを正眼に構えると魔力を研ぎ澄ましゼフの瞳が光を放つ
「とッ!ゼフ 頼む!」
[心得た!!]

「[嵐魔法Lv.1 《絶風壁》!] 」
以前ルーナがゴブリンロードを押し倒した《絶風壁》の数倍の大きさで濃い密度の 暴風が悠人の周りに巻き起こり 包み込む。隠れ里の結界を突き抜けて 天高く聳える。


ソリアは一瞬悠人が嵐魔法を使った事に驚くが余裕の笑を浮かべる。
「ふん、嵐魔法Lv.1対 嵐魔法Lv.2とでは勝負にもならんな! そもそも 我ら風妖精に魔法で抗うことこそ愚の骨頂よ! さぁ風の牙獣に引き裂かれるがいい!!」

ソリアの
《牙狼旋風陣》が悠人の《絶風壁》に接触すると 暫く拮抗する様にすると 《牙狼旋風陣》が ゆっくりとその風の牙をへし折られ 消去る。

ソリアは自身 満々に放った《牙狼旋風陣》が打ち消され 驚きに目を見開く。
「ななな、なんだと……!? きき、貴様一体何者だ? 何故 私の 私の 嵐魔法 が…… 風妖精の嵐魔法だぞ……。」
ソリアは改めて自分で声に出して言ったのが堪えたのか両手を地面に起き打ち震える。

悠人は ふぅ と 一息つくと 《絶風壁》を解除して 地面にポムりと 肉球をつける。

[ふむ、まぁ若いの 儂は 風魔剣ゼピューフス おんしの 嵐魔法もなかなかと強力じゃったが 我が主の方が 一枚上手とゆう事じゃった とゆうだけじゃ そう悔やまずとも良い 寧ろ 我が主と少しでも拮抗した事誇るが良い!]
ゼフは高らかに勝利宣言をする様に ソリアに告げる。 どんだけ偉そうなんだゼフさんよ。

「なななな、なんと! 貴方様は 《知識ありし魔剣》風神オーディフィアス様の半身ゼピューフス様であらせられるのですかッ!?…… たたた、大変 御無礼致しました!! ゼピューフス様の使い手様に至っては…… 面目次第も御座いませんでした! どど、どうか 我が命だけで どうか 一族と 我が 娘には 寛大な 御心で  この通りッ!!」

んっ?んっ? どどど、どうゆう事ー!!さっきまで憤怒の表装だった ルーナパパンが いきなり 顔を真っ青とゆうか 真っ白にしながら 地面に顔を埋めんばかりに頭を地面に擦り付ける。
いやいやいや えっ? えっ? いやゼフ 良きにはからえじゃないよ! 
ルーナなんかほらぽかんとしちゃってるし 村の人達も 何がなにやらとかなってるし。
どうしたらいいのー!!

一方その頃 
ハイシャルは、己が私兵基 壮年の兵士又は 兵役を引退した ハイシャルの古い友人と言った 歴戦の勇士で纏まった軍ハイシャル含めてその数30と4名 で メラルドフォートナ森林を探索を始めていた。

「全く 隊長も久々に呼び出したかと思ったら こんな老骨共をまた戦地に追いやるとは 遂に人を辞めたようだわい!」
一人の壮年の兵士からやんやと ハイシャルに笑いを含めたヤジが飛ぶ。
「然り然り、せっかく今日は孫とバザールに行く筈が 全く こっちの方は期待していいんですかい 隊長殿?わっははは」
また兵士からヤジが飛ぶ。

「おい!煩いぞ爺共! しっかり働かない奴には一銭も払わず まぁ墓石だけは儂が そこらの石で造ってやろう 勿論前払いでな!」
ハイシャルは冗談混じりにニヤリと笑い 槍を担ぎながら先行する。

「おいおい ……隊長そいつはねぇぜ  !隊長の字の汚さはマジで 蛇の尾みてぇだからな 家族が見てもどれが誰のか分からなくなっちまうよ!ガッハハハ」
固めに眼帯を付けた巌の様な副隊長のレギナスが豪快に笑う。

皆も釣られて「違ぇねぇ違ぇねぇ」と盛大に笑う。
ハイシャルはムッとしながらも久方ぶりの呼びかけにも応じてくれた 勇士達に 感謝し 嬉しく思っていた。

ハイシャルは喝を入れる為に軽い足取りで岩場に飛び乗ると
「おし! 馬鹿と爺共 今日の奴さんはイマイチ正体が掴めねぇ 俺んとこの馬鹿弟子ノートンの奴をボロボロにする様な やつだ 俺ら老兵はわけぇ もんの為に 一人でも生き残り情報を残し その野郎に目にもの見せてやろぜ! 俺らは《蛇》だ 尾を千切られようが 喉笛を噛みちぎり 頭を潰されようが 絞め殺す ルナメイヤ王国の騎士魂見せてやろうぜ! なぁ野郎共ぉ!!」
ハイシャルが拳を静かに翳すと 釣られる様に 皆思い思いに 拳を翳し 武器を防具叩きつけ ながら怒号を放つ。

「ガッハハハ……懐かしいな昔の《蛇槍》隊長が帰って来たみたいだぜ……」
副隊長レギナスは懐かしむように目を細めるとゆっくりと開き 己が戦斧を翳すと 声を挙げた。

(さぁ、ゴブリンロードだろうが 化け猫だろうが出て来やがれ!)
ハイシャルは愛槍を後ろ手に掲げる。


「ふぁッ ……くっしゅんッ!!うぅ……。」
悠人は寒気を感じてくしゃみが出た。

「御使い様 大丈夫ですかな? 何か暖を取れるものでも持って参りますか? それとも飲み物なぞおもちいたしますか?」
ソリアはあせあせと悠人の周りを忙しなく飛ぶ。

「あ、えっと 大丈夫ですってか どうか……そんなに畏まらなくて大丈夫ですよ。普通にユウトとでも呼んでください。」
悠人は若干引き気味にソリアの申し出を断る。

誰この人?って感じに ソリア基 ルーナパパンは柔らかいとゆうか 最早別人みたいに懇切丁寧な 対応をして なんか逆に怖い。

「いえいえいえ 御使い様は御使い様であらせられればとなさればその様なご態度を取るわけにはとなさりなされば。 」
ソリアはわけのわからない敬語のようなまるで神の御前にいるかのように伏せたままで告げる。


「あの……因みに何ですがその先程から俺を《御使い》と呼んで居ますがそれは一体?」
俺は素朴な疑問をソリアに問いかける。

「えっ?ユウト そんな事も知らないの?」
ルーナはびっくりした様に呆れる。

「こ、こらルーナ 御使い様にその様な態度失礼だろうがお!ちゃんとお父さんの言うことを聞きなさい!」
ソリアはルーナの頭を下げようと 掴みにかかるがひょいと交わす。お父さんステータスが違いますもん無理すわ。
「嫌よ!ユウトはユウトだもの!私の友人に変わりないわ!」
ベーと舌を出してから 俺の頭の上に腰を降ろす。そこは止まり木では無いんだが。

「なっ!いつの間に御使い様に何たる無礼を! 娘をどうかお許しください まだ右も左も分からない駄娘ですが 私達にとっては掛け替えもない娘ですので何卒ご容赦を!」
ソリアは床に頭を打ち付けんばかりに頭を下げる。

俺がルーナとの事を告げようと口を開くと
「だ、だからですね お父さ……
「ソリアです御使い様。」
話を遮る様にソリアが睨みを聞かす その目は確かに 御使いとて娘をやるものかという父の いや 狩人の目をしていた、空気が痛いです。

そんな
ソリアの頭を 後ろから金属製のお盆の様なもので ボゴっと 叩く音が響く。
「まぁまぁ……まぁ! とっても可愛らしいお客さまだ事! 貴方がルーナの《添い人》さんかしらね?ふっふふ」
妖精族にしては 大きく等身は人の女性と変わらずルーナと 一緒の赤色 どちらかと言ったら茜色の肩下まで伸ばした髪を 揺らしながら顔はルーナにそっくりで目鼻立ちが整ったぷっくりとした桃色の唇が印象的な美人でゆったりと余裕のある薄紫色のロングスカートワンピースを揺らしながら 二枚四対の羽を 揺らしながら リビング奥のキッチンから現れる。

「お、お母様! そ、そそそれは まだ ごにょごにょ」
ルーナは赤くなって 俺の頭の上から飛び降りて近くにあったクッションの山に頭から突っ込んで見えなくなってしまう。

「あらあらあら。 お初にお目にかかりますわ 御使い様 いえ ユウトさんと お呼びしましょうかね?どうも 娘がお世話になっております。妖精族が女王 ルナリスタ=リタ=ルルナリアと申します。 お見知り置きを 可愛らしい異世界の勇者様?うふふ」
ルルナリアは口元をお盆で隠すと不敵に笑い始める。背後に威圧のオーラの様なものを出しながら。

「ッ!…… 妖精女王!?そして なんで俺が! 《鑑定眼》!!」
悠人は 姿勢を低くし身構える。

種族:妖精女王
名前:ルナリスタ=リタ=ルルナリア
Lv.124
HP:12500
MP:34400
攻撃力:2300
防御力:1200
素早さ:5200
運:260
身体スキル
unknown
《精霊魔法Lv.EX》
《時空魔法Lv.3》
精神スキル
unknown
《神眼》
《隠蔽》
《威圧》
unknown
称号スキル
《精霊女王》
《母なる大地》
unknown
(ぶっ壊れ過ぎてるってか よく見えない 《隠蔽》か なかなか優秀なスキルだな……ゼフどうだ行けるか?俺は威圧で動けないんだが。)
([なんと! 主程の者でも動けなんだか!なれば 無理じゃな。])
(然し威圧はあるが殺気が無いのは気になるな。)
悠人は 背に氷を這わされているように額に脂汗をかくのを構わず構える。

「あらあらあら、そんなに警戒しなくても大丈夫よ。ルーナの命の恩人なんだもの 感謝はすれど害することは無いわ。」
ルルナリアは不敵に笑いながらお盆を 後ろ手にくるりとターンをして 頬に指を当てる。

「よくゆうわあんなに『威圧』しといて!……おっけぃ。 あんたがいざとなれば俺は一瞬で お陀仏だからな 触らぬ神になんとやらだ 。 」
悠人はゼフを とりあえず収め かいた脂汗を 乱雑に 腕で拭う。

「あらあら それでは風邪を引いてしまいますわ!そうだ ご飯の前に 湯浴みでもされたらどうかしら?ルーナと一緒にでも?私でもいいのだけれども……うふふ♪」
ルルナリアは 口元をお盆で隠し笑う。

「なっ、ななななな お母様 何をいきなり言ってるのよッ! けけけけけ、結婚前の 女 男が湯浴みを一緒になんか! そしてお母様と言えどダメよ!!悠人は私の!……ッて……いや、 違うのよ ユウト べ、べべ別に そんな いや そんなんじゃ!!」
ルーナは 慌てふためき 蒸気機関車の様に頭から湯気を出しながらクッションの山で翻筋斗打つ。

「うふふ♪拒否権はないわ……おふたり様ごあんなーい!《転移:座標指定:神樹の臍》!」
人差し指をくるりと振るいウィンクをしながら 詠唱する。

すると
悠人とルーナの足元に魔法陣が現れ光輝く。
「おぉ!さっすがファンタジー 転移魔法まであるとは ロマンだな!」
悠人は感動し周りをくるくると見渡す。
[主よ ろまん?とはなんじゃ?美味いのか?]
ゼフはあっけらかんと 半目にし何気なく呟く。
「お母様 ひどいです!鬼!、悪魔! 、精霊女王!あっ、そうだった!」
ルーナは精一杯にルルナリアに悪態をつく。

「それでは愉快な悠人さん御一行 湯浴みに行ってらっしゃい!ルーナは後で お説教ですよ私を鬼と悪魔と同列とは うふふ今度のお説教は長くなりそう、ね。」
悠人に優しく微笑み手を振り送り出しルーナには 静かな微笑を浮かべ射殺す様に 目を細める。

ルーナが低く悲鳴をあげると
光が一層輝きを強める。
「それでは ご飯作って待ってますからねー♪ 悠人さんはずっと待ってくれてたお友達に宜しくね! それでは《転移》!!」

「まっ!と、友達?どうゆうこ……」
悠人が 言い切る前に 視界が光に包まれる。

すると
次の瞬間には ドブんと 温かい湯源に頭から落ちる。

「……うぁ、 耳ん中に 水が 入ったー 毛が まとわりつくなー だから 実家のチビ助達はお風呂あんなに嫌いだったのか 猫の身になってしみじみ思うとはなぁ……ブルブルするか。」
悠人は一瞬遠い目をすると ブルりと水滴を払う。

「……さて、ゼフとルーナを探すか って 湯気が凄くて 前が見えないなー こうゆう時は魔力を元に探すか……。」
湯気を払いながら悠人は感覚を研ぎ澄まし 魔力を探る。

《身体スキル〘 魔力感知Lv.1〙を取得。以上。》

「おぉ!なんかスキルが発言した!探すのにもってこいだな!《魔力感知》!」
悠人は 湯気の中 感覚を研ぎ澄まし 気配を探る。

「んっ! あの膨大な魔力 反応はゼフ?かな? んっ?何してんだあいつ?」
悠人はザブザブと ゼフがいる方角に歩みを進める。

すると
ゼフは まるで修行僧の様に湯源の源泉を打たせ湯のように浴びて 蕩けそうな表情 いや眼をして 打たれていた。
[あ゛ぁぁあぁぁ ご、極楽じゃー 今までの疲労いや剣労が削がれるようじゃー儂史上一番の 難敵じゃー 動けぬー 媚びぬー 顧みぬー 我が剣生に 一遍の悔いなしぃー]
ドロドロの まるでダリの絵画の様に蕩けた魔剣がアホな事を言いながら居た。

「…… よし 何も見なかった事にして 置いていくか ゼフ 良い奴だったよ。」
悠人は 去ろうと背を向ける。

[主よ、突っ込み待ちなんじゃが なぜ 去ろうとするか あっ、ちょ 待つんじゃ マジで 置いていくでない すまぬ悪い悪かった 悪かった!]
ゼフは慌てふためき 念話を 飛ばす。

「一体何をしてんだ?」
悠人はゼフを半目でジトりと腕を組み見つめる。

「なぁに 主の魔力が近づいて来たので 少しからかってやろうかと……あっ 待て 待つのじゃ 冗談冗談じゃて 今のは本気だったのぅ 本気の眼じゃった……。」
ゼフは焦った様に瞳をぱちくりさせる。

「悪ふざけはそこまでにしてルーナを早く探すぞ!一緒に飛ばされたんだから近くには居ると思うんだが 如何せん 魔力濃度が高すぎて あからさまな 駄剣様の魔力しか分からなかったからな。」
悠人は ゼフを一睨みすると 岩に刺さったゼフを引き抜く。

[なっ、儂を だだだ駄剣じゃと!? いくら主と 言えど その様な言い草……悔しいけど感じちゃきゅんきゅ……]

「言わせねぇよ!誰が爺のくねくねシーンに需要がいるんだよ!」
悠人はゼフを 再び岩に乱雑に差し込む。

[主はいけずじゃのぅ……然し爺とは心外じゃな!儂はぴちぴちピッチじゃぞ!まぁ 《今はまだ》剣じゃがな。]

「表現が古すぎる……まぁいいや とりあえず ルーナを探すぞ。 ゼフなら分かるか?」
悠人は小さくため息をつき ゼフを引き抜く。

[造作もないな!儂の 犬並みいやジャッカル いや ボストンテリア並の魔力感知に掛かればな !]
ゼフはドヤと 効果音を出すように瞳をする。

「……結局 犬じゃねぇかって 犬に魔力感知ないだろが……はぁ まぁいい ダメだ早く探さなきゃ。」
悠人は疲れた様に ザブザブと ゼフを ダウジング機器の様に前に構えると歩き出す。

[うぬっ! 近い 近いぞ!ルーナ姫の気配 香り あざとい系ヒロインのオーラが 近いぞ!ガボガボガバー]
ゼフはくるくると目を回しながら宣う。

「……あざとい系ヒロインのオーラってなんだし おかしい温泉に入ってる筈が 逆に疲労が溜まるとか おかしい。」
最早半目ではなく 白目になりそうな悠人は ゼフをザブザブと 湯底に引き摺るように歩を進める。

「そっ、その声は悠人?! 悠人なの?だ、ダメよ! こっちに来ちゃ! 」
ルーナの慌てふためいた様な焦った様な 声がか細く響く。

然し
魔素の濃度が 一層高いのか 殆ど視界など無い状態で かすかに聞こえる声だけが頼りで手探りで探す他はなかった。

「ルーナ? 大丈夫か? 今行くからな! ってか 濃度が濃すぎて 何も見えないし 音も聞こえずらいな……でも確かにルーナの声がこっちから……んっ?」
悠人は 霧をかき分ける 様にし歩みを進めると 不意に 柔らかい弾力のあるものを掴んでしまった。

「ッ! よし 冷静になれ春矢悠人 分かってるさ お約束のこの展開 分かってる 分かってはいるが……俺は 甘んじて 悟ろう 我が右手に小宇宙を燃やせ!! 」
昔のスポコン漫画の様に瞳に焔を燃やし右手に力を入れようとする。


「ユウトの馬鹿ぁぁああ!!嵐魔法Lv.1絶風撃ィイ!!」
ルーナによるかんしんのいちげき。勇者ユウトは力尽きた。


[ふむ、阿呆じゃな……。]
ちゃっかり逃げたゼフは 近場の岩の上から見下ろす。

☆━━━━━━━━━━━━━━━☆

悠人は目覚めると目を見開き驚いた。
なんと、ルーナの姿が小さい妖精の姿から14歳程の赤毛が似合い緑葉色の瞳が綺麗なエルフ耳の美少女になっていたのだ。服装は麻色のワンピース。

「.......ユウトのえっち。」
ルーナは頬を赤らめ恥じらう様に腕で身体を隠し身を攀じる。 その恥じらう仕草はさも絵画のようだ。


「ッ.......ご、ごめん。つ、つい出来心で ごめんよルーナ。」
悠人はルーナの姿に見蕩れて一瞬惚けてしまったが 直ぐに頭を深深と下げて謝った。


「う、うん。今回は特別に許してあげる.......もっと仲良くなったらその先もごにょごにょ」
ルーナはぼふりと湯気を出しながら尻すぼみになった。


[うむうむ 青春じゃな青春じゃな モレーン果樹より甘酸っぱいのぅ。]ゼフはうんうんと肯定する様に目をパチクリする。


悠人はルーナとついでにゼフと改めて状況を整理する。
ルーナのお母さんであるルルナリアさん基精霊女王により転移をさせられこの謎の温泉空間に飛ばされた、中は洞窟になっており 時々生き物の気配もする。


「ふむふむ。なるほど今の状況はだいたい分かったけど 一番気になるのはルーナはどうして 綺麗 いや 可愛いくなったんだい?」
悠人は顎に手を当てながらルーナに問う。


「か、可愛いなんてそ、そんな.......ご、ごほん これはこの温泉の効能のせいよって言っても普段普通に入ってもはこんな変化は無かったんだけどゴブリンロードの経験値が入ったから多分《進化》したのね。」
ルーナは赤らめながらも咳払いをし答えた。


「おぉお!!進化!なんてファンタジーなんだ!!感動的だな!ルーナ早速ステータス見ても大丈夫かな?」
悠人は目を輝かせてルーナの肩に手を置く。

「是非も無しよ!私も早く見てみたいの!ユウト早く 早く!」
ルーナも興奮冷めやらぬ様に悠人がガリガリと地面に描くステータスに見入る。

種族:聖妖人(ルナリスタ族)
名前:ルナリスタ=リタ=ルーナ
Lv.20
HP:1200
MP:2400
攻撃力:2600
防御力:890
素早さ:3000
運:745
身体スキル
〘 月魔法Lv.8〙
〘 鱗粉Lv.10〙
〘 風魔法Lv.10〙
〘 嵐魔法Lv.5〙
〘 衝撃耐性Lv.5〙
※NEW〘 飛翔Lv:3〙
※NEW〘 雷魔法Lv:1〙
精神スキル
〘 妖精言語〙
〘 エルフ言語〙
〘 ゝ◇#〇言語〙
〘 春矢悠人の友〙
〘招き猫の加護 〙
〘 猫好き〙
※NEW〘 風の申し子〙
※NEW〘 ハプニングプリンセス〙
称号スキル
NEW小鬼王の討伐者


※飛翔
風を操り 空を駆ける事が出来る。
※雷魔法
電気を操り 繰り出す事が出来る。

※風の申し子
風に愛され 風と共に生きる。
風魔法にプラス補正。
※ハプニングプリンセス
嬉し恥ずかしお姫様。
運にプラス補正。

西洋人?いや聖妖人か.......レアっぽい進化だな。嵐魔法がLv:5になってるし 俺にはない雷魔法羨ましいな 風の申し子もなかなか優秀だ ふむふむ ハプニングプリンセスは謎だが?

「.......こ、これが私 う、そ  .......」
ルーナは わなわなとした後に 静かに俺の背中で 嗚咽しながら涙を流した。よっぽど 色々と悩んでいたのだろう。

悠人はゆっくりと身体を返しルーナを優しく胸で抱き抱えながらもふもふした手で優しく頭を撫でてあげた。


暫くして 落ち着いたルーナとこの温泉洞窟の奥へと歩みを進めた。


「なぁ、ルーナ この先は何処に繋がってるんだ?結構深そうだが。」
ザバザバと悠人はルーナの後を着いていく。


「この先には守護の間と云う出口があるわ。ちなみにここは御神木クリュテュナス様の中神樹の臍と呼ばれている場所よ入れるのは一族の限られた者だけよ。」
ルーナは御機嫌といったように楽しげにザブザブと歩みを進めていく。


「へぇー、ってそんな神聖な場所に俺は入って大丈夫なのか?!めっちゃ湯船に浸かるながら進んでいるが.......今更だが。」
悠人は焦り始める。


「問題ないわよ。普段は母様と良く湯浴みに来るもの。クリュテュナス様はまぁ御神木だけど お爺様でもあるの お爺様は優しいから何も問題はないわ。」
ルーナはちゃぷちゃぷと肩口まで湯船に浸かってみせる。


「お爺様? それってどうゆう事だ?」
悠人はん?と首を傾ける。


「そのままの意味よ。お爺様は初代精霊王で精霊王は寿命を迎えると己の全魔力を使い《国》つまりは精霊の都 御神木になって祖先を護り 癒し 育むのよ。だから何も心配ないわ。お肌に良いしね。」
ルーナは優しく微笑み湯を身体に馴染ますように肩から撫でるようにする。


「ッ.......ちょ、る、ルーナ見えてる 見えてるよ.......。」
悠人は綺麗な絵画の様な姿のルーナに見蕩れていたがハッっと気付いて目を勢いよく逸らす。


「んっ? ユウトどうしたのって.......キャァァァァア!!」
ルーナは人型になってから日が浅いのも合間り己の服装の事など考えの外にあったのだ。


「.......ユウト見た?」
ルーナはとりあえずは湯船に口元まで静まりジトりと悠人を見る。


「ッ.......いや そのーなんて言うかなーまぁーあのー  ごちそうさまでした かな?」
悠人は はぐらかそうとしたが 結局本音が出てしまった。


「ッ! ユウトのえっち!!雷魔法  放電!!」
ルーナは涙目になりながら指先から小さな電撃を 放つ。


「ッ!!やっ、水場で電気は不味.......ギャァァァ。」
手加減はしてくれたのだろう チクリと刺すような痛みを少し感じたくらいだが 悠人の全身の毛は静電気のせいで ぶわりと膨らみ ぶちゃいくなもふもふ猫になってしまった。


「ぷッ.......ふふふ ユウト変な顔 おっかしいの ふふふ」
ルーナは先程までの羞恥を忘れたかの様に笑う。


「くっ、モフれ この様な羞恥は初めてだ 早くモフれ.......。」
悠人はもふもふな猫は好きだがまさか自分がもふもふになってしまうとはつゆにも思わず悔しいのか恥ずかしのかよく分からず身動きが取れずぷかぷかと浮いてルーナにちょいちょいと突っつかれていた。


[さてはて儂 このToL〇VEる空間に果たして需要あるんじゃろうか?]
ゼフは口からマカロンが(口はないが)出そうなくらいに 呆れる。


また、
暫く歩くと 大きな広間の様な空間にたどり着いた。

中央に広がるように大きな湯船になっていてその先に まるで宮廷の大浴場の様な色とりどりのタイル地の床が続き シンプルな赤い扉があった。

「やっと着いたわね。何時も帰る時は飛んで帰っていたからなんだか色々 新鮮ね。嫌いじゃないけど。」
ルーナは湯船から出ると自分に風魔法を施し服を乾かした。


「ここが終点か.......あの扉が出口なのか?」
悠人は少し距離をとりブルりと身体を振るうと風魔法で身体を乾かす。


「そうよ。でも待ってね ちょっと準備があるのよ.......」
ルーナは何かを探すように辺りを見渡す。


「ん? 普通に開けたらいんじゃないのか?」
悠人はドアノブにてを掛け開けようとノブに触れた  その瞬間。
バチりと辺りの明かりが消え周りの壁に蝋燭が広間に円を描く様に灯る。

「えっ?え?ルーナどうゆう事だ? 明らかにヤバげなんだが.......。」
悠人は焦った様にキョロキョロと周りを警戒する。


「あぁーやっちゃったか。神樹の臍の 《挑戦者の儀》を起動しちゃったみたいだね。」
ルーナはしまったと 口に手を当てた。


「ごめん、それで《挑戦者の儀》ってなんだ?」
悠人は 身構えながらもルーナに問う。


「一応神樹の臍も特異ではあるけど《ダンジョン》なのそして《挑戦者の儀》は名前の通り《ダンジョン》の《支配者》を倒す儀式の事よ。」
ルーナも 身構える。


「だ、《ダンジョン》!正にファンタジー! そして 《ダンジョンマスター》なんと素晴らしい!」
悠人は瞳をキラキラと輝かすと うずうずと身構える。


[ほぅ、薄々は気付いとったがやはり《ダンジョン》だったとはのぅ.......僥倖じゃな!主よ 存分に儂を振るうが良い!]
ゼフは 声高に(念話)嬉しそうに身構える。


「よし来た!行くよ!で、ルーナその《ダンジョンマスター》ってのはどんなの?やっぱり木の化け物?やっぱり龍とか?」
悠人は興味津々とばかりにルーナに問いかける。


「分からないわ!私も初めてなの《ダンジョンマスター》?ってゆうのは。」
ルーナはハッキリと答えたがその顔は晴れやかとして 何が出てきても大丈夫な様に身構えている。


「.......そうか、じゃあ 蛇が出るか鬼が出るか旗また龍が出るかやってみようか。」
悠人は 笑みを浮かべて ルーナの前に立つようにゼフを正眼へと構える。


直後
大浴場の底がガコンっとゆう音と共に割れ水が抜け 水面が半分に別れ下から舞台がせり上がってくる。


「なんと、ファンタジーな仕掛けなんだ! 魔法で動いているのかな?! 気になるなぁ!」
悠人はワクワクが冷めやらぬ様にその様を焼き付けた。


舞台がせり上がってくると荘厳なコロッセオの様な舞台の真ん中に何やら樹木が生い茂った様な 塊が鎮座していた。暫く待ったが動く気配はない。


「ん? なんだ あの毬藻みたいな 樹木の塊は?あれが《ダンジョンマスター》なのかな?」
悠人は ルーナに疑問を投げかけた。


「いや、どうなのかしらね?普通《ダンジョンマスター》ってゆうからには侵入者は絶対許さない即刻排除だー って来るものじゃないかしら?」
ルーナもうーんと 唸る。


[ふむ、儂も何回かは《ダンジョン》に行った記憶はあるが何やら様子がおかしいのぅ?]
ゼフはくるくると目を回す。


「とりあえず あの毬藻を調べてみるかちょっと興味もあるし ルーナはここで何かあった時の為に一応構えておいてくれ。」
ゼフを担いで肩を叩くと 悠人はゆっくりと慎重に歩き出す。


「ユウト 気をつけてね。」
ルーナは 悠人を心配そうに見つめながら 身構えながら送り出す。


「それにしても大きな毬藻だなぁ.......ちょっと触ってみるか。」
悠人はでっかい緑の塊基毬藻に手を触れてみた。


すると、
悠人の頭の中に キュイ キュイと 声のようなものが聞こえてきた。


「こ、これは.......でもまさかいや でも聞き間違えるはずが無い。」
悠人は一瞬で手を離し何かを考え被りを振るう。


[主よ。どうしたのだ?何か分かったのか?!]
ゼフは食い入るように悠人を見る。


「いや、気の所為かもしれないんだがいやに聞き覚えがある音いや声が聞こえたんだ。」
悠人は確信を持って 今度は強く それに 触れる。


すると
《それ》は 新緑色に眩い光を放ち まるで蛹が蝶になる様に毬藻が解けていくと 《それ》は姿を表した。

「ちょ、ちょっとユウト大丈夫?!なんか物凄い光ってたけど?」
ルーナが慌てた様に《飛翔》により傍に来る。


[ふむ なんじゃ? これは いや《こやつ》は?]
ゼフは怪訝そうに《それ》を見る。


「あぁ、こいつは俺の大事な相棒苦楽を共にした《自転車》だ。」
悠人はまるで家族を紹介する様にルーナとゼフに 説明した。


「それとこいつの説明の次いでだ俺は こことは違う世界に住んでいた人間としてな。しかし、俺はそこでこいつ自転車と一緒に家に帰る時に トラック 巨大な高速で走る鉄の塊にぶつかられて目が覚めたらこっちの世界で《白猫》として覚醒したんだ。」
悠人はついでとばかりに自分の境遇を話した。

「[異世界転生じゃと?!]ですって?!」
ルーナとゼフは飛び跳ねそうなぐらいに驚いた。


[ふむ。まぁ白猫族にしてはやけに物知りでいて子鬼王にも勇猛に立ち向かったからのぅ.......おかしくはないのぅ。ふぅむ]
ゼフは一瞬思考したかと思うと即自己完結した。

「そうね。普通ではないと思ったけどまぁそれなら有り得そうね 白猫族じゃ《ゴブリンロード》は普通倒せないものね。うんうん」
ルーナも うーんと唸ると直ぐに切り替えた。

「あっ、そんなに直ぐに信じてくれるんだ?もっとなんか嘘だとか 思うのかと思ってたのに 実際自分で聞いても胡散臭いのに。」
悠人はあれ?と 拍子抜けしたように呟く。

「何言ってるのよ! もう 悠人は 《仲間》とゆうかそれ以上とゆうかごにょごにょ まぁその そうゆうものよ!」
ルーナは尻すぼみになりながらもドーンと 胸を張って言い切った。


[然り然り! 主が何者だろうと 誰であろうと主は主よ我がマスターはただ一人よ。キリッ]
ゼフは 言葉でキリッと言いながらイケメン面(目しかない)でドやった。


「.......ありがとう二人とも。ただゼフはまだ借り物だから (仮)だからね (仮)」
悠人はルーナとゼフにお礼を言うと照れを誤魔化すようにゼフをいじる。

[ガーンそんないけずな主よ でもそんないけずなマスターがいっぱいちゅき キュンキューン]
ゼフは涙目になりながらもキラキラとアピールする。なんと表情豊かな剣だ。


「で、その自転車さんは 寝てるの?お名前はあるのかしら?」
ルーナは興味津々な様で俺の自転車が気になるようだ。


なんの変哲も高くもない銀色の折りたたみ式自転車 こいつとは随分長い付き合いだな 初任給で初めて出会ってずっと雨の日も風の日も暑い日も寒い日も走ったな。 名前 名前か 前に一度だけふざけて付けて走ってたな。

「あぁ、こいつの名前は《ワークス》だがそれだと可哀想だから《ワース》と呼んでいたよ。」
悠人は優しく呟く様に告げた。

《承認:個体名メタモルゴーレムにユウト・ハルヤによる命名を行使。成功しました。個体名〘ワース 〙は命名による進化を開始します。》
悠人は頭の中に酷く響く声にがくりと膝をつく。いやステータスを見るとMPが殆ど底をつきかけていた。すると、《ワース》が黄色い光を放ち自転車からぐにゃぐにゃと姿を変え始めた。


「ユウトッ?!」[主ッ?!]
ルーナは心配する様に俺の背中を擦る ゼフは心配する様に覗き込む。


[ふむ、やはりかいやでもまさか進化するとはのぅ。]
ゼフは怪訝そうにぐにゃぐにゃと変わる《ワース》の姿を眺める。


「.......ゼフ どうゆう事?《ワース》?に何が起きてるの?」
悠人は少し落ち着いて来たのでゼフを杖代わり立ち上がった。


[ふむ、どうゆう事も何も《あやつ》いや《ワース》は最初から魔物じゃったぞ?まぁ然し戸惑っていたがのぅ.......じゃがずっと主に話しかけておったよ まぁ鳴き声のみの念話じゃから分かりはせんが深い愛情の様なそれでいて酷く寂しがっておった様じゃな。害悪があれば即断していたがあぁも親しげに鳴いておる者を害する事なぞ出来んよ主よ どうか《ワース》を抱いて《姿》をイメージしてやるのじゃ。今《ワース》は違う環境で主に適した身体に成ろうともがいておる。]
ゼフは瞳を閉じ思い浮かべる様に静かに告げる。


「《姿》をイメージする.......か、分かったやってみよう!さぁ《ワース》おいで俺だよ随分と待たせたみたいだな。 」
悠人は意を決した様にワースを抱き抱えると自分が思い浮かべる限りの《全て》をイメージした。
光が一層ぶわりと広がりを見せる。

すると
段々と光が収まってきて悠人はゆっくりと 数歩下がった。
暫くすると
キュイキュイと長年連れ添った錆び付いたペダルと言ってはなんだがまるで小鳥の雛の様な声が聞こえてくる。


光が収まると
そこには銀色に輝く二対の翼と体躯 翡翠色に耀く瞳の綺麗なドラゴン 大きさは50cmくらいと小さいが雄々しく翔く《ワース》が元気に鳴いていた。


「よう、久しぶりだな相棒」
「キューイキュゥ!!」
悠人はニヤリと笑うと腕を広げた そこにワースは勢い良く突っ込んでいって悠人はワース共々転がり壁にぶつかりながらも笑い合った。


種族:メタモルドラゴン
名前:ワース
Lv.1
HP:800
MP:400
攻撃力:1200
防御力:1300
素早さ:700
運:360
身体スキル
※〘 龍魔法Lv:1〙
※〘 擬態Lv:1〙
※〘 龍技Lv:1〙
〘 飛翔Lv:1〙
〘 言語理解Lv:2〙
〘 物理耐性Lv:1〙
精神スキル
※〘 龍語〙
〘 招き猫の加護〙
※〘 九十九〙
〘春矢悠人 の友〙
※〘 メタモル〙
称号スキル
春矢悠人の相棒
春矢悠人の従魔

※龍魔法
龍の魔法 主にブレスや爪や牙に魔法を付与する。
※擬態
スキルレベルに応じ主の思うままに姿を変える。
※龍技
龍族に伝わる 格闘術。
※龍語
龍との会話に容易る言葉。
※九十九
物にも想いが宿る。従者の能力値にプラス補正。
※メタモル
姿を変える際にプラス補正。







































しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

処理中です...