魔神の心

黒瓜ぬこ助

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第二章『魔影』

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艶やかで騒がしい街路。
其処らかしこに並ぶ商店。
魔族達の馬鹿笑いがそこらじゅうに響いている。

黒いフード付きのローブを目深に被り仰々しいまでのリュックを背負い一人の黒髪の青年がトテトテと駆けていく。

「まっ、待って下さいよぉ…お嬢様……ちょっとは荷物持ちの事を気遣って下さいよぉ…もうクタクタで動けないですよぉ…。」
青年はしゃがみ込み肩で息をしている。


先を歩いていた赤色のウサギの耳の形のフードが付いたローブに白いフリルスカートの白髪の少女が怪訝そうな表情で振り返る。
「ルナ……前の村であんなに寝たのにまだ眠いの? 主人が働いていたのにぐぅすか夢の中に居たのはどこの誰?…」少女はそう言いギロリと青年を見つめる。


青年はギクリとし しかし、座り込んで嘆きました。
「そうは言っても瑠璃お嬢様!…前の村からずっと飲まず食わずこの街まで歩いてきて もうダメです…僕は一歩たりとも動けません!ちょっとだけ休憩しましょ? ねッ?いいでしょう…?」
青年はねだる様にへたり込む。


瑠璃は、はぁとため息を一度つき無言で歩きだした。
ルナは慌てて言葉を繋ぐ。
「まっ、待って下さぁい瑠璃お嬢様ッ! ほら、あそこ!あそこのバーに行きましょうよぉ!何か情報が手に入るかも知れないですよぉ。」ルナの瞳はバーの立て札のステーキに首ったけになって涎を垂らしている。


瑠璃は一度深くため息をつき渋々バーの戸を開ける。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■

店内からは騒がしい馬鹿笑いが聞こえる。
瑠璃がBAR【黒蠍】の扉を開ける。
ギィと錆び付いた金具が響く。
店内は突然の珍客、少女と青年が物珍しいのだろう静かになり視線が集中する。


瑠璃は気にせずカウンターへと歩を進めマスターの前の席に腰をおろす。
「…すまない店主。連れにスパゲッティと私にサンドイッチと果実水を頼む。」
ボソりと告げる。


店内からは、一斉に馬鹿笑い声が飛び交う。
ある者はテーブルに手を叩きつけ笑う者、腹を抱えて転げ笑う者。
二人の横に居た熊の様な男が笑いながら話し掛けてくる。
「おいおい、ここは喫茶店でも幼稚園でもないんだぜぇ。ガキは家に帰って母(ママ)の乳でも吸ってろよ。ガハハッ…」
男はそう言い周りを盛り上げる様に笑う。


その言葉を瑠璃の隣で聞いていたルナはさっ青ざめ頭に手を当てていた。
(…こいつ死んだな。瑠璃お嬢様にその話題、母親の話は禁忌だ。)南無阿弥陀仏。ルナは呟き手を合わせる。


次の瞬間 男は先ほど瑠璃達が入ってきた扉を勢い良くぶち壊しながら孤を描きながら飛んでいき民家の壁にぶつかりへたり込んだ。ぴくぴくと動いている事からどうやら息はあるようだ。


店内は静まりかえりただ皆何が起きたか分からずにいた。
それに、瑠璃が沈黙を断ち切るよう話す。
「…すまないマスター 扉、壊してしまったな。隣席、急用があったみたいでな。で、注文…大丈夫かな?」瑠璃が冷たく薄く笑みを浮かべる。


店主は怯えた顔で慌てて厨房へとかけていった。

「瑠璃様!瑠璃様!…ちょ、ちょっと目立ち過ぎでは? 一応敵地の真っ只中なんですから穏便に、どうか穏便に行きましょうよ…最早だいぶ遅いですが…。」
ルナは肩をおとしながら呆れるように呟く。


ギロりと瑠璃はルナを一睨みし口をパクつかせて微笑む。黒く。
どうやら読唇術で読めと言うらしい。


「えっと……み、な、ご、ろ、し、に、し、て、い、い、か、な、?えっと…瑠璃様それだけは勘弁して下さい飯前に解体ショーだけはお願いしますッ!」
ルナの綺麗な土下座であった。


瑠璃は興が削がれたのか視線を外し店主が慌てて出した果実水に口をつける。


□■□■□■□■□■□■□■□■□■

静まり返った店内。
ルナのコツコツとゆうスパゲッティのすくう音のみが響く。


瑠璃は軽く済ませると。
マスターに徐に尋ねる。
「……すまないマスター。『魔王』について何かしらないか?」


店内に更なる静けさとゆうか空気が変わる。


BAR【黒蠍】の店主は拭いていたグラスをガシャリと落としワナワナと震えて泳いだ目で瑠璃を見、呟き口を開く。
「まっ……まさか。紅い瞳の少女に身の丈程の槍ッ……まっ、『魔槍』……先日『魔将』グレゴリア様率いる魔軍を壊滅絶滅させた まっ、『魔槍』… ひッ…ヒィィ…!」店主は最早口の端に泡を吹き腰が抜け失神した 。


「…そんなに怯えても何もしないよ。まぁ表で伸びてるおじさんみたいな余計な事言わなければね♪」
瑠璃は片肘をつきニタリと嗤う。


静まり返った店内は一瞬時が止まったかと思うと我先にと店外へと出る者が溢れかえった。


そこで、ちょうどスパゲッティを平らげたルナが顔をあげる。
「ふぅ、マスターさんこれ美味しかったですって……あれ? どうかしたんですかマスターさん?。」
カウンター内でシンクにもたれ掛かる様に白目を剥いて気絶しているマスターにルナが尋ねる。返事が無いただの尸…マスターのようだ。


ルナは周りを見、隣の瑠璃へと視線を移す。頭に手を当て虚ろな目をしている。
ルナは恐る恐る話しかける。
「あの…瑠璃様。もしかしたらもしかしてなんですが。
また例の事をそのまま言ったんですか?」


虚ろな目をした鬼…いや瑠璃が視線をゆらりと移す。
「…お代は要らないそうだ。良かったねルナ。」
そうくもぐもった声を吐き机に突っ伏した。


ルナは瑠璃の頭へとポンと手を置き。
「……瑠璃様、ドンマイ!」


次の瞬間
ルナは瑠璃の隣に居た男と同じく弧を描きながら扉を抜けてへたり込んだ男に重なる様に地に伏した。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■

領地シェイドティルト。
魔族から獣人様々な種族が暮らし。
ビルが立ち並び暗黒街により栄えた領地、いや最早小国と言えよう。

領主は、領地の名前にもなっている八魔柱が一人『魔影』シェイド=ティルト=ガウス。貴族であってもその素顔を知る者は無く闇に包まれた領主である。彼が、侍衛する部隊は【鴉】と呼ばれ暗殺、抹殺、傍聴。隠密行動のエキスパート集団らしい。


と、ルナはこれまで自分が駆けずり回り集めた情報を鼻高々と瑠璃へと報告した。



「……ルナ。それで、結局わかったのは首都の名前の由来と『魔影』の配下のちょぴっとの情報だけと…良く其れで帰ってこれたね?」
表情だけは笑顔だが目が笑っていない。こめかみに青筋が立っている。


「あっ、はい。ちょっとお腹空いちゃいまして。てへっ☆」
ルナは態とらしく額をこつんと殴り舌を出す。


瑠璃は魔槍を大きく振りかぶる。

それを、ルナが土下座で躱す。
宿の床に深々と突き刺さり抉る。
「じょ、冗談ですって…ってか俺じゃなかったらそれ死んでますからね。」
ルナが冷や汗を出しながら土下座姿勢のまま紙を一枚手渡す。


「…おかしいな。殺す気で放ったんだけどな。まぁいいか。」
恐ろしい事をボソりと呟き瑠璃は紙を開く。

紙には、ド派手な色をあしらった『魔影』が居城で開かれる仮面舞踏会のチラシであった。
「……参加条件は上流階級の貴族の紹介状が有る者だけか……そこらへんの貴族ぶん殴って 拉致して書かせればいいか…」
瑠璃がボソり告げる。

間髪入れずルナが言う。
「いやいや、何処の過激派だよ!魔族より悪魔だよ!それ!いや、すいやせん調子乗りやした すいやせんしたッ…!」
瑠璃の瞳の淡い光が灯ったのを予見してルナは地に伏した。


「でも、瑠奈様 流石にそれはちょっと目立ってしまいますよ。招待された人が来ないとなったら流石に不味いですよ。…あっ、こんなのはどうです?使用人に紛れて潜入するとか!」
ルナは目をキラキラさせながら語る。


「……自分で隠密のスペシャリスト集団とか言ってなかったっけルナ? 」
瑠璃はジトりとルナを睨む。


「あっ、あえて敵の裏をかくんですよ。それに結局 紹介状が無かったら入れませんし…一か八かこれにかけてみましょうよ!ね!。」
ルナは言い聞かせるように語る。

瑠璃はベットにゴロり寝転びルナと反対の壁を向き手をひらつかせて。
「…じゃあルナに任した。明後日が開催だから下調べのために明日までには潜入出来るように計らっておいて。じゃ、おやすみ。」
瑠璃はそう告げ、布団を被りふて寝した。


「えぇ…!俺一人で二人分を計らうって えっ、待って下さいよ瑠璃様ぁ…」
額にヒタリと冷たい槍先が当たる。布団からは瑠璃の紅い瞳と僅かに口元だけ見える。声を出さずに口だけを動かす。


どうやらまた、読唇術のようだ。
「何々…? そ、れ、以、上、来、た、ら、殺、す、☆……了解しやしたッす!すいやせんッ!」
瑠璃は槍を布団へと格納し布団をばさりと被り眠った。


強制的に床で寝る事となったルナは一つため息をつき明日からの事を憂鬱に思いながら眠りについた。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■


ーーー現在地。ティルト城下。



怪訝な表情の瑠璃。
「……確かにルナに任せると言ったけど…この服、何?」
白と黒が主体でひらひらのフリルが付いて袖が肩衣と分かれ此れでもかと言うくらいの短いスカート。


一方、ルナはスラリとした黒いズボンに白いシャツに赤いリボン帯に黒いベスト バーテンダーの様な格好。どうやらどちらもウェイターの服装の様だ。

「いやぁ、とってもお似合いですよ瑠璃様!まさに湖畔の妖精いや聖母の様ですよ!…写真いいですか?」
ルナはニタニタと笑いカメラを取り出す。それを瑠璃が拳で打ち壊す。


「フッ、こいつが無けりゃ死んでたな……ってこれ結構高かったんですよ…もぉ…。」
ルナは悲しげにカメラだった物を拾い上げる。

様無いと瑠璃はジトりとルナを睨む。
「……はぁ。でも、これで中に入れるんでしょ?」
瑠璃は普段の服と違く違和感があるのかスカートの裾を不思議そうにひらひらさせながらいう。


すると、壊れたカメラを悲しそうに眺めて座っていたルナはスクりと立ち上がり砂埃を払いながら。
「はいッ!もう下調べ、城内構造は把握してますのでいつでも!あっ…ちょうどお時間の様ですね。それでは行きましょうか瑠璃お嬢様、いえ瑠璃さん!」

(この短い期間とゆうか昨日と今日で良く…まぁすぐ調子に乗るから何も言わないけど。)
「……うん、行こうルナ。」
少し笑みを浮かべながら頷く。


ルナの後ろにかけて行く。
しかし、城をぐるりと一周してまた元居た場所に戻ってきてしまった。
「……ルナ。ここ…さっき来た。大丈夫?」
瑠璃があからさまに不機嫌。あっ目が笑ってない。表情の元話すと。


ルナがギクりと肩を揺らしながら恐る恐ると振り返りながら。
「……城の裏口に集合との事だったのですが…裏ってさてはて何処なんでしょうかね。 はは……」あからさまに冷汗を垂らしながらルナが呟くようにいう。


まぁ瑠璃の正拳突きが炸裂したのは皆まで言うまい。
ただ、結局今居る場所が集合場所だったようで結果はオーライであった。ただ一人の犠牲を除いて。


その後は、何組かの私達の様な格好の男女が集まり時間がきて城から配給係をまとめる長のような人が一頻りの仕事内容などを説明した後に城内へと招きいれて会場準備の作業が開始された。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■

会場の準備が完了し、程なくして貴族の来城が始まった。私達は、其れを二列になり迎える。


皆、色とりどり、豪華豪快といった衣裳に身を包みそしてギラギラと宝石をあしらったであろう仮面をみな付けている。さながらサーカスのパレードのようだ。


当然来場料があるのだがなんと山一つ買える金額だとか。皆阿呆なのでは無いのだろうかと考えていると、ルナが肘でちょいちょいと私の脇腹を突ついてきた。ルナの脇腹に私がジャブを放つ。
「へぶッ……ちょ、ちょっと瑠璃さん… えッ!? えぇ…何故殴るんですか? 酷い。」
ルナが脇腹を痛そうに腰を曲げ摩る。


「…ちょっと虫ケラが集ってきたから……何?」
瑠璃が怪訝そうに答える。


「いや、虫ケラって…瑠璃さま……まぁいいです。其れより瑠璃さんあれ あれ。」
ルナは悲しげに呟き すぐに切り替えてちょいちょいと指を指す。

すると、貴族が来場するのをしげしげと上段から和かに笑みを浮かべながら手を振る片眼鏡に銀髪を上で束ね、上物の淡い色合いの緑のタキシードに身を包んだ優男の姿があった。


ーー 一瞬。ザワりと瑠璃が殺気立ち構えようとしたのをルナが制す。
「……お嬢様 ここは少し人の目が過ぎます。必ず機会があると思いますので一旦ここは様子見と致しましょう。」
ボソりと耳打ちをする。

すると、瑠璃は殺気を抑え、俯き自分の片腕をぎゅッと握る。


ルナは視点を再びガウス公に移す。
すると、此方を見ている。
(…気どられたか!)
しかし、ガウス公は此方にも貴族達に向けていた様に和かに笑い此方にへと手を振ってきた。


それを苦笑いをしながら一礼で返す。ガウス公は満足して二三回頷くと再び向き直り貴族達に手を振り始めた。

(ふぅ……セーフ 完璧ばれたかと思った…危ない危ない…もぅ瑠璃さまったら目的の事となると見境無くなっちゃうんだから。)

瑠璃の方を見るとまだ俯き不機嫌そうだ。
「瑠璃さん ほら元気出して! いい子いい子ぉ!」
ルナが不意に瑠璃の頭を馬鹿な事を言いながら撫でる。


まぁ瑠璃の膝蹴りがルナの腹に食い込んだのは言うまでも無い。


ーーー ガウスの後ろにゆらり又ゆらりと影が蠢く。
ガウスは穏やかな笑みを浮かべながら振り返らずに。
「……どうやらお客様がいらっしゃった様ですねぇ。…宴の準備恙無く始めて下さい大切なお客様ですからねぇ。」
影へと命を下す。

すると、肯定と蠢くと、ゆらりと影は闇へと消えて行った。


ガウスは少し俯くと片眼鏡を正すと。
「…さぁさぁさぁ、楽しい楽しい宴が始まりますねぇ心踊りますねぇ嬉しいですねぇ血が湧きますねぇ。
死の舞踏が、ね。 ふッ ふふふ……。」
ガウスは口端を吊り上げて静かにただ静かに嗤う。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■

会場。パーティー状況は派手やかなものだ。仮面を付けながら派手派手な衣装に身を包み 貴族特有の高笑いや酔って騒ぐ声パーティーの為だけに招かれた楽器隊の音楽が響く。


音楽が変わったどうやらダンスの時間の様だ。
色とりどりのドレスがくるくると回る様子はなかなかと壮観で煌びやかなものだ。
昔、村での私の7歳の誕生日パーティーの時に見せてもらった父と母のダンスを思い出す。楽しげな顔の母に真剣な顔で不器用な父ながら一生懸命にリードする様に笑ったものだ。今となってはひどく遠い過去のようだ…

私がぼぉーとダンスを眺めていると、突如会場全体の照明が落ちる。

突然の出来事に会場は騒然とし、訳も分からず走る者 怯え座り込む者 剰え叫ぶ者。

瑠璃は冷静に状況を判断し自分の従者であるルナに声をかける。

「……ルナ 居る?」
先ほどまで後ろに居たのだがどこへ行ったやらルナの姿は無い…いやご馳走のテーブルの前に居た。


「美味しい!…これも、こっちもやっぱりパーティーのご飯ってまた違った美味しさがありますよね うん うん」
阿保な事を言いながら暗闇に紛れて会場料理を貪っていた。

「むぐっ…もぐもぐ はっ、父さん妖気を感じるよッ! へぶッシュ…」
瑠璃のシャイニングウィザードがルナの後頭部に炸裂しルナは盛大に特大りんごパイに顔を突っ込んだ。

「……最早呆れ過ぎて言うことないよ。馬鹿ルナ…」
瑠璃は深い深いため息を一つついた。


すると、不意に辺りの騒音が鳴り止み静寂となる。

「瑠璃様 こ、これは…」
ルナが顔にへばりついたパイを払い除け真剣な顔付きとなり辺りを警戒し身構える。


「……えぇ、これは完璧に嵌められたみたいね。 すっかり囲まれちゃてるわ。」
瑠璃も身構える。

すると、不意に 二人にスポットライトが灯る。
「レディイィイス&ジェントルマン!! お初にお目に掛かりますぅ ~!!『魔槍』様!! 私が この城の城主にして 舞踏会の開催者にして 八魔柱が一人『魔影』 シェイド=ティルト=ガウスと申します。以後お見知りを とまぁまぁまぁ前置きはこれ位でよろしくいでしょう!!まぁまぁまぁ…貴女方を帰すわけには参りませんがねぇい…クッハハハ。」
片眼鏡の優男城主 ガウスが 顔に手を当てながら静かに笑う。

「……すっかり バレてたって事ね 何時からかしらね?」瑠璃が笑みを浮かべガウスへと語りかける。

「ふぅむ ……何時から……ですか クッフフ まぁまぁまぁ、いいでしょう。 教えてあげますよ 冥土の土産としてねぇ 私の部隊 『鴉』の 事は知っていますよねぇ? そちらの従者さんが色々聞いて回ってた様で フフフ… 」
あからさまに小馬鹿にしたようにガウスが言う。

瑠璃は一瞬 お前かとルナを睨む。
ルナは しょうがないでしょうが という顔をしてジェスチャーしてる。

「フフフ… そちらの従者さんは漏洩しない様にまぁまぁまぁ良くやっていたと思いますよ。 」
薄く笑いガウスが相槌。

ルナがほらぁ みたいな顔をしたので頭を小突く。

「しかし、相手が悪かったですねぇ 私の部隊『鴉』は唯の部隊では無いんですよ クフフ 全ての影が私の支配下にあり 影こそが私の部隊なのですよ 幾ら情報を操作したとて影が無い場所などはこの都市に何処にもないんですからねぇクハハハ さぁさぁさぁ そろそろショータイムと 参りましょうかねぇ さぁさぁさぁ私の為に踊り狂って下さいませ!!……クッ、クハハハ!!」顔を片手で隠し 指を鳴らす。 更にスポットライトが灯る。

すると、先ほどまで煌びやかな舞踏会とは一転し ドレスと仮面で着飾っていた貴族達は 黒くドロドロとした人型の 異形と化していた。

「 瑠璃様 これは!? 」
ルナが怪訝な表情を浮かべ 身構える。

「…えぇ 間違いなく 奴の『神臓』の 能力でしょう。 正気は一人も感じないわ みんな喰われたみたいね。あれに」
周りを警戒し再び身構える。


「 さぁ さぁ さぁ私を愉しませて下さいね クハハ そうそうそう私の 『影種シェイドシェル』には物理は余り効果ありませんので 何せ死体ですからねぇ 精々頑張って 楽しい愉しい舞踏を頼みますよ クフフ」
ワインを片手に椅子に腰掛けながら頬杖をつきながら語りかける。

「さて 瑠璃様 どういたしましょうかね? 正直かなりしんどい状況ですが。」
ルナがぽりぽりと頬を掻きながら言う。

「…ルナ、それ聞く必要がある?」
瑠璃が冷たく周りの異形を睨む。

「 いやはや 愚問でしたね それでは瑠奈様。 僕が 道を開きますで宜しくです。」
そういい瑠璃へとビシッと敬礼すると

「我、求めたるは災禍にして傲慢たる深淵なる瞳、見敵たる者を撃ち抜け。銃魔レンズ。」
一丁の闇を切り取ったかのような黒き小銃がルナの胸元から淡く光り抜き出る。

不意に
銃身の中心にある瞳が見開かれる。
「おい!……おい!!おい!!ひっさびさの飯かと思ったらとんだゲテモンだらけじゃねぇか!ルーナどうゆうこった?あ゛ぁあ?」
銃身がカタカタと震え 怒りに瞳が歪む。

「うるさいっすよ!レンズ! 起きたからには仕事するっす!見敵必殺っす! デストロイっす!」
ルナは銃身を 喧しそうにパシパシ叩く。

「けっ、しまらねぇなー。まぁ俺様にかかればあんな案山子共何か 泥人形とさして変わらなく 蓮根みてぇにしてやるよギャハハハ! 対価出せ!ほら!早く!」
レンズは瞳を見開き声を荒らげる。

「現金なやつっすねー。 まぁしがないっす。《我が血肉を対価に、我命ずる、その瞳に映る全てを喰らい穿て!銃魔レンズ》」
ルナはナイフで指先を切り レンズの瞳に 血を垂らす。

「かぁー 上手ぇー ひっさびさ過ぎて 銃身が錆び付いちまうかと 思ったが さっすが 俺様! 完・全・復・活! だが 足りねぇなぁー どうだ?片腕くらいならいいだろ?喰わせろよ。」
レンズは瞳を爛々と輝かせる。

「バカ言ってないでちゃんと働くっす! でないと スクラップにするっすからね!」
ルナは銃身をガシガシと殴る。

「へいへい 銃使いが荒いこってさぁて 錆び落としを始めるとすっかな 対価は お前らの 魂かねぇ……ふぅん 懐かしい匂いだな ギャハハハ。」
《転換=乱銃の使徒バルカニアス》とルナが呟くと小銃は淡く光りぐにゃぐにゃと型を 変えて 一丁のガトリングへと換装する。

「あんまり近づくと 火傷するっすよ って最早生きてないでしたっけ? まぁ いいです 消し炭になって下さいね♪」
ルナはにんまりと笑いズガガガガッと いう凄まじい音を響かせながら撃鉄が鳴り響き次々と 異形の影をなぎ倒していく。倒れた異形はぐちゃぐちゃと床に飛び散る。


「瑠璃様何だか 拍子抜けなぐらいに なぎ倒せるんですが どうしましょうかね ちょっと何か可哀想になってきました。」
ルナは困り顔をし 瑠璃へと顔だけ振り返る。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■

瑠璃は怪訝そうに今ある状況を見つめ整理する。
(奴が 自信満々で 宣言した割には呆気なさすぎる。 魔弾の想定はしてなかったってことなのかはたまた隠し球がまだあるか……ううん なんにせよ今は好機、打って出る!)
《転換=魔槍クラウンエッジ》
瑠璃は己が胸に手をかざすと光 輝き柄が顕現れる。
瑠璃はそれを一気にぞるりと抜ぬく異形の紅黒い尖端が王冠の様になった筒状の槍 刀身には幾つも穴が空いており瘴気でも湧きそうなオーラを醸し出している。それと同時に瑠璃の纏う雰囲気も変わる瞳は狂喜に満ち 口は三日月を細めた様に口角が釣り上がる。

「ルナお兄ちゃん、ここは任せるねっ♪ 私はあの眼鏡のおじさんと遊んで来るから お願いねぇ♪」
狂喜に満ちた 瞳で首を傾げながらケラケラと笑い言う。

「瑠璃様 おっけぃでーす。 行ってらっしゃいませ。でも早く帰ってきてくださいねー もうお腹減って来ちゃいましたー。」
ガトリングを乱射しながらほのぼのと語る。

「もぅ ルナお兄ちゃんは食いしん坊さんだなぁ。わかった♪ 早く終わらしてご飯にしようね♪」
自分の身の丈以上の槍を 頭の上でブンブンと 振り回し 語る。

「じゃあ、行ってきまぁーす♪」
か細い躰の何処にその様な力があるのか 瑠璃は槍を構えたまま弾丸の如く ガウスが居る迎賓席へと跳躍する。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■

瑠璃が無事行くとルナは向き直り
「さて、可愛い女の子が相手じゃなくて ごめんだけど そろそろ 僕も飽きてきたから 終わらせて貰おうかな。」
語りながらもガトリングでの殲滅は絶えない。


(しっかし、正直ジリ貧だなぁ。数が全く減らないとゆうか 増えてる様な あれかな霧散していく度に分裂するって奴かな? うわーだるーかなり怠い。瑠璃様代わって下さーい。)
ルナは静かに模索し ガシガシと頭を掻きながら気怠そうに呟く。

「とわ言ったものの この場は任されたので一応少しは頑張りますか!  後で瑠璃様 にお腹いっぱいにご飯を貰うために!不肖ルナ身をこにして頑張りやすよー!」
気怠い瞳に まだ見ぬ食への想いを馳せ 銃身に力を込める。

一方、瑠璃は迎賓席へと躍り出た。
「とぉー♪おーじさん 遊びましょー?何して遊びたい? 瑠璃はねー鬼ごっこがいいなー私が鬼でおじさんが逃げるのー!どう?おもしろそうでしょ?」
迎賓席の縁でくるくると廻りながら ケタケタと 槍を肩に担いで訊ねる。

「ほぉほぉほぉ……鬼ごっこですか! それはそれはそれは 私の得意な事としている事の一つですねぇ……如何なる賞金稼ぎ、とある国の騎士団でも私 シェイド=ティルト=ガウスを捕まえる事は出来ませんでしたからねぇ!まぁまぁまぁ結局は私の影に鬼たちは喰われてしまいましたがねぇクッ、ハッハハ!」
ガウスは悠然と椅子へと座り脚を組み ワインを煽り 瑠璃を見据え薄ら笑いを浮かべる。


次の瞬間に瑠璃の姿が消えたかと思うと 一瞬の内にガウスを間合いへと捉え 穿つ。
「おじさん ごめんね!瑠璃難しい事良くわからない から とりあえずきれーな お花咲かせてよ♪」
瑠璃の渾身の一撃にて迎賓席が粉砕し砂煙をあげる。

「いえいえいえ これはこれはこれは失礼をば。紳士足るもの淑女をお待たせしたとは末代までの恥になりますのでお気になさらず!いやいやいや なかなかなかの一撃でございますねぇ……当たればさぞやさぞやさぞや 痛いのでしょうねぇ! クフフッ……」
瑠璃が先ほどまで立っていた迎賓席の縁へと凭れ掛かりワインをグラスへと 注ぎながら グラスで瑠璃をのぞき込む。

瑠璃は頭上にてブンブンと 槍を廻しながら 正眼に構え直し。
「あっれー? おじさんいつの間にそっちにー?手品?すっごいねー!」
鋭い突きを放つ。

すると、ガウスを貫くはずがぐにゃりとガウスは闇へと溶け込む様に影へと戻ると 別の縁へと姿を現す。


「まぁまぁまぁ、先ほど申した様に私逃げる事に関しましては私得意中の得意で御座いますのでねぇ!後は後は後は 段々と疲れて弱った所をじゅわじゅわじゅわ甚振るのが恐悦至極 楽しんでございますよぉ クッフフ」
縁へと腰掛けて片眼鏡をつり上げ目を細め三日月の様に口を歪める。

「この前来た女暗殺者は傑作でしたねぇ……嫌だ、止めてと私の影に足先からガブガブガブと喰われる様は思わず……おっとおっとおっと 淑女の前でしたねぇ 失礼しました。」
狂気の笑みを浮かべ 下部を抑える仕草をし戯る。

「おじさんは変態さんなのぉ?
まぁ別にいいけどルナとご飯のやくそくしたから早く終わらしたいからーおじさんとりあえず 死んでッ!?」
低い姿勢から跳ね馬の様に爆ぜ鋭く穿つ。


然し またもやするりとガウスの身体をすり抜ける。
「ですからですからですから 先ほど申した様に私にはその様な攻撃など微塵も効かぬのですよねぇ!」
ガウスの身体の一部の影から 獣の様な黒き太い腕が 瑠璃へと襲いかかる。

それを
寸でのところで躱しバックステップにて距離を取る。
「ふぅーん おじさんも 身体の中に『いる』んだねー瑠璃やルナと一緒だねー♪」
槍を肩に担ぎ興味津々に目を輝かす。

「ほぉほぉほぉ やはりやはりやはり 貴女も『魔臓』持ちなのですねぇ ……良いでしょう良いでしょう 良いでしょうッ!
私の相方をご紹介致しましょう!

ガウスの足元からズブズブと影が迫り出す
『現れなさい根源たる闇の獣魔にして深き災禍の化身よ さぁさぁさぁさぁッ!魂さえ残さず貪りなさい!影獣王アシッドヘクター!』どうです これが貴女が見る最後の光景ですよねぇ!さぁさぁさぁ祈りなさい懺悔なさい後悔なさいこの美しき獣に蹂躙される様に 歓喜なさいッ!」
ズブズブと影より現れた翼が朽ちた様に身体の周りには人の顔の様な物が浮かんでは消える半ばゲル状なドラゴンはその六つの赤き双眸で己が獲物を見据え咆哮る。

「へえーなかなかおっきいドラゴンさんだねー♪でも ズルズルしててヌメヌメしてて何だかおじさんみたいにきもーいね☆」
瑠璃は
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