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第1章 『魔将』
しおりを挟む見渡す限りの荒野。
其処に、小さな村を背に少女が一人。
見据えるは、荒野を埋め尽くさんとばかりの魔族の群れ。
此れは、八魔柱が一人『魔将』グレゴリア率いる魔軍である。その数一万と五千。その隊列、進行から歴戦の風格が感じられる。
「お忙しい所失礼致します。グレゴリア様 ご報告が御座います。」
先鋒に布陣していた魔族からの魔力による念話。
「何だ…余は今忙しいのだ先程植民地にした村から攫ってきた女が上玉でな グフフ…」牛の様な角に身の丈二十メートルの巨躯の魔人は下品に嗤いながら答えた。
「我らの次の進行方向の村の前に少女が一人立ちはだかっているのですが。どう致しましょうか閣下?」
魔族は薄ら笑いを浮かべながら報告する。
「ふむ。村の貢ぎ物か…まぁ少女一人で我が軍の進行は止まらんがな…ガッハハ。まぁそんな事はどうでも良い。して、容姿は?」
「なかなかの上玉ですよ。閣下も満足して頂けるでしょう ククッ…」
魔族は下品に嗤う。
「よかろう。先鋒隊には褒美をやろう。
余が遊んだ後は、お主らに血肉を存分に振る舞ってやる ガッハハ…」
グレゴリアは豪快に嗤った。
「クヒヒ… 有り難き幸せ。必ずや迅速にお運び致しますので暫しお待ちくださいませ閣下。」
魔族達は喜びに声をあげた。
「念話はこのまま繋いでおけ。少女の恐怖に泣き叫ぶ声は甘美なるものだからなぁ…グハハッ…」
グレゴリアの声かけに肯定し、魔族が進行していく。
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グレゴリアからの指令により進軍を開始した魔軍は間も無くして村の前、つまりは少女の元へと集結した。少女は俯いたまま動かずにいる。
先方隊の魔族の一匹が少女に下卑た笑みを浮かべながら近づく。
「おい、嬢ちゃんこんな所でどうしたんだい?お母さんとはぐれたのならおじさんが手を繋いで一緒に探してやろうかい?…クヒヒッ」
「…れ…の う…し…ぁ………」
少女は俯きながら何かを言っている。
先ほどの魔族が
「んっ? 今何て 言った?おじさんにちゃんと聞かせておくれ。 ククッ…」
少女に近付き耳打ちをする様に戯けて聞く耳をたてた。
ザグシュッ
魔族の胸を異形の槍が貫く。
「ぐ、グブァッ…ぁあ”ぁあ……」
魔族は短く呻き事切れた。
少女はゆっくりと顔をあげ。
「おじさん達 …瑠璃と遊んでくれるの? うれしいな うれしいなぁ…何して遊ぶ?鬼ごっこがいいなぁ♪。」
其処には身の丈の二倍ほどの槍を振るい楽し気にし狂気の笑みを浮かべゆらりと佇んでいる。
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グレゴリア居室。
先ほどまで連絡をとっていた魔族からの念話が断末魔と共に途切れてから小一時間が経とうとしている。
「早くだ、早く俺に鎧を着せろ。くそっ一体何が起きていると言うのだ。」グレゴリアは奴隷達を怒鳴り散らしながら鎧を着させ出陣の準備をしている。
グレゴリアは、固唾を呑み表へと出る。
「なッ……何、だと……。」
グレゴリアの眼下にはかつて豪傑を誇り魔界随一の自分の軍隊の姿は無く、唯々無惨に穿かれた魔族の死骸が積み重なるばかりであった。
「ばっ、馬鹿なッ?!我が軍は一万と五千にして魔界の精鋭中の精鋭のそれを…一体何者が……。」
グレゴリアは目の前の状況が信じれずただ絶望した呟き焦燥する。
しかし、それと同時に激しい怒りも感じた。この状況を創り出した原因 権化を探した、それは魔族が積み重なり山の様になった上で楽し気に笑みを浮かべながら身の丈大の異形の槍を背負いしゃがみ込みながら此方を唯眺めていた。
少女は欠伸をしながら。
「ふぁあ…なんだぁみんな瑠璃にすぐ捕まっちゃって 弱いの、つまらないのッ!!……ねぇ…おじさんならもっと瑠璃と遊んで…くれるぅ?」
瑠璃と名乗る少女は首を傾げながら狂気の笑みをしグレゴリアを見つめる。
グレゴリアは『魔将』の二つ名を有し八魔柱随一の戦術・兵法に長けて他の魔族に恥じぬ強さを持っている強者である。だが、しかしグレゴリアは恐怖した。
身動ぎ一つ出来ずに、汗が額から頬へと伝う時間が長く永遠にも感じられる。しかし、『魔将』は伊達や酔狂で成れるものでは無い。
グレゴリアは頭口を切る。
「貴様…貴様は、何者だ。余は、八魔柱が一人『魔将』グレゴリア=ゼガ=ファング 貴様が沈めた軍の指揮官だ…何が狙いだ?」
グレゴリアは剣を抜き構え己が敵を見据えた。
すると、少女は俯き、先ほどの狂気染みた笑みから冷徹なまでの眼差しと殺意を露わにし口を開いた。
「……用など無い。ただ…死んでくれればいい。あの男、『魔王』の居場所を吐いて…ねッ!」
少女はそう告げると獣のごとく駆けグレゴリアとの間合いを一気に詰め、貫いた。
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しかし、それを寸手で剣で受け止める。
「くッ…な…何だと『魔王』…だとッ!?……貴様、まさか『魔槍」か?』
グレゴリアは膂力にて異形の槍を押し返し再び構え直した。
魔界では、ここ最近魔族が殺される事件が多発していたそれも、心臓を抉り出されるとゆう見るも無惨に。しかし、偶然にも襲われた者と念話していた者がこう言った。あれは魔神の化身 少女の姿をした魔神 魔槍を携え死を纏う者 『魔王』 仇を討つまで殺戮は続く…そう言い残し男は自害したそうだ。
「えへへ♪…おじさん、今さらぁ?
気づくのが遅いんじゃない?大事なみんな[軍隊]も失って今さら何を指揮するって言うの『魔将』のおじさん♪…?」
少女はグレゴリアを煽るように狂気染みた笑みを浮かべ告げる。
「くッ…小娘がッ…調子に乗りおってからに…いいだろう。貴様が『魔槍』と知ったのなら全力で行かせて貰う迄ッ!集え我が軍よッ!」
グレゴリアは憤怒し己の殺気を全力にし剣を天へと掲げ弧を描く。
すると、少女によって屠られた魔族の死骸が動き出し宙を舞いグレゴリアの頭上へと集いグレゴリアを呑み込む。
「フハハッ…小娘よ。恐怖し泣き叫ぶがいいッ… 我命ずる、汝らと一つに成りて我が怨敵を討つ刃と為れ 魔合身『魔将デュラハリオン』」
黒き体毛紅い瞳をした巨馬に跨り首が無く禍々しい黒い鎧を纏い剣携えた『魔将』が顕現した。
それはグレゴリアの声であって違う者幾重にも成る怨嗟の様な声。
「ぐッ…グハハハッ…もう止めらんぞ。殺す、必ず殺す 肉片に成るまで殺す… グッ、グハハハ!!」
告げると、『魔将』は駆ける己が敵を殲滅が為に。
『魔将』が一振りが少女を薙ぐ。
一振り一振りが凶刃となり大地を蹂躙する。
しかし、それをふわりと少女は躱し剣の上へと降り立つ。
『魔将』は怪訝そうに剣を振るい少女は笑いそれを躱し地に降り立つ。
「グハハハッ…どうした?逃げてるばかりでは余は殺せぬぞ。どうだッ!どうしたッ!」
『魔将』が剣を振るい、少女が寸前 紙一重で躱す。凶刃により地形が変わりゆく。少女は徐に槍を地へと突き立てた。
しかし、後ろは崖になり少女の逃げ道は無くなっていた。
「グハハハ…これで終いだな『魔槍』。頼みの綱の槍も あの様な場に突き立て置き一度も相対せずに終わりだとは興醒めだが此処で貴様を殺してやろう 貴様は余を怒らせた 報いだと知れ!」
『魔将』は黒馬の駆ける勢いで斬りかかる。
が、次の瞬間『魔将』がぐらりと体制を崩した。黒馬が大地の割れ目に足を取られたのだ。
「なッ……何だと…ぐおッ
こ、こんな事が…貴様何をした?!」落馬した『魔将』は体制を立て直し構える。
「何って…瑠璃はなにもしてないよ? おじさんが勝手に掘って勝手に転んだんじゃん♪ おマヌケさんだね♪」
少女が手を叩き嘲り笑う。
「くッ…笑止!。されど戦況は変わらぬお前に逃げ場など無いおとなしく死ねッ!。」
『魔将』は剣を構え駆ける。
「それは、違うよおじさん♪逃げれないのは…おじさん貴方だよッ!!」
少女は地へと拳を叩き込むと突き立てた槍が発光を始める。すると亀裂が広がり『魔将』の後ろの大地が崩れ落ち離れ小島の様になった。
「なッ!?…何だと これは一体…き、貴様一体何をしたぁッ?!」
『魔将』の怒号が響く。
「簡単な事だよ♪ さっき地面に突き刺して置いたるりの魔槍で地面をちょっと刺激しただけ♪ここって土壌が脆いんだよねぇ♪それでぇ あっとゆう間におじさんと瑠璃の遊び場の完成だよ♪」
少女はにこにこと笑ながら歩み寄る。
『魔将』軍技に長け兵法、戦法に長けている自分がこの様な少女の罠にハマりあまつさえ遊びとゆう言葉を発するこの少女に恐怖し戦慄した。脚が一歩たりとも動かず汗が止まらない。
「おじさんとは何して遊ぼっかなぁ♪ あっ、そうだ瑠璃が一番好きなやつやろうよ 色鬼♪ じゃあ瑠璃が鬼ね! いろいーろ なぁに色ッ!」
声と共に少女が消える。
「なッ…何処に?や、やつは何処に…んっ?」
不意に耳元で何かが聴こえた。
「……瑠璃色。」
そう冷たくまるで心まで凍りついてしまうような声が。
ふと自分の胸元をみるとぽっかりと鎧ごと心臓の部分に穴が空いていた。
「ひッ…ギャギアァ!…何だ、何だこれはぁあッ?!…余の心臓、心臓が無いいぃ…ヒィい……」
グレゴリアは怯えただ自分の大事な物を探した。
其れは、少し離れた少女の手の内に脈動していた。グレゴリアは不様に地を這う芋虫のごとく自分の大事な物を見つけた喜びの表情をしながら這いずっていく。
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後、少し後少しで自分の大切な物が手に入るグレゴリアは手を伸ばした。しかし、少女はそれをひらりと躱す。
不様に地を這い蹲りながらグレゴリアは
「返せ…余の 心臓を返せぇえ!何だ何が望みだ?金か?名声か?それとも…。」命乞いをしようとしたグレゴリアの言葉を遮る様に
瑠璃は、静かに心臓に力を加える。
すると、グレゴリアが苦しみ藻掻く。
「……それ以上余計な事を口にしたら潰す。…私の質問に大人しく答えろ『魔将』。」
先ほど間での幼さは消え失せ瑠璃は冷たく言い放つ。
グレゴリアはもがき苦しみながら頷いた。
「……貴様の知ってる限りの『魔王』の情報を言え。」
グレゴリアは黙し頷き話した。
「魔王は最近第替わりした。そんなに余は面識は無い。ただ聞いた話では、やつは元は『魔剣』と名乗っていたとゆう。前魔王とは互角に渡り合ったと…ぐッぐぉあぁ…」
瑠璃が拳に力を込める。
「…そんなことはいい。『魔王』……やつは何処に居る?」
冷たくさらに拳に力を加える。
グレゴリアはもがき苦しみ地を転げ回る。
拳の力を弱める。
「はッ…ぐっは……はっ。そ、それはわからん。余が久しく帰還した時はやつは居なかった行方なぞわからん。し、心臓を返せ早く。」
息も絶え絶えに答える。
「……どうやら本当に知らないみたいだな。其れではこれを返してやろう。」瑠璃は冷たく笑い手を広げ差し出した。
「あッ…余の心臓
余の……大事な心臓…。」
グレゴリアが受け取ろうと手を伸ばすが、しかし次の瞬間 瑠璃は狂気染みた笑みを浮かべ心臓を空へと放ると魔槍の筒へと収めカチりと閉め切る。
「なッ……余の…余の心臓…余の心臓がッ…ぐッ …ぐぁぁぁあ!」
グレゴリアは断末魔を上げ事切れたマリオネットのごとく地に伏した。
「魔臓封印。ふぅ…少しこってりしてるね…『魔将』ご馳走様でした。……また遊ぼうねおじさん♪。」
瑠璃はにこりと笑い無惨に手を伸ばしたまま地を掻くように事切れた『魔将』だった者に手を振り荒野へと消えていくのだった。
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