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魔人 ニケ編
出会いⅡ
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彼女は何て言った? 神様? いや、確かに、苗字は「神」だし、まぁ、読み方は「神」だけど、神様にするために? まるで意味が分からない。
「分かりやすく、動揺してますね~」
彼女はニヤニヤしている。また、心を読んだのかもしれない。
「いえ、表情に出てますよ~」
いや、心読んでるやん! と、心の中でツッコミを入れる。
「?」
なんで読んでないねん。……。とにかく落ち着こう。一旦、話を聞こう。深呼吸だ。
「ふぅ。で、とりあえず、分かりやすく、説明してくれないかな? まずは……そう! 君の名前とか!」
情報を集めて、そこから考えよう。人間、思いもしないことに遭遇すると、こうも動揺するらしい。彼女に対してのイライラもなくなり、ようやく冷静さを取り戻した。
「私の名前は、ニケ!」
よくぞ聞いてくれたとばかりに、ニヤニヤしている。ニケがそう言うと、机の上の魔法のランプが光り始めた。ランプの側面にニケが手を添える。なにかを始めるらしい。
「私たちは、現在の神様である神島さんに仕える者」
ランプの先から煙が出て、その煙がモニターのようになる。そこには、女性の膝の上で耳かきをされている金髪のおじさんが映し出されていた。それよりも、ニケの明らかに意識した少し高い声が気になる。
「これが神様?」
神様が世界に存在すること自体、まだ信じられないが、その神様とやらがこんなどこにでもいそうなおじさんだったとは思わなかった。もちろん、漫画などで神様とされるのは、いつもおじさんやおじいちゃんである。しかし……。
「あー、間違えた!! 見ないで!! えっと……あ、これこれ!」
ニケは焦りながら、魔法のランプの側面をこする。テレビのチャンネルのようなシステムなのだろうか。
モニターは再び煙となり、そして、モニターに戻る。映し出されていたのは、スーツに身を包んだ先ほどのおじさん。大きな花束を抱えて、両側にはキレイな女の人が立っている。後ろの横断幕には、「祝、神島さん、神様決定おめでとう」とある。
「この人が神様。そして、ニケたちの主。なぁ、ニケ?」
モニターの後ろにいるニケに話しかける。が、ニケは何やら小さな紙を持ってブツブツと呟いていた。
「なんで、私ってこんなにドジなんだろう。だから、神島さんにいつも怒られて。ダメダメ、反省は後! えっと、次は……」
なにやら説明の手順が書かれているようだ。こっちの声は届いていないらしい。
「ニケ!」
少し大きめの声を出すとようやく気づいてくれた。
「え、あっ、はい! き、聞いてるって!」
敬語とタメ口が入り交じり、ニケが俺にとっての何なのか分からなくなってきた。
「その、ニケの説明の話し方、なんとかならないか? 話しやすい感じでいいからさ」と優しく話しかける。
すると、慌てたように、
「いや、ダメダメ! だって、これ、私の初仕事だよ! どんだけ今までこの日を夢見たことか! 困惑する人間に、冷静に真実を話す、いやーかっこいい! 私、かっこいいよね!?」と目を輝かせながら話す。
……全身びしょびしょで泣きじゃくる姿を見られ、神様の恥ずかしい写真を見せ、この子は何を言っているのだろうか。
「……。お願い。全てを忘れて? やりなおしましょ?」
俺の心を読んだらしい。自らの失敗に対する自責の念と、羞恥の念に駆られて、涙をこらえている。
手を合わせて、目をうるうるさせながら、懇願するこんな姿を見たら、今までのことなんて全て水に……。
「ながせるかーーー!!!!」
あの熱血教授並みの声量で怒鳴った俺は、魔人と自称する女の子をまた泣かせた。
「落ち着いたか?」
ニケの背中をさすりながら言う。ニケはというと、目元は涙で濡れ、鼻はティッシュでかみ続けたせいで、真っ赤になっている。透き通るような真っ白な肌ゆえに赤くなった鼻が目立つ。
「今日はもう帰った方がいいんじゃないか?」
まだ分からないことだらけではあるが、日も暮れてきた。もしも、これがドッキリ、もしくは、自意識過剰にもほどがあるが、ニケは俺のことが好きな女の子であり、俺に近づくためにこんな設定を作ってきたとしたら……。まぁ、煙の件もあるから、普通の人間ではないのだろう。いや、もしかしたら、俺は夢を見ていて……。とにかく分からん。分からないことが多すぎる。
「ご、ゴメン。本当は、ちゃんと説明して、理解してもらうつもりだったのに」
そう言いながらも、ティッシュで鼻をかむのは止めない。
「うーん、まぁ、それはさ、今度、いや、明日、聞くし。とりあえず、帰ろう」
俺自身が一日大学で講義を受けて、疲れているのもあるが、女の子とこんなに近くで話したこと自体、久しぶりだったこともあり、いつにもまして疲労を感じる。
「な、自分のおうち帰ろうな? ね?」
小さな女の子をなだめるように言う。すると、
「……――ます」
小さな声で何を言ったのか聞こえなかったが、何となく分かった気がした。が、念の為、もう一度聞き直す。
ニケは、こちらを振り返り、今度ははっきりと聞こえるようにこう言い放った。
「私、ここに住みますから!」
こうして、何がなんだか分からないまま、魔人との共同生活が始まった。
「分かりやすく、動揺してますね~」
彼女はニヤニヤしている。また、心を読んだのかもしれない。
「いえ、表情に出てますよ~」
いや、心読んでるやん! と、心の中でツッコミを入れる。
「?」
なんで読んでないねん。……。とにかく落ち着こう。一旦、話を聞こう。深呼吸だ。
「ふぅ。で、とりあえず、分かりやすく、説明してくれないかな? まずは……そう! 君の名前とか!」
情報を集めて、そこから考えよう。人間、思いもしないことに遭遇すると、こうも動揺するらしい。彼女に対してのイライラもなくなり、ようやく冷静さを取り戻した。
「私の名前は、ニケ!」
よくぞ聞いてくれたとばかりに、ニヤニヤしている。ニケがそう言うと、机の上の魔法のランプが光り始めた。ランプの側面にニケが手を添える。なにかを始めるらしい。
「私たちは、現在の神様である神島さんに仕える者」
ランプの先から煙が出て、その煙がモニターのようになる。そこには、女性の膝の上で耳かきをされている金髪のおじさんが映し出されていた。それよりも、ニケの明らかに意識した少し高い声が気になる。
「これが神様?」
神様が世界に存在すること自体、まだ信じられないが、その神様とやらがこんなどこにでもいそうなおじさんだったとは思わなかった。もちろん、漫画などで神様とされるのは、いつもおじさんやおじいちゃんである。しかし……。
「あー、間違えた!! 見ないで!! えっと……あ、これこれ!」
ニケは焦りながら、魔法のランプの側面をこする。テレビのチャンネルのようなシステムなのだろうか。
モニターは再び煙となり、そして、モニターに戻る。映し出されていたのは、スーツに身を包んだ先ほどのおじさん。大きな花束を抱えて、両側にはキレイな女の人が立っている。後ろの横断幕には、「祝、神島さん、神様決定おめでとう」とある。
「この人が神様。そして、ニケたちの主。なぁ、ニケ?」
モニターの後ろにいるニケに話しかける。が、ニケは何やら小さな紙を持ってブツブツと呟いていた。
「なんで、私ってこんなにドジなんだろう。だから、神島さんにいつも怒られて。ダメダメ、反省は後! えっと、次は……」
なにやら説明の手順が書かれているようだ。こっちの声は届いていないらしい。
「ニケ!」
少し大きめの声を出すとようやく気づいてくれた。
「え、あっ、はい! き、聞いてるって!」
敬語とタメ口が入り交じり、ニケが俺にとっての何なのか分からなくなってきた。
「その、ニケの説明の話し方、なんとかならないか? 話しやすい感じでいいからさ」と優しく話しかける。
すると、慌てたように、
「いや、ダメダメ! だって、これ、私の初仕事だよ! どんだけ今までこの日を夢見たことか! 困惑する人間に、冷静に真実を話す、いやーかっこいい! 私、かっこいいよね!?」と目を輝かせながら話す。
……全身びしょびしょで泣きじゃくる姿を見られ、神様の恥ずかしい写真を見せ、この子は何を言っているのだろうか。
「……。お願い。全てを忘れて? やりなおしましょ?」
俺の心を読んだらしい。自らの失敗に対する自責の念と、羞恥の念に駆られて、涙をこらえている。
手を合わせて、目をうるうるさせながら、懇願するこんな姿を見たら、今までのことなんて全て水に……。
「ながせるかーーー!!!!」
あの熱血教授並みの声量で怒鳴った俺は、魔人と自称する女の子をまた泣かせた。
「落ち着いたか?」
ニケの背中をさすりながら言う。ニケはというと、目元は涙で濡れ、鼻はティッシュでかみ続けたせいで、真っ赤になっている。透き通るような真っ白な肌ゆえに赤くなった鼻が目立つ。
「今日はもう帰った方がいいんじゃないか?」
まだ分からないことだらけではあるが、日も暮れてきた。もしも、これがドッキリ、もしくは、自意識過剰にもほどがあるが、ニケは俺のことが好きな女の子であり、俺に近づくためにこんな設定を作ってきたとしたら……。まぁ、煙の件もあるから、普通の人間ではないのだろう。いや、もしかしたら、俺は夢を見ていて……。とにかく分からん。分からないことが多すぎる。
「ご、ゴメン。本当は、ちゃんと説明して、理解してもらうつもりだったのに」
そう言いながらも、ティッシュで鼻をかむのは止めない。
「うーん、まぁ、それはさ、今度、いや、明日、聞くし。とりあえず、帰ろう」
俺自身が一日大学で講義を受けて、疲れているのもあるが、女の子とこんなに近くで話したこと自体、久しぶりだったこともあり、いつにもまして疲労を感じる。
「な、自分のおうち帰ろうな? ね?」
小さな女の子をなだめるように言う。すると、
「……――ます」
小さな声で何を言ったのか聞こえなかったが、何となく分かった気がした。が、念の為、もう一度聞き直す。
ニケは、こちらを振り返り、今度ははっきりと聞こえるようにこう言い放った。
「私、ここに住みますから!」
こうして、何がなんだか分からないまま、魔人との共同生活が始まった。
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