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魔人 ニケ編
神島とニケⅢ
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神選別委員会、通称『神選』。世界をよりよくするために、常日頃、話し合っているらしい。実態は、不明。私たちが知っているのは、『神選』が権威譲渡会を主催しているということだけ。
権威譲渡会に出席出来るのは、神選の役員と、神様、そして、次の神様だけ。どうやって、次の神を選ぶのかなんて、魔人の私たちは知る由もない。
私たちが、新しい神様と対面するのは、権威譲渡会の後の就任式。初めて神島さんを見た時、にこやかな感じで、これから先も大丈夫かなと少しホッとしたのを覚えている。
私は、『元』神様の姿を探した。でも、そこに姿はなかった。
就任の挨拶で神島さんは、「『元』神様を追放した」ということを笑顔で言い放った。その後も挨拶は続けられていたんだけど、私は怒りを堪えるので必死で何も聞こえなかった。
就任式の後、神島さんに抗議しにいった。神様を支える魔人という立場でありながら、逆らってきた私に神島さんは怒りを覚えたようで、それから私に対する態度は他の魔人とは異なるものになっていった。
結局、『元』神様がどこにいったのかは分からないままで、私は、『また』独りぼっちになった。
「……。あ……」
なんで昔のことなんか……。目が覚めると、白い天井が見えた。医務室のベッドの上だ。そうか、私、神島さんに蹴られて……。体を起こそうとする。
「い、痛っ……」
体を起こすので必死だ。よく見ないと分からないくらいの痣が残っているものの、治療はされているようだ。
手元には、メモがあった。
『目が覚め次第、炊事、洗濯、雑用残っているからやるように! byレア』
「はいはい……」
本来は、みんなでやるべき仕事。なのに、今となっては私が全て行っている。そうしないと、何もかもが上手くいかないし、上手くいかなかったら、責任は私のせいになる。やらざるをえないし、そうじゃないと、またヒドイ仕打ちにあう。
「私がやるしかないんだ……」
涙がこぼれる。どうしようもない環境の中で、何も出来ない自分に腹が立つ。倒れそうで、壊れそうで、寂しくて、辛くて……。
医務室を出て、台所がある部屋へ向かう。体が重い。壁に寄りかかりながら進む。
「あとちょっと……」
ようやく、台所の近くまできた。
「!?」
話し声がする。男の人。若い。気づかれないようにそっと近づいてみる。どうやら、電話をしているようだ。ばれないようにのぞき込むと、魔法のランプを使ってテレビ電話をしていた。
「……そろそろ次の神を決める選別会を開く必要がありそうだな」
画面の向こうのおじいさんはそう若い男に話しかける。
「そうですね。最近の神島の行動は目に余るものがありますし。即刻、交代させる必要があります」
おじいさんの声に、持っている書類を見ながら答えている。この人たち、もしかして……。
「だが、神に成りうるにふさわしい者がいるかどうかが問題じゃな。近頃は若いもんがおらん。ましてや、人口も減少しておる」
「確かに、難しいかもしれません。そこで、私に提案があるのですが……」
若い男が声の大きさを下げた。いいところだったのに、『提案』ってなんだろう。
「……!? なんじゃと! そんなこと前代未聞じゃぞ。じゃが……面白い!!!!」
若い男の提案がそれほど画期的な提案だったのだろう。モニター越しのおじいさんのつばが、いや、入れ歯が飛びそうなくらい驚いている。
「だ、大丈夫ですか!? 入れ歯が……」
飛びそうではなく、飛んだみたい。そのあまりにもおかしな出来事に思わず、
「ふふふ」
笑ってしまった……。こういうところがあるのよ、私。
「誰だ!」
案の定、バレた。モニターは消え、男の人が部屋の外に出てきた。
「き、聞いていたのか?」
かなり焦っている。ここは、嘘を言ったほうがよさそう。
「いえ、私、食器を洗おうと思って……。い、いまきました!」
体の痛みに耐えながら、スマイルを送る。
「そ、そうか。じゃ、じゃあ、私はこれで!」
明らかにバレるようなとっさの言い訳に納得し、若い男は、そそくさとその場をあとにした。
「なんだったんだろ……。」
とにかく、溜まっている食器を洗わなきゃ……。
「……神様が変わるのかな」
誰に言うわけでもなく、自分に言い聞かせる。
「神様が変わったら、私も変われるのかな……。この環境も変わるのかな……」
涙が出てくる。止めどない涙が零れ落ちる。
「……う……う」
声を堪えて泣く。泣いても何も変わらないのに……。
その不確かな情報だけが私の壊れそうな心を支えてくれた。
権威譲渡会に出席出来るのは、神選の役員と、神様、そして、次の神様だけ。どうやって、次の神を選ぶのかなんて、魔人の私たちは知る由もない。
私たちが、新しい神様と対面するのは、権威譲渡会の後の就任式。初めて神島さんを見た時、にこやかな感じで、これから先も大丈夫かなと少しホッとしたのを覚えている。
私は、『元』神様の姿を探した。でも、そこに姿はなかった。
就任の挨拶で神島さんは、「『元』神様を追放した」ということを笑顔で言い放った。その後も挨拶は続けられていたんだけど、私は怒りを堪えるので必死で何も聞こえなかった。
就任式の後、神島さんに抗議しにいった。神様を支える魔人という立場でありながら、逆らってきた私に神島さんは怒りを覚えたようで、それから私に対する態度は他の魔人とは異なるものになっていった。
結局、『元』神様がどこにいったのかは分からないままで、私は、『また』独りぼっちになった。
「……。あ……」
なんで昔のことなんか……。目が覚めると、白い天井が見えた。医務室のベッドの上だ。そうか、私、神島さんに蹴られて……。体を起こそうとする。
「い、痛っ……」
体を起こすので必死だ。よく見ないと分からないくらいの痣が残っているものの、治療はされているようだ。
手元には、メモがあった。
『目が覚め次第、炊事、洗濯、雑用残っているからやるように! byレア』
「はいはい……」
本来は、みんなでやるべき仕事。なのに、今となっては私が全て行っている。そうしないと、何もかもが上手くいかないし、上手くいかなかったら、責任は私のせいになる。やらざるをえないし、そうじゃないと、またヒドイ仕打ちにあう。
「私がやるしかないんだ……」
涙がこぼれる。どうしようもない環境の中で、何も出来ない自分に腹が立つ。倒れそうで、壊れそうで、寂しくて、辛くて……。
医務室を出て、台所がある部屋へ向かう。体が重い。壁に寄りかかりながら進む。
「あとちょっと……」
ようやく、台所の近くまできた。
「!?」
話し声がする。男の人。若い。気づかれないようにそっと近づいてみる。どうやら、電話をしているようだ。ばれないようにのぞき込むと、魔法のランプを使ってテレビ電話をしていた。
「……そろそろ次の神を決める選別会を開く必要がありそうだな」
画面の向こうのおじいさんはそう若い男に話しかける。
「そうですね。最近の神島の行動は目に余るものがありますし。即刻、交代させる必要があります」
おじいさんの声に、持っている書類を見ながら答えている。この人たち、もしかして……。
「だが、神に成りうるにふさわしい者がいるかどうかが問題じゃな。近頃は若いもんがおらん。ましてや、人口も減少しておる」
「確かに、難しいかもしれません。そこで、私に提案があるのですが……」
若い男が声の大きさを下げた。いいところだったのに、『提案』ってなんだろう。
「……!? なんじゃと! そんなこと前代未聞じゃぞ。じゃが……面白い!!!!」
若い男の提案がそれほど画期的な提案だったのだろう。モニター越しのおじいさんのつばが、いや、入れ歯が飛びそうなくらい驚いている。
「だ、大丈夫ですか!? 入れ歯が……」
飛びそうではなく、飛んだみたい。そのあまりにもおかしな出来事に思わず、
「ふふふ」
笑ってしまった……。こういうところがあるのよ、私。
「誰だ!」
案の定、バレた。モニターは消え、男の人が部屋の外に出てきた。
「き、聞いていたのか?」
かなり焦っている。ここは、嘘を言ったほうがよさそう。
「いえ、私、食器を洗おうと思って……。い、いまきました!」
体の痛みに耐えながら、スマイルを送る。
「そ、そうか。じゃ、じゃあ、私はこれで!」
明らかにバレるようなとっさの言い訳に納得し、若い男は、そそくさとその場をあとにした。
「なんだったんだろ……。」
とにかく、溜まっている食器を洗わなきゃ……。
「……神様が変わるのかな」
誰に言うわけでもなく、自分に言い聞かせる。
「神様が変わったら、私も変われるのかな……。この環境も変わるのかな……」
涙が出てくる。止めどない涙が零れ落ちる。
「……う……う」
声を堪えて泣く。泣いても何も変わらないのに……。
その不確かな情報だけが私の壊れそうな心を支えてくれた。
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