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神決め大会 予選八日~
拓真と田中Ⅱ
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拳がお互いの頬に入ったのを皮切りに、田中との殴り合いが始まった。
「お前は今、誰かに騙されているんだろ? そうだ、きっとそうなんだ!」
全身に力を入れる。俺の全身が光り輝いている。ビクトリアと戦った時以来だ。
「はああああああああああああ!」
その状態で、俺は田中に殴りかかった。ケンカ慣れしていない俺のパンチは普段であればあまり効かないであろうが、今は違う。俺の拳は田中の顔面にクリーンヒットした。
「ぐっ……やるなぁ……ぺっ」
田中の口の中が切れたらしい。貯まった血を吐き捨て、田中はにやりと笑う。その笑顔は不気味極まりない。
「田中……すまん!」
そう言いながら、俺は田中を殴り続けた。
「どうしたァ! さっきまでの威勢はどうしたァ!!」
あれから、数分が経過した。くそ、力が弱まっているのが分かる。この力が、リミット制なのか、回数が決まっているのかは分からない。だが、俺は早めに決めたかった。田中の秘めたる力に、この力無しで対応できる自信がなかったからだ。
「……う……」
初めこそ、対等であったと思う。だが、俺の衰えとは逆に、反撃する田中の力は衰えていない。それどころか、更に勢いを増している。再生リバースの桃ではないため、右手、そして、胸の傷が痛む。心臓を刺されたわけではないが、血がドクドクと流れている。身体能力向上パラメータアップの効果なのか、アドレナリンのせいか分からないが、痛みはそれほど感じない。
「く……」
さっきから田中の拳を俺はかろうじてガードするので精一杯だ。パンチの速さが尋常ではない。一旦、距離を取ろうと俺は後ろに下がった。
「おっと、そうはさせねぇ」
そう言いながら、田中が俺のズボンのベルトを掴む。すごい勢いで、引っ張られる。ガードしていた体制が崩れ、俺はそのまま田中の方に引き寄せられた。
「オラぁ」
それを見逃さず、田中は俺の顎に強烈なアッパーを浴びせた。衝撃か痛みかは分からないが、目の前にチカチカと火花のようなものが散った……ように見えた。俺はそのまま3メートルほど後ろに飛び、地面に仰向けに倒れた。
俺は何をしているのだろうか。なんで、俺と田中がこんなことに。
「拓真ァ。悪いな、『あの方』の頼みなんだよ」
田中の声が近づく。
「……『あの方』……?」
声を発しようとするが、かすれるような声しか出ない。体の痛みも戻ってきているのが分かる。
「お前が拳で挑んできたから、付き合ってやったが、この様だ。まぁ、このまま、『コイツ』で刺し殺してもいいんだが」
懐からナイフのようなものを取り出し、それを見ながら田中は言った。街灯に照らされて、ナイフがギラギラと光っている。
「俺の技も試したいんだよなぁ」
近づく田中に俺は何もできない。立ち上がることさえ、もう出来ない。弱すぎる。俺は弱い。
「『強化』」
田中がそう言うと、田中を覆う黒のオーラは大きくなった。
「これを右手に集め……」
全身のオーラが田中の右手に集まった。俺はその様子をただ見つめることしか出来ない。田中が歩きながら近づいてくる。
「じゃあな!!! 『死』」
田中の右手のオーラが剣の形に変わる。剣はまがまがしい黒だ。田中が右腕を俺の胸元へめがけて振り下ろす。……俺は目をつぶった。……ごめん、鶴太郎さん、佐藤さん。ごめんな、ニケ……。
「おりゃああああああああ」
『ドガーン』
聞き覚えのある声が聞こえ、何かと何かがぶつかり弾けるような音がした。
「て、てめぇ! 何者だ」
田中の驚く声が聞こえる。俺は目を開けた。そこに居たのは……俺がよく知る人物だった。
「……ニケ、お前……どうして」
「何とか間一髪ってところだったね、ごめんね、拓真くん!」
田中は、後ろに下がり、距離を取っている。ニケは、上下ジャージ姿だ。体に青白い光を纏っている。
「青年!」
「拓真くん! ごめんね! だからもっと早く助けようって言ったのに、鶴太郎さんがまだだって言うから! 『青年!』っじゃないですよ!」
気づくと、俺の傍に鶴太郎さんと佐藤さんがいた。佐藤さんは鶴太郎さんに説教をしている。
「皆さん……」
俺は声をかけた。血がダラダラと出て、今はそれどころじゃない。
「そ、そうだ、拓真くん、とりあえず、これを食べて!」
佐藤さんはそう言って、俺に『特殊天界桃』を食べさせてくれた。体の痛みが少しマシになる。
「……傷の治りが遅い……え、この傷って、まさか」
佐藤さんはそう言って、田中の方を向いた。田中はそんな佐藤さんを無視し、ブツブツと何かを言っている。だが、吹っ切れたように、再びこちらを向いて言った。
「拓真ァ! お前、一人で来いって言ったよなぁ! まぁいいや、お前ら、全員ぶっ倒してやるわ」
田中が向かってくる。
「ニケ! ダメだ! とても敵うような相手じゃ……」
俺がそう言いかけると、鶴太郎さんが静止するように俺の前に手を出した。
「まぁ、見ていたまえ」
「はぁあああ」
田中のパンチは俺の時と同じように早い。だけど……
「受け流している!?」
ニケはその攻撃を華麗に受け流していた。いや、よく見ると、当たっている。当たっている個所に光を集まている!? そのおかげかあまり効いていないようだ。
「青年! 能力は使い方次第で大きく変わる。君の使い方も間違ってはいないが、長期戦では不向きだ」
鶴太郎さんはニケの方を向きながら俺にそう言った。
「ニケくん、いいぞ! そろそろ決めたまえ!」
「分かりました!」
「さっきから、攻撃を受け流しているだけじゃねぇか、何が決めるだ、決めれるもんなら……」
田中がニケの来ている服の胸元を掴み、引き寄せた。ニケは俺と同じようによろけて、田中の方へ引き寄せられる。
「ニケ! 危ないっ!!」
「死ねっ!」
ニケの顎に田中のアッパーが決まった。ニケの体がよろめく。
「ニケ!!」
俺は立ち上がろうとするが、力が入らない。
「ニケが、ニケが」
そういう俺を鶴太郎さんも佐藤さんも止めた。
「よく見たまえ」
「え?」
ニケは、アッパーを確かに食らった。食らったはずだが、その場を動かない。体は踏ん張り、上を向いたままだ。
「は?」
「ちょっと痛かったかな。でも、もう逃がさない」
そう言いながらニケは、田中の方を向いた。逃げようとする田中だが、ニケは田中の袖を掴んでいるようだ。たじろぐ田中。田中を掴むニケの右手に、全身を包んでいた青い光が集まっていく。そして……
「だりゃああああああああ」
田中の腹部めがけて、ニケは拳をうちこんだ。
「お前は今、誰かに騙されているんだろ? そうだ、きっとそうなんだ!」
全身に力を入れる。俺の全身が光り輝いている。ビクトリアと戦った時以来だ。
「はああああああああああああ!」
その状態で、俺は田中に殴りかかった。ケンカ慣れしていない俺のパンチは普段であればあまり効かないであろうが、今は違う。俺の拳は田中の顔面にクリーンヒットした。
「ぐっ……やるなぁ……ぺっ」
田中の口の中が切れたらしい。貯まった血を吐き捨て、田中はにやりと笑う。その笑顔は不気味極まりない。
「田中……すまん!」
そう言いながら、俺は田中を殴り続けた。
「どうしたァ! さっきまでの威勢はどうしたァ!!」
あれから、数分が経過した。くそ、力が弱まっているのが分かる。この力が、リミット制なのか、回数が決まっているのかは分からない。だが、俺は早めに決めたかった。田中の秘めたる力に、この力無しで対応できる自信がなかったからだ。
「……う……」
初めこそ、対等であったと思う。だが、俺の衰えとは逆に、反撃する田中の力は衰えていない。それどころか、更に勢いを増している。再生リバースの桃ではないため、右手、そして、胸の傷が痛む。心臓を刺されたわけではないが、血がドクドクと流れている。身体能力向上パラメータアップの効果なのか、アドレナリンのせいか分からないが、痛みはそれほど感じない。
「く……」
さっきから田中の拳を俺はかろうじてガードするので精一杯だ。パンチの速さが尋常ではない。一旦、距離を取ろうと俺は後ろに下がった。
「おっと、そうはさせねぇ」
そう言いながら、田中が俺のズボンのベルトを掴む。すごい勢いで、引っ張られる。ガードしていた体制が崩れ、俺はそのまま田中の方に引き寄せられた。
「オラぁ」
それを見逃さず、田中は俺の顎に強烈なアッパーを浴びせた。衝撃か痛みかは分からないが、目の前にチカチカと火花のようなものが散った……ように見えた。俺はそのまま3メートルほど後ろに飛び、地面に仰向けに倒れた。
俺は何をしているのだろうか。なんで、俺と田中がこんなことに。
「拓真ァ。悪いな、『あの方』の頼みなんだよ」
田中の声が近づく。
「……『あの方』……?」
声を発しようとするが、かすれるような声しか出ない。体の痛みも戻ってきているのが分かる。
「お前が拳で挑んできたから、付き合ってやったが、この様だ。まぁ、このまま、『コイツ』で刺し殺してもいいんだが」
懐からナイフのようなものを取り出し、それを見ながら田中は言った。街灯に照らされて、ナイフがギラギラと光っている。
「俺の技も試したいんだよなぁ」
近づく田中に俺は何もできない。立ち上がることさえ、もう出来ない。弱すぎる。俺は弱い。
「『強化』」
田中がそう言うと、田中を覆う黒のオーラは大きくなった。
「これを右手に集め……」
全身のオーラが田中の右手に集まった。俺はその様子をただ見つめることしか出来ない。田中が歩きながら近づいてくる。
「じゃあな!!! 『死』」
田中の右手のオーラが剣の形に変わる。剣はまがまがしい黒だ。田中が右腕を俺の胸元へめがけて振り下ろす。……俺は目をつぶった。……ごめん、鶴太郎さん、佐藤さん。ごめんな、ニケ……。
「おりゃああああああああ」
『ドガーン』
聞き覚えのある声が聞こえ、何かと何かがぶつかり弾けるような音がした。
「て、てめぇ! 何者だ」
田中の驚く声が聞こえる。俺は目を開けた。そこに居たのは……俺がよく知る人物だった。
「……ニケ、お前……どうして」
「何とか間一髪ってところだったね、ごめんね、拓真くん!」
田中は、後ろに下がり、距離を取っている。ニケは、上下ジャージ姿だ。体に青白い光を纏っている。
「青年!」
「拓真くん! ごめんね! だからもっと早く助けようって言ったのに、鶴太郎さんがまだだって言うから! 『青年!』っじゃないですよ!」
気づくと、俺の傍に鶴太郎さんと佐藤さんがいた。佐藤さんは鶴太郎さんに説教をしている。
「皆さん……」
俺は声をかけた。血がダラダラと出て、今はそれどころじゃない。
「そ、そうだ、拓真くん、とりあえず、これを食べて!」
佐藤さんはそう言って、俺に『特殊天界桃』を食べさせてくれた。体の痛みが少しマシになる。
「……傷の治りが遅い……え、この傷って、まさか」
佐藤さんはそう言って、田中の方を向いた。田中はそんな佐藤さんを無視し、ブツブツと何かを言っている。だが、吹っ切れたように、再びこちらを向いて言った。
「拓真ァ! お前、一人で来いって言ったよなぁ! まぁいいや、お前ら、全員ぶっ倒してやるわ」
田中が向かってくる。
「ニケ! ダメだ! とても敵うような相手じゃ……」
俺がそう言いかけると、鶴太郎さんが静止するように俺の前に手を出した。
「まぁ、見ていたまえ」
「はぁあああ」
田中のパンチは俺の時と同じように早い。だけど……
「受け流している!?」
ニケはその攻撃を華麗に受け流していた。いや、よく見ると、当たっている。当たっている個所に光を集まている!? そのおかげかあまり効いていないようだ。
「青年! 能力は使い方次第で大きく変わる。君の使い方も間違ってはいないが、長期戦では不向きだ」
鶴太郎さんはニケの方を向きながら俺にそう言った。
「ニケくん、いいぞ! そろそろ決めたまえ!」
「分かりました!」
「さっきから、攻撃を受け流しているだけじゃねぇか、何が決めるだ、決めれるもんなら……」
田中がニケの来ている服の胸元を掴み、引き寄せた。ニケは俺と同じようによろけて、田中の方へ引き寄せられる。
「ニケ! 危ないっ!!」
「死ねっ!」
ニケの顎に田中のアッパーが決まった。ニケの体がよろめく。
「ニケ!!」
俺は立ち上がろうとするが、力が入らない。
「ニケが、ニケが」
そういう俺を鶴太郎さんも佐藤さんも止めた。
「よく見たまえ」
「え?」
ニケは、アッパーを確かに食らった。食らったはずだが、その場を動かない。体は踏ん張り、上を向いたままだ。
「は?」
「ちょっと痛かったかな。でも、もう逃がさない」
そう言いながらニケは、田中の方を向いた。逃げようとする田中だが、ニケは田中の袖を掴んでいるようだ。たじろぐ田中。田中を掴むニケの右手に、全身を包んでいた青い光が集まっていく。そして……
「だりゃああああああああ」
田中の腹部めがけて、ニケは拳をうちこんだ。
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