アニマルアイランド

ぷるっと企画

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真実の愛

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 彼女は、リビングにいました。

 いつもと変わらぬ笑顔で出迎えてくれます。それが愛しくもあり、胸を締めつけるようでもありました。

 彼女が「おかえりなさい」を言う前に、あなたは動いていました。


「ご主人…さま?」


 抱きしめます。
 きつく抱きしめます。

 その様子に、彼女もただならぬものを感じたようです。詳細に説明するのもまどろっこしくて、あなたは単刀直入に言います。

 リンカ、どうして黙っていたんだ。
 子供をつくらないといけないんだろう。

 彼女が震えたのがわかりました。

 やはり知っていたのです。
 知らないはずがありません。

「あわわ、知られちゃったぁ。ご主人様に知られちゃったぁ」

 珍しく狼狽するリンカ。
 怒られると思ったのかもしれません。
 笑っているのか困っているのか、よくわからない表情です。

 思えば、彼女はずっと温和でした。その感情を強く出すこともなく、ただただ愛らしくありました。それは生来の彼女の性質でありましたが、怖い気持ちを隠すためでもあったのです。

 あなたにはそれがよくわかります。なぜならば、あなたの中にも常に恐怖があったからです。

 ずっと一緒にいられるのだろうか。
 ずっと愛していけるのだろうか、と。

 二人は同じ想いを抱いていました。
 だからこそ、最初から全部教えてほしかったとも思うのです。

 言ってほしかった。
 信頼してほしかった。

 自分にはリンカしかいない。
 裏切ることはない。見捨てることはしない。

 どんなに怖くても、二人なら一緒に歩いていけるはずだ。

 でも、きっとリンカは自分のことが心配で隠していたのだろう。
 それでも、もっと頼ってほしかった。

 あなたはそれを隠すことなく伝えました。

 そして自分は、リンカと子供をつくりたいと。
 愛しあいたいと正直に伝えます。

 勇気を振り絞って、怖がることなく。


 そして、彼女もまた、隠すことをやめました。

 泣きそうな。
 笑いたいと願う顔で。

「えっと、隠していたわけじゃなくて…、その…」

「あなたが…好きだから…」

「本当に…愛しているから…」

「愛が…、素敵だと知ったから…」

「あなたが…欲しいから…、それが怖くて…」


 愛のしずくがこぼれました。


 それが床に落ちるたびに、光の花を咲かせます。
 本当の愛だけが咲かせる真実の花です。

 ぽろり。
 ぽろり。

 彼女の涙で、床は花畑になりました。

 愛が愛しすぎて、花になります。
 愛が強すぎて、花になります。

 愛があまりにもあふれすぎて、花になりました。


 好きだから、愛したい。
 愛しているから、あなたを独占したい。

 自分だけを好きになってほしい。
 どこにも行ってほしくない。

 でも、それはいけないことかもしれない。
 愛が愛ゆえに、それは与えるものだから。

 彼女も、あなたと同じ苦しみを抱いていたのです。

 思わず、あなたも涙していました。あなたの涙もまた花となり、二人で一緒に花を咲かせます。

 それはまったく同じ種類の花。

 男性的なものと女性的なものが混ざった、世界で一つだけの花。

 二人は同じなのです。まったく同じ心を持ち、同じ道を歩く男女だったのです。だから同じ花になるのです。

「愛は素敵ですね。とても素敵です」

「でも、私が知っている愛よりも、本当の愛はもっと大きかったです」

「愛を知ると、みんないなくなってしまいます」

「本当の愛が、もっともっと大きくてすごいものだからです」

「あなたが大きくなればなるほど、わたしも怖かった」

「愛から離れるのが…」

「あなたから離れるのが…」

「でも、やっぱりわたしは…、あなたと一緒にいたいから…」

「苦しくて…、つらくて…」

「どうすればいいのか…、わからなくて…」


 言葉に詰まる彼女を強く抱きしめました。

 自由がゆえに、彼女も迷っていました。何が正しくて間違っているのかを知り、自分の愛を怖れていました。

 神が許す自由とは、一番大変な道だったのです。

 何も制限をしないがゆえに、自ら責任を負わねばなりません。その苦しみも全部自分が甘受し、耐えねばなりません。

 愛は、時に自らを縛ります。
 愛は、時に怖れを与えます。
 愛は、時に戒めを与えます。

 しかし、愛は素敵です。

 愛なくして、すべては生きていけません。
 愛なくして、二人は生きていけません。

 あなたなしに、彼女なしに、生きていくことはできません。

 なぜなら、あなたは愛なのですから。
 あなたと彼女は、愛なのですから。

 愛は、愛ゆえに引き寄せあい、愛しあいます。
 愛することしか知らないからです。

「ご主人様…、わたし…」

 その言葉の代わりに、あなたは祈りました。
 心の奥底から魂を奮わせました。

 神の前に立ち、宣言しました。


 ああ、神様。

 あなたが愛であることを知っています。

 愛とは、すべてのものに与えられ、すべてを包む光であるとも。

 すべてに平等であるとも。

 たとえば、何かを独占したり、言うことを聞かせたり。
 たとえば、自分のわがままだったり、願望だったり。
 たとえば、受け入れたり、受け入れなかったり。

 そんなものでは断じてないと知りました。

 けっして、誰か好きな人を独占することではなかったのです。一人だけを愛するものではありませんでした。

 愛とは、魂の奥底、生命の根幹から発せられるものでした。

 嫌いな人も愛するものでした。
 憎しみや哀しみすら愛することでした。
 世界のすべての生命と協調することでした。

 それはあなたそのものでした。

 愛は、あなたでした。


 しかし、どうか神様。

 愛することを許してください。
 彼女を一番愛することを許してください。

 彼女とならばどこまでも行きます。
 彼女と一緒ならば、何もいりません。

 傷つくことがあっても諦めません。
 彼女とならば立ち上がれます。


 だから神様。

 愚かで小さな二人を許してください。
 あなたの愛をおとしめることを許してください。

 光をさえぎることを許してください。

 あなたを愛しています。
 動物を愛しています。

 草木を愛しています。
 世界を、すべてを愛しています。

 そして、彼女を一番愛しています。


 神が愛ならば、あなたが神様ならば、それは届くのでしょう。真実の愛だけが二人を結びつけます。

 それは愛たる神が結んだものです。

 神が結びつけたものを離してはなりません。
 あなたと彼女の愛を制限してはいけません。
 愛には、これだという決まりはないのです。

 神よ、わたしはそう信じます。
 あなたを信じます。

 愛を信じます。

 愛こそ力であると。
 愛こそ、すべてを超越すると。

 だからわたしは、この二人を自由にさせます。

 あなたの愛を体現するために。

 愛が素敵だと証明するために。


 愛しあいなさい。

 お互いに愛しあいなさい。

 その愛を止めないでください。


 そして、子供をつくりなさい。

 最高の愛を自ら証明してみせなさい。



 彼女を優しく抱きしめます。
 手のひらに彼女を感じます。

 髪に触れた唇に彼女を感じます。
 ハートに彼女への愛を感じます。


 愛している。

 愛している。

 愛している。


 愛が止まらない。
 彼女への愛が止まらない。

 愛は光となり、激しく輝きます。触れる肌と肌だけでなく、周囲が金色に輝いていきます。

 この部屋すべて、この家すべて、この世界が輝いています。

 ああ、やはり正しいのだ。
 愛は正しいのだ。

 この中にある愛は、真実のものなのだ。
 神の愛の一つなのだ。

 世界があなたを肯定します。
 世界が彼女を肯定します。

 愛が二人を認めます。
 愛してよい。愛しなさいと言います。


 リンカ、愛している。

 その愛を手に込めて、彼女に放射します。

「ああ、熱い…。ご主人様の手が熱い…!」

「こんなにされたら、こんなに愛されたら…!」

「ご主人様、わたし、本当にこれで…」

 リンカ、もうご主人様じゃない。
 自分とリンカは、二人で一つなのだから。


 だから、『あなた』と呼んで欲しい。


 今まで自分たちは臆病だった。
 愛を怖がって、距離を置いていた。
 本当の愛があまりに偉大で、それに畏怖していた。

 でも、リンカを本当に愛している。
 神に誓っても、君を愛している。

 神の前に立っても、その答えに変わりはなく、揺らぐこともなかった。

 だからこそ、二人は対等であろう。
 君と僕が一つであることを証明するために、すべてを解放してほしい。

 あなたは、愛でそれを伝えました。
 言葉よりも深く、仕草よりも鮮明に、想いは伝わります。


「はい、あなた様。わたしはずっと、あなたと一緒です」

「もう怖がりません。愛から逃げたりしません」

「だって、あなた様のいない人生なんて、わたしは耐えられません」

「好きです。あなたを愛しています」


 喜びがはじけます。

 この瞬間、二人は二人だけの道を歩みだしたのです。歩調も同じ、歩き方も一緒、そうして同じ道を歩むことを誓ったのです。

 二人の愛が、道を生み出していきます。
 まだ誰も通ったことがない道。

 人と動物がつむぐ新たなる道。

 希望と光の道。


 これから結ばれるのだ。
 ここに来てからずっと待ち望んでいたことが叶うのだ。

 そのことを想像するだけで心が熱くなります。それは、彼女にも伝わります。

 あなたが期待している。
 自分とつながることを欲している。

 ほかのことをすべて犠牲にしても、自分を欲している。
 ただ一つだけの愛を求めている。

「胸が熱い…。燃えるようです」

「はぁはぁ、あなたを想うだけで、こんなになるなんて…」

 リンカのハートが激しく動きだしました。あなたと同じ光を自ら発しています。人の証、進化した証、これからもっと愛を増やしていく証。

 リンカが好きなことをしてあげたい。

 手にいっぱいの愛を込めて、リンカに送ります。その熱量は、まるで太陽のようです。

「愛している! わたしを愛しているんですね!」

「わたし…、愛されている…!」

 あなたの愛が熱として、リンカのハートにしみ入っていくのが見えました。愛は熱でもあり、エネルギーです。あなたと彼女の存在を支えている根幹のパワーです。

 その力が、彼女の不安と恐怖を消し去っていきます。

 あなたはどこにも行かない。
 あなたはずっと一緒にいる。

 時には離れることがあっても、愛の絆だけは永遠に切れない。

 その確信が芽生えたのです。

 その安心感が、彼女を解放させます。
 今まで我慢していたものを解き放ちます。

「も、もっと…! もっとしてください!」

「わたしをあなたの好きにしてください!」

 赤く燃える炎がふきだしました。
 温和で柔和な彼女から、このような炎が出るとは驚きです。


 彼女の中にある欲求が動き出したのです。


 しかし、その炎はとても美しく輝いていました。赤と金が混ざったような炎で、見ている者に愛と希望を与える光です。

 あなたと一緒だからこそ出せる光なのです。
 あなたに愛されたからこそ、出せる炎なのです。

 生命の炎。
 人が生きている証たる炎。

 リンカ、リンカ、リンカ。

 何度も何度もその名を呼び、彼女に喜びを与えようと愛をそそぎます。

 触れている場所が幸せに満ちますように。
 彼女の心に愛が満ちますように。

 永遠に。
 永遠たれ。

 この想い。
 この愛。

 あなたとは違うもの。女性的なもの。
 リンカとは違うもの。男性的なもの。

 二人のハートが、少しずつ融合を始めました。

 最初は、身体がブレる感覚。
 あなたの手とリンカの手が、重なっていく感覚。

 何の嫌悪もなく、何の違和感もなく。
 二人は一つになっていきます。

 感情が重なります。
 愛情、熱情、火照った鼓動。

 二人の興奮が一緒になって。
 ろうそくが一緒になって。
 ハートの炎を生み出していきます。

 人のハート。心臓。魂の宿る場所。
 人という名の神が鎮座する場所。

 上から降りて、身体を貫き、愛が満ちる場所。
 そのすべてが、とても美しく見えます。

 男性的なものと女性的なものが一つになる。
 あまりに美しい光景に言葉も出ません。

 自分が体験しているのならば、なおさらのこと。
 自分を捧げている恍惚感が二人を満たします。


 竜が言ったように、性とは美しいものだったのです。

「気持ちいい! 気持ちいいです! あなたの心が…! 大きくて!」

 どんどん愛がこぼれていきました。

 もう隠すことはありません。
 もう我慢することはありません。
 思う存分、二人は愛しあうことができるのです。

 二人のハートが出現します。
 人の本体である意識の中核部分。
 ここにはすべての情報が宿っています。

 自分がどうやってここに存在しているか。
 リンカがどうやってここに存在しているか。

 存在のすべてが見えます。直観できます。理解できます。生命の輝きが見えます。

 ありのままの彼女。
 彼女の心の美しさ。
 金色の光。赤い炎。

 何度も見ているはずなのに、やはり違います。

 なんと美しい、これが完全なる姿なのだ。
 これが、人間が宿す本物の光なのだ。
 そして、リンカだからこそ放つ、自分への愛なのだ。

 逆に、今まで制限されていたのは、この美を味わうためではないかとも思えてきます。

 つらい人生を生きただけ愛を知るように。
 傷ついたぶんだけ優しくなれるように。

 そのすべてに神の配慮があるように感じたのです。

 そして、解放されたあなたの心は、さらに愛を増幅させます。
 もっともっと、限界を超えてもっと高まれと。

「全部が気持ちいい! あなたの全部がわたしを愛してくれます!」

「こんなの…、こんなの…、耐えられません!!」

 リンカの激しい快楽が伝わってきます。その思いだけで、あなたも絶頂を迎えそうになりました。

 今までの比ではないのです。

 魂そのものが溶けて、なくなっていく感覚。
 二人が一つになっていく感覚。

 これは普通の状態ではありませんでした。圧倒的な快楽が存在するのは当然なのです。二人は知りませんが、これは本来フレイムランドで起こる現象なのです。

 サマーランドの上、スピリットランドの上。地上の人間からは、神霊と呼ばれるほどの存在が生活する場所。人が宇宙すら駆ける世界。竜の本体がいる世界。

 そこで起こる魂の融合。
 炎の世界で体験する、一瞬という名の永遠。

 そこでは、何千という人生を一瞬にして体験します。感情も痛みも苦しみも、喜びも快楽も融合していきます。

 完全なる情熱の世界。
 愛して求める世界。

 今この瞬間、アニマルアイランドは二人だけのものでした。二人の愛の輝きが世界を包み、竜の輝きすら凌駕するほどに燃えています。

 彼女の魂の限界を引き上げたい。
 この愛が間違っていないことをさらに証明したい。

 快感に悶える彼女を強く抱きしめ、ハートに愛をそそぎます。

 光。

 光あれ。

 祝福の言葉が光となり、彼女の中で爆発します。


「あああああ! わたし…! もう!!」


 光がはじけました。

 彼女の魂の殻すら破り、意識が拡大していきます。二人の感覚が混じりあい、見分けがつかなくなっていきます。

 あなたのすべて、リンカのすべてがわかります。

 それを構成するすべてを理解します。

 髪の毛一本、細胞の一つ一つに愛が眠っていることを知ります。

 そのすべての愛が覚醒していきます。

 ただ存在しているだけで美しい。
 ただ存在しているだけで快楽です。

 二人は魂の奥底から交わっていました。




 二人は、手をつなぎます。

 手と手は、つなぐようにできています。
 組み合うようにできています。

 男性と女性、一人と一人が重なるようにできています。

 魂に枠組みはありません。
 愛に制限はありません。

 二人の魂が融けあいます。
 二人の心は、二つで一つになるようにつくられていました。

 まるで二つに分けられたイヤリングが、今ようやく一つになるように、ここに完成します。

 ゆっくりと彼女があなたを受け入れました。


「あっ、あああ…! あなた様…!」

「入ってくるのがわかります。感じます!」

「わたしの中とぴったりと合って…、すごい…!」

「こんなに合うなんて、知らなかったです!」

「こんなに気持ちいいなら、もっと早くしたかった…!」


 そこには快楽しかありませんでした。

 心と心の接触。
 心と心の融合。

 それは至上の幸福でした。

 姿かたちは、いつしか変化していくもの。
 されど、二人の中にある神様は永遠のもの。

 その二つが一つになり、愛は無限に上昇していきます。

 満たされます。
 愛と快楽で満たされます。

 あなたと彼女が欲していたものが与えられています。

 リンカ、リンカ、リンカ。

 あなたは彼女だけと愛しあっています。
 お互いだけが、お互いを受け入れられるのです。


「いい、いいです! 好き…、好き! 愛しています!」

「わたしは、あなただけを…受け入れます!」

「あなた様だけを愛したいから!」


 我慢していました。
 独占する愛は悪いものだと考えていました。
 それは神様から遠ざかるものだと。

 むろん、その場合もあります。

 愛を欲すれば、求めます。
 相手に求めることは、人を不幸にします。

 いつまでも満たされない渇きの病に侵されるからです。


 しかし、二人の愛は真実でした。


 お互いに与えあうことを欲するもの。
 二人の中にある光を一つにしようと願うもの。

 それは神の愛を信じることでした。

 本物だけ、真実の愛だけが、自由を得られます。
 愛を認められます。

 二人の愛は輝いています。

 心の奥底から愛しあう二人を、いったい誰が束縛するでしょう。見栄、世間体、法律、人種、そんなものは役立ちません。

 ただ真実の愛だけが二人をつなぐのです。

 神は、愛だけを見ています。

 愛だけが真実であり、愛だけが正義なのです。


「感じる。あなた様の存在を感じます」

「わたしを満たす愛…、愛がわたしを…ふわぁあ!」

 結合部分が、まるで溶けてしまったかのようです。
 それほど彼女の中は熱く、炎のようでもありました。

 愛とは、時に熱く燃えるようなもの。

 魂は炎です。
 魂は情熱です。

 人は、情熱からつくられ、生まれているのです。

 その快楽にわれを忘れそうになりましたが、目的を見失ってはいけません。

 この行為は、子供をつくるためのものです。
 愛の結晶が二人の炎を一つのかたちにするのです。

 リンカ、子供をつくろう。

 ハートは生命の寝床、生命が宿る神聖な場所です。極限まで愛によって清められねばなりません。

「あなたの愛で、わたしを満たしてください」

 ああ、なんという幸福でしょう。
 すでに道は決まっているのです。

 二人の前にあるのは幸せと快楽のみ。
 そこにいっさいの不安も恐怖もありません。

 バラ色の未来が確定している。
 どうあっても、道からそれることはない。
 今味わっている快感もさらに高まっていく。

 約束された栄光の未来に向けて、二人のハートは燃え上がります。

 まさに二人の共同作業です。
 同じ目的のために、愛を育む行為です。


 新しい生命に向かって。

 リンカ、本当は子供が欲しかったんだろう。
 ずっとこうしたかったんだろう。

「はいっ! 欲しかった! あなたと最高の愛を感じていたかった!」

「制限なんてされたくなかったです!」

 あなたに愛してほしかった。
 思うままに愛してほしかった。

 リンカは叫びます。


 今までは愛に怖がっていたのです。

 何かにそむくことが怖かった。

 それによって引き裂かれてしまうのではないかと萎縮していました。

 でも、怖がって何もできないなんて、あまりにバカらしい。

 それならば、愛そう。
 自分たちのやり方で愛そう。

 その気持ちが勝ったのです。

 人は、罪を怖れるものです。愛からはずれることを怖れます。愛がすべてであり、愛だけが自己を存続させているからです。

 ならば、この愛もその一部だと知りました。
 すべてに何も制限は必要なかったと知りました。

 愛は神だと知りました。


「子供が欲しい! あなたとの子供が欲しい!」

「満たして! わたしをあなたの愛で満たして!」


 リンカのすべてが欲しい。
 自分のすべてを受け取ってほしい。

 それを超越する愛を生み出したい。
 二人の結晶がほしい。


 それは神です。

 二人の愛こそが神なのです。

 あなたと彼女は、神を生み出そうとしています。神あるところに生命の光が存在します。

 きらきらと身体が輝いています。二人の身体に流れる血液は、愛の光です。黄金の太陽から摂取し、自らの光によって生み出した愛の軌跡です。

 あなたの愛が、彼女へ。
 彼女の愛が、あなたへ。

 その二つの血流は合流し、一つに向かっていきます。

 生命の宿る場所へ。


 リンカ、リンカ、リンカ。

 極限にまで上昇した快楽に、あなたはもう限界です。現段階の魂が感じられる最高点にまで達しようとしています。

「ああ、あなたと一緒に…わたしはぁああああ!」


「ああああああああ!」


 すべてが一つになっていきます。

 あなたと彼女の愛が、神において一つとなります。

 二人の情報を与えあって生まれる新たな光。
 新しい生命の輝き。

 生命は永遠であり、何一つ消えることがありません。生命は無限の過去から、無限の未来まで存在し続けます。

 ただし、そこに個性を与えるのは、あなたたちの役目です。


 その個性こそ、自分の子供なのです。


 魂という器に宿された神の光は、無限の色彩を放ちます。それはあなたと彼女に似ていても、やはり違うもの。

 違うからこそ価値があります。
 それは、神様の一つの表現なのです。

 神様が無限ならば、その子供の道も無限に広がっていることでしょう。
 神があなたを愛するように、あなたもその子を愛するでしょう。

 それこそ最高の愛で満たすことでしょう。

 二人は、今幸せの絶頂にいました。


「これで…、結ばれましたね」

「子供、できちゃいますよ?」


 少し怯える彼女に、あなたは笑いかけます。

 一人では不安なことも、一緒ならできる。
 そのために、二人で温かい世界を創ろう。

 ああ、愛してあげよう。
 子供が産まれたら、本当の愛を教えてあげよう。

 ここで学んだ愛をすべて伝えよう。

 君は望まれて生まれてきた。
 どんな人生にも大切な価値がある。

 失敗して悔やむことがあっても、それは次に必ず挽回できる。
 だから、生きることを怖れないでほしい。

 人の世は、君を束縛しようとするかもしれない。
 あれこれと命令しようとするかもしれない。

 その中でも、自分を信じてほしい。
 愛を信じてほしい。

 動物に優しくしてほしい。
 草木に感謝してほしい。

 世界を愛してほしい。
 世界は母のように君を包んでいるのだ。

 罪はない。罰もない。
 ただ、生命を愛したときだけ、人は幸せになる。

 心の中の神様と、外の神様と一緒になったとき、すべてが与えられる。

 だから、君も誰かを愛してほしい。
 真実の愛を求めてほしい。

 それは、雨風が吹いても揺れず、雷に打たれても崩れることはないものだ。

 真実の愛だけが、神様が求める愛なのだ。
 それは何も制限されない。

 お父さんとお母さんが、その証拠なのだ。

 わたしが、あなたが、認めるから。
 君の存在をすべて、受け入れるから。

 君は生きてほしい。

 希望をもって。


 世界を愛してほしい。




「愛しています」


「あなたを愛しています」



「あなただけを、ずっと、これからも…」



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