灰色の冒険者

水室二人

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第4章 臆病者の砦

猫達の癒し その2

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 作戦会議が終わり、自室に戻ってきたのですが、少しの間に大幅に模様替えが行われてました。

「いつの間に、こんな事を・・・」

「研究室は、優秀だにゃ」

 私のベットは、いつの間にかキングサイズのベットに変わっています。それ以外の私物は、微妙に配置換えされています。

「みんな、ここで寝るつもりですか?」

 私の問いかけに、十色と三姉妹はいっせいに頷きます、

「まぁ、しょうがないですね」

 言葉では、嫌な感じを演出しつつ、心の中で感謝します。正直、今は少し助かります。

「ふぅ・・・」

 取り合えず、少し休みましょう。横になると、三姉妹が猫の姿になり、寄り添ってきます。

「私も、猫になるにゃ」

 十色も、猫の姿になります。

「私の貧弱な体だと、欲情しないにゃ?」

「体と言うよりも、食事に入れられている薬物の影響ですよ」

「嘘つき。影響なんて、無いはずにゃ」

「・・・」

「駄目ですよ、私たちは、いつも見てますから、体の状態は把握してます」

「そうです。何処も異常はありません。薬物の愛嬌はありません」

「むしろ、状態異常に関して、恐ろしいほど抵抗力がありますよね?」

「私たちに、隠し事は、無意味だにゃ」

 十色たちの言うとおり、現在状態異常に対しての抵抗力はかなり高くなっています。魅了系に対抗するために、ある処置を体にしました。その結果、毒物が消えています。

「確かに、色々と強化したら、色々と消えたものもありますよ」

「性欲にゃ?」

「言いにくいことを、言いますね」

「私には、切実にゃ」

「もしかして、発情期とかあるのでしょうか?」

「にゃ」

 全員が、いっせいに頷きます。

「生き物の、本能にゃ」

「本能ですか・・・」

「感情が、無くなったのかにゃ?」

「それは、大丈夫だと思います。正直、偽勇気との戦いは、感情を抑えるのに必死でした」

 今思い出しても、手が少し震えます。人を切るということ、偽者だとわかっていても、とても辛い行為でした。

「大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ」

 寄り添ってきたにいを、軽く撫でる。

 抜け駆けは許さないと、結局全員が寄り添ってきたので、同じように撫でます。

「極楽だにゃ・・・」

「幸せです・・・」

「うにゃ~~~」

「・・・」

 ただ撫でるだけの行為ですが、幸せな気分になって来ました。不思議な感覚です。

 幸せを感じながら、心の片隅で、私が幸せを感じていて良いのかと、罪の意識が芽生えます。

 今日までに、この世界に来て100人近くの命を奪っています。

「悪くないですにゃ・・・」

「え?」

「生きているなら、誰でも幸せを感じてもいいですにゃ」

「私の考えている事が、解るのですか?」

「伝わってきました」

「不思議です」

 私にも、十色たちの気持ちが伝わってきます。純粋な私を案じる感情が、交じり合ってきます。

「これは、危険ですね・・・」

 単純な、感情が交じり合い、溶けていきます。




「うにゃ~~~」




 意識が交じり合い、深い眠りに落ちていたみたいです。

「夕べは、お楽しみでしたかにゃ?」

 まだ、朝までは時間があると思います。現状、朦朧とする意識を覚醒させます。

「楽しんだかもしれません」

 私の隣には、十色がいました。人の姿に戻っています。三姉妹も、猫人の姿で眠っています。

「服くらい、着たらどうですか?」

「もう少し、このままでいたいにゃ」

「はぁ・・・」

「御魂の影響かにゃ?」

「共鳴ですかね?危うく、戻れなくなる所でした」

「あれは、抗いがたい、場所だにゃ」

 あの場所、昨晩十色たちと話している時に紛れてしまった場所。

「死後の世界の扉かにゃ?」

「あれは、集合無意識の塊に触れたのでしょう。巨大な何かに、飲み込まれた気がします」

「にゃ?」

「純粋な、エネルギーの塊です。何もないけど、全てある。無限の可能性と、絶望の場所。完全に飲み込まれると、戻れなくなります」

「何で、私たちは戻れたにゃ?」

「十色の、肉欲ですね」

「にゃ、にゃんですか、それは!」

「意識だけの世界に紛れてしまったんです。現世の心残りが、元の世界に戻る鍵です」

「だから、なんでそんな事がわかるにゃ!」

「御魂が、教えてくれました」

「私は、何も教えてもらえなかったにゃ」

「私のほうのが、エネルギー充填率高いですからね。まだ、この世界でやるべきことがあるそうなので、戻されました」

「その言い方だと、私たちは死にかけたのかにゃ?」

「そうなります」

「原因は?」

「呪いです。そう言う能力を持った相手が、私の切った相手にいたみたいです」

「怖いにゃ・・・」

「今回は、御魂に救われました。後、十色の」

「それは、言わなくていいにゃ!」

「私も、まだまだこの世界を甘く見ていたみたいです」

「三姉妹は、大丈夫かにゃ?」

「大丈夫ですよ。ただ、影響は強く出ている澪鯛ですし、朝まで目が覚めることは無いでしょう」

「うにゃ?」

 私の言い方に、何かを感じたのでしょう。十色は、体を硬くします。

「緊張しなくても大丈夫ですよ」

「え、えっと・・・欲望が、満たされたら、次は大丈夫かにゃ?」

「大丈夫ですよ、人の欲望は、果てがありませんから」

 と言うわけで、十色の慾を満たすという名目で、私の慾も満たします。これだけ可愛い女の子が隣で寝ていて、何も感じないという事はありません。




「夕べは、お楽しみでしたか?」

「楽しみでした」




 部屋を出た所で、伊藤さんに見つかり、そういわれたので、きちんと返事をしておきました。




「うにゃぁぁあぁ!」




 恥ずかしさで、十色はいまだに悶えています。途中で、三姉妹が目覚めて見られた事がショックだった見たいです。

 少し、どたばたしていますが、こんな朝があっても良いでしょう。

 まだまだ、色々と甘い部分があったので、気分を引き締める必要があります。

 先程まで堪能していたぬくもりを、失うことなく過ごす為に、やるべき事を考えましょう。

「十色、悶えてないで、手伝ってください」

「がるぅ、わかったにゃ!」

 恥ずかしさのあまり、猫になってしまった十色が部屋から出てきます。

 異世界に連れてこられて、一番楽しい朝かもしれません。

 こんな日を続けるためにも、今日も一日がんばりましょう。




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 小説家になろうでも投稿中。
 3日に1度ぐらいのペースで更新予定です。

 第11回ファンタジー小説大賞に参加しています。
 



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