灰色の冒険者

水室二人

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第7章 迷宮探査 

地下墓場

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 元開発スタッフのルドガーと一緒に、私は果て無き迷宮の秘密の部屋に侵入しました。

「星が違う組織が作った場所でも、魔法が使えるのですか?」

 短距離転移で、私達は壁を越えました。そのことを、大石君が不思議に思っています。

「何故、魔法が使えるかと言うのは、考えた事あるか?」

「私は、ある程度解析しましたから、理屈はわかります。いつか、つきに行って本格的に調べたいですね」

「月?」

「そこまで、知っているのか・・・」

「説明しましょうか?」

「そうだな、何処まで知っているのか知りたい」

「この世界の魔法は、演出ですよ」

 月をメインに、大規模なネットワークが構築されています。

 この星の住人は、頭にナノマシンを打ち込んであります。脳波を通じて、巨大なネットワークにアクセスするシステムです。

 そこで、キーワードを送信すれば、その通りの出来事が、魔法という形で再現されます。

「俺も、魔法が使えるけど?」

「私達は、この世界に召還された時、ナノマシンを打ち込まれています。個人に能力を割り当て、特殊なスキルをランダムで作成する。ここまで世界を作りこむとは、凄い技術です」

「それって、小説とかで、神様のやる仕事では?」

「その域まで、この世界の人達は行っていたのでしょう。今は、衰退してしまったみたいですが」

「そうだな。俺たち開発チームの中に、自分は神になったといっていた奴もいたよ。死んだけど・・・」

「何故?」

「神になって、ゲームの中を支配するとか言い出して、挙句の果てに色々と不正操作で何人か殺してしまったんだ。結果、裁判にかけられ死刑。当時、アトランティスは世界中から注音されていたから、裁判や刑の執行はあっという間だったよ」

「物騒な話ですね」

「実際、物騒な事もいろいろとあったからね。俺たちの苦労を、無駄にした奴らは、許せない」

 そう言うと、ルドガーは辺りを見回します。

「俺たちの作ったシステムを、しっかり利用しているのが腹が立つ!」

 私達の周りには、無数のカプセルが並べられています。その全てに、死体が入っています。

 子供から老人まで、正確な数はわかりませんが、ざっと見て1000以上はありそうです。

「システムですか?」

「時間停止に近い魔法が使用されている。あいつらの星に、ここまでの技術は無かったはずだ」

「機神のことで、何か隠していますね?」

「まぁ、隠す必要はないかな・・・。あいつらは異性人。遙か過去に、俺たちの星の勢力と戦争した連中の子孫だ」

「そう言えば、戦争が嫌で、引きこもったのですよね?」

「そう聞いている。俺よりも、かなり前の世代の話だ。この星に車での距離を考えると、二度と接触しないと思っていた連中だ」

「戦争の続きで、滅ぼしたのですか?」

「それは違うと思う。結果は最悪だがな・・・」

 色々と、事情があるみたいです。

「その連中の組織名は?」

「地球人だ」

「・・・」

「実際、宇宙各地に地球人と名乗る勢力ありすぎるんだ。お前たちも、地球人だよな?」

「そうです」

「実を言うと、俺たちも地球人。連中と戦争になった原因は、どちらが本当の地球人なのかという理由と聞いている」

「地球人って、ろくな連中じゃないのですか?」

「どうだろう?便器上、相手は統一地球国家と名乗っていた。俺たちは、地球から飛び立っていたから、銀河連邦と名乗っていたけどね」

「機神の組織と、統一地球国家は同一なのですか?」

「現状、70%の確立利で、同じかその子孫たちが作った組織だろう」

「確定ではないなら、このまま相手組織名は機神にしましょう」

「別に、問題はない」

「それで、機神の関係者が、死体を保管する理由に関して、心当たりは?」

「それを調べるために、ここに来た・・・」

 そう言いながら、ルドガーは何かを探しています。見ていて、気持ちのいいものではありません。

 周りの暗さが、静けさが、色々と不安な気持ちを膨らませます。

 この世界に来てから、多くの命を奪いました。

 ここにあるカプセルぐらいの、人を死に追いやっています。

 そのことに関して、苦しんだ事もありますし、今でも夢に見ることもあります。

 漠然と、この中には私が殺した人がいない事に、安心してしまいました。

 もし、ここにその人がいたら、私はどうすればいいのでしょうか?

 この世界は、死者の復活はありえません。記録を媒体として、機械の体に移植するという事は出来るみたいです。

 ただ、同時期に二つコピーして製作すると、ミスが起きるそうです。魂のコピーは、色々と条件があり、研究中だったと聞いています。

「見つけた・・・」

「この方が、同僚ですか?」

「同僚のギブソンだ。迷宮探索をするといっていて、音信不通になった」

「ここに死体があることを、どうやって知ったのですか?」

「こいつの情報端末、リトルジョンが教えてくれた」

「リトルジョン?」

「俺たち開発スタッフは、移動式の端末を持っているんだ。扱い情報が多いし、機密保持のために、色々とプロテクトが必要だから。もし何かあった時の、連絡もしっかりできる当になっている」

「グランドマスター、貴方たちのことを行方不明といっていましたが、連絡はとって居合いのですか?」

「彼女一人に押し付けた後ろめたさがあるからね。メタルには、連絡をしなかった」

「メタル?」

「彼女の名前。知らなかったのか?」

「知らなかった。実は、昨日から、行方不明」

「探したのか?」

「聖王国の北のほうに、反応がありました。何故そこにいるか不明だけど、取り合えず、場所だけは把握しています」

「そうか。生きているなら、それで良い。こいつは、死んじゃったけどな・・・」

 その死体は、目だった外傷はありません。

「死因は、解りますか?」

「外から見ただけでは。流石にわからん」

「解析しても、よろしいでしょうか?」

「それで、何か解るなら」

 ルドガーの許可が出たので、解析して見ます。

「死因は、呪い系の攻撃ですね・・・。私も経験しましたが、厄介な奴です」

 肉体に破損は感知できません。精神だけ殺して、保管してあるみたいです。

「すまないが、他の遺体も調べてもらえないか?」

「良いでしょう」

 近くの遺体を調べます。死亡時期は、ほぼ同じで、先日の果て無き迷宮付近で大量の使者が出た時期です。

 その時の、犠牲者なのでしょう。全ての遺体が、肉体部分の損傷が少なく、生きているような感じです。

「まさか、死体を食べるとか言う風習はないでしょうね?」

「それはない」

 昔見たアメリカのドラマで、そんな異性人の話があったような気がします。

「これで、大体の予測が出来た」

「予測ですか?」

「連中は、これを使って生き返るつもりだ」

「死者の復活は無理なのでは?」

「死んでなければ、大丈夫。肉体を入れ替える。あいつら、肉体を破損した可能性がある」

「そんな事が、出来るのですか?」

「白々しいね。お前も似たような事をしているだろ?」

 そう言って、ルドガーは懐から銃を取り出します。

「さて、何の事でしょう?」

 一応、とぼけてみます。まだ、実行していない計画のひとつですからね。

「少なくとも、こいつを利用させるわけには行かない・・・」

 そして、引鉄を引きます。

「一応、内緒の行動なのですけどね・・・」

「俺の目的は果たされた。殺すか?」

「誰を?」

「俺をだよ。あんたの邪魔をしたんだけど?」

「それくらいで、殺しませんよ。この世界を作った人として、開発スタッフの助言が欲しいです」

「協力しろと?」

「このままでは、この世界が終ってしまいます」

「確かに、それは嫌だな」

「ここが、私達の基地です。そこでお会いしましょう」

「お前たちは?」

「もう少し迷宮を調べます」

「了解した。そこで会おう」

 そう言うと、ルドガーは消えました。短距離転移で、違う場所に行ったのでしょう。彼の前にあったカプセルは、銃で打ち抜かれています。

 仲間の死体を利用されないように、自分の手で止めをさしたのです。

「これを、どうします?」

 大石君が、確認をしてきます。機神の目的が、本当に乗り移りだとしたら、ここの遺体はそのために殺された人たちです。

「・・・今はまだ、このままで」

 なんとなく、見えてきたものがあります。それが正しい事なのか、裏に何かあるのか。

 その答えは、この地下にあるのかもしれません。



 



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 小説家になろうでも投稿中。
 3日に1度ぐらいのペースで更新予定です。


 


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