使えない魔法使いに拾われました。

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02ーレアケースだよー

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「おはようございます」
「ああ、おはよう」
 朝の挨拶を交わすと、彼は私に優しく微笑みかけてくれた。けどなぁ…収入はもちろん凄いと思うよ?ただ、元貴族ってだけあってそれ以外のことはめっぽう弱い。とことんポンコツで本当に使えない。魔法具は私たちでも使えてしまうから、彼が使えても意味はないし。なんでこれで稼げてるのかしら、と不思議に思う。魔法使いになる以前の問題で、こんな有様では勘当されて当然としか思えない。もともと奴隷である私たちの方が上手くできるわ。
「今日は店を見てもらう。きっと気にいるはずだ」
「分かったわ」
「うんっ」
 ララは今までに無い笑顔で返事をした。いつぶりかな?
ーさて、どんなものが売っているのやら。
 既に十時頃というだけあって、開店したお店には何人かお客様もいらっしゃった。店内は魔法使いというより、学者が好みそうなものが多く置いてある。落ち着いた雰囲気で、好奇心の森という印象だった。外観は殆どガラス張りだけれど、所々緑に覆われていて不思議な雰囲気が醸し出されている。木の外開き扉の格子にはガラスが嵌め込まれ、アンティーク調の握り玉は細やかな造形が施されていた。見るからにこだわりと魅力の塊。ふとすると、貴婦人が傍で微笑していた。
「あら、お若いエルフの方?このお店がお気に召したかしら?」
「あ、ええ。とても落ち着いた雰囲気で、実家を思い浮かべておりましたの」
「そうでしたの。エルフの森を想起させる雑貨店。わたくしもここがお気に入りでしてよ」
 そう言うと貴婦人はお店の中へ入って行った。その後も客の出入りは多く、老若男女が足を運ぶ人気店であることがわかった。彼の経営は本物だわ。少し見直したかも。けれど、これだけ経営が出来るのに魔使えないだけで本当に勘当されてしまうのだろうか。
「俺の場合は稀だよ」
「え?」
「俺が勘当されたのは、稀なケースだよ」
 ララも不思議そうに尋ねる。
「何があったの?」
「魔法が使えないだけならまだ良かったんだ。だが、それで他人に迷惑をかけてしまってね。死人が出たんだ。それで、家としても相応の処罰をしなければいけなくなって仕方なかったと言われた。自業自得さ」
 そう話す彼の目は、向こう側が見えてしまうのではと思うほど青く透き通っていてサファイアのようだ。
「あの、まだお名前を伺っていませんでしたよね?」
 あれ、何言ってるんだろう、私…
「ララも聞きたい!」
「ウィリアム・ウエストリア」
「ウィルって呼んでも?」
「構わない」
 ぶっきらぼうに返されて内心少し傷ついたが、あまり話したい内容ではなかったのだろう。何せ死人が出たと言うんだもの。とても重いお話だわ。でも、そうなると尚更、彼が魔法を使えない理由が気になった。普通逆じゃないの?魔法が扱い切れなくて他者を傷つけるなら納得できる。そもそも使えなくて誰かが傷つくなんて…。そっちの方がレアケースじゃない?
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