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プロローグ

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プロローグ

  俺は崎守 信義、 16歳、特にイケメンと言う訳でもなく中肉中背のどちらかと言えば線が細い感じのごく普通の高校1年生。趣味と言うほどではないが五歳の頃より、幼稚園代わりに通わされていた、古武道を今も続けている、その影響もあってぼっち体質なので読書は多く造詣はそれなりに深い、

 今は、これと言った用事もなくコンビニに向かっているところ。
 頭の中は空白っていうか、ぼーってしている、というのも両親と妹を亡くしたばかりでやっと初七日が終わって一人残されたのだと実感しているところだ。
 
  本来なら俺も一緒に出かけてる筈だったのだが、通ってる道場絡みの大会で出場選手が急遽,
 棄権する事になり代役として出場した為、今回の事故には幸か不幸か巻き込まれなかった。
  妹の遺体は崖から車が転落した際に車外に放り出され川に落ちて流されたのではないかと考えられて捜索も打ち切られ死亡と判断されたが、俺自身はまだどこかで生きているんじゃないかと思っている。
 両親はお互い、連れ子の再婚で母親の方に一つ年下の女の子がいたが、気が合う訳でもなく話し合って親の前では仲のいい兄妹を演じていて実際はお互い干渉はしないって決めていたぐらい、実際は仲の良い兄妹ではなかったが居なくなってみるとやはり寂しい。

 親権の問題や遺産の問題でうるさかった親族も四九日の法要の最い再度、話し合いすという事で何とか帰ってもらった。
 
 コンビニまであと数分の距離と言うところで体が重くなり目の前が暗くなって意識が刈り取られて行くのを感じた。
 
 目をさましてみると回りは辺り一面白いもやで囲まれた世界でたくさんの人が並んでいるようだが、混雑も多く若いお姉さんが何やら叫んでいる
 
 「列に並んでください~」
 と大きな声を出して整理をしている、俺は死んだのか?、なぜに、どうやって、何の為に思いながらもとりあえず列に並ぶ。
 
 列に並んで見ているとどうやら列の先頭では手形のマークのついた台に手を載せて名前と生年月日を言えばÅ4用紙ぐらいの用紙がプリントアプとされてくる。

 [用紙の一番上に書いてある番号の窓口に並んでくださ~い」
 場内整理らしいお姉さんが叫んでいる。
  
 いよいよ、俺の番になって指定された板に手を載せてみるがなんの変化もない。
 「あれ、おかしいですねぇ。」
 「きちんと亡くなられてるのですよね。」
  
 そんな念押しされても俺に分かる訳無いじゃん。って思いながらも立ちすくんでいると。
 
 「この札を持って一番左端の相談窓口に行って下さい。」
 なんていう、札を見てみると『未確定者』の文字が彫ってある、仕方ないので札をもって窓口へ行くと。
 
 [こんにちは~、お困りですか~って某バーガー店のような作り笑顔で対応してくれる、何故か背中に悪寒が走りつつも
 「あの~これ、出すように言われたんですけど」
 って言いながら出すと。
 
 「はい、未確定者さんですねぇ」
 「時々、いらっしゃるんですよ、まだ、亡くなってないのに早々と来られる方が。。。」
 
 「俺、死んでないんですか?」
 
 期待をもって聞くと(もしかすると戻れるかもしれない、まじ、ラッキー!
 「あっ、あまりご期待をされない方が良いですよ。大抵の方が多少の時間待ちで亡くられますから。。。ここ、百年ぐらいは戻られた方はいらっしゃらないんですよ~」
 
 笑顔で答えられても逆に悲しいやらなんだか腹が立ってきて。
 「人が死ぬのがそんなに嬉しいのか?」
 ニコニコと笑顔でいる職員を見ていると無性に腹が立ってきた。..

 「いえいえ、そんなわけ無いですよ~だってここに来られる方は皆さん亡くなった方ばかりですから・・・」
 (お姉さんの笑顔の裏に闇が見え隠れしている)
 
 「とりあえず奥のソファーにに掛けてお待ち下さいねぇ~」
 軽~い調子で促されたので、取り付く島もない用だし諦めてソファーに座るとお姉さんは日常業務らしい仕事にのに戻っていった。
 
 ぼーっと座っていると奥の方に座っているちょっと偉そうな人が話しかけてきた。
 「君は死んだ状況を覚えてなのかい?」
 「はい、覚えていません。」
 
 「そっかぁ~難儀だなぁ。。。」
 「ま、今、調べて貰って居ますから、直ぐに分かると思います。」
 
 「プルルルルル・・・・・」と
 「内線電話がなり、先程のお偉いさんが誰かとオタオタしながら話しをしている」
 
 どうやら相手はもっとお偉いさんらしい、ハイ、ハイ、という言葉遣いがそれを物語ってるU(笑)
 
 「えっと、君はそこのドアを右に出て真っすぐ行って突き当たったらまた右へ言って一番奥の左側の部屋に行って下さい。」
 
 そう言われてそそくさと追い出されたので、はぁ、もう、帰りたいなぁって思いながらも指定された部屋の前でノックをすると中から少女の声で
 
 「どうぞ」
 
 と言いながら戸をあけて迎い入れてくれたのは十歳ぐらいの将来はきっと美人になるだろうなと予測出来そうな程のキレイな少女で白のブラウスに紺のタイトスカート、背中のうっすらと透けたブラの線が悩ましい。
 この子がもしかすると女神様なのかなぁとも思いながらもニコニコしつつ待って言えると、そのまま他のドア前で
 
 「レスタニア様、お待ちかねの未確定者様がいらっしゃました。と報告していると中から。
 「通せ!」
 
 「こちらへどうぞ」
 
 通せの声に不安を感じつつ言われるまま通されると、部屋の中は六畳程度の広さの畳敷きの和風の作りの部屋の中で皺だらけの老婆が座っていた。
 
 「ちょっと、引いた。」
 「よう来たの、待つとたんじゃ。」
 
 「はぁ」と答えると
 「おんしには違う世界に行ってもらおうと思っとる、頼めるか?」
  
 これっていわ言うる異世界への転移物なのか?、いや待て待てその前に俺は死んだのか?その疑問をぶつけると、婆あ、もといレスタニア様は。
  
 「そうじゃ、お主は死んでいる。だからここに居るんじゃ、色々と経緯もあったので異世界へ転移して貰おうと思うってるんじゃ」
  
 やっぱり俺は死んだのかぁ、短い人生だったなぁ。それなら親と一緒に事故で死んだほうがましだった気もするぞ、ところで俺はなんで死んだんだ。
 死因を尋ねると
  
 「ま、えっとお、それはだなぁ、まっ色々とあってな。。。とにかく死んだのは間違いない」
  
 なんだか歯切れが悪い、絶対なんか隠してると思いながら婆ぁを見つめてると目をそらした。。
 
 「な~んもありゃせんよ、それより早く決めんとお主は悪霊となってしまうぞ、そうなれば、あの世で両親とも会えなくなるぞ」
 
 それはそれで困るので仕方なく異世界行きを考えるとしてどんな世界なのか?、やっぱり中世時代あたりの剣と魔法の時代なのかと思い、それはそれで楽しそうだとなんだか期待感も湧いてきた。婆あに異世界の事を聞いてみると。
  
 「そうじゃの基本的にお主が今まで暮らしてきた世界とほとんど変わらん、友人や家族などの環境も同じじゃ、いわゆる並行世界(パラレル・ワールド)と考えて貰いたい、大きな違いは妖怪や魔物が出没するという事じゃ、もちろん、その世界にも退魔師は居るがの、これがまた、弱体化してきた上に色々と派閥争いなんかを始めて、人間と妖怪や魔物とのバランスが壊れて来てるのでお主にそれを治して欲しいのじゃ。出来れば原因もつかんで対策まで頼めるかの?、」
 
 「嫌と言っても拒否は出来んけどな」
 
 魔物の流出は100年程前から始まり戦争のたびに流出数は増えて近年収まってきたもののここ数年流出数が急激い増加傾向にある
らしい。

 国などの政府、行政機関も当初はひた隠しにしていたが、最近は公然の秘密化しているらしい、現状では国の機関と行政、民間の退魔団体で対応しながメディア規制も行ってるらしい。
  
 ちょっと待て、それほど変わらない世界なら俺も居るだろうにそいつにやらせればいいだけの話だろう、なんで俺を引っ張ってくる必要性はあるんだ。その辺を突っ込んでみると
  
 「残念じゃが、向こうの世界のお主はもうすぐ死ぬ、だから入れ替わって欲しいのじゃよ」
  
 ますます、おかしい事を言う婆さんだ、すでに死んだ俺より死にそうな向こうの俺を助けてやったほうがましじゃないか。
  
 「いや、それがの、同じような世界でも個人の性格は違ってたりするわけで、彼は今はちょっと問題があってのぉ、つまりそのういじめだったりして困っている状況だったりするんじゃ、その点、お主なら何とかなりそうだと思っての、都合よくお主が死んだので呼んだ訳なんじゃよ。」
 
 「まて、まて、違うだろ、まず、そいつを助けて、強くさせてやるのが筋だろ」
 「いくら神とは言えども人の生死に直接関与は出来んでな、それに彼が死んでここには来んのじゃ。彼は死ぬと同時に先程お主が通って来たように受付を済ませた後、魂を浄化された後、輪廻の輪に入るのを止める事はわしの一存で強制は出来んでな。」
 
 「本来なら彼は後、五年ほど経つと退魔師として目覚めて世界を闇から救うはずじゃったんだかまあ、不幸な事故があってな、急遽、お主の出番となった訳じゃ。」
  
 俺は死んだのになんで輪廻に入らないのか?、そもそもなんで『未確定者』 何かになったのかがわからないんだか。。。
 
 「その辺はのう、人知も知れぬ事もあるのじゃ、諦めろ!」
 
 思いっきり騙されて居るような気がするが仕方ない、ここゴネて悪霊にでもなっても仕方ないし、どうせ死んでるんだ、また生きられるのならそれもチャンスと前向きに受け取るしか無いと思って生きる事にするが、このままでは癪に障るので条件を出す事にした。
 
 一 自由に生きる。神の干渉は受けない
 二 魔物の排除はも本人の意志を優先する
 三 何か能力を付けてくれる事
 
 「これに納得してくれるなら行っても良いぞ」
  
 婆ぁ(女神レスタニア)はクシャクシャな顔を更にクシャクシャにするとこういうのだった。
 「分かった、お主の要求はすべて飲もう。」
 「なに、本人がどう思おうと関わるものは関わるべくして関わってくるものじゃ。」
 
 女神レスタはしてやったりと不敵な笑いを浮かべながらこう告げた。
 「この後の大儀の為、そなたに様々な能力を授けよう。」
 
 「ただ、授けただでは使えんので『別の異世界』で修行してこい。なに、時間軸の関係で一瞬で戻ってこれるので心配いらん。では精進して来るのじゃぞ!」
 
 婆あにそう言われ再び意識を失うと次に目覚めたのはどこか草原だった。
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