勇者現代へ帰る。でも、国ごと付いてきちゃいました。

Azanasi

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第一章:異世界 アルスタン王国

アルスタン王国4

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 ■ アルスタン王国4
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 ▼ 王女、メルクリートの事情 ▼
 メルクリートが勇者は王配に迎えたいと言うのにはそれなりの事情があった。メルクリートは7歳の頃にグリズリア帝国の上位貴族であるヘルマン・チリリーノ公爵への縁談が約束されていた。
 ヘルマンは45歳で10人以上の妻を持ち嗜虐嗜好の持ち主のどSだった。
 
 当初はすぐにとの要望があったが成人するまではとなんとかしながら伸ばして来ていたのだった。
 メルクリートは15歳、成人を迎えたのですぐに輿入れとなるはずだったが魔神の討伐が今年持ち上がりこれを解決してからとなっていたのだ。
 
 アリエルはヘルマン公爵を嫌っていた。嫌っていたと言うほど生易しいものではなく心底毛嫌いしていたのだ。ヘルマン公爵は粗暴な性格で妻はすでに10人以上いると言われその妻達とは会うことは叶わないらしい。
 
 一節によるとヘルマンは嗜虐嗜好でいたぶられた挙げ句に死んでいるのではと噂されていた。
 本来ならそんなところへ嫁がせたくはないのだが、そこは国と貴族のしがらみがあり断るには相当の理由が必要だった。
 
 第一王女のため次期王女として皇太女にしようとしたが次女、三女がいることから外され現在は皇太女は空席となっていた。
 
 所が今回、勇者の件が降って湧いてきた。メルクリートはこれだと思ったのである。この世界は勇者の地位がとても高く爵位としては公爵相当で国王にも諫言を言える立場であるから公爵よりも高いとみなされる場合もあるが平民である限りは権力はないが可能な限りは尊重されていた。
 所謂、思いやりと言うやつである。
 
 この世界で勇者の権利は強く国王としても余程のことがなければ断れないほどだった。そんな勇者から王女を嫁に欲しいと言われれば喜びすらされても断るなんて事は考えるまでもないし断るなんてことは不可能だった。
 
 勇者は他の者が及ばぬ強さと権力を持つため王によっては妬んだり危険を感じて暗殺する自体も少なからずあったりしていた。 また、勇者は基本的にもとの世界に帰った例はない。
 
 ▼ 国内事情 ▼
 
 直人は話題を変える意味もあってこの国の通貨や事情を二人に聞いてみた。魔神を討伐するとは言ってもある程度国の事情や常識を知っておく必要がある。
 
 アルスタン王国はユートリア大陸で3番めの面積を持つ国で大陸の北東に位置する国で西部にはバルメニア教国があり南部はグリズリア帝国がある。
 政治形態は絶対王政であり中央集権化されている。亜人に関しては大陸で一番寛容であり、差別を禁じているため目に見える差別は行われていない。基本能力主義のため人族、亜人に関わらず平民から貴族への道も開かれており現に高位貴族の亜人も存在している。
 
 バルメニア教国は宗教国で完全な人族主義で亜人は奴隷として使われている。教会は
 エリステレサを主神としている、教国とは敵対はしていないものの何かと行ってくるためアルスタンとしてはちょっと鬱陶しい国であるが敵対するわけには行かないという事情がる。
 
 グリズリア帝国は皇帝を頂点とした軍事国家でアルスタンとは何度か交戦しており現在は10年の停戦協定中の5年目だと言うことだった。領土拡大を国是としており、周辺国を攻めて飲み込み巨大化している。
 ここも基本的には人族優先主義で亜人は例外なく兵役に使われるが、高い武功を建てると下士官程度までは出世することが可能だ。
 
 ▼ 通貨 ▼
 通貨単位はルドで表される。
 銅貨 =      100ルド
 銀貨 =     1000ルド
 金貨 =    10000ルド
 大金貨 =  100000ルド
 白金貨 = 1000000ルド
 
 通貨価値は日本の円と殆ど変わらない。通貨偽造や作成は大罪で一族郎党ともに打首になるため作るものはまずいない。
 
 アルスタンは階級社会で上位は国王、皇族、貴族、平民、農民となっており農民は基本的には生まれた領地から勝手に出ることは認められていないが近年はとくに問題になっていない限り届け出だけで比較的自由に出ることが出来る。
 これは領地の労働力と人頭税の確保のためである。
 
 アルスタン王国は現国王が善政を敷いていることもあり安定しているが貴族の一部の領地では貧困にあえぐ農村も少なくなく国王も頭を痛めているが領主に対して一方的に言えるわけでもなく改革まではまだ暫く掛かるだろうとのことだった。
 
 「うん、だいたい概算だけど状況は飲み込めたよ。後は実際に出て見てみるしかないな。
 ところで、例の悪神だけど居場所とかはわかってるんだよね。」
 
 《はい、生贄を捧げる場所はきもっていますからその近所だと思われていますが、実際の住居はわかっておりません。》
 
 「あぁ、それで十分だよ。じゃ、さっそく明日にでも行ってみるよ。」
 
 『えーーーっ!!』
 《ちょ、ちょっとお待ち下さい。いくらなんでも早急すぎますわ。暫く訓練をして力をつけてからでも遅くはないと思います。》
 
 「まあ、取り敢えずは様子見って感じで行ってみたいとは思ってるんですけどねぇ。」
 『ナオト、姫様の言う通り少し訓練したり経験を積んでからのほうが良いですよ。』
 
 「はい、はい、わかりました。その方向で検討してみますよ。」
 取り敢えず、検討する方向で話は流したものの正直、納得は行ってなかった。
 たとえ騎士と訓練しても所詮は人だし、魔神とは勝手が違うだろうし、何よりもこっちはさっさと討伐して帰りたいって思いが山盛りだったしね。
 まあ、そう入っても王女やアリエルの行為を無視するわけにも行かないから様子を見てみようかな。
 
 ▼ 騎士団長 & 宮廷魔術師との模擬戦 ▼
 
 翌日、朝食を終え自室に戻ってアリエルと寛いでいるとメルクリートがやってきた。
 《勇者様、よろしいですか?ってア・リ・エ・ルあなた何を食べているの?》
 
 『えっ、そ、そのう。朝食がまだなので軽くハンバーガーなるものを頂いております。』
 《もう、ちょっと目を離すと空きも何もあったもんじゃないんだから……ホントに…… 勇者様にご迷惑をかけてはいけないでしょ。》
 
 もう、この子ったら急に親しくなっちゃって……美味しいものも自分だけちゃっかり貰ったりしてほんとにずるいんだから……もう、悔しいったらありゃしないわ。
 
 「まあ、まぁ、別に大したことではありませんから、それにアリエルも喜んでくれますし。ところで姫様何用ですか?」
 《えぇ、ハンバーガー……じゃなくって訓練場で騎士団長のレオポルド様がお待ちです。昨日話しておりました模擬戦のお願いしたいと言うことなのですぐに向かって頂けますか?》
 
 はい、はい、模擬戦ねぇ~はぁ、嫌ってわけには行かないんだろうなぁ。ま、こっちの騎士団長とやらがどれだけ強いかは知るにはいい機会だろう。
 
 「はい、はい、わかりました。ほら、アリエル!!いつまでも食ってないで行くぞ!」
 『んぐっ……もう、喉につまらせちゃったじゃないですかぁ~。あぁあ、食事ぐらいゆっくり食べたいわ。』
 
 《ア・リ・エ・ル!! いい加減にしなさい!! 一人だけ美味しいものを頂いて何してんですか?》
 『ひーっ、ごめんなさい、ごめんなさい、ちょっと調子に乗ってました。行きます、行きます、すぐに行きますのでお許し下さい。』
 
 《はぁっ!!、ホントにもう、アリエルたら……》
 あぁ、こんなに仲良くなっちゃって妬けてしまいますわ。だけど羨ましい私も必ずきっと仲良くなって見せるんだから……
 
 ▼ 模擬戦 ▼
 
 城内を暫く歩いていくと訓練場に着いた。体育館ぐらいの広さかと思ってたらかなりの広さがありドームより完全に大きいみたいだ。
 
 訓練場に降りてみると騎士団長らしいおっさんと女の子がいた。女の子は確か初日にみた宮廷魔道士だとおもうが、騎士団長の影に隠れてよく見えない。
 また、脱がされるとでも思っているのか?、まあ、そんな事はするつもりはないのだがどうも信用はされていないみたいだ。
 
 {よくぞ来られた勇者度の。某はアルスタン王国、近衛騎士団、団長のレオポルト・ベルトーである、お手合わせ願いた。}
 {なにやら恥ずかしげな術を使うそうだが、それはなしにしてもらいたい。まあ、それがし、そんな術でまどわされるようなヤワな根性は持っておらんが婦女子がいる間では不敬に当たるからな。
 あはっ、ハハハ}
 
 団長さんは声を上げて笑う。そんな事するわけ無いだろう。誰得だよ。そんなおっさんの裸なんて気持ち悪いだけじゃん、頼まれたってするもんかて思ったが、まあ、口はつぐんでおく。災いのもとって言うしね。
 
 「わかりました。さっさとはじめましょう。」
 {おい、おい、獲物はどうした。持ってきていないのならそこに立ててあるものなら好きに選んで良いぞ!}
 
 団長が顎で示す先にはワインの樽ようなものに木製で出来た、剣やら槍などのがぎっしりと詰められている。
 
 「あっ、まだ、手加減がうまく出来ないですよねぇ。獲物を持つとたとえ木剣でも殺しかねないので無手で良いですよ。」
 {貴様、勇者だと言われて随分と傲っておるようだの……良かろうしっかりとその体に叩き込んで目を覚まさせてやろう。}
 
 団長は怒り心頭で頭にやかんを乗せたら湯が湧きそうな気配だ。ははっ、ケトルいらずだな。
 別に怒らせるきはなかったのだが、いや、正確に言えばあったかな、頭に血が登っていれば決着もは早く着くだろうとの作戦だ。
 
 「さぁ、審判さん、合図を!!」
 ”始め!!”
 
 俺が喋ると同時に開始の合図は発せられた。うーん、悪意があったね。なかったなんて言わせないよ。根に持ってるね。
 また、脱がしちゃうから知らないよ。
 
 そんな事を考えながら宮廷魔道士、ジェシカの方を見ていたらキェーーッとの叫び声で上げながら団長が正面から大剣を振り下ろしてきた。
 
 その速度は遅い……昼寝ができそうだ。これくらいの剣筋ならこっちに来る前の状態でも全然余裕でさばけただろう、祖父もとい爺の剣はもっと鋭く早いのだ。
 
 それがこの国に来てから身体はすっかり強化されているから完全に余裕だ。
 恐らくフェイントだろう。多分袈裟懸けに来ると思ったら予想通りにきた。
 
 それを軽く流して横面打ちから肘締めに入ると”ゴキ”っといい音がした。
 ”んぐっ!!” 団長は小さくうめき声を上げた。普通ならこれで終わりなんだが落とした大剣を拾って右手だけで持ち更にやる気満々だ……
 
 それ、木剣だからもてるんじゃないか?、真剣なら持つだけで振り回せないだろうと思いつつもこれ以上相手して怪我をさせるのも忍びないと思って。
 
 
 「まだ、やるなら手加減はしない、命の取り合いだ。恨むなよ。」
 そう言い終わると、ちょっとだけ、威圧かけると、ビクッ!!と反応して固まっている。
 
 『ま、参りました。』
 《…………あっ……あぅぅぅっ……も、もぉ~いや~~~》
 
 騎士団長のレオポルドは流石に騎士団長と言うだけあってそれなりにこらえたようだが、不幸なことに審判として俺より前にした宮廷魔道士のジェシカは俺の威圧をモロに浴びて、魔道士では放った威圧に耐えられずに訓練所の土を濡らしている。
 
 「おい、審判、判定は!!」
 《……いやーーっ、知らないわよ~っ!!》
 そう言い放つと、ヨロヨロとしながら外に向かって歩き出したが歩みは重い。
 
 『あぁ~ぁ、ジェシカ様を泣かしちゃった。』
 あらあら、ジェシカは間が悪いって言うか、何と言って良いのかしら? 勇者様とはめぐり合わせが悪いのかしら……
 
 あっ、でも勇者様! 今回のことは気にすることはありませんよ、模擬試合の審判を買って出たのはジェシカですし本人が耐えられなかったのは自分の責任です。
 たとえお漏らししようと自己責任ですから!!
 
 『あぁ~ぁ、言っちゃったぁ……みんな気づいていてもあえて口に出さずにいたのに……
 姫様って空気を読めない塩対応なんですね。』
 
 ジェシカはまだ、訓練場から出ていく途中だった。メルクリートの言葉がしっかりと聞こえたのだろう。遠くから姫様の"バカーーっ"って叫びが響き。ジェシカは泣きながら走って退場していった。
 
 
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