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第一章:異世界 アルスタン王国
勇者と国内事情
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■ 勇者と国内事情
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▼ 国王と騎士団長 ▼
騎士団長との模擬戦が終わり直人たちが部屋に戻って紅茶を飲んでいる頃、国王と宰相のベルナウ・フレデック、騎士団長のレオポルド、宮廷魔道士のジェシカ達は直人に付いて話し合っていた。
国王はひげのない顎を撫でながら騎士団長の話を聞き終わると少し考え込んだようにしながら話しだした。
「なるほどなぁ~今度の勇者はそれほどであったか。それだけ強ければ今度こそ魔神を倒せるかもしれんなぁ~魔神討伐はこの国の悲願でもあっただが……騎士団長を子供扱いとはそこまで強いか……無手でなぁ~うむぅ~っ、どうしたものかな?」
『陛下何も考えることはございません、勇者が魔神を倒したら暗殺すればよろしいかと、なに、勇者といえども魔神討伐後の祝賀会では浮かれておりましょう。その時を見計らって毒をもればたとえ勇者といえども所詮は人……』
『 前の勇者も女に刺されて死ぬという無様な死に様でしたし』
{お、お待ち下さい。国のために戦った英雄を暗殺ですか?、それはあまりに酷くはありませんか? 騎士道に反しますし民も国に不信感を持つでしょう。反対派の貴族たちが焚き付けて反乱になる可能性もありますので私は賛成しかねます。}
騎士団長は根っからの騎士であり政治力はあまりないが部下からは信用され頼りにされていた。まあ、脳筋ではあるのだが……
『団長殿、その心配はいらないでしょう。なに、毒と言ってもすぐに聞く毒では流石にまずいでしょうけどある程度の期間をかけて弱らせればいいでしょう。国民には魔神を討伐した呪いで勇者は死んだといえば納得するでしょう。』
「ジェシカ、そなたの意見はどうだ。勇者にはさんざんな目にあったそうだが、それを含むことなく宮廷魔道士として忌憚のない意見を言ってほしい。」
《私は心情的には殺してやりたいぐらいです。2度も辱めを受けてもう、嫁にも行けないでしょう。しかし暗殺には反対です。》
《私は暗殺に成功するとは思えないのです、いえ、必ず失敗するでしょう。》
《そもそも暗殺する必要性も感じません。私は姫様や勇者付きのメイド、アリエルから報告もされていないような日常の話も聞いていますし、私自身も影から観察して出した意見です。》
『ジェシカ、暗殺する必要性を感じないというその根拠はなんだ?、姫様の話を聞いたぐらいでは納得できんぞ!、そもそも、勇者はまだ、2日しか経っておらんではないか?』
《私はこれでも宮廷魔術師です。人を見る目、いいえ、人の人心を鑑定する能力は大陸一だと自負しております。》
《その私の見解は勇者の根本は善です。そして性格はお人好しであり、例えるなら犬です。但し一度、心が反転すればそれは毒蛇であり氷です。一切の容赦をしないでしょう。 勇者のレベルは100です。魔法を全属性を持ちそのレベルはすべて10、魔力に至っては999999です。私が鑑定したので間違いはありません。》
《さらに勇者は召喚の際にエリステレサ様にあって直接魔神の討伐を頼まれたそうです、これらから推測できるのは勇者はエリステレ様の使徒である可能性が高いと私は思っております。それほどの力を持つ者ががこの国に復習をしたらどうなるとお思いですか?》
魔術師、ジェシカの話を聞いた他の三人は何かぶつぶつと言いながら心此処にあらずと行った感じでどうやら別世界に旅立ったようだ。
やはりというか陛下が一番に戻ってきた。
「ジェシカ。それは真なのか?」
陛下はジェシカの言ったことを信じないと言うよりは信じたくなかった。それほどの者なら暗殺を企ていたなんてことが知れたら……そんな思いが陛下の頭の中を駆け巡っていた。
ハイ、間違いありません。さらに騎士団長殿との模擬試合の結果を見てやはり鑑定はまちがいではなかったと確信しました。
「LV100って……そもそもレベルは10までさらに魔力999999って……奴は果たして人間なのか?」
《陛下、鑑定の結果では人族とありました。ただ、エリステレサ様の加護もLv10で着いておりましたからそこから使徒ではないかと思ったのです。もし、使徒であれば人では能力を計り知れることは不可能でございます。》
「どうしたものかの~ぅ」
国王は頭を抱えていた。討伐後、過剰な戦力は反乱でも起こされたら防ぎようもない。それに他国からの必要以上に警戒され戦乱の恐れさえある。
『陛下、いっそのこと姫殿の婿にされたらどうです。王配ともなればこの国にあだなす事はありますまい、姫殿も勇者をお気に入りのご様子、平民とは言っても勇者となれば問題にはなりませんからな。他国との関係も心配には及びますまい。』
『そもそも当国に攻めてくるとなればグリズリア帝国しかないでしょう、あそことはどっちにしろまともな話は出来ませんからな。』
『グリズリアの事ですから勇者を引き渡せと言ってくるでしょうが、引き渡すのは最悪の手段ですぞ!、それを考えると暗殺できないなら王配候補に据えて公爵にすればよろしいかと。』
「うむ、それも手じゃ……レオポルドとジェシカ。そなたたちの意見はどうだ。」
《はい、私はそれが最善の手だと思います。姫をあの破廉恥な男の餌食になるかと思うと血の涙を流す自身はありますが、この国の行く先も思えば致し方ないでしょ。
あの男はそもそも、野心は全くありません。好きな者、自分の身の回りのものと楽しく暮らせればそれでいいと思っている男でございます。但し、それに手を付けるようなものが現れればその怒りは苛烈なものとなりましょう。》
{私には勇者殿の心情はわかりかねますが……これだけは言えます、一見、頼りなく軽そうに見えますが、恐らく向こうの世界でも何らかの武術を極めていたのではないかと思います。
勇者殿が住む世界は平和で本物の剣など見る機会さえ殆どないと聞き及んでおりますが、それなのに剣を前にして微動だにしない心根、あの威圧の強さ。常人ではござりません。
私はあれ程の威圧をこれまでに受けたことはありませんでしたが、まだ、あれでも手加減しているようでしたから恐ろしくもありますが味方なら心強いでしょう。}
「うむっ、わかった。皆の者の考えも聞けたし、勇者の件は姫の王配候補と言うことで、討伐に旅立つ前に男爵に叙爵して討伐が出来たら伯爵に叙爵すればよかろう。
儂が退位するまでは討伐終了後に伯爵爵に叙爵しメルクリートと結婚させるには勇者でも高位貴族のほうがう良かろう。婚姻後は公爵として叙爵して儂の退位後は王配としてメルクリートを補佐してもらおう。
よし、では、今のを勇者に対する基本方針とする、良いな!」
『《はい、心得ました。》』
▼ メルクリートとジェシカ ▼
ジェシカは4者会談の結果をメルクリートに話した。
《えっ、おとう、いえ陛下が勇者様との婚姻をお認めになったの?》
『はい、魔神の討伐が条件にはなりますが……』
《うふっ、もう、陛下も仕方ないわねぇ~でも、陛下の言いつけなら聞かないわけには行かないし。私は勇者様の妻、后となるのね。もう、どうしましょう。》
メルクリートは顔を赤らめ点にも昇る気持ちだった。
陛下は私が勇者様と結婚したいといえば反対はしないと...いえ、反対しても説き伏せる自信はあったけど、陛下から言葉ならこれよりまさるものはないわ。
『ひ、姫様、落ち着いて下さい。正式には次期、国王、いえ女王の夫。つまり王配候補です。』
姫様が王なので后にはなりません。后とは王の妻なのですから……それより、本当にあんな破廉恥極まりないエロ男を夫に迎えるおつもりですか?』
《何言ってるのよ、勇者様は優しくて立派なお方よ。あの時は上着だけ取るつもりが、魔法に慣れてなくてあんな結果になったけど許してあげなさい。勇者様もやりすぎたと反省していらっしゃったわ。ジェシカ様と仲直りすると良いことが有るわよ。勇者様はご自身の国の物を何でも取り寄せられるのよ。》
《 デザートなんて最高だったわ。あの滑らかさ、得も言われぬ甘味。どれもがこの国にはない最高の味だったわよ。》
《 それにほら見て……》
そう言うとメルクリートは首を少し回して髪を振ってみせた。
《ねっ!!、サラサラでしょ。触ってみていいわよ。》
『うっ!!』
そんな髪を触って見せなくてもひと目見たときから気づいていたわよ。きっと王女だからどっかの国から特別な髪洗い粉を手に入れたと思っていたのに、きっととんでもない価格だろうから私に無理よねぇって悩んでいたのに……勇者から貰ったですって。
そういえばアリエルも髪がサラサラだったわ……酷い、酷いわ。自分達だけ……
『ま、まぁ、向こうが反省して五体投地して謝るつもりが有るのなら許してやらないこともないけど』
《あら、あら、ジェシカちゃん、何言ってるのかしらあなたが一番、わかってるのじゃないかしら? 勇者様は悪い人ではないって……野心なんてまったくもっていらしゃらないわ。それにあの勇者嫌いのアリエルがもう、嫉妬するぐらい勇者様にベッタリなのよ。ほんとムカつくわ!!》
《 あら、私ったらなに、変なこと言ってるのかしら。おほほほほっ♪♪》
『…………』
はぁ、姫様ったら何舞い上がってるのかしら……まあ、たしかにグリズリア帝国の豚親父、あら、豚に失礼よね。あんなゲスの妾になるよりは確かに100倍はマシでしょうからわらなないわけじゃないけど……
言われなくったってわかってるわよ。
召喚して始めてみた時に私の心に鈴がなった。これは一目惚れ、いいえ、私にとっては比翼の翼の片方となり得る人だって……
それなのにあんな事……あんな事になるから掛け違えちゃったじゃない……
嫁入り前の乙女をスッポンポンにするなんてひどすぎるわ……はぁ、でも過ぎたことは忘れるべきなのかしら、復習なんて出来ないししても自分が悲しくなるだけ……
な~んだ、そうか♪♪ その手があったわ。スッポンポンに剥かれて嫁に行けない体にされたんだから嫁にもらってもらえれば良いんだ。
うふふっ、私は勇者の婦人だ……はははっ、なーんだ簡単なことじゃない。
さて、勇者に責任をとってもらいましょうかね。
『姫様、私、勇者と話をしてみようと思います。』
《そう、それが良いわ。うん、大丈夫よ。きっと誤解は解けるわ。頑張って!!》
あら、あら、ジェシカったら意外と簡単に勇者様との和解に納得してくれたわね、本当はもう少し時間がかるかなぁって思ってたけど。
勇者様が魔神を討伐すればジェシカも少しは折れるかと思っていたけどその必要はなかったみたい。甘味好きのジェシカのことだからデザートに負けたのかしら。
メルクリートはジェシカが勇者と結婚を考えているとは夢にも思っていなかった。
デザートに釣られたのは有るだろうけれども、ジェシカも国を代表する宮廷魔導士、魔道士としての矜持として勇者とのいざこざは解決しなきゃいけない問題だと自覚していると考えていた。
和解して魔道士と勇者が普通に協力し合える関係になれば十分だと考えていた。
結果、メルクリートはライバルを増やしたことに気づいてはいない。
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