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第39話 辺境伯家9
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「パトライア、少しの間見ないうちに随分と見違えたな」
少しの間・・・というか一晩だと思われます。
「隣りにいるのはサリー殿か?今日はまた一段と若々しくなっているな」
「坊ちゃま、年寄りをからかわれては困ります。奥様の健康法を私も実践してみましたのです。そのような甘い言葉をいただきますと坊ちゃまの初めてのお相手をした時を思い出しますわ」
ぶほっ。何かすごいことをさらっと言い放ったゴブ。
これはあれかな。
女性経験の無い成人したての貴族男性に夜の手ほどきを教えるという貴族あるあるか
「坊ちゃんはよしてくれ。これでももう家督を息子に譲ってもよいぐらいに我も年をとっているのでな。サリー殿にはいつまでも成人したての若造扱いされてかなわん」
辺境伯様の黒歴史と屋敷内の微妙な力関係が垣間見えた瞬間ゴブ。
「ふふふ、女にとってはいつまでも出会った頃の印象が残りますから。何なら今夜でもあれからどれだけ上達なされたか確かめさせていただきますわよ?」
「あらあら旦那様もサリーも朝からいけませんわよ。でもその気持ち分からなくもないですわ。こんなに体が軽くて気持ち良い気分は久しぶりですもの」
パトライア奥様はあんな不穏な会話も気にならないほど上機嫌なようだ。
一応こちら側の全員は聞こえていないふりをしているな。
奥方様は無言の微笑みのまま静かに座っているし、ハッテンダム子爵は娘と義理の息子が仲良く会話しているのを微笑ましく眺めている。
「うは~。こんな美人に筆おろししてもらったなんて辺境伯様はうらやましいっす。俺なんて母様のお茶会仲間で随分前に未亡人になったっていう母様よりの年上の・・ぐぼッ?」
カタリナ殿が目線で合図を送ってきたゴブ。
「ゴブ!!」(お嬢様の前で卑わいなことを言うなって何度も言っているゴブ!)
「くは~。今日の小鬼さんの腹パンチは結構重いっす。油断するとヤバいっす」
フフフ。最近会得した必殺技 [狂戦士化ツッコミ]
インパクトの瞬間だけ狂戦士化するのだゴブ。
目が一瞬赤く光ってカッコいいのだ。格ゲーの超必殺技の発動時のようにな!!
お嬢様と気持ちが一体化した時だけ発動可能(ウソ)
「相変わらず器用なことをしますね・・・」
お嬢様はあきれ気味だ。
「も~。ライアン様~。せっかくみんな聞こえないふりしていたのに無駄になっちゃったじゃないですか~。朝から下品なこと言わないでくださいよ~」
おいこら。ポンコツメイド、お前も声が大きいっての。
「うふふふ」
「おほほ」
食堂にはさわやかで乾いた笑い声が響いたのであった。
~~~~~~~~
辺境伯家の朝食はステーキだった。
朝からお肉がいっぱい食べられるなんて最高だゴブ。
お嬢様は一口しか食べてなかったゴブ、もったいないゴブ。
辺境伯の奥様の登場でなぜかみんなからすごい圧を感じたけどおいしいお肉の前ではそんなことは全て無意味なものに感じたゴブ。
「まぁ、ミセッティ様が奥様方に聖魔法で処置をしたのは良いとして。少々疑問が発生しましたね」
出来るメイド、カタリナさんが不審に思っているようで部屋に戻ってつぶやいた。
「ゴブ」(な、なにを言い出したゴブ)
「少し失礼します」
カタリナさんが朝着替えたパジャマの中などわたしの荷物を探り出した。
「ゴ、ゴブ」(マズいゴブ)
着替えのパジャマの隙間から金貨が1枚ポロリと出てきた。
「やはり・・・どういうことか説明してもらいますよ?」
「ミセッティ、あなたいつの間にコソコソとそんなことを・・・」
「ゴブ」(違うんだゴブ。奥様はとても優しくて最後はお小遣いまでくれたんだゴブ
「そ、そ~ですよ~。奥方様も辺境伯様の奥様たちがきれいになられたのに反対されていませんですし~。ミセッティ様もこのように無事で無傷ですし~」
おおっ。いつもポンコツのくせに今回は味方になってかばってくれるのか。
いつもバカにして悪かったゴブ。これからは少しだけ認めてやるゴブ。
わたしは昨日の夜のことを簡潔に説明した。
貴族女性の住居への不法侵入、窃盗、暴行未遂を不問にしていただき、報酬に金貨までいただいたゴブ。
もう少しで一生消えない十字架を背負うところだったところを救われたゴブ。
一生懸命に説明するとカタリナさんがため息交じりに語りだした。
「ふ~。まず1つ。ミセッティ様がお嬢様を介せずに単独で聖魔法を行使できることを公開しておりません。2つ、ミセッティ様がお嬢様を通さずに人間の言葉を理解していることも公開しておりません。3つ、ミセッティ様がお金が大好きなゴブリンであることはほぼ知られておりません」
マリ-の顔が明らかに動揺して青ざめてきている。
「ミセッティ様から聞いた話をまとめると辺境伯様奥様に情報を流した身近な者がいることが推測されます。具体的にはお嬢様か私かライアン殿かもしくは・・・」
じろりとカタリナさんがマリーの方を睨んだ。
「はひ~。すびません~。私が奥様の傍仕えのサリー先生に脅されてしゃべっちゃいました~。サリー先生は学園に通っていた頃の貴族の作法講義の先生なんです~」
マリーが泣いて土下座をして謝りだした。さっきまで上機嫌だったのが嘘のようだ。
「全く・・・まぁバレるのは時間の問題でしょうし、辺境伯奥様や恩師にお願いされると断るのはむずかしいでしょうしね・・・」
「そ~なんです~。それに上手くいったら私に良い縁談を用意してくれると約束していただいたのでつい協力しちゃいました。てへっ」
おいこらぁ。積極的に売ってんじゃないか。同情して損したゴブ。
「くっ。奥様も私の方に相談いただければ良かったものを・・・」
そして何故そこでカタリナさんは悔しがっているゴブ?
カタリナさんは信頼しているゴブよ?
少しの間・・・というか一晩だと思われます。
「隣りにいるのはサリー殿か?今日はまた一段と若々しくなっているな」
「坊ちゃま、年寄りをからかわれては困ります。奥様の健康法を私も実践してみましたのです。そのような甘い言葉をいただきますと坊ちゃまの初めてのお相手をした時を思い出しますわ」
ぶほっ。何かすごいことをさらっと言い放ったゴブ。
これはあれかな。
女性経験の無い成人したての貴族男性に夜の手ほどきを教えるという貴族あるあるか
「坊ちゃんはよしてくれ。これでももう家督を息子に譲ってもよいぐらいに我も年をとっているのでな。サリー殿にはいつまでも成人したての若造扱いされてかなわん」
辺境伯様の黒歴史と屋敷内の微妙な力関係が垣間見えた瞬間ゴブ。
「ふふふ、女にとってはいつまでも出会った頃の印象が残りますから。何なら今夜でもあれからどれだけ上達なされたか確かめさせていただきますわよ?」
「あらあら旦那様もサリーも朝からいけませんわよ。でもその気持ち分からなくもないですわ。こんなに体が軽くて気持ち良い気分は久しぶりですもの」
パトライア奥様はあんな不穏な会話も気にならないほど上機嫌なようだ。
一応こちら側の全員は聞こえていないふりをしているな。
奥方様は無言の微笑みのまま静かに座っているし、ハッテンダム子爵は娘と義理の息子が仲良く会話しているのを微笑ましく眺めている。
「うは~。こんな美人に筆おろししてもらったなんて辺境伯様はうらやましいっす。俺なんて母様のお茶会仲間で随分前に未亡人になったっていう母様よりの年上の・・ぐぼッ?」
カタリナ殿が目線で合図を送ってきたゴブ。
「ゴブ!!」(お嬢様の前で卑わいなことを言うなって何度も言っているゴブ!)
「くは~。今日の小鬼さんの腹パンチは結構重いっす。油断するとヤバいっす」
フフフ。最近会得した必殺技 [狂戦士化ツッコミ]
インパクトの瞬間だけ狂戦士化するのだゴブ。
目が一瞬赤く光ってカッコいいのだ。格ゲーの超必殺技の発動時のようにな!!
お嬢様と気持ちが一体化した時だけ発動可能(ウソ)
「相変わらず器用なことをしますね・・・」
お嬢様はあきれ気味だ。
「も~。ライアン様~。せっかくみんな聞こえないふりしていたのに無駄になっちゃったじゃないですか~。朝から下品なこと言わないでくださいよ~」
おいこら。ポンコツメイド、お前も声が大きいっての。
「うふふふ」
「おほほ」
食堂にはさわやかで乾いた笑い声が響いたのであった。
~~~~~~~~
辺境伯家の朝食はステーキだった。
朝からお肉がいっぱい食べられるなんて最高だゴブ。
お嬢様は一口しか食べてなかったゴブ、もったいないゴブ。
辺境伯の奥様の登場でなぜかみんなからすごい圧を感じたけどおいしいお肉の前ではそんなことは全て無意味なものに感じたゴブ。
「まぁ、ミセッティ様が奥様方に聖魔法で処置をしたのは良いとして。少々疑問が発生しましたね」
出来るメイド、カタリナさんが不審に思っているようで部屋に戻ってつぶやいた。
「ゴブ」(な、なにを言い出したゴブ)
「少し失礼します」
カタリナさんが朝着替えたパジャマの中などわたしの荷物を探り出した。
「ゴ、ゴブ」(マズいゴブ)
着替えのパジャマの隙間から金貨が1枚ポロリと出てきた。
「やはり・・・どういうことか説明してもらいますよ?」
「ミセッティ、あなたいつの間にコソコソとそんなことを・・・」
「ゴブ」(違うんだゴブ。奥様はとても優しくて最後はお小遣いまでくれたんだゴブ
「そ、そ~ですよ~。奥方様も辺境伯様の奥様たちがきれいになられたのに反対されていませんですし~。ミセッティ様もこのように無事で無傷ですし~」
おおっ。いつもポンコツのくせに今回は味方になってかばってくれるのか。
いつもバカにして悪かったゴブ。これからは少しだけ認めてやるゴブ。
わたしは昨日の夜のことを簡潔に説明した。
貴族女性の住居への不法侵入、窃盗、暴行未遂を不問にしていただき、報酬に金貨までいただいたゴブ。
もう少しで一生消えない十字架を背負うところだったところを救われたゴブ。
一生懸命に説明するとカタリナさんがため息交じりに語りだした。
「ふ~。まず1つ。ミセッティ様がお嬢様を介せずに単独で聖魔法を行使できることを公開しておりません。2つ、ミセッティ様がお嬢様を通さずに人間の言葉を理解していることも公開しておりません。3つ、ミセッティ様がお金が大好きなゴブリンであることはほぼ知られておりません」
マリ-の顔が明らかに動揺して青ざめてきている。
「ミセッティ様から聞いた話をまとめると辺境伯様奥様に情報を流した身近な者がいることが推測されます。具体的にはお嬢様か私かライアン殿かもしくは・・・」
じろりとカタリナさんがマリーの方を睨んだ。
「はひ~。すびません~。私が奥様の傍仕えのサリー先生に脅されてしゃべっちゃいました~。サリー先生は学園に通っていた頃の貴族の作法講義の先生なんです~」
マリーが泣いて土下座をして謝りだした。さっきまで上機嫌だったのが嘘のようだ。
「全く・・・まぁバレるのは時間の問題でしょうし、辺境伯奥様や恩師にお願いされると断るのはむずかしいでしょうしね・・・」
「そ~なんです~。それに上手くいったら私に良い縁談を用意してくれると約束していただいたのでつい協力しちゃいました。てへっ」
おいこらぁ。積極的に売ってんじゃないか。同情して損したゴブ。
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カタリナさんは信頼しているゴブよ?
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