悪役に好かれていますがどうやって逃げれますか!?

菟圃(うさぎはたけ)

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遂に僕は明日6歳になる。
そして6歳になる年に王都で大きめのパーティが開かれる。

7歳の時に初等部に入学するから先んじて顔合わせをするという名目でパーティが開かれるらしい。
このパーティにはいろんな貴族が来るから、昔鉢合わせかけたあのマーモットという伯爵も来る。

ほぼ毎日手紙が来るみたいだけど、お父様が見つけ次第すぐに燃やしているらしい。
お父様とお母様にしっかりと守られていて、昔より落ちつて過ごせるようになった。

6歳を迎えてから数日で王都のパーティが開かれるので、僕達家族は王都に向かう為の準備をしている。
ぬいぐるみ達を沢山持っていけないというか言われて、数日間はべしょべしょに泣いたけどやっぱり許してもらえなかった。

今は選抜してどの子を持っていくか悩み中である。
ラグくんは当たり前だとして、後はパレッタと…ロクくんにしよ!

ラグくんはお外に出したままにして、パレッタとロクは少し大きめのカバンに入れた。
ぎゅうぎゅう詰めにすると型がついちゃうからぬいぐるみ専用のカバンにしてる。

必要な物は全て侍従の皆が詰めててくれて、僕は他にすることが完全になくなった。
皆の周りをうろちょろとして、荷造りをみて少し楽しんでいる。

邪魔をするつもりはないから、少し眺めてから僕はすぐに侍従の皆から離れて、お父様とお母様の元に向かった。
皆が忙しなく動いているという珍しい風景を眺めながら、お父様の書斎についた。

コンコンと扉を叩いたけど、お父様からの返事はない。
もう一回叩いても返事がなかったので、書斎の扉をそっと開けて中を覗いてみると人の姿が見られなかった。

「お父様お仕事じゃないのかな?」

お父様の書斎から離れて、お父様とお母様の寝室に向かおうとしたけど辞めた。
あまり近づかないようにと侍従に口酸っぱく言われていたことを思い出した。

大人しく自分の部屋に戻って、荷造りが終わるのを待つことにした。
部屋に置いてある棚の本を手に取り、大人しく読むことにした。

僕が好きで呼んでいる本で、題名は「聖女と竜」という物。
題名からしたら子供向けに見られるんだけど、内容は重たくて子供向けには作成されてなかった。

そして解読されていない文字が沢山利用されている所が多々あり、解明する為に色んな学者が頑張っているけど未知の文字で解読ができないと頭を抱えている代物でもある。
その解読ができない文字は日本語だった。

解読できないのは仕方ないと思う。
だって、この世界で使われていない文字なのだから、どの文献を探しても見当たる文字は出てこないと思う。

でもなんで日本語が使用されているのかはわからない。
古代文献も暇つぶしで読み漁るようにしてるけど、僕と似たような人が居たなんて一文も見つかっていない。

この本を執筆したのはこの世界の住人と、日本から来た誰かか、僕みたいに転生した人なのだろうか?
そんなことを考えながら本を読んでいるとふととある一文に目が行った。

指でなぞりながら読んだ一文は日本語で書かれた文だった。
《聖女は異世界から召喚された存在である。稀に異世界の迷い子でこの世界に舞い降りることがあるが、皆総じて聖属性を所持している。そして私は現地の人間には伝えていない特殊なスキルを要している。ーーーーー》

これ以降の文言が掠れて読めなくなっていた。
保管されているはずの本なのにこんな事があり得るんだろうか?

次に書かれている文字は問題なく読めていて、先ほどの文字は意図的に消された物だろうと思った。
消されたものはどうしようもないので、黙々と続きを読んだけどあの日本語で書かれた文章より有益な情報を得られなかった。

どうしてもあの文章が読みたいから、お父様とお母様に後で相談してみよう。
ある程度の区切りで本を閉じて、続きは明日に読むようにする。

本を元の所に戻さずに、パレッタとロクが入っているカバンの奥底に入れた。
本を奥底に入れてる間に準備が終わったみたいで、お父様とお母様が僕を呼びに来てくれた。

カバンを持ってラグくんを片手で抱っこすると、お父様とお母様の元に駆け寄った。

「お父様先ほど書斎に行ったのですが、おられなかったみたいでどこに居られたのですか?」

「馬車の確認をしてきたんだよ。ネヴィの初めての長距離移動になるから、少し特殊な加工をしてもらっていたんだよ」

お父様が僕のカバンを持ちながら、ゆっくりと頭を撫でてくれた。
確かに近い距離の移動はザインハルト様とお会いする時にはあったけど、長距離での移動は初めてだから不安も若干があった。

「お父様も初めての長距離はとても苦労した覚えがあるからね」

「お母様もあの当時はとっても苦労した思い出があるわ。今でも少し辛く感じる事があるもの。大人ですら辛い事が子供のネヴィにはもっと辛い事でしょ?」

お母様も一緒に僕の頭を撫でてくれる。

「さて、二人とも馬車の所に行こうか」

「はい!」

お母様と手を繋ぎ、3人で横並びになりながら馬車の所までゆったりと歩いた。
たどり着いた馬車は一見地味に見えるけど精巧な作りになっている。

大きさも普段より大きくて3人では少し広いぐらいに思う。
お母様に手を引かれ、侍従が開けてくれる扉から馬車に乗ると変わった椅子が前後についていた。

椅子に座るとふわっとしていて、体を預けたら沈む感じがする。
足元に不思議な箱があって何に使うかわからない物だった。

お父様とお母様も座ると侍従が僕の足元にある箱を組み立て始めた。
組み立て終わって、その箱の上にふわふわのクッションが引かれるとソファが僕からしたら簡易ベッドみたいになった。

手をクッションの上に置いてゆっくりと体重を掛けるけど見た目以上に頑丈みたいで音一つしない。
お父様が僕の椅子側にカバンを置いてくれた。

カバンを開けてパレッタとロクを出して扉とは反対側に置く。
カバンの底から本を取り出して、ロクの隣に置く。

ラグくんは旅のお供だからいつも通り、僕が抱っこしている。

「出してくれ」

お父様がそう伝えると馬車がゆっくりと動き始めた。
今日から五日かけての馬車の旅が始まるのだ!とワクワクした。
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