悪役に好かれていますがどうやって逃げれますか!?

菟圃(うさぎはたけ)

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勉強会が終わったのは、夕食の時間が始まる時間の少し前だった。
みんな満足した顔で教室から出て行った。

僕はゆっくりと片付けて教室から一番最後にでた。
外は真っ暗になっていた。

かなり長い時間勉強したんだなって思った。
薔薇寮まで帰る道のりで空を見上げると、まん丸なお月様が見えた。

今日は満月なんだなーって呑気に思いながら寮までゆっくりと歩いて帰った。
たどり着いた時に丁度夕食を知らせるチャイムが鳴り響いた。

教科書が入っているカバンを持っているから、先にカバンを置くために自分の部屋に戻った。
部屋に戻ったらそういえばと一つ忘れていた事を思い出した。

料理ができるようにスーパーが併設されているから、料理をしようと思っていたんだった。
料理道具は学院側が一通り用意してくれているみたいで、料理もできる状態になっていた。

料理も一興だなって思ったんだけど、まあ当たり前の問題点として低身長すぎて台所に届かない。
椅子を置いて料理をしても、毎回何か作業するたびに椅子を移動している事を考えると、僕には料理するのはハードルが高すぎるとわかった。

カバンから教科書を出して、教科書を棚に綺麗に並べてから食堂まで降りた。
ちょうど夕食の時間が始まったばかりで人がいっぱいだった。

薔薇寮だから多くても、ぎゅうぎゅう詰めというわけではなく、全席埋まりかけているぐらいだった。
薔薇寮自体少し小耳に挟んだ話なんだけど、全学年のSクラスのみしか入れないという事だった。

それでもこんなに人がいるということは優秀な人が多いんだな。
ほのぼのしながら料理を頼んでいると、食堂の入り口から騒ぎ声が聞こえてきた。

「伯爵家の私が薔薇寮に入れないなんておかしいですわ!どうして平民なんか薔薇寮にいるんですの!」

伯爵家の生徒らしいけど…、どこの学年の生徒なんだろうか。

「新入生あるあるだよね~。今年の一年生は6人しかSクラスに入れなかったんだっけ?勉強しなかった自分が悪いのに棚を上げて騒ぐなんて教養がしれてるよね~」

話し方的に平民の方である上級生の話で新入生である事を知った。
Sクラスにいる伯爵家は僕と、クラウゼン様だけだしね。

僕はうまうまーっと今日のご飯であるカレーライスを食べている。
子供向けに作られていて甘口だけど、まだ子供舌の僕にはとってもありがたい。

最後まで食べ切ると皿を返却口まで持っていった。
帰ろうと思ったけど食堂の入り口は賑わっていた。

これまださっきの騒動が終わってないのかな?って思った。
ひょこっと覗いてみると多分同級生らしき女子生徒がまだ騒いでいた。

先生はまだ来てなかったみたいで、みんなわたわたしているだけだった。
最早ギャーギャー声で叫んでいてみっともなかった。

貴族なのに叫ぶなんてどこから学んだんだ。
部屋に戻りたいから騒動を通り抜けようとすると、バチっと視線があってしまった。

視線をついっと逸らして僕は部屋に戻ろうとしたら、腕を掴まれて僕はその場から離れられなかった。
掴んだ人の姿を見れば騒ぎの中心の女子生徒だった。

「なんでハーフエルフ如きがここにいるのよ!私とその地位を代わりなさいよ!」

ええ…、僕にそれ向けられても困るんだけど…
7歳の子の力に逆らえるわけなく、引っ張られたと同時に簡単に転けてしまった。

「いたっ…」

「うるさいわよハーフエルフ!」

襟首を掴まれて頬叩かれそうになってぎゅっと目を瞑った。
いつになっても痛みが来ないからそっと目を開けると、見知った黒色の髪が見えた。

「何をしている」

見知った彼、ラグザンドが叩かれそうになった腕を止めてくれたんだ。
女子生徒は何もいえずに固まっていた。

「何をしているんだと聞いているんだ」

「あの、その…」

震えた声が聞こえてくる。

「ハーフエルフがどうのこうのって、種族差別は貴族間でも禁止されている事を知らないのか?」

「いたっ…痛いです…」

女子生徒が段々と泣きそうな顔になってくる。

「ネヴィレントの方がもっと痛かった。勝手に、お前が、当たって、怪我をさせて、許されると思ってるのか?」

あまりにもの圧に女子生徒が泣き始めた。
ラグザンドがかなりキレている表情が見えた。

「ラグザンド」

「ネヴィレントに謝れ」

「ラグ!!」

「あ…、ネヴィレントごめんね。1人放置してしまって」

女子生徒を突き飛ばして、僕の元に駆け寄ってきた。
突き飛ばすって…

「ラグザンド突き飛ばしちゃダメでしょ?でも、助けてくれてありがとう」

「ん」

ぎゅっと抱きついてきて、頭をぐりぐりと擦り付けてくる。
大型犬に懐かれている気分だー。

「これは一体どういう事だ!」

やっと先生がきてくれてこの場が納められた。
後日聞いた話なんだけど、女子生徒は桜寮から柳寮に変更されて最低8回のテストを受けても昇級できない事も確約された。

僕は少しの間だけラグザンドから解放されなかった。
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