悪役に好かれていますがどうやって逃げれますか!?

菟圃(うさぎはたけ)

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ネヴィレントがいなくなってから既に一週間は経過していた。
ハンスは自身が探しに行きたい衝動を抑えて、屋敷で待機をしている。

精霊池の守り手という役職が原因で長くこの地を離れることができない。
自身のその役職を恨めしくも思いつつも、この役職があるからこそ他の種族を従えることができる。

他の種族からネヴィレントが見つかっていないと報告を聞く度に怒りを露わにして探索を急ぐようにとせかし続けた。
やっと得られた情報もかなり小さな入り口の洞窟の中に、誰かが最近まで過ごしていた形跡があった。

魔法で作られた蔦が運ばれた時、ハンスが魔法でその蔦を鑑定するとネヴィレントの魔法によって作られた蔦である事が確認できたのが、ネヴィレントの唯一の形跡だった。
隠密なども一切覚えていないネヴィレントがここまでいろんな種族を撒けているのは、精霊の力がかなり強いおかげであるのもハンスは理解した上で人海戦術での捜索を行ってもらっている。

だが、精霊の能力を効率よく利用できてしまっている故に、ただの捜索隊を撒き続けている状態になっているのだ。

「どこにいるんだネヴィレント…」

ハンスの目の下には濃い隈が出来上がっており、誰が見てもまともに眠れていないことが伺える。

「旦那様…少しはお休みになってください。お体に障ってしまいます」

少し痩せてしまったメルトがハンスに心配の言葉をかけた。
心配しているメルトも憔悴しているが、ハンスほどの憔悴加減ではなかった。

というのも、メルト自身も心配で寝ることができない状態であったが、前日に体力が尽きて失神するから形で睡眠を取ったから少しはマシというだけだったのだ。

「ネヴィレントが不安な状態で眠ることが私にはできないのだ…。どうしてあの子にこんなに災難が降りかかるのだ」

頭を抱えて項垂れるハンスにメルトはそっと寄り添った。

「ネヴィレントはきっと大丈夫ですわ。旦那様と私の子供なんですもの…きっと無事ですわ」

「どうかネヴィレントが無事でいてくれ…」

ハンスの切実な願いを聞いたのは虚しくもメルトだけだった。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「準備が整いました」

純白の僧位を纏った愛の前に、これまた純白の鎧を纏った騎士が傅いていた。
愛の目の前で傅いている騎士は、聖騎士と呼ばれる教会所属の騎士である。

彼ら、または彼女らは神殿で他の騎士と同様の鍛錬を積み、他の騎士団と並ぶほどの実力の持ち主が揃っている。
そんな有能な彼らが仕えるのは聖女が不在の場合は、聖女候補生達になる。

今回は聖女として制定された愛がいる為、聖女見習い達ではなく愛に仕えている。

「精霊眼を持っている者は?」

「現在外に待機しております。ここに訪れることができるのは、聖騎士の称号を持つものか神官長だけですので」

その受け答えに愛はニコリと笑いかけた。
その笑みに聖騎士が少し見惚れていたが、すぐに我に返り自身が抱いた邪な気持ちを振り払った。

聖女でありながら聖騎士である存在に慈悲を与える珍しい聖女として愛は教会内で崇められているのだ。
そんな存在に笑いかけられたら邪な思いを抱いてしまうだろう。

「では魔王を討つ為に出立しましょう」

愛の宣言によって聖騎士が立ち上がり敬礼をした。
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